著者
木村 賢史 西村 修 太田 祐司 三嶋 義人 柴田 規夫 稲森 悠平 須藤 隆一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.720, pp.15-25, 2002-11-22
被引用文献数
2 2

葛西人工海浜における造成後の魚類, 鳥類及び, 水辺植生の遷移の過程を検討した. 東なぎさの魚類種数は造成終了前後の時点に回復しているが, 個体数は変動が大きく河川水による塩分濃度の低下が制限要因と推測された. 葛西人工海浜 (東なぎさ) の鳥類は立ち入り禁止という高い安全性と干潟の面的広がり等により造成前の種数に戻っており, 個体数は, 主な餌である底生動物の個体数と関連することが推測された. また, 東なぎさの水辺植生は, 造成後15年を経て遷移初期のヨシ湿原の段階にあり, 植生も多様化の傾向に向かっていると推測された.
著者
高橋 和雄 中村 百合 清水 幸徳
出版者
土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.604, pp.85-98, 1998-10-20
被引用文献数
3 2

本研究は, 雲仙普賢岳の火山災害における被災者用の応急仮設住宅の建設, 環境改善, 解体に至るまでの経緯を調査し, 災害救助法に基づく被災者用の応急住宅対策の課題を明らかにする. さらに, 応急仮設住宅入居経験者に対して実施したアンケート調査をもとに, 住環境, 周辺環境, 精神衛生対策などについて分析し, 長期災害時の住環境管理めあり方を議論する.More than ten thousands inhabitants were obligated to stay places of refuse for a long time without their ordinary works during volcanic eruption of Mt. Fugen in Unzen. 1455 temporary dwellings were built to give relief to the suffers. The disaster relief law was stretched to cope with the size of family in this area. Living environment of the dwelling was improved and disaster mental health was checked to support evacuees living in the temporary dwelling for a long time. In the present paper, management on living environment of temporary dwellings is studied by reports and questionnaire survey and compared with the case of earthquake disasters.
著者
鈴木 基行 秋山 充良 山崎 康紀 松中 亮治 土井 充
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.648, pp.9-21, 2000-05-20
参考文献数
22
被引用文献数
1

本研究では, 信頼性理論に基づき, 地震開始時から任意時刻までにおける構造物および構成部材の破壊確率を算定する手法, およびマルコフ過程を用い構造物の破壊確率および構成部材の損傷確率を算定する手法を提案した. 提案された手法は, 破壊確率と損傷確率により構造物および構成部材の破壊と損傷の時間的推移を定量的に評価できる特徴を有する. さらに, 提案された手法に基づき, 支承 ―RC橋脚― 杭基礎から構成される橋梁システムの地震時における安全性評価を行い, 支承, 橋脚, 杭基礎の破壊および損傷が橋梁システムの安全性に及ぼす影響について検討した.
著者
武市 靖
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.470, pp.175-184, 1993
被引用文献数
6 8

本研究は, 地温の分布や周期変動, 路面の凍結融解現象, 路面温度と気温との関係等, 路面凍結に係わる理論的背景を観測データにより明らかにし, フーリエ解析モデルと熱収支解析モデルにより路面凍結の予測手法について検討したものである. 2つの予測手法の予測精度については, 観測現場における実測値と予測値との比較から的中率を算出し, 現場への適用性について検証した.
著者
上田 孝行 福本 潤也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.688, pp.49-62, 2001-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
45
被引用文献数
3

本稿では, 行動モデル研究に関して筆者らが持っている問題意識を,『観測と被観測の関係』に着目しながら話題提供することを意図している. 取り上げる話題は次の三点である. 第一に, 既往の代表的なモデル作成方法を, 観測と被観測の関係を捉える一つの有力なアプローチである逆問題の考え方に依拠して整理する. 第二に, 観測のための統計情報の利用可能性が広がった場合に, モデルを用いた影響予測や政策評価の信頼性・妥当性の向上を通じて生じる情報価値を, 社会的厚生のタームで把握する問題について議論する. 第三に, 被観測の立場にある主体の選好を行動モデルを通して把握し, それに基づいて政策評価を行う場合に生じうる論理的・倫理的問題について議論する.
著者
西井 和夫 小松 真二 田中 清剛 飯田 祐三
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.449, pp.175-184, 1992-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本研究は, 街路整備に伴う沿道市街地形成に関して, 事業認可や供用開始といった効果の発現時点に着目した形でクラスタ分析の適用による市街地形成パターンの類型化を試みている. 具体的には, 整備効果の発現時点ごとの市街化の動向とその類型化, プーリングデータの活用, そして未整備箇所のデータをも取り入れながら経年的な変化パターンの分類とその特徴を明らかにしたものである.
著者
片岡 俊一 大町 達夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.675, pp.63-71, 2001-04-15
被引用文献数
1 1

本論文では, 盆地内のやや長周期地震動を簡便に推定する手法を提案する. ここで提案する手法は, 盆地内のやや長周期地震動は震源から到来する地震動と, 盆地境界部で生成される盆地生成表面波とで構成されるとし, 前者の地震動は平行成層モデルで求め, 後者は盆地境界におけるエネルギー流量の保存則を用いて推定するものである. 本論では, まず推定手法の説明を行い, 次に単純な形状をした盆地モデルに提案手法を適用し, 三次元境界要素法の計算結果と比較することで手法の妥当性を示す. さらに, 兵庫県南部地震を対象に, 関西地震観測研究協議会の福島観測点および尼崎観測点における地震動を推定し, 観測記録と比較することで, 提案手法が実地震にも適用可能であることを示す.
著者
小林 潔司 上田 孝行
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.744, pp.15-27, 2003-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
56
被引用文献数
5 9

本稿では, 伝統的な工業経済学, 信頼性工学における修繕・補修モデルの考え方を述べ, インフラストラクチャ・マネジメントヘの適用可能性について言及する. インフラストラクチャ・マネジメント問題のプロトタイプを一般的な確率インパルス制御モデルとして定式化し, その基本的な解法を示す. また, その特殊型として離散型確率動的計画モデルを定式化するとともに, その活用方法を示す. さらに, IMの高度化のために必要となる研究課題, 中でもプロジェクト会計システム, 制度的メカニズム設計に関わる研究課題の重要性について考察し, 本特集論文の位置づけと今後の研究の方向性についてとりまとめる.
著者
福田 大輔 吉野 広郷 屋井 鉄雄 プラセティヨ イルワン
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.737, pp.211-221, 2003-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
26
被引用文献数
2 1 7

“休日には労働の制約が無く, 個人は, 平日には行うことのできないアクティビティを時間や予算の制約下で行うことができる”という考えに基づき, アクティビティ間のトレード・オフ関係に着目して, 休日の活動時間価値を推定する方法を体系的に提示した. まず, 時間制約, 予算制約下の最適化行動モデルにおいて, 各アクティビティの限界効用が異なる場合が生じることに注目し, 時間配分モデル, 活動選択モデルという2種類の行動モデルを導出した. 次に, 仮想データを用いた数値実験を通じて, モデルのパラメータ推定上の諸特性を明らかした. 最後に, 活動時間価値の推定方法と信頼性評価の方法について述べ, その数値実験例を示した.
著者
中西 仁美 土井 健司 柴田 久 杉山 郁夫 寺部 慎太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.793, pp.73-83, 2005-07-20
被引用文献数
5 3

イギリスでは市民生活の質の向上を国家レベルでのサステイナビリティ実現の前提条件と位置づけ, 政策レビューにQoLインディケータ (QoLIs) を用いている. 本稿は, イギリスにおけるQoLIsシステムの導入経緯とわが国の政策運営への示唆を明らかにしている. イギリスでは, エンドアウトカムに着目して市民生活の改善度を測るQoLIsは, 政策への市民の関心を高め, 行政と市民との対話や自治体間の連携を容易にしたと評価され, QoLIsを政策インプットにフィードバックする方法も考案されている. しかし, 現状のシステムは政策レビューには有効ではあるものの, 事前のアセスメントへの適用には課題を抱える. 本稿ではこのようなQoLIsシステムの限界を捉えた上で, わが国におけるQoLの改善を全体目標とした総合アセスメントの考え方と, QoL最大化のための政策設計の必要性を示唆している.
著者
高橋 浩一 松本 伸 大河内 保彦 龍岡 文夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.777, pp.53-58, 2004-12-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
5
被引用文献数
4

りんかい線大井町駅部は, 用地上の制約から, シールドトンネルのセグメントの一部を撤去し, 隣接する立坑間を地中開削し, 接合して構築した. この際下部シールドトンネルが, 水圧300kN/m2を超える東京礫層に位置するため, 止水対策が最重要視された. 工期上の制限から, 薬液注入工法を採用し, 注入を1次, 2次, 補足注入の三段階とし万全を図るとともに, 注入効果を比抵抗トモグラフィ等で確認した. 確認試験結果は注入の良好性を示し, 補足注入も1次注入の1/10以下であった. さらに, 漏水のリスク低減のためのディープウェルを計画し, 三次元浸透流解析で事前検討を行なった. その結果, 大きな漏水もなく, ウェルの水位低下量, 地表面沈下等も予測と矛盾のない範囲で安全な施工が達成された.
著者
林 康啓 今井 淳次郎 吉塚 守 鈴木 雅行 重田 佳幸 中川 浩二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.756, pp.61-74, 2004-03-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
7
被引用文献数
3 3

火山噴火による地殻変動や地震などの自然災害が原因でトンネルに変状が発生する場合がある. このような変状が発生した場合には, 既往の基準を参考として各々のトンネルにおいて対応されてきており, 復旧対策工選定のための判断基準の整理が望まれている. 本研究では, 自然災害における復旧対策工選定基準の策定に寄与することを目的として, 有珠山噴火により被害を受けた洞爺トンネルの変状事例を整理・分析した. また, 既往の基準と洞爺トンネルにおける復旧対策工選定基準を比較することで自然災害における復旧対策工選定基準の特徴を整理した.
著者
浅枝 隆 田中 規夫 谷本 勝利 Tilak PRIYADARSHANA Jagath MANATUNGE
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.670, pp.73-82, 2001-02-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
23

水生植物は被捕食者に対し捕食者からの隠れ場を提供し, 捕食者の行動に影響を与えるため, 動物プランクトン食魚 (モツゴ) の捕食ならびに遊泳行動を, 餌 (ミジンコ) の密度変化 (0.5, 1, 2, 5, 10, 25 prey・1-1) と沈水型人工植生の密度変化 (350, 700, 1400, 2100, 2800 stems・m-2) のもとで, 実験により調べた. 遊泳速度は抱腹の程度に大きく関係し, かつ餌の密度が増えると減少する, 最大捕食率は平均餌間隔に大きく依存し, それとともに変化する. 植生密度が徐々に増加すると, 植生がない場合に比べて捕食者の捕食効率が減少する. 捕食率と遊泳速度は平均植生間隔と魚の体長の比で良く表現できる. 捕食ならびに遊泳活動は, 魚の1回の移動距離である体長の0.7倍付近で急激に減少することが判明した.
著者
松本 泰尚 Michael J. GRIFFIN
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.703, pp.185-201, 2002-04-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
33

鉛直全身振動暴露時の人体の動的応答特性の解明のため, 被験者を用いた振動実験及び人体動的応答のモデル化を行った. 駆動面で測定した立位及び座位における人体の動質量は, 振動数5~6Hzで最も顕著な共振特性を示した. この主共振振動数域において, 特に腰椎部で脊柱の曲げ振動が発生していることを, 駆動面から身体部位への振動伝達率の測定結果から明らかにした. 立位の場合は腰椎部で軸方向の変形も顕著であったのに対し, 座位の場合は脊柱の軸方向変形はほとんど見られなかった. モデルによる主共振発生メカニズムに関する検討の結果, 立位・座位ともに腹部内臓の鉛直運動の寄与が大きく, 座位の場合は臀部及び大腿部の鉛直方向の変形も動質量主共振の主な要因であることが認められた.
著者
清水 英範 布施 孝志 森地 茂
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.625, pp.89-98, 1999-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14
被引用文献数
10 5

江戸時代の絵図に代表される古地図は, その図が作成された当時の土地利用や交通路の状況を空間的に把握するための数少ない貴重な資料である. 都市史や土木史の研究で古地図を分析対象とする際には, 現代図と比較対照する必要が生じるが, 古地図の幾何的精度は一般に著しく低く, その作業は容易なことではない. 本研究は, 地理情報システムの利用環境を想定し, 古地図の幾何的歪みを可能な限り自動的に補正し現代図と重ね合わせる手法を開発することを目的としている. 論文では, まず古地図の幾何補正に必要な要件を整理し, その要件を満たす手法としてTINモデルとアフィン変換を組み合わせた幾何補正手法を提案する. また, いくつかの実際の応用を通して古地図の幾何補正ならびに提案する手法の意義を例示する.
著者
塩崎 功 村上 晃生 谷口 博幸 川上 康博 今井 久 稲葉 秀雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.579, pp.163-176, 1997-11-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
25
被引用文献数
1

川浦ダム・川浦鞍部ダム周辺地山の透水性を評価するために, 初期湛水時にダム周辺地下水の水質・同位体調査を行った. イオン濃度の調査結果から, 川浦ダム監査廊内ボーリング孔, 川浦鞍部ダム左岸ボーリング孔の一部で調整池水の到達が確認された. イオン濃度の時間変化から求められた監査廊内への調整池水の流下時間は7~20ケ月と長く, ダム基礎岩盤の透水性は基礎処理によって十分改良されていることが示された.トリチウム, 酸素-18, 重水素の同位体データを用いた多変量解析結果より, イオン濃度からは判定できない仮排水路トンネル湧水への調整池水の到達が示された. 本調査の結果, 調整池水の到達を知るための指標として, 現場測定可能な電気伝導度および硝酸イオンが有効であった.
著者
安藤 勝敏 須長 誠 三浦 重 関根 悦夫 鬼頭 誠 青木 一二三
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.536, pp.87-98, 1996-04-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

経済的で信頼性の高い土路盤上省力化軌道の開発実用化を目的として, 鉄筋コンクリート路盤を提案した. 本構造を北陸新幹線高崎~軽井沢間の現場に試験敷設し, 実物大規模の静的・動的載荷試験を実施した. その結果, 新幹線荷重に対し路盤の表面応力および鉄筋応力は耐久性の観点から低いレベルにあり, 動的繰返荷重による路盤の累積沈下も極めて小さいことが確認された.
著者
前田 良刀 落合 英俊 横田 康行
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.715, pp.107-115, 2002-09-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
15

本文は, 震度法による力学モデルと塑性論の上界定理に基礎をおく速度場法を用いて, 直接基礎の支持力特性を検討したものである. 本文で想定した破壊メカニズムをもとに, 荷重と地盤の傾斜を同時に考慮できる汎用性のある直接基礎の支持力式を提案した. そして, 荷重の傾斜と地盤の傾斜が支持力に与える影響について考察した. これから, 荷重傾斜角が支持力に与える影響は従来の研究と同様の傾向を示すが, 水平震度が大きくなると荷重傾斜角の影響を無視できなくなることを示した. このため, 現行の設計実務で用いられている直接基礎の支持力式は水平震度が小さい領域では問題とならないが, 水平震度が大きくなると支持力を過大評価する可能性を指摘した.