著者
森 麟 杉本 隆男 田代 郁夫 田中 禎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.454, pp.113-122, 1992

矢板壁の引き抜きに伴う地表面沈下の発生機構を確かめ, 最大沈下量と沈下範囲の推定法を提案する目的で, 軟らかい粘性土地盤を想定した模型実験を行った. 矢板壁の長さ, 厚さ, 設置位置, 枚数を変えて引き抜き試験を行い, ゼロ伸びひずみ曲線によるすべり面の検討から, 空隙の閉塞機構を検討した. そして, 問題の多い沖積粘性土地盤での小規模掘削の場合, 地表面の最大沈下量と沈下範囲は, 空隙の閉塞率, 初期空隙厚さ, 安定数から推定できることを示した.
著者
石井 孝男 金子 鉄男 讃岐 康博 杉本 正信
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.427, pp.123-131, 1991-03-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
5
被引用文献数
1

The Four-lanes widening construction in WAKATO bridge is to change RC slab for steel deck with assuring the regular traffic to run. Some problem about it were studied before this work technically or constitutively. We should reported here of an observation result and management of deformation caused by the variation of load system. In the meantime, the variation of vibration characteristics, the affection to stability of active and wind-standing with the construction are also dealt with. The result was that it is a best method for deformation management to use a water-level connecting pipe that made the measurement data in accordance with the calculation almost. Therefore, the method and procedure of construction this time may be thought adoptable. On the other hand, the vibration characteristics has no any difference with widening. Stability of the widened bridge with wind-standing equipment is better than it was.
著者
紺野 克昭
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.577, pp.89-105, 1997-10-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

本研究は, 多層水平地盤構造における基本モードレイリー波の位相速度の分散曲線をS波速度と層厚のみのパラメータで近似する方法を提案するものである. 更に, この方法を利用し, 分散曲線から直接, 地下構造を推定する方法を提案している. 最後に, 本推定方法で得られたS波速度構造を逆解析の際の初期モデルとして利用することを試みている.
著者
軽部 大蔵 加藤 正司 浜田 耕一 本田 道識
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.535, pp.83-92, 1996-03-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
15
被引用文献数
22 17

不飽和細粒土の力学的挙動を水分特性曲線を拠り所として考察した. すなわち, 間隙水を吸着水, メニスカス水, バルク水から成るとし, これらの量と力学的作用を求める方法を提案した. 提案法によっていくつかの理論値を算定して, 実測力学挙動と比較した. 本論文は不飽和細粒土の三軸圧縮特性を論じる三部作の第1論文であり, 順次, 圧密挙動, 軸圧縮挙動を詳論する予定である. 研究の対象とした試験は飽和供試体を三軸試験機に設置して, 先ずサクションを与えて不飽和化し, 次に等方圧密し, 最後に排水軸圧縮するものである. 供試体はサクション過程を種々に設定して, 同一のサクションを持ちながら, 相異なる飽和度を示すようにした.
著者
川口 昌宏 鈴木 英実 嶋津 外志彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.374, pp.603-610, 1986-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
4

It is said that the concrete filled steel column, so called the composite column, possesses good strength and ideal ductility. However, its behavior under load is not clear enough at present. We made experiments to compare the effect of shear connectors with that of projections on steel plate for the simplest column under the axial load. During the axial loading, the authors gave impact on the specimens and measured induced elastic wave. Spectrum analysis of the elastic wave gave the information about composite action between concrete and steel. By these experiments the following were observed. The column with shear connectors had the highest rigidity, the one with projections the second and the one of flat steel the lowest. The strength was almost the same to the column with shear connectors and the one with projections. As for the ductility, the steel with projections was better than the one with shear connectors.
著者
山本 俊行 YAMAMOTO Toshiyuki 北村 隆一 KITAMURA Ryuichi 熊田 善亮 KUMADA Yoshiaki
出版者
土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.667, no.50, pp.33-40, 2001-01

業務トリップは、通勤トリップと異なり広い時間帯で発生することや、複数の目的地を持つトリップチェインを形成する傾向が強い等の特徴を持つ。本研究では、トリップチェイン前後の業務活動も含めたトリップチェイン全体の費用最小化行動を仮定した、業務トリイプの経路・出発時刻選択モデルを構築した。出発時刻選択については最適な出発時刻で総費用が極小値をとるとの条件を用い、連続時間軸上での時刻選択行動をモデル化した。路側配布によるアンケート調査で得られた実際のトリップチェインデータ、および時間帯別所要時間データに基づき未知パラメータを推定した。さらに、出発時刻や経路、立ち回り順序の変更や所要時間の変化に伴なう費用の変化を産出し、モデルの挙動を確認した。Unlike commute trips, business trips are generated throughout business hours, and several destinations tend to be visited in a trip chain. In this study, a route and departure time choice model for a business trip chain is developed based on the hypothesis that the trip chain is made so as to minimize the total cost, including costs associated with other business activities before and after the trip chain, as well as costs associated with travel time, toll fees, and the probability of being late. The empirical analysis is carried out using a data set obtained from a survey of business trip drivers. The properties of the estimated model are examined on a sample case
著者
加藤 文教 門田 博知
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.431, pp.115-124, 1991
被引用文献数
1

本研究では時間帯別業務交通の推計モデルを提案する. 推計モデルの特徴は, 就業者が1日に業務目的で行うトリップチェインに幾何分布を仮定し, 1サイクル中の立ち回り数とサイクル数の生起確率を求めている点と, そこで用いられる諸量が, 時間制約との関係から時間に依存するとしている点にある. パーソントリップデータへの適用を通して, モデル構築上の仮定の妥当性と, 政策評価モデルとしての有効性を示した.
著者
茂木 秀則 川上 英二 福原 幸司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.787, pp.787_81-787_90, 2005 (Released:2006-04-07)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

山地や谷地形などの地形の起伏や, 埋没谷などの基盤の不整形性を有する地盤では複雑な地震応答を示すことが指摘されている. このため様々な地震応答解析が行われているが, 複雑な応答が生じるメカニズムについては依然として不明な点が多い. 本研究では, 地表面の起伏に着目し, 起伏が地震応答に与える影響を検討するための手法として, 境界要素法と摂動解法を組み合わせた新たな手法を展開した. この手法には地震応答を入射波と次数ごとの散乱波の寄与に分離できる利点がある. また, 本解析手法の適用例を示し, 地盤の応答関数が散乱波の寄与から解釈できること, 散乱波の寄与は散乱波の発生地点の地表面の法線方向とこの地点から地震応答を考える地点への方向との関係, 及び両地点の距離の二つの要因の影響を受けることなどを指摘した.
著者
森 伸一郎 池田 悦夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.582, pp.247-263, 1997-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
37
被引用文献数
2

東京都新宿区四谷の江戸城四谷御門外の一連の遺跡調査において, 江戸城外堀の盛土周辺で地震の痕跡が検出された. 地震の痕跡には, 地割れ, 地滑りのほか, 噴砂脈が認められた. 現地調査, サウンディング, 粒度・比重・重鉱物・珪藻などの土質分析, および周辺の地質調査資料に基づき, 噴砂脈の供給源が更新統 (洪積層) である東京層にあることを確認した. 考古学・地震学・地盤地震工学の観点から, 地震の発生時期を特定した. 液状化しにくいと考えられていた洪積砂層も強地震動の下では液状化しうることを示した. 有史以来の歴史地震で洪積層が液状化したことを確認した初めての例である.
著者
土田 孝 藤崎 治男 巻渕 正治 新舎 博 長坂 勇二 彦坂 周男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.644, pp.13-23, 2000-03-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
9
被引用文献数
4 4

本文は東京国際空港の外周護岸の嵩上げ工事において, 既設の護岸に作用する土圧を軽減するため, シールド工事による発生土を原料土とした気泡混合処理土と発泡ビーズ混合処理土を裏込め材として使用した工事に関して報告するものである. 実施工における品質管理試験の結果, 軽量混合処理土は, 原料土の土質の変化, プラント性能等によって品質にばらつきが生じるが, 今回の事例では品質管理値の範囲内での製造と打設が可能であった. また, 施工後に地盤としての特性を調べるためボーリングコアの一軸圧縮試験と3種類の原位置試験を行った結果, 軽量混合処理土による地盤は空港外周道路の路床として妥当な地盤特性を有することが確認された.
著者
宮脇 幸治郎 土岐 憲三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.584, pp.135-148, 1998

本研究は, 兵庫県南部地震の鉛直および水平アレーの地震観測記録に対して数値解析を行っている. 解析は, 対象地震に対してウエブレット相互相関関数およびウエブレットF-Kスペクトルを求め, その結果に対して波動伝播の基本特性がどのようになっていたか検討しようとしたものである. さらに, 水平アレーの考察には, 大阪湾地域の3次元FEM解析を行い, 断層域を含めた簡単化な破壊伝播による数値シミュレーションを行い, その波動伝播特性との比較検討も行っている.
著者
須田 征男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.574, pp.1-14, 1997-09-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
4
被引用文献数
3
著者
今井 五郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.798, pp.798_1-798_16, 2005
被引用文献数
8

1960年代に「大気圧工法」と銘打ってわが国に導入された「真空圧密工法」は, その後の積極的な実用化努力にも拘らず, 実用工法として広く受け容れられないままに終わり, '80年代は空白の期間であった. ところが'90年代に入ってから中国やフランスで実用化が達成され, 施工実績が急増し始めた. 日本もその例に漏れず, 現在では土木学会年次学術講演会や地盤工学研究発表会で「真空圧密」のセッションが設けられるほどの研究対象までになっている. このように一時の休眠期間を経た後で再評価された地盤改良工法はめずらしい. そのような特異な経緯を辿った背景と理由があるはずである. それらを明確にし, 地盤改良工法としての「真空圧密工法」をさらに発展させようというのが, 本論文の目的である.<br>いずれの地盤改良工法にもその目的を達成するための「原理」及びそれを具現化するための「手段」がある. そしてそれら総体としての工法にそれ特有の「特徴」が自ずと備わる. これらのすべてを「真空圧密工法」について論じ尽くせれば言うことは無いのだが, この論文では「原理」を中心に据えた議論を展開する. 「原理」に対する理解不足が, 当時の地盤内減圧技術の未熟さと相俟って, 上述した「真空圧密工法」の休眠期間を生んだと考えるからである.
著者
エスパダ イアン 中辻 隆 タナボリブン ヨッポン
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.695, pp.177-186, 2002

HCM等これまでに提案されている無信号交差点における容量算定式は, 一時停止制御と譲れ制御の相違を明確には考慮していない. 無信号交差点を含む市街地道路へのマクロ交通流モデルの適用にあたっては, 容量算定式が不可欠であることから, T字交差点を対象として両制御の相違を考慮したパラメータを新たに含む容量算定式の開発を行った. 次に, 当該算定式を組み込んだ高次項を含むマクロ交通流モデルの作成を行い, 主道路における交錯交通量を変化させたシミュレーション解析を行った. その結果, パラメータ値は, 一時停止制御では旧HCM式より小さく, 譲れ制御では大きくなることを明らかにした. さらに, 渋滞時には, 譲れ制御も実質的に一時停止制御状態となる現象を表現するよう算定式の改良を行った.
著者
木下 瑞夫 田雜 隆昌 牧村 和彦 浅野 光行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.625, pp.161-170, 1999

本研究は, 活性化が喫緊の課題となっている都心地区における歩行者回遊行動を把握するための新たな調査手法を提案し, その有用性を明らかにするものである. まず, 5種類の調査手法について, データ収集の信頼性や実態調査の難易等の観点から総合的に比較検討して, 現地配布・郵送回収による都心地区交通結節点を起終点とする歩行経路地図上記入方式が最も適していることを明らかにした. つづいて, この実態調査手法を用いて歩行者回遊行動調査を地方中核都市で実施し当該都市のパーソントリップ調査と比較した結果, 回遊トリップ数, 回遊距離, 回遊経路などの把握状況において手法の有用性を確認した. また, 来街手段別歩行回遊状況, 商業施設間の回游実態, モールや地下道利用実態など, 都心の歩行空間整備計画の指汁となるデータが効率的に収集できることが確認できた.
著者
岡田 勝也 杉山 友康 太田 直之 布川 修 柴田 英明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.778, pp.111-124, 2004-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

鉄道盛土では, 降雨時に発生する法面崩壊を防止するために法面表層に被覆工を施工することが多いが, この被覆工は従来, 侵食防止を主目的にしたものである. しかし, この機能以外にも, 盛土本体の豪雨時の地下水上昇抑制効果もある. 本論文は, 砂質盛土の法面被覆工が豪雨時の崩壊防止に及ぼす影響について検討した. まず, この法面被覆工の地下水抑制に及ぼす影響に着目した模型実験と, 実際の鉄道盛土の降雨浸透とすべり崩壊について論じた. これらの結果を受けて, 砂質土からなる複線鉄道盛土を対象として, 法面被覆工の施工長さなどをパラメーターに数値解析を行い, 被覆工の豪雨時の崩壊に及ぼす効果を定量的に論じるとともに, 限界雨量による危険度評価手法への適用について述べた.
著者
堀口 良太 桑原 雅夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.653, pp.29-38, 2000-07-20
参考文献数
2
被引用文献数
1

本研究では, ノンストップ自動料金収受 (ETC) 料金ゲートが従来の一般ゲートとともに設置された際の, 料金所全体での容量に関する理論的解法を提案する. すなわち料金ゲートの構成, 運用形態とともに, 料金所手前の道路形状および渋滞の延伸状況を考慮して, ETCの混入率に応じた料金所の容量を求めるものである. この理論的解法より, 一般ゲートとETC混用ゲートでの運用の場合, 料金所全体の容量改善割合は混用ゲートの数によらずETC混入率にのみ依存すること, また一般ゲートとETC専用ゲートでの運用の場合, 一般ゲートからの渋滞が本線にまで延伸すると, 本線がブロックされることによる見かけの容量低下を評価することができる. 本稿ではさらに, いくつかのケーススタディを通して, ETC整備のあり方について考察を加える.
著者
山田 幹雄 谷口 克也 奥村 充司 佐野 博昭 宮本 正規
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.714, pp.179-190, 2002-09-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
23

国内に点在する牡蠣養殖地では, 剥き身収獲後に発生する殻の野積み量と転用量との間に不均衡を生じている所も多くみられ, そのような産地では周辺環境の保全のみならず, 地場産業の振興を図る上からも殻の効率的な処理, 加工策の確立が急務の課題となっている. 本研究では能登半島七尾湾沿岸の養殖地を対象に, 破砕した牡蠣殻を現地のアスファルト舗装の路床構築に活用することを念頭に置いて, 実施工に先立つ室内試験および模擬路床の構築試験を行ったところ, 殻片混入の有無は安定材を添加して締固めた有機質粘土のCBRや強度発現過程に直接関与しないこと, 殻片を2割程度混入することで路床のトラフィカビリティは向上し, 併せて安定処理効果も大きくなるなどの結果が得られ, これより, 薄片状を呈する殻材であっても現道の路床改良工事に利用できる可能性は高いと判断した.
著者
佐藤 忠信 山崎 文雄 睦好 宏史 東畑 郁生
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.507, pp.291-303, 1995

1993年8月8日にマグニチュード8.1の地震に襲われたグアム島の現地震害調査を行った. また断層の破壊過程から地盤加速度を予測した. グアム島の地盤は全般的に良好で, 液状化や崖崩れの発生は一部地域に限定され, 道路や橋梁の被害も軽微であった. しかし, 一部の鉄筋コンクリート建物や発電所が被害を受けた. このため島内の電力供給は2,3日間停止し, 上水道も揚水できなくなった. グアム島は頻繁に台風に襲われるため, 家屋の構造, ライフラインのバックアップ, 緊急対応などの面で備えがよく, 地震による影響を小さくした.
著者
片田 敏孝 児玉 真 及川 康
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.786, pp.77-88, 2005-04-20
参考文献数
25
被引用文献数
2 2

水害進展過程においては, 河川情報や気象情報などの多くの災害情報が住民に伝達されるが, これらの災害情報が住民に積極的に取得されているとは必ずしもいえない状況にある. このため, 災害情報伝達においては, 住民に情報を積極的に取得しようとする意図, すなわち情報取得態度を形成させることが重要となる. 本研究では, 平成14年台風6号に関する福島県郡山市民の情報取得行動を事例に, 住民の災害情報の取得構造を考察し, 情報取得態度の形成過程とそれに基づく災害情報取得行動や危機意識の醸成が循環的な構造にあることを実証的に明らかにした. また, 情報取得態度の形成を規定する要因を明らかにすることで, 災害情報が住民に積極的に取得されるための条件を検討した.