著者
辻田 眸 塚田 浩二 椎尾 一郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1_25-1_37, 2009-01-27 (Released:2009-03-27)
被引用文献数
2

携帯電話やメールなどさまざまな通信手段が普及したにもかかわらず,いまなお遠距離恋愛で悩んでいる人たちは多い.遠距離恋愛中のカップルは,個人差はあるにせよ,相手とつながり感を保ちたいという強いモチベーションをお互いに持っていると考えられる.こうした状況では,従来のアウェアネス共有システムのように弱いつながり感を共有するだけでなく,両者の生活空間での行為自体が相互に影響を与えあうような,比較的強いつながり感を提供する,いわば仮想的に同居しているような感覚を与えるシステムが有効になるのではないかと考えた.そこで,本研究では,プライバシーが守られる形で,遠隔地に設置されたランプ/ゴミ箱などの日用品の状態を相互に同期させることで,こうした仮想的な同居感覚を提供するシステム“SyncDecor”を提案,試作する.そして遠距離恋愛カップル間での遠隔実験の結果を示し,今後の展望を述べる.
著者
三好 健文
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_76-1_84, 2013-01-25 (Released:2013-03-25)

FPGAの大規模化に伴い,より複雑な処理がFPGAに実装できるようになり,プログラムの実行プラットフォームとしてもFPGAは注目されている.しかしながら,広く普及しているRTL言語で複雑なアルゴリズムが必要なアプリケーションを設計するのは困難である.そのため,高い抽象度でハードウェアモジュールを設計可能にする高位合成言語とその処理系の研究がすすめられている.高位合成言語には,ハードウェア開発のコストを削減すること,動作検証にかかるコストを削減すること,および,FPGAを活用して,FPGAならではの性能を引き出すことが求められる.本論文では,これまでに提案されてきた高位合成言語と処理系を整理する.
著者
福地 健太郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.2_55-2_62, 2011-04-26 (Released:2011-06-26)

タッチパネル式操作インタフェースの新しい潮流として,マルチタッチ技術が注目を浴びている.画面上の一点を指し示すのみの従来のタッチパネルに比べてマルチタッチ入力では多彩な入力が可能になるため,特にデバイスとしての制約の厳しい携帯型端末においては導入が急速に進んでいる.本稿ではこれまでのマルチタッチ技術について概観した後,タッチ位置以上の情報の入力を可能とする手指入力の研究動向を紹介する.
著者
丹野 治門 倉林 利行 張 暁晶 伊山 宗吉 安達 悠 岩田 真治 切貫 弘之
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.3_121-3_147, 2017-07-25 (Released:2017-08-09)

テスト設計を効率よく行うために必要となるテスト入力値生成技術に関する調査を行った.ソフトウェア工学分野とソフトウェアテスト分野における5つの主要会議 (ICSE,FSE,ASE,ISSTA,ICST)の過去約10年分の研究論文を調査対象とした.本論文では,これらの手法を目的別に整理したうえで,それぞれの手法の概要を紹介する.
著者
MORISAKI Shuji NISHIGUCHI Masato YONEMITSU Tetsuya MOTOYAMA Atsushi
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.2_120-2_126, 2020-04-23 (Released:2020-05-20)

This paper proposes a method to remove extraneous words in defect logs collected in software reviews to support for creating effective review checklists and scenarios used in future reviews. Extraneous words are commonly used and not specific words to capture defects to be detected in future reviews. The proposed method removes extraneous words in defect logs by excluding words in common vocabulary among defect logs collected in different types of software development projects because extraneous words are included in defect logs of any types of software development projects. This paper empirically evaluates the effectiveness of the proposed method with defect logs collected in industry. In the evaluation, words in common vocabulary among defect logs collected in reviews of a transportation system and a development support tool are excluded from those of public institutions. The results show that words contributing to creating checklists and scenarios, including “medical examination,” “fiscal year,” and “dependent in tax law,” are not excluded while extraneous words, which general stop word removal methods cannot exclude, such as “update,” “result,” and “process” are excluded.
著者
大神 勝也 中才 恵太朗 畑 秀明 松本 健一
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.2_93-2_105, 2019-04-26 (Released:2019-05-24)

アプリケーションのパフォーマンス改善において,実行時間を解析するプロファイラは有用と思われる.しかし,既存のプロファイラは特定の実行シナリオのもとプロファイリング時間を事前に設定する必要があり,実行シナリオなしでシステムのボトルネックを見つけることは難しい.また,各メソッドごとの実行時間を表示するインタフェースはソフトウェアの階層構造上における実行モジュールの位置などを把握することが難しい.これらの課題に対処するため,リアルタイムでパフォーマンス分析可能なソフトウェア都市可視化ツールHeijoを提案する.提案するプロファイラでは,アプリケーションの実行は3次元のソフトウェア都市として可視化され,アプリケーションのソフトウェア構造と実行のパフォーマンスが表現される.提案するプロファイラを使用して実際のJavaアプリケーションおよびAndroidアプリケーションのプロファイリングを行い,提案するプロファイラの有用性と実用性を確認した.
著者
対馬 かなえ 浅井 健一
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_180-1_186, 2013-01-25 (Released:2013-03-05)

本稿ではコンパイラに備わっている型推論器をそのまま使い,型デバッガを作成する手法について述べる.これまでの型デバッガでは型推論器を独自に再実装して型を求めていたが,それらの手法と比較して我々の手法には3つの利点がある.1つ目は型推論結果に不一致が起きないことが保証されることである.従来の型デバッガでは,型デバッガの型推論器とコンパイラの型推論器の間で齟齬が起きる可能性があった.2つ目はそもそも型推論器を再実装する必要がないことである.それによりこれまでに行われていない,構文等が多い言語の型デバッガを容易に作成することが出来る.3つ目はコンパイラの型推論器の更新に依存しないことである.これらの利点を活かし,我々は実際にOCamlを対象とした型デバッガを実装した.本稿では単純型付きラムダ計算とlet多相を対象として提案手法を説明し,実装について述べる.
著者
五十嵐 悠紀 五十嵐 健夫 鈴木 宏正
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.51-58, 2009-01-27
被引用文献数
1

"あみぐるみ"は毛糸を使って作るぬいぐるみであるが,毛糸の編み方によって形状をデザインしていくため,初心者にはデザインすることが困難である.我々は3次元モデリングプロセスにインタラクティブな物理シミュレーションを組み合わせることであみぐるみを効率的にデザインできるモデラーを作成した.本システムは自動で編み目を計算してあみぐるみモデルをシミュレーション結果として提示するため,初心者にでも直感的にデザインでき,編み図も容易に得ることができる.また,初めてあみぐるみに挑戦する初心者でも製作手順を容易に理解できるようにするために,製作手順を視覚的に提示する製作支援インタフェースも備えた.あみぐるみ初心者でも容易にオリジナルなあみぐるみを作成できることを確認したので報告する.
著者
横尾 真 岩崎 敦 櫻井 祐子 岡本 吉央
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_34-1_52, 2013-01-25 (Released:2013-03-25)

本稿では,メカニズムデザイン(応用編)として,前回の基礎編に対して,現実からの要請にもとづく社会的に望ましい結果,もしくは設計者の目的を満たす結果,をもたらすための市場や制度をメカニズムとしてどう考えるかに焦点をあてる.まず,メカニズムデザイン理論における代表的な応用である,異なる種類の商品を同時に販売するためのオークション,いわゆる組合せオークションを,もっともよく知られているVickrey-Clarke-Grovesメカニズムを通して説明する.次に,従来は考えられていなかった課題を解決するためのメカニズムをどのように設計するかを解説するために,架空名義入札を取り上げる.加えて,メカニズムデザイン理論のよく知られた実践例である,検索連動型広告オークションとマッチングメカニズムの主要な結果に関して述べる.
著者
新屋 良磨
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1_119-1_124, 2017-01-25 (Released:2017-02-16)

与えられた言語が非正規であることの証明技法として,ポンピング補題や右同値類の有限性 (Myhill-Nerodeの定理) などの手法が有用であることが広く知られている.本論文ではこれらの手法とは全く異なる新しい非正規性の証明技法を提案する.いくつかの例題を通じて提案手法の新規性・有用性を議論し,さらに提案手法の課題についても具体的に述べる.提案技法は言語の測度に基づくものであり,「与えられた言語Lがほとんど空(測度が0)である」という直観的な性質を非正規性の証明に用いる.
著者
又吉 康綱 中村 聡史
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1_55-1_71, 2022-01-25 (Released:2022-03-25)

大学で開講される初年次必修プログラミング教育では,TAが必要不可欠である.対面講義でもあった積極性を発揮できず質問できない受講生の問題は,COVID-19の影響により大学の講義がオンラインになったことで,より大きな問題となっているといえる.また,それに加え質問の順番待ちや質問対応などの制御や,TAにとって質問に対応できるだろうかという精神的な負荷も大きな問題となりうる.そこで本研究では,受講生の質問へのハードルを下げつつ,TAの精神的負荷も軽減するため,受講生がTAに直接質問をするのではなく,受講生はシステムに対して質問を行い,またTAは質問を事前に確認し,対応可能な場合に呼び出しして入室を促す手法を提案し,実装した.また,実際のオンライン講義で計1600分運用し,受講生およびTAから高い評価を得ることができた.
著者
二村 良彦
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.343-351, 2004-09-28 (Released:2009-04-27)

インタープリタを用いて形式的に記述されたプログラミング言語のセマンティクスと現実のコンパイラとの関係およびインタープリタからコンパイラを自動的に作成する方法について述べる.この方法は計算過程の部分評価の一種である.この方法を応用してできるコンパイラ・コンパイラと既存のコンパイラ・コンパイラの相違は,プログラミング言語のセマンティクスを記述するさいに,既存のものが翻訳過程を記述しなければならないのに対して,本方式によるものは評価手順を記述すればよいことである.