著者
福田 正治
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.25-35, 2008 (Released:2008-12-17)
参考文献数
86
被引用文献数
2

This paper proposes an evolutionary hierarchical hypothesis that feelings in humans consist of four levels of emotion based on brain structure, brain functions, brain evolution and emotional evolution. Feelings in humans are composed of primitive emotion, basic emotion, social feeling and intellectual feeling, with respect to evolution. Primitive emotion is composed of pleasure and unpleasure, that are affected by body homeostasis in relation to environment. Basic emotion is composed of joy, anger, fear, disgust and acceptance or love, that are strongly dependent on survival of predator-prey situations, and gene competition for sexual selection. Social feeling might be induced by cooperation and competition in groups. Intellectual feeling is separated from social feeling in humans, and functions on a symbiotic and existence nature. This paper discusses each nature on four levels of human feeling based on hierarchical hypothesis of feelings.
著者
熊木 俊朗 福田 正宏 國木田 大
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.202, pp.101-135, 2017-03-31

柳田國男が一九〇六年の樺太紀行にて足跡を残した「ソロイヨフカ」の遺跡とは、南貝塚(別名、ソロイヨフカ遺跡)であり、この遺跡はその近隣にある鈴谷貝塚と共に、サハリンの考古学研究史上最も著名な遺跡の一つになっている。これらの遺跡の出土資料を標式として設定された「南貝塚式土器」と「鈴谷式土器」のうち、本論では後者の鈴谷式土器を対象として年代に関する再検討をおこなった。鈴谷式土器は、時代的には続縄文文化とオホーツク文化の、分布や系統の上では北海道とアムール河口域の狭間にあって、これら両者の関係性を解明する上で重要な資料であると考えられてきたが、特にその上限年代が不明確なこともあって年代や系統上の位置づけが定まっていなかった。本論でおこなった放射性炭素年代の測定と既存の測定年代値の再検討の結果、鈴谷式土器の年代はサハリンでは紀元前四世紀〜紀元六世紀頃、北海道では紀元一世紀〜紀元六世紀頃と判断された。この年代に従って解釈すると、鈴谷式土器はサハリンにおいて先に成立し、しばらく継続した後に北海道に影響を及ぼしたことになる。この結論を従来の型式編年案と対比させるならば、以下の点が検討課題として浮上してこよう。すなわち、サハリン北部での最近の調査成果に基づいて提唱されたカシカレバグシ文化、ピリトゥン文化、ナビリ文化といったサハリン北部の諸文化や、アムール河口域と関連の強いバリシャヤブフタ式系統の土器は、古い段階の鈴谷式土器と年代的に近接することになるため、これら北方の諸型式と鈴谷式土器の型式交渉を具体的に検討することが必要となる。また従来の型式編年案では、古い段階の鈴谷式土器は北海道にも分布すると考えられているため、その点の見直しも必要となる。鈴谷式土器を含む続縄文土器や、サハリンの古金属器時代の土器の編年研究においては、今後、これらの問題の解明が急務となろう。
著者
福田 正彦
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.361-364, 2002-03-30 (Released:2011-01-31)
著者
福田 正治
出版者
[富山大学杉谷キャンパス一般教育]
雑誌
研究紀要 : 富山大学杉谷キャンパス一般教育 (ISSN:1882045X)
巻号頁・発行日
no.38, pp.39-54, 2010-12-25

近年、癒しという言葉が世の中をにぎわしている。癒しグッズ、癒しの音楽、癒しの空間、癒しの旅、癒しの宿など数えきれない程、さまざまなところで癒しという言葉が使われている。そして多くの人びとがそれを求めてうごめいている。この癒しとは何なのか、これを感情との関係で考えてみたいと思ったのがこの論文である。癒しという言葉が、本格的に市場に現れてきたのは1990年代に入ってきてからである。おりしも日本では、経済的バブルがはじけ、長期の不景気に突入し、人びとの不安が高まってきた時期に相当する。将来への不安、リストラへの不安、就職できない不安とさまざまな不安が社会を取り巻いていった。そのような人びとの不安に便乗して、この癒しという言葉が人びとを引きつけ、それを追い求めるというブームが起ったと考えられる。それ以前では、ストレスに対してリラクゼーションという言葉が学問的にも商業的にも多く使われていた。また新精神世界というスピリチュアルな心の糧を求めるという若者の動きもあったが(2)、世代を超えた動きにはなっていなかった。そのような時代背景の中に、癒しという言葉が突然現れ、多くの人びとの心を捉えた。人びとはこの癒しという言葉の意味をどのように理解し使用しているかを考えたとき、そこに大きな曖昧さがあるように思える。この癒しという言葉が、近年、医療の中にも浸透し、心身医療や全人的医療、代替医療の中でよく使われるようになってきている。そもそも癒しという言葉の英語であるhealingは病気を治すという意味を含んでいるために、古代から医学の中で使われていた。しかしデカルトの心身二元論以来、身体の機械論的見方が医学の中を席巻し、今日の西洋医学といわれる巨大な自然科学的知識の空間が形成されている。その中でhealingは伝統医学の中に閉じ込められ、曖昧さを伴った科学的でない概念であると考えられてきた。しかし人間に対する近代科学の限界と危険性が指摘され、生態系の限界も見え隠れしてきている状況の中で、癒しとは何か、生理学的に、また心理学的に再考しようとしたのがこの論文である。
著者
安齋 正人 福田 正宏 國木田 大 辻 誠一郎 髙橋 龍三郎 佐藤 宏之 佐藤 由紀男 北野 博司 熊木 俊朗 蛯原 一平 菅野 智則
出版者
東北芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

数度にわたる完新世の気候寒冷化とその後の急激な回復(ボンド・イベント:約8200年前、約5800年前、約4300年前、約2800年前のピーク)と、縄紋土器の放射性炭素(14C)年代測定値の暦年較正年代とを対比させた結果、それぞれの気候変動が、草創期の終末/早期の初頭、早期後葉/前期初頭、前期後葉/中期初頭、中期後葉/後期初頭、晩期後葉/弥生初頭に対応することがわかった。とくに約8200年前のピークである8.2kaイベントの影響は、定住・集住集落の解体と遊動化、そして再定住化という居住パターンの変化として、列島各地の考古資料に明瞭に記録されている。
著者
山田 明義 増野 和彦 福田 正樹
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.9-15, 2012

通称「シメジ類」には,少なくともホンシメジ(Lyophyllum shimeji),シャカシメジ(L. fumosum),そしてハタケシメジ(L. decastes)の3種が含まれる.ホンシメジはこれらシメジ類の中でも特に重宝される.日本国内おけるこれら3種シメジ類の学名が定着したのは,1970年代中盤以降である.近年,ホンシメジについて,交配実験をもとにした生物学的種の検討や,分子系統学的解析をもとにした国内産と海外産の標本の比較がなされるようになってきた.本論では,日本産ホンシメジに関するこれまでの分類学的経緯および今後の分類研究の展開について論じるものである.
著者
宮本 乙女 宗我部 義則 坂下 英喜 福田 正恒 佐々木 善子 木村 真冬 上沼 治美
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.30, pp.163-173, 2000

本稿は,2000年度の研究推進委員会の活動内容を振り返り,特に,記録として残しておくべき提案内容についてまとめたものである。活動の成果と課題について簡単に述べ,特に,2001年度の教育課程についての提案を中心とした。これまで開発研究で積み上げてきた研究内容を共有しようという目的に添って,実践研究に取り組んできたが,特に,公開研究協議会の柱として掲げた「履修方法…OWNプラン」と「ネットワーク環境活用」に関しては,多くの教員が関わり,研究が前進した。また,2002年度を見通して2001年度の新しいS45分コマを基本とした時程の提案ができた。総合学習について,本校独自のプランをつくり,カリキュラム全体の中で構造化することは,完成していない部分もあるが,2001年度に実践すべき具体的な総合のカリキュラムの大枠を提案することはできた。
著者
滝沢 龍 笠井 清登 福田 正人
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.41-46, 2012 (Released:2017-02-16)
参考文献数
34

現在の臨床精神医学の克服すべき点の1つに,診断と治療に役立つ生物学的指標を探索・確立することがある。今回は,発達(個体発生)や進化(系統発生)の視点から,生物学的精神医学において必要な脳研究の方向性に示唆が得られないか探ることをテーマとした。人間の脳の発達・成熟のスピードは部位によって異なり,より高次の機能を担う部位では遅く始まると想定されている。思春期には,前頭前野のダイナミックな再構成が起こり,この時期の発達変化の異常が統合失調症などの精神疾患の発症と関連している可能性も指摘されている。進化の視点からは,前頭前野の中でも前頭極や言語機能に関連する脳部位が人間独特の精神機能と関連するとして注目が集まってきている。進化論により注目される脳部位と,それに関連する最も高次な認知機能への理解が進むことは,人間独特の精神機能や,その障害としての精神疾患への鍵となる見識をもたらすことが期待される。
著者
福田正夫 訳
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1920
著者
西岡 雅行 福田 正博 根来 俊一 高田 実 楠 洋子 益田 典幸 瀧藤 伸英 松井 薫 中島 俊文 小野山 靖人
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.335-341, 1991-06-20
被引用文献数
2

切除不能の肺非小細胞癌17例に対して,シスプラチン(100mg/m^2,day1),ビンデシン(3mg/m^2,dayl and day8)と胸部放射線照射(2Gy/day,day2〜15)の同時併用療法を行った.適格例は16例で,腫瘍効果はPR/2例,NC3例,PD1例,奏効率は75%であった.骨髄抑制は強く,食道炎も高頻度に発生したが一過性で,その他に重篤な合併症はみられなかった.本療法は許容範囲内の副作用で,高い奏効率が示されたことから,IIIA,IIIB期の切除不能肺非小細胞癌に有効な治療法と考えられた.
著者
福田 正人
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-15, 2010 (Released:2010-04-01)
参考文献数
56
被引用文献数
1 3

Objective: Near-infrared spectroscopy (NIRS) has been increasingly employed in psychiatry for functional neuroimaging studies of sleepiness, fatigue, personality, aging, brain activation time course, transcranial magnetic stimulation effects, and psychiatric disorders such as schizophrenia, mood disorders, panic disorder, and eating disorder, owing to its advantages over fMRI and PET such as complete noninvasiveness, small apparatus for measurements, and the natural setting for its examination.Methods: Characteristics of frontal lobe function were investigated using multichannel NIRS machines in schizophrenia, unipolar depression, and bipolar depression. Changes of oxygenated-hemoglobin concentration (oxy-Hb) were monitored every 0.1s during a verbal fluency task using a Hitachi ETG-100 and ETG-4000 system with the probes placed on the subjects' frontal and temporal regions.Results: Three psychiatric groups demonstrated different patterns of oxy-Hb changes from those in the control group. The schizophrenic group was characterized by a reduced oxy-Hb increase during the task period followed by an oxy-Hb re-increase during the post-task period, the unipolar depression group by a smaller oxy-Hb increase, and the bipolar depression group by a comparable but delayed oxy-Hb increase.Conclusion: The observed patterns of oxy-Hb changes suggest the characteristics of reactivity of frontal lobe function: inefficient, reduced, and preserved but delayed in schizophrenia, unipolar depression, and bipolar depression, respectively. NIRS can be employed as a clinical laboratory test for diagnosis and treatment of psychiatric disorders in the near future.
著者
高橋 剛士 福瀬 達郎 倉橋 康典 木場 崇之 高橋 鮎子 福田 正順 妻鹿 成治 板東 徹 田中 文啓 平田 敏樹 越久 仁敬 長谷川 誠紀 寺田 泰二 池 修 和田 洋巳 人見 滋樹
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.685-689, 1999-07-15 (Released:2009-11-11)
参考文献数
11

上肢に症状を呈したBuer墓er病に対して胸腔鏡下交感神経切除術が奏功した一例を経験したので報告する.症例は46歳, 男性.一日約40本, 25年の喫煙歴があった.約半年前から両上肢の指末梢側を中心として痺れ, 冷感が出現し始めた.Buerger病との診断にて星状神経節ブロック術を受けたが症状の改善は一時的で, 疼痛も増悪してきたため両側胸部交感神経節切除術を施行した。術直後より癖痛, 痺れ, 冷感の著しい改善を認め, 術後6週間を経た時点では痺れ, 冷感は全く認められず, 術前潰瘍化していた指の完全治癒を認めた.サーモグラフィーにても上肢末梢皮膚温の著明な上昇を認めた.レーザードップラー血流計を用いて指末梢側の組織間血流を計測したところ, 症状の改善とよく一致して血流の増加を認めた.このことからBuerger病における術前術後の組織間循環の評価に際してレーザードップラー血流計が有用であると考えられた.