著者
飯島 毅彦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.304-309, 2007 (Released:2007-08-12)
参考文献数
8

セボフルランは血液/ガス分配係数が0.63と低く, 導入覚醒が早い麻酔薬である. 麻酔の維持には広く使用されているが, 麻酔の導入には小児以外ではそれほど使用されていない. ハロタンの時代では緩徐導入といわれるように吸入麻酔による導入は時間がかかり, そのため, 血圧の低下や喉頭痙攣に悩まされてきた. 「ハロタンの呪い」 ともいえる悪い印象が麻酔科医に残っていると思われる. セボフルランのone breath inductionはきわめて速やかに就眠し, 喉頭痙攣, 血圧の低下も少ない方法であり, その速さは静脈麻酔薬に匹敵する. セボフルラン吸入による導入法のさらなる評価が望まれる.
著者
道幸 由香里 小川 幸志 中田 亮子 水本 一弘 畑埜 義雄
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.273-277, 2007 (Released:2007-05-28)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

大量出血に対し, 照射MAP加赤血球濃厚液急速投与を行ったところ, 高カリウム血症から心停止に至った症例を経験した. 症例は68歳, 女性. 大量出血による血圧低下のため, 輸血速度を80ml/minに速めたところ, 心電図上QRS幅の延長に引き続き心停止に至った. ただちに胸骨圧迫心マッサージを行い, 塩化カルシウムと炭酸水素ナトリウムの投与で洞調律に復帰した. 心停止直前の血清K値は8. 3mEq/Lであった. 投与したMAP血のK値は45mEq/L (照射後11日) であったため, 以後の赤血球輸血には自己血回収装置 (Cell Saver) を用いて照射血を生理食塩水で洗浄したものを用いた. Cell Saverにより作製した洗浄照射赤血球の輸血は, 高カリウム血症の回避に有効であった.
著者
吉谷 健司 大西 佳彦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.891-895, 2014 (Released:2014-12-27)
参考文献数
4

近赤外線分光法(NIRS)を用いた局所脳酸素飽和度(rSO2)は非侵襲的に連続測定が可能なため手術中に用いられることも多くなった.しかし,使用してみると個人間で測定値にばらつきが大きく,同じように%表示されるパルスオキシメーターで測定される動脈血酸素飽和度(SpO2)と同様には使いにくいことがわかる.しかし,NIRSによるrSO2もその簡便さから捨てがたいものがある.このジレンマを解決するために少し掘り下げてrSO2について考えてみる必要がある.パルスオキシメーターとどの点が異なるのか,測定値のばらつきはなぜ起こるのか,正確なrSO2は可能なのかなどについて考えてみることにする.
著者
北村 享之
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.558-566, 2016-09-15 (Released:2016-11-05)
参考文献数
27

周術期高血糖は手術予後を増悪させる独立因子である.術前管理や術後管理も糖代謝に大きな影響を及ぼしうるが,術中においては,手術侵襲だけでなく,麻酔管理方法や麻酔薬などのさまざまな因子が糖代謝を大きく変容させる.術中糖代謝管理においては,エネルギー需給バランスを維持し,高血糖が惹起しうる弊害を回避することが重要である.さまざまな因子が術中糖代謝に及ぼす影響の全容が未解明であるため,残念ながら術中血糖値管理指針は未確立のままである.この分野の研究が発展することにより手術予後の改善に寄与しうる術中血糖値管理指針が確立されることを期待したい.
著者
江原 朗
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.675-681, 2012 (Released:2012-11-13)
参考文献数
14
被引用文献数
1

日本の医師の労働時間を国際比較すると,欧米に比べて週当たりの労働時間が長い.長時間労働は,過労死の誘因ともなり,労働衛生の面から問題である.しかし,そればかりではない.医療事故を誘発し,患者に対する医療安全の面でも見過ごすことができないのである.しかし,病院における労務管理は,必ずしも労働法規を遵守しているとはいえない.全国の自治体病院399施設について,労働基準監督署から交付された是正勧告書を開示請求して解析したところ,過去9年間に約6割の自治体病院が労働法規に違反していたことが判明した.特に,ずさんな労働時間管理や時間外・休日・深夜における割増賃金の未払いが目立っていた.
著者
山口 重樹
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.606-609, 2016-09-15 (Released:2016-11-05)
参考文献数
7

デスフルランを用いた麻酔管理で遭遇する問題点は,気道刺激に伴う咳嗽,喉頭痙攣,気管支収縮,交感神経刺激による頻脈,高血圧である.そのため,デスフルラン吸入開始時には細心の注意が必要である.デスフルランの吸入濃度が1MACを超えると,気道刺激や交感神経刺激の危険性が高まる.Golden roleと呼ばれる「新鮮ガス総流量×デスフルランの設定濃度」の値が18を超えないようにデスフルラン吸入を設定することが望ましい.デスフルランによる気道刺激,交感神経刺激の予防にオピオイド鎮痛薬の併用が有効である.その他,低流量麻酔の問題点として,麻酔中の気化器再充填,二酸化炭素吸収材の劣化などの問題がある.
著者
三木 保
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.483-492, 2013-05-15
参考文献数
12

  「東京医大病院 細管誤挿入で脳死状態 50代主婦 胸腔に点滴液たまる」.2003年11月11日の産経新聞の社会面のトップ記事は,東京医科大学病院の全職員を震撼させた.また,これが一連のマスコミを騒がす東京医科大学の医療安全体制の不備の露呈の始まりで,2004年の心臓外科の手術の医療事故(心臓手術で同一医師による4例の死亡例)から主任教授辞任,2005年の特定機能病院指定取り消しと,負のスパイラルへのプロローグになろうとは誰も想像はできなかった.当初これはごく一部の単なる医療事故のように見えた.しかしその本質は組織の単純なミス,油断ではなく,組織全体の虚構の医療安全体制の露呈であった.失った信頼を取り戻すためには,長い時間と多くの努力を要した.今回の東京医科大学病院でのわが国初のCVラインセンターの設置プロジェクトは,まさに真の医療安全文化構築への挑戦であった.
著者
槇田 浩史
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.359-369, 1998-05-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
51
著者
川崎 孝一 上村 裕一
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.297-307, 2003-12-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
29

周術期の循環管理においては,カテコラミンをはじめとした種々の血管作動薬が用いられる.これらの薬物は血管収縮薬と血管拡張薬に大別され,その作用は血管平滑筋を収縮あるいは弛緩するという点では同じであるが,血管平滑筋の収縮弛緩過程における作用機序は異なっている.また,心臓を含めた血管以外への作用もそれぞれ異なる.したがって,血管作動薬を用いる際には作用点である血管平滑筋の収縮弛緩機序を理解するとともに,薬理作用(作用機序,臨床効果,使用量,副作用)を熟知して循環動態に合った適切な薬物を選択する必要がある.本稿では,まず血管平滑筋の収縮弛緩機序について概説し,次に現在使用されている代表的薬物の作用機序と臨床的効果および臨床使用法について述べる.
著者
岩瀬 康子 佐々木 利佳 堀川 英世 釈永 清志 山崎 光章
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.214-217, 2012

  グルカゴノーマ摘出後に高度の低血糖が原因の覚醒遅延をきたした症例を経験したので報告する.46歳女性.上腹部腫瘤と耐糖能障害を認めたため,確定診断の目的も兼ねて腫瘍摘出術が施行された.術中経過は安定しており,血糖値は103~110mg/dlであった.術後に覚醒遅延を認めたため血糖値を測定したところ,4mg/dlであった.ただちにブドウ糖を投与し,血糖値が回復すると速やかに覚醒した.術後に神経学的異常所見は認めなかった.グルカゴノーマの周術期には血糖値が大きく変動する可能性があるため,頻回に血糖値を測定する必要がある.グルカゴノーマ摘出後に覚醒遅延をきたした場合は低血糖の可能性を考慮する必要がある.
著者
小川 節郎
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.661-667, 2015

緩和医療とは何かについて俯瞰的に述べた.緩和ケアとは「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して,疾患の早期より,痛み,身体的問題,心理社会的問題,スピリチュアルな問題に関して,きちんとした評価を行い,それが障害とならないように予防したり対処したりすることで,QOL(生活の質,生命の質)を改善するためのアプローチである」と定義されている.最近ではこのケアは「がんと診断された時から始める」ことが必要とされ,生命の最後の時間にのみ行う医療ではないことが強調されている.本稿では緩和ケアのうち,特に頻度が高い痛みへの対応に関し,陥りやすいピットフォールについても触れた.
著者
高橋 伸二
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.779-784, 2010 (Released:2010-12-24)
参考文献数
20

レミフェンタニルの登場など麻酔管理が進歩し,術中頻拍症は減少した.しかし,予期せぬ術中不整脈は依然重要な問題である.American Heart Associationから頻脈治療のアルゴリズムが紹介されており,周術期にも対応が可能である.頻拍症が起きたら,診断を考えるよりもまず患者が安定しているか不安定なのかを判断する.不安定ならばただちに同期下カルディオバージョンを施行する.容認できる血圧で推移する場合には診断し治療する.狭いQRSの頻拍症は発作性上室性頻拍症であることが多く,治療薬はATPである.再発予防に洞調律回復後はβブロッカーで心拍数を抑える必要がある.狭いQRSの不規則な頻拍症ならば心房細動を疑い,心拍数をコントロールするかリズムをコントロールする.塩酸ランジオロールは超短時間作用性で心拍数のコントロールに使用しやすい.心拍数が抑えられると発作性の心房細動の一部は自然に洞調律に回復する.超短時間作用性なので血圧が低下したら投与を減量,中止すればよい.人工心肺離脱時心室性不整脈に,塩酸ニフェカラントとβブロッカーを併用すると有効である.麻酔科医は周術期頻拍症に対して効果的にβブロッカーを使用することが望まれる.
著者
原 哲也 澄川 耕二
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.765-774, 2012 (Released:2012-11-13)
参考文献数
19

酸素需給バランスの評価は安全な麻酔管理の第一歩である.特に動脈血酸素飽和度,ヘモグロビン値,心拍出量は重要である.混合静脈血酸素飽和度は酸素運搬量と酸素消費量のバランスを反映し,心拍出量と組み合わせることで,運搬と消費の問題を区別して評価できる.FloTrac/Vigileoシステムは動脈圧の標準偏差から1回拍出量を推定する動脈圧心拍出量モニターである.PreSep中心静脈オキシメトリーカテーテルは混合静脈血酸素飽和度に代わり,中心静脈血酸素飽和度を測定する酸素需給バランスのモニターである.これらの低侵襲モニターを麻酔管理に活用することで,重症患者の安全を確保するとともに,麻酔科医の負担を軽減したい.
著者
岩月 矩之 高橋 浩子 村上 衛
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.218-223, 1989

下腹部及び下肢の手術患者35名を対象として, 脊椎麻酔用0.5%等比重及び高比重ブピバカイン液と0.5%等比重テトラカイン液を用いて脊椎麻酔を行った. 麻酔効果発現時間, 無痛域の広がりは高比重ブピバカイン液が等比重ブピバカイン液に比べて早かった. 麻酔持続時間は等比重ブピバカイン液が3~4時間と高比重ブピバカイン液よりも約1時間長く, また運動神経麻痺の程度も強かった. 血圧下降の程度は等比重液の方が軽度であった. 0.5%等比重ブピバカインと0.5%等比重テトラカインとの比較では, その効果に有意差はみられなかった.
著者
上山 博史
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.450-455, 2016-07-15 (Released:2016-09-10)
参考文献数
10

BISモニターに代表される麻酔用脳波モニターは,臨床濃度では麻酔による脳波の高振幅徐波化の程度を数値化することにより鎮静度を示す.この脳波変化は,麻酔薬の種類や加齢の影響を受けるため,プログラムされた変化パターンを示さない麻酔薬や年齢層では,BIS値の信頼性が下がるだけでなく,濃度依存性の変化も失われる.デスフルランはセボフルランと比べて振幅変化,特にアルファ波の振幅増高作用が小さいため,BIS値は低めに算出され,かつ40歳以上では濃度依存性にBIS値が変化しにくい.そのため,BIS値が低い場合でも4%以上の投与を推奨する.デスフルランの誘発電位に与える影響は,他の揮発性麻酔薬と同様に振幅を抑制する.
著者
高澤 知規
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.408-414, 2019-07-15 (Released:2019-08-01)
参考文献数
26
被引用文献数
1

手術室で発症するアナフィラキシーショックは,発生頻度は低いものの,対応を誤れば生命に危険が及ぶため,迅速かつ適切に対応しなければいけない.原因薬剤としては,筋弛緩薬とその拮抗薬,抗生剤が多い.診断には臨床症状のほか,血液中のヒスタミン・トリプターゼの濃度測定が有用である.薬物治療の第一選択はアドレナリンである.原因薬剤の同定には皮膚テストがゴールドスタンダードであるが,in vitroで実施できる好塩基球活性化試験は有望な検査である.原因薬剤が同定されないまま放置されると,次の手術で患者を危険に晒す可能性があるため,アナフィラキシーの原因をつきとめておくことが麻酔科医の責任だと考える.
著者
林 浩伸 川口 昌彦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.262-268, 2017-03-15 (Released:2017-04-21)
参考文献数
11

術中視覚機能モニターとして,視覚伝導路からの電位を測定する視覚誘発電位(VEP)がある.VEPとは網膜に視覚刺激を与えたときに大脳視覚領に生ずる反応である.全身麻酔下での視覚刺激は,フラッシュ刺激によって網膜を照射する.近年,全身麻酔下でのVEPが普及するようになった背景として,LEDを用いることで網膜を強くフラッシュ刺激することが可能になり,VEPの抑制効果が少ないプロポフォールを用いることで安定した記録が行えるようになったことがあげられる.さらに,フラッシュ刺激が網膜に確実に到達していることを確認するためにVEP記録と同時に網膜電図の記録を併用することで,全身麻酔下VEPの信頼性が高まった.
著者
西野 京子
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.523-530, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
5
被引用文献数
1

手術中に地震が起きたならば,まず自分,患者,周囲の安全を確保した上で,手術を速やかに終了させ,患者の生命を守らなければならない.しかし,手術室が損壊したり,電気,医療ガス等のライフラインが途絶すると,これが不可能になる.そのためわれわれは平時より地震に強い環境整備を行い,ライフラインのバックアップ体制を整え,災害時のマニュアルを作成し,実際に手術時に地震が起きたことを想定してシミュレーションを行う必要がある.
著者
坪川 恒久
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.497-507, 2006 (Released:2006-10-25)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

Awake OPCABは, 高位胸部硬膜外麻酔を用いて挿管せずに, 自発呼吸と意識を維持したままOPCABを行う周術期管理方法である. 高位胸部硬膜外麻酔は, 交感神経遮断により心仕事量を抑え, 限局性の冠動脈拡張作用をもち, 心筋保護的に作用するなど, 虚血性心疾患を有する患者には有益な面を多くもつ. 一方で, ヘパリンを使用した手術のため硬膜外血腫形成が懸念され, 硬膜外膿瘍や局所麻酔薬中毒にも注意する必要がある. 自発呼吸を維持することの利点は, 挿管を必要としないことと, 心拍出量および脳血流量の維持が期待されることである. 逆に欠点としては, 気胸や誤嚥の可能性があり, 経食道エコーを使うことができないことがある. 意識を維持することの利点は, 脳灌流および神経学的合併症のモニターとして優れていることである. いずれの要素に関してもエビデンスの蓄積はまだ不十分であり, 今後の検討が必要である.
著者
川口 昌彦 国沢 卓之 岡本 浩嗣 野村 実
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.684-690, 2019

<p>日本心臓血管麻酔学会が目指すサブスペシャルティは,理念に掲げたとおり,「心臓血管麻酔専門医制度は,麻酔科専門医のサブスペシャルティとして,心臓血管麻酔に関する十分な専門知識と技能を有し,より安全で質の高い心臓血管麻酔の提供と教育的,指導的な役割を果たせる専門医を育成し,国民の健康・福祉の増進に貢献することを目的とする.」である.学会独自の教育と専門医制度を設立・運用してきているが,今後は,日本麻酔科学会の承認を得られた後,日本専門医機構の認定を得られることを目標として,機構の示す要件を一つずつ検討し,必要のあるものは改善を開始している.最終的に患者,メディカルスタッフ,会員の皆様に恩恵をもたらせるよう,活動を進めていく予定である.</p>