著者
中村 里依子 行木 香寿代 小西 純平 寺門 瞳 前田 剛 鈴木 孝浩
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.430-433, 2015-07-15 (Released:2015-09-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

症例は局所麻酔下に白内障手術予定の74歳の女性.眼科医によって施行された2%リドカイン3.5mLを用いた球後麻酔の数分後に意識消失と呼吸停止が生じ,その原因として局所麻酔薬の視神経鞘を介したくも膜下注入による脳幹麻酔が疑われた.マスクを用いた人工呼吸を継続した結果,球後麻酔から約30分後には呼吸努力が認められ,約65分後には意識清明となり,呼吸およびその他の運動機能も完全に回復した.球後麻酔といえども危機的合併症が発現し得ることを認識し,呼吸や意識の経時的観察,そして合併症が生じた際に迅速対応できる体制が重要と考えられた.
著者
樋口 秀行
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.347-351, 2016-05-14 (Released:2016-07-07)
参考文献数
7

デスフルランの物理的特徴として,標準沸点が22.8℃と他の揮発性麻酔薬と比べて,極めて低いという点がある.そのため,保存・供給する容器,気化器も特徴的になっている.デスフルランは化学的に極めて安定している.すなわち,生体内代謝はほとんど受けず,二酸化炭素吸収剤と反応して分解されることはない.しかしながら,乾燥したソーダライム,バラライムと反応して一酸化炭素を生成する.また塩素分子を有さないので,オゾン層破壊作用はないが,地球温暖化効果を有し,対流圏における寿命は他の揮発性麻酔薬より長い.
著者
横塚 基 寺嶋 克幸
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.610-614, 2016-09-15 (Released:2016-11-05)
参考文献数
15
被引用文献数
1

デスフルランは1.5MAC以上へ急激に濃度を上昇させることにより,一過性の交感神経刺激作用を有することが知られている.しかし,1MAC程度の使用であればそれは問題とならず,他の吸入麻酔薬と同様,安全に麻酔管理が可能である.心臓手術中には胸骨正中切開,心膜切開,大動脈操作時など血圧が上昇しやすい時期がある.疼痛刺激などに対する血行動態の変動に,デスフルランの濃度を高くすることで対処することは,避けるべきである.デスフルランの持つ心筋保護作用は,心筋虚血を起こす可能性が高い心臓手術に有用であり,覚醒が速やかでその質も優れている性質はultra fast-track anesthesiaに活用できる可能性がある.
著者
小田 裕
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.447-454, 2005 (Released:2005-09-28)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

薬物動態に最も大きな影響を及ぼすのは代謝である. したがって, 薬物動態を考慮する際には, 代謝が肝血流量依存性か, 肝代謝酵素活性依存性かの判断が重要である. 前者の場合は, 肝血流量の減少によって薬物の血中からの排泄が遅延する. 後者の場合は, 肝代謝酵素活性 (とくにチトクロームP450, 以下P450) を阻害する薬物の併用に注意すべきである. またP450活性には人種差や個体差が存在し, 特定の人種や個体では一部のP450分子種の含量がとくに少なく, そのP450で代謝される薬物の効果が著しく遷延したり, 副作用が生ずる可能性がある. さらに, 薬物動態から肝臓の酵素活性を推定することが可能で, 薬物療法におけるテーラーメイド治療に向けた臨床応用が期待される.
著者
森本 康裕 鶴田 俊介 坂部 武史
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.378-386, 2005 (Released:2005-07-29)
参考文献数
17

脳動脈瘤に対しては開頭下に動脈瘤にクリップをかけるクリッピング手術が一般的であったが, 最近は血管内手術も増えてきた. 麻酔法としては, プロポフォールの登場で吸入麻酔薬あるいは静脈麻酔薬による麻酔維持の使い分けが可能になった. 脳動脈瘤手術は緊急手術となることが多く, まず患者の重症度や全身合併症を把握する必要がある. 麻酔のポイントは脳灌流圧と動脈瘤の経壁圧を保ち, 動脈瘤の破裂 (再破裂) を防ぎ, 脳の腫脹を抑え, 脳血管攣縮を予防することにある. 麻酔薬および麻酔関連薬の脳循環, 代謝への影響を理解し, 脳神経外科医と十分なコミュニケーションをとり個々の患者の病態に応じて適切な管理を行うことが重要である.
著者
西澤 秀哉 中山 英人
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.626-628, 2016-09-15 (Released:2016-11-05)
参考文献数
16

頭部外傷患者の麻酔管理は,二次性脳損傷の発症・進展を防ぐために,頭蓋内圧を制御して脳灌流圧を維持することが重要となる.臨床使用濃度におけるデスフルランが頭蓋内圧を大きく変動させることはないが,頭部外傷患者は脳血流自己調節能が破綻している可能性が高いため注意を要する.術後早期に神経学的機能評価を行うことで治療可能な合併症を捕捉できる利点を有することから,デスフルランの速やかな覚醒は有用である.
著者
廣田 和美
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.42-49, 2007 (Released:2007-01-29)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

弘前大学医学部附属病院では, 全身麻酔管理の80%以上にプロポフォールを主体にケタミンやフェンタニルを加えた全静脈麻酔法 (TIVA) を用いて施行している. TIVAにより, 地球温暖化やオゾン層破壊の原因となる亜酸化窒素や揮発性吸入麻酔薬の使用を減らすことができる. また, 現在までの研究報告をみると揮発性吸入麻酔薬が炎症促進作用を示すのに対し, 静脈麻酔薬プロポフォール, ケタミンは抗炎症効果を示す可能性が高い. また, プロポフォールにがん転移抑制効果があるのに対し, 揮発性吸入麻酔薬では転移を促進させるとする論文も発表されている. したがって, 環境に優しく侵襲防御に有利なプロポフォールを中心としたTIVAは, 今後さらに普及していくものと予測される.
著者
横田 美幸 関 誠 大島 勉
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.580-587, 2011 (Released:2011-08-15)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

MAC(Monitored Anesthesia Care)は,侵襲的医療行為のあらゆる状況で適応となる.MACの本質は,診断や治療に伴う医療行為で生じてくる患者の生理学的変化(血圧変動や呼吸抑制などを含む生体維持機能)や医学的問題の麻酔科学的評価や管理である.このためには鎮痛薬や鎮静薬の投与を行うが,MACを実施する医師は,必要となればすぐに全身麻酔に移行する準備や能力が必要であることは言うまでもない.このような能力のない医師が実施すれば危険であることは明白である.したがってその技術度は,全身麻酔に準じていると考えられる.日本においてもMACの重要性については異論のないところである.したがってMACに関して共通の認識を形成し,侵襲的医療行為におけるMACの必要性を患者・国民に啓発していく必要がある.
著者
加藤 里絵
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.858-865, 2012 (Released:2013-02-12)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

日本や英国の妊産婦死亡症例の検討を通して,麻酔科医には手術室における麻酔以外に,妊産婦の死亡を減らすためにいくつかの役割があることがわかってきた.その一つが妊産婦の心肺蘇生への関与である.妊産婦の心肺蘇生は,一般成人における方法におおむね準ずるが,いくつかの相違点がある.(1)子宮左方転位を行うこと,(2)胸骨圧迫部位をやや頭側に置くこと,(3)早期に確実な人工呼吸を確立すること,(4)急速輸液を考慮すること,(5)死戦期帝王切開術を考慮することなどである.除細動や薬剤の投与は一般成人における方法と変わりがない.特に死戦期帝王切開術を行うためには施設ごとの入念な準備が必須であり,その体制の確立において麻酔科医は大きな役割を担うと考えられる.
著者
新谷 知久 成松 英智 並木 昭義
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.858-864, 2008-09-12 (Released:2008-10-17)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ロクロニウムは静脈内投与した後ほとんど代謝されずに速やかに肝臓に取り込まれ, 大半は胆汁中に, 一部が腎から尿中に排泄される. 腎機能が低下した患者においては, ロクロニウムの作用持続時間は変わらないとする報告や延長するという報告があり一定の結論が得られていない. 一方, 肝機能が低下した患者では作用持続時間は延長すると報告されている. また, 肝移植術の際に移植肝が正常に機能しなかった患者において, ロクロニウムの血漿濃度上昇や, 筋弛緩効果からの回復時間遅延を認めたとの報告がある. 肝・腎機能に障害をもつ患者や移植術においてロクロニウムを使用する際には, 筋弛緩モニターを行い慎重に投与量を調節して管理する必要がある.
著者
若松 弘也 山田 健介 勝田 哲史 白源 清貴 松本 聡 松本 美志也
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.347-353, 2018-05-15 (Released:2018-06-23)

2015年10月に発表されたJRC蘇生ガイドライン2015における一次救命処置の推奨は次の通りである.胸骨圧迫のテンポは,100〜120回/分を推奨する.胸骨圧迫の深さは,6cmを超える過剰な圧迫を避けつつ,約5cmの深さで行うことを推奨する.CPR中の胸骨圧迫の中断は最小限とし,胸骨圧迫比率をできるだけ高くして,少なくとも60%とすることを提案する.心停止の疑いのある人の近くにいる,意思がありCPRを実施できる人に,ソーシャルメディアなどのテクノロジーを用いて情報提供することを提案する.JRC蘇生ガイドライン2015で強調されている胸骨圧迫の重要性は,ガイドライン2005,2010から引き継がれている.
著者
小板橋 俊哉
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.441-447, 2016-07-15 (Released:2016-09-10)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

プロポフォールが本邦で使用されるようになってから20年近くが経過している.本稿では,プロポフォール麻酔の基本について概説する.プロポフォールの効果部位濃度と血中濃度の違いや薬物動態学,薬力学についての基本的知識は必要である.また,薬物動態学的多様性と薬力学的多様性も考慮しなければならない.特に,年齢による変化や肥満患者への対応は実臨床において必須の知識である.一方,TCIポンプに表示される濃度はあくまで予測濃度であり,絶対値にこだわらないことも重要である.プロポフォールの効果を判定する際に,濃度を補完するツールとしてBISモニタなどの脳波モニタは有用である.
著者
吉田 敬之
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.308-313, 2020-05-15 (Released:2020-06-26)
参考文献数
20

最も多くの研究が行われている体幹部の持続末梢神経ブロックは,胸部傍脊椎ブロックであろう.開胸術において,持続胸部傍脊椎ブロックは持続胸部硬膜外ブロックと同等の鎮痛を提供し,副作用は硬膜外ブロックより少ない.最近は,胸部傍脊椎ブロックのアプローチや局所麻酔薬の投与様式を工夫することで,さらに鎮痛効果を高められることがわかってきた.腹部体幹の持続末梢神経ブロックでは,腹横筋膜面ブロックに関する前向き比較研究が複数ある.持続腹横筋膜面ブロックは下腹部開腹術後のオピオイド使用量を有意に減らす.持続腹横筋膜面ブロックの課題の一つは遮断範囲の狭さであり,それを改善するための試みがいくつか行われている.
著者
小坂 義弘
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.169-174, 2010-01-15 (Released:2010-02-19)
参考文献数
1

硬膜外麻酔を安全・確実に施行する秘訣は, 施行時の注意点をよく守り, 確実に硬膜外腔に針先やカテーテルを挿入して, 局所麻酔薬の適当量を上手に注入することである. その後は, 患者のそばを離れず, しばらくの間, 患者の呼吸・循環の監視を怠らないことである. 懸滴法以外の硬膜外腔確認方法では, 信頼性が低いと思って対応すべきで, 外来でのブロックでは特に注意が必要である. 全身麻酔に併用する場合には, 意識下に硬膜外腔穿刺を行って, カテーテルを挿入し, 2~3mlのテストドーズを投与して, 脊髄くも膜下麻酔になっていないことを確認して導入する. カテーテルを挿入したけれど, テストもしないで全身麻酔を始めた場合には, くも膜下腔にカテーテルが挿入されているかもしれないと思って管理すべきである.
著者
坊木 香寿美 吉田 朱里 川股 知之
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.42-46, 2021-01-15 (Released:2021-02-19)
参考文献数
10

症例は75歳男性で,胸腔鏡下肺切除手術が予定された.Th7-8より硬膜外カテーテルを留置し,アドレナリン添加2%リドカイン3mLを投与,冷覚低下を確認後に全身麻酔を行った.手術開始前,終了前に0.25%レボブピバカイン計8mLを単回投与するとともに,術中はフェンタニル添加0.125%レボブピバカインを5mL/hで持続投与した.手術終了後Th5-6以下で広範囲な知覚・運動麻痺を認めた.麻酔薬の持続投与を中止し,硬膜外カテーテルから造影剤を投与したところ,脊椎後側に8椎体にわたって広がる線状陰影を認め,硬膜下腔への留置が疑われた.投与中止約6時間30分後に知覚・運動麻痺は消失し,その後合併症なく退院した.
著者
萩平 哲
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.79-87, 2004 (Released:2005-03-31)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

近年BISモニターなどの脳波(EEG)モニターが普及しつつあるが, 残念ながら現状では適切に使用されているとはいえない. これは麻酔中の脳波に対する基本的な知識の欠如によると考えられる. 本稿では脳波モニターを適切に使用するための基本的な知識を整理し, どのような戦略を用いれば麻酔中の脳波から必要な情報が得られるかについて解説した. 麻酔中の脳波には麻酔薬の作用だけでなく手術刺激の影響やそれを抑制する鎮痛薬の効果も反映されるため, このことを念頭におかなければ脳波モニターを活用することは困難である. またBIS値を含めた脳波パラメータによる判定には限界があるため, 必要に応じて脳波波形で判断することも大切である.
著者
中川 博文 東 俊晴 松原 由紀 白石 成二 中尾 正和 山崎 京子
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.334-338, 2008 (Released:2008-04-16)
参考文献数
10

厚生労働省の 「輸血療法の実施に関する指針」 が2005年9月に改定された後, AB型患者の大量出血に対して異型適合血輸血を考慮した2症例を経験した. 緊急輸血に携わる医療従事者は, 異型適合血輸血の適応に関する認識を新たにするとともに, 危機的出血に際して迅速に適合血の選択を確認できるよう小冊子を配置し, 定期的な勉強会を開催するなど, 速やかな緊急輸血実施のための院内体制の整備に努める必要があると考えられた.
著者
末竹 荘八郎 渡邊 至
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.305-307, 2016-05-14 (Released:2016-07-07)
参考文献数
5

抜管後,患者の訴えに基づき気道で発見された脱落歯牙を,McGRATHTM MAC(以下,McGRATH)とSUZY鉗子を用いて安全に摘出し得た症例を経験した.McGRATHはビデオ喉頭鏡の一つとして近年急速に普及しており,従来の喉頭鏡に比べ低侵襲で,特に困難気道での有効性が確認されている.SUZY鉗子はMcGRATH専用の湾曲型異物除去鉗子であり,McGRATHとSUZY鉗子の組み合わせは迅速かつ安全な気道異物除去法の一つであると考えられた.
著者
中村 秀文
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.789-796, 2009-11-13 (Released:2009-12-17)
参考文献数
6

適切な薬物投与のためには, 薬物動態・薬力学が臨床試験により評価され, 至適投与量が決定されていなければならない. 子どもはダイナミックな発達の過程を経るために, その薬物動態・薬力学も成人とは異なることが知られている. 現在の科学水準では過去のほかの薬のデータに頼って適切な薬物投与設計を行うことは困難であり, 個々の医薬品について必要な年齢で臨床試験を行い, 薬物動態と薬力学の評価をしなくてはならない. 残念ながら国内で小児治験がなかなか行われないために, わが国の添付文書には, 小児についての記載が不十分なものが多い. 今後わが国でも, 小児の治験環境づくりを, 学会・行政・製薬企業が連携して進めていく必要がある.