著者
清水 浩志郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.518, pp.17-29, 1995-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
305
被引用文献数
7

本文は『高齢・障害者のための交通計画』に関する本特集号の位置づけについて解説したものである. すなわち, 研究の意義と現状及び問題点についてのレビューをおこない, さらに今後の研究動向についてその課題を整理したうえで将来の研究を展望している.
著者
島田 忠幸
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.501, pp.163-171, 1994-10-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
11
被引用文献数
22 27

本論文は, ケーブルの高次モードの固有振動数から張力を測定することを目的として, ケーブルのサグ・傾斜・曲げ剛性を考慮したケーブル振動の特性方程式を導き, 測定精度についての考察を行った. この結果, 高次振動次数から推定した張力は十分なる精度を有することが判明し, この方法を用いれば常時微動法が適用できるので, 長さの長いケーブルに対しても加振する必要がなくなり, 迅速な測定ができることを示した.
著者
福岡 捷二 渡辺 明英 新井田 浩 佐藤 健二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.503, pp.59-68, 1994-11-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
11 7

洪水流や航行する船の造る波の河岸侵食力に対し, 河岸に生育しているオギやヨシがどの程度の河岸侵食軽減機能を有するかを現地観測によって調べている. オギやヨシの生育環境, これらの植生が河岸侵食を軽減する機構を明らかにした上で, オギやヨシを河岸保護に活用する場合, 保護機能が発揮される限界流速を理論的に算定し, これが工学上有効であることを現地観測結果によって, 明らかにしている.
著者
金津 努
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.697, pp.13-24, 2002-02-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
60
被引用文献数
3

定常的に高温条件に曝される鉄筋コンクリート施設として, 原子力発電所の原子炉格納容器, 原子炉・冷却水配管の支持構造, 放射性返還廃棄物, 使用済み燃料等の高レベル廃棄物貯蔵施設などがある. これらの構造物では, 鉄筋とコンクリートの物性の高温特性が外荷重に対する応答に影響すること, 鉄筋とコンクリートの熱膨張特性に起因して内部応力が発生することなど, 高温下特有の挙動を示す. 後者は, 既報においてその特性を評価した. 本論文は, 常温から最高500℃までの温度領域における鉄筋とコンクリートの物理的性質の温度依存性について, 実験結果を中心として取りまとめたものである.
著者
安藤 昭 佐々木 栄洋 赤谷 隆一 三浦 剛史
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.639, pp.1-11, 2000-01-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
20
被引用文献数
4 1

今日, 我が国の津波防災に関する研究は, 国際的にも高い評価を受けている. しかし, それぞれの研究成果は, 関連性がないままになっており, これまでに講じられてきた津波防災対策を全般的にオーソライズし, 評価する体制は十分とはいえない.そこで, 本研究では, 津波常襲地域である岩手県沿岸域14市町村を対象に, 津波被害史, 津波対策史, 被災復興史という3つの観点から津波防災に関する情報を収集し, 津波防災に関するデータベースを構築した. そして, データベースにおいて制約, 結合といったデータ操作による分析を行い, 津波防災の変遷を明らかにし, 岩手県沿岸域における津波防災上の共通課題を探索した.
著者
本城 勇介 工藤 暢章
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.589, pp.321-333, 1998-03-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

地盤工学や構造工学で逆解析を成功させるためには, 逆解析の目的に応じた観測データの適切な取得が必要であると考えられる. 本研究では, 逆解析における事前情報, 観測情報, 予測の過程における情報の流れを, 情報理論で広く用いられるシャノンの情報エントロピーにより記述し, これを規準として逆解析を行なうことを前提とした場合の, 観測計画の評価を行う方法の基本的な考察を行った. この方法と, 従来から実験計画法の分野で提唱されてきた観測計画の評価基準との関係についても明確化した. 提案された方法は, 比較的簡単な例題に適用され, その有用性が示された.
著者
古家 和彦 北川 信 中村 俊一 鈴村 恵太 聖生 守雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.637, pp.103-114, 1999-12-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
27
被引用文献数
10 8

近年実施された因島大橋や大鳴門橋等の現地調査により, 吊橋ケーブルが腐食していることが発見された. そこで, ケーブル内部の腐食機構を推定するため, 模擬ケーブルおよび実橋ケーブルを用いた腐食環境の調査, 濡れ状態にある亜鉛めっき鋼線の腐食シミュレート試験, 劣化ペースト中の亜鉛めっき鋼線の腐食シミュレート試験を実施した. その結果, ケーブル内の滞留水がケーブル内部を高湿度化し温度変化の大きい表層部では結露による腐食環境を形成すること, 濡れ状態にある亜鉛めっき鋼線は腐食しやすいこと, 劣化した鉛酸カルシウム含有高分子有機鉛ペーストが亜鉛めっき鋼線の腐食を促進する可能性があることを見出した.
著者
廖 金孫 松井 繁憲 串田 守可 篠原 正 藤野 陽三
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.749, pp.137-148, 2003-12-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
4 2

鋼橋建設コストの低減を目的として, 塗装の代わりに除湿機を箱桁内部に設置し, 湿度を制御することにより, 箱桁内面の腐食を防止する工法が検討され, 実用化されている. しかし, この防食方法には電源が必要不可欠な上, 除湿機の設置・運転費用もかかる欠点がある. これらの欠点を解決するため, 取扱いが容易で安価な除湿剤に着目し, 除湿剤による箱桁内部の湿度制御効果について検討した. 本文では, 北海道および沖縄に架設された実橋を対象とした鋼製箱桁内部の環境腐食性の調査結果および, 腐食環境が厳しい沖縄の実橋鋼製箱桁内部における除湿剤の湿度制御効果を解析し, 鋼板の腐食発生挙動に及ぼす不純物付着量の影響を明らかにした上で, 除湿剤を使用する鋼製箱桁内部の防錆システムを提案した.
著者
武山 泰 嶋田 洋一 福田 正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.420, pp.135-141, 1990-08-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
7
被引用文献数
13 9

The object of this study is to develop an evaluation system for managing asphalt pavements based on Markov chain model. Deterioration process, reliability, effects of rehabilitation, and steady state probability of asphalt pavements can be evaluated by this system. In this paper, the Markov chain model methodology is explained, and the application of this system to actual asphalt pavements in Tohdku district is described. As the results, transition matrices for asphalt pavement performance are obtained, and the effects of rehabilitation are estimated quantitatively by this system.
著者
横山 幸滿 今泉 繁良 上野 勝利 水沼 孝恵
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.568, pp.113-123, 1997-06-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
22

平成元年から同3年にかけて, 宇都宮市西郊の大谷石採取場で3,300m2にも及ぶ大規模な地下空洞陥没事故が発生し, その後引続き陥没事故が発生して社会的関心を集めた. 本論文ではまずはじめに大谷石の力学的性質, 特に一軸圧縮強度に及ぼす乾燥-湿潤履歴とクリープ破壊の影響を調べ, その後陥没のメカニズムについて検討し, 残柱の断面積と間隔について論じている. 更に陥没の発生日時と地球潮汐力との相関を調べ, 臨界状態にある空洞に対し地球潮汐力が陥没のトリガーの一つとなり得ることを述べている.
著者
鶴巻 有一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.423, pp.43-52, 1990-11-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

Analysis on the stability of oscillation in a hydraulic system equipped with a surge tank has been made. The Thoma condition of stability is modified by taking account of the effect of inertia of flowing water in the penstock, hydraulic characteristics of turbine, characteristics of the turbine speed governor, inertia of rotating part of turbinegenerator, and paralleled running of power plants. Extensive numerical computation has been made basing on the theory derived herein, and the effect of them is examined in detail. Stability regions are shown in diagrams by the use of suitably chosen dimensionless parameters.Stability of oscillation in the hydraulic system having no surge tank has also been analysed and is compared with the result in the case when a surge tank is equipped.Furthermore, the response of the whole hydraulic system to the periodic variation of power demand has been analysed. The theoretical result thus derived is compared with the result of field measurement in an electric power plant. Good agreement is shown between the theory and measurement.Basing on this study, guidelines for deciding whether the installation of a surge tank is necessary or not in a relevant case are proposed.
著者
楊 曉光 飯田 恭敬 宇野 伸宏
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.597, pp.113-126, 1998-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
18
被引用文献数
3 2

線形計画法を用いた都市高速道路の流入制御モデル (LP制御モデル) は, 理論的に明快であり, かつモデルの操作性, 実用性の点でも優れているが, 基本的には交通状態の定常性を仮定できる場面への適用に限定されている. 本研究では, 流入交通需要と本線上の交通状態の時間変化を考慮可能な流入制御モデルを構築するため, LP制御モデルを基礎として, その動学化を図る. 渋滞予防の制約条件としてリンク容量制約に加えてリンク走行速度制約を導入し, 交通状態が非定常な場合あるいは本線上に軽微な渋滞が存在している場面にも適用可能な制御モデルとする. 提案した動的制御モデルを用いた数値計算を通して, モデルの挙動を確認するとともに, 動的流入制御手法の役割を明確にする.
著者
黒田 重徳 小山 喜久二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.503, pp.197-205, 1994-11-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

ダム貯水池に浮遊する流木は発電等の取水支障や水の流れの妨げにもなるため, 日頃から流木を貯水池から引き揚げて処理・処分することはダム保守管理の重要な業務の一つである. しかし, この処理・処分にはたいへんな費用を伴うため苦慮しているダムは数多い. そこで, 本文では, これらの流木を再資源化して有効利用する方法の一つとして, 流木の特性に着目した木炭化による再資源化利用を提案する.
著者
逢澤 正行 篠原 修
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.593, pp.105-115, 1998-05-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

自由乱流の重力噴流に属する自由落下型落水表情と壁面乱流の開水路急変流に属する越流型落水表情の両者について, レイノルズ数の連続的変化に伴う自由表面の断続的形態変化が, 自由表面の安定問題となる第1領域, 遷移領域である第2領域, 全体が乱れる第3領域の不連続な3領域に区分できることを実験的に求め, その境界値を無次元量によって示した. また, 第1領域において, 自由表面の安定問題が微小擾乱の成長問題となり, 自由落下型の場合には表面張力が, 越流型の場合には重力が, 微小擾乱に対抗する復元力として作用することを示した.
著者
秋山 哲男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.518, pp.55-67, 1995-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
47
被引用文献数
2 2

高齢者・障害者専用の交通手段のスペシャルトランスポートサービス (STサービス) を対象とし公共交通でのSTサービスの役割とそのカバーすべき範囲を明確にし, わが国においてSTサービスの位置づけ, 整備の考え方, 公共交通における役割, 整備の方向を示すことを目的とした. 第一に既存の公共交通サービスが高齢者・障害者のモビリティをどこまでカバーし, STサービスとタクシー, マストラとの交通手段分担がどのようになるのかについて論ずる. 第二に, STサービスはどの程度の需要が見込まれ, どのような階層にサービスを提供するのかを示す. 第三にSTサービスの運営組織, スケジューリング, システム化の方法について示し. 最後にわが国のSTサービスの課題と展望を示す.
著者
福岡 捷二 渡邊 明英 關 浩太郎 栗栖 大輔 時岡 利和
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.740, pp.31-44, 2003-08-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
10
被引用文献数
2

我が国の洪水流は, 洪水位上昇時の時間変化率が大きい特徴を持っている. さらに, 大河川中下流域の河道横断面形状は低水路と高水敷からなる複断面形が採用されている. このことは複断面河道における洪水流の水理現象は, 洪水ごと, 河川ごとさらには, 河川の区間ごとに異なることを示しており, 複断面河道の洪水流を深く理解することが必要である. 本文では, 複断面河道における洪水流の非定常水理現象に焦点を当て, 洪水流の水理現象のうち, 特に河道内における貯留に及ぼす河道特性と洪水流特性の影響について詳細に検討した. これより, 洪水流の非定常性, 河道の平面形, 横断形などの断面形状および下流端条件が, 洪水流の流下に与える影響を明らかにし, 洪水流の河道内「貯留」の評価を行い, 今後の治水計画の新しい方向性を示した.
著者
野田 茂 能島 暢呂 細井 由彦 上月 康則
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.556, pp.209-225, 1997-01-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
25
被引用文献数
1

1995年兵庫県南部地震は都市機能を支えるライフラインに多大な被害を与えた. ライフライン被害の相互連鎖は, 既往の震災事例をはるかに超え, 明らかに質の異なるものとなった. 本報告では, 断水が他のライフライン (電気, ガス, 下水道) や医療機関の機能および消火活動や廃棄物焼却施設などに及ぼした影響について述べる. 差し水によるガスの復旧の遅れ, 冷却水や工業用水道の供給停止による発電などへの影響や消火用水の多様な確保策がわかった. さらに, 意外に少なかった通電火災, 復電による通水の状況, 水道の回復が下水道の機能に与えた影響や医療に不可欠な水道の役割などが定量的に明らかになった.
著者
松尾 稔 木村 稔 西尾 良治 安藤 裕
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.547, pp.199-210, 1996-09-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
10
被引用文献数
5 7

建設発生土を地盤改良材 (サンドコンパクションパィルなどの中詰め材) として再利用できれば, 環境問題解決の有効策として期待できる. 本論文で示す基礎的研究では, 建設発生土による地盤改良が施工された状況を想定して室内実験および数値解析を行い, 施工時に発生する過剰間隙水圧消散後の強度増加が実際に起こること, またそれが盛土荷重による強度増加とは独立に生じることを示した. さらに, プラスチックボードドレーンを任意位置に配置した場合の計算方法について, 模型実験と解析を通じて検討した.
著者
土田 孝 湯 怡新
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.596, pp.295-306, 1998-06-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
5 2

地盤の不均一性を考慮したモンテカルロシミュレーションを行い, 初期建設費や破壊確率, 破壊時のコストを計算して, 期待総建設費を最小にするという観点から設計に用いるべき最適な安全率について検討した.港湾構造物の円弧すべり解析における最適な安全率は, 構造物の重要度, 地盤の不均一性や定数の信頼度および施工条件によって変わることを示した. 重力式岸壁及び矢板式岸壁の場合, 最適な安全率Fopt, は被災額率nと地盤強度定数のばらつき指標Vによって, 経験的にFopt=1.05+0.85(1+log10n)Vで表される.