著者
藤原 宣夫 田畑 正敏 井本 郁子 三瀬 章裕
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.601, pp.85-92, 1998-08-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14

柳枝工施工部におけるヤナギ林の発達過程を推定することを目的とし, 矢作川において施工後の経過年数の異なる8箇所の柳枝工を対象に, 植物社会学的手法による植生調査を実施した. その結果, 3~5年経過では挿し木により導入されたカワヤナギが優占する高さ5m程度の低木林, 10年経過では高さ7mのカワヤナギが優占する低木林が認められた. 10数年経過ではアカメヤナギとジャヤナギが優占する高さ10m程度の高木林が認められ, この高木林は自然のヤナギ林と同様な構造を有していた. 高木林はカワヤナギ低木林が立地の乾燥化に伴い次第に変化したものと考えられ, この変化には河川水位の低下が関与したものと考えられた.
著者
金子 貴之 河野 達仁 森杉 壽芳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.695, pp.59-65, 2002

本研究では道路混雑等の外部不経済対策である容積率規制と道路投資について考察する. 2地域2変数の一般均衡モデルを構築し, 容積率規制及び道路投資に対する評価法を作成する. 更に, 所与の道路容量に対する適正な容積率規制条件, 所与の容積率に対する適正な道路投資条件を導く. また, 容積率規制と道路投資の組合せ政策を考察し, 評価法を提案する. これにより, 容積率規制が行われている次善の経済においても, 常に適正な容積率規制が達成されている状況では, 道路市場のみで道路投資の便益を計測できることを述べる.
著者
石原 孟 山口 敦 藤野 陽三
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.731, pp.195-211, 2003-04-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

本研究では複雑地形における局所風況を数値的に予測するために必要な計算領域の大きさを明らかにするとともに, 新しい境界処理手法と数値解法を提案し, 大型風洞実験によりその妥当性を検証した. まず計算領域の大きさに関して, 計算領域の高さ, 幅, 上流境界の位置が流れ場に与える影響を明らかにした. また境界処理方法として, 地形の体積が一定となるような緩衝領域を境界付近に設置するとともに, 対象領域と同じ程度の大きさの付加領域を上流に設置する手法を提案した. さらに大規模線形連立方程式の数値解法について詳細な比較検討を行い, 高速かつ安定な数値解法を提案した. 最後に実地形模型を用いた大型風洞実験を行い, 本研究で開発した数値予測手法が従来の手法より複雑地形上の局所風況を精度よく予測できることを実証した.
著者
石橋 忠良 古谷 時春 浜崎 直行 鈴木 博人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.711, pp.125-134, 2002-08-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
6
被引用文献数
3 8

昨今, コンクリート構造物からのコンクリート片の剥落が社会問題となっている.本文では, コンクリート片の剥落が生じた鉄道高架橋, 架道橋, およびこ線橋 (以下, 高架橋等とする) のかぶり, コンクリートの中性化深さ, 鉄筋腐食度などを調査し, 高架橋等からのコンクリート片の剥落要因を検討した. その結果, かぶり, 中性化残り, および雨水, 漏水の影響が, コンクリート片の剥落および鉄筋腐食と関係の深いことがわかった.
著者
姫野 賢治 渡辺 隆 丸山 暉彦
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.378, pp.269-278, 1987-02-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
38
被引用文献数
1 7

A new framework for the prediction of fatigue failure life of asphalt pavements was presented. The new fatigue failure criterion based on energy dissipation theory, which was verified to be valid for wide range of mix stiffness modulus, was combined with the theoretical temperature estimation method. Traffic and environmental effects were incorporated into the new prediction system as probabilistic variables. In this system, the fatigue failure is assumed to take place at both top and bottom surfaces of the mix slab. With the method, an attempt was made to predict the fatigue failure lives for some routes of national highways in Japan, showing reasonable agreement between the predictions and the observations.
著者
室 達朗 星加 泰央 河原 荘一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.534, pp.201-212, 1996-03-15
参考文献数
10
被引用文献数
2

本論文は, まさ土地盤上を走行するタンデムローラ等の2軸2輪式転圧ローラについて, その転圧効果を最大限にあげるために前後輪の制駆動走行時における最適制御方法を提案することを目的としている. まず, 乾燥したまさ土地盤に対する転圧ローラの走行システムについてシミュレーション解析を行い, その結果について転圧走行実験によって検証した. 制駆動力, 有効制駆動力はスリップ率の絶対値の増加とともに増大すること, ローラの沈下量はスリップ率0%付近が最小となること, まさ土の乾燥密度を最大ならしめるローラの最適制御条件はスリップ率-5%の両輪制動走行状態であることが判明した.
著者
細井 由彦 村上 仁士 上月 康則
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.456, pp.83-92, 1992-11-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
8
被引用文献数
5 8

流速の変動する感潮部において堆積した底泥による酸素消費を, 定量的かつ一般的に評価する方法について検討した. 浮遊させた底泥による酸素消費特性について検討した後, その結果を用いて, 河床に堆積した底泥による酸素消費を, 浮遊時の酸素消費特性, 堆積状態, 底泥上の流水の特性により評価する方法を, 実験とモデルにより考察した.
著者
間瀬 肇 宮平 彰 桜井 秀忠 井上 雅夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.726, pp.99-107, 2003
被引用文献数
6

本研究は, 人工リーフが設置された場合とない場合について, 汀線近傍に設置された護岸への不規則波の打上げ実験を行ってその特性を調べるとともに, 現行算定法による打上げ高算定値が実験結果をどの程度表せるのか, すなわち不規則波のどのような代表打上げ高に対応するかを検討した. その結果1) 不規則波の打上げ高分布は Rayleigh 分布で表されること, 2) 人工リーフが設置された場合に, リーフ通過後も有義波周期は変化しないとして求めた打上げ高算定値の方が実験値との対応が良くなること, 3) 打上げ高算定値は1/3最大打上げ高の下限および平均打上げ高の上限に対応する値であることが明らかになった.
著者
間瀬 肇 幸正 一伯 高山 知司 重村 良一 中平 順一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.621, pp.129-139, 1999-05-21
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

海域をまたぐ中小規模の橋梁では, 橋脚に波が打上がり橋面へ飛沫が降り注ぐという問題が生じることがある. 本研究は, 橋脚への波の打上げ特性を明らかにし, 潜堤による軽減対策を検討したものである. まず, 円柱に対する波の打上げ実験から, 波の打上げが橋脚設置地点の通過波高にほぼ比例して増加することを明らかにした. 次に, 橋脚前方に潜堤を設置して通過波高を減少させることによってある程度打上げ高を低減できることを示した. また, 数値計算によってある特定の現地を対象として, 潜堤設置の効果を検討した.
著者
西川 和廣
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.501, pp.1-10, 1994-10-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
5
被引用文献数
7 8
著者
中村 良夫 北村 眞一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.399, pp.13-26, 1988-11-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
11
被引用文献数
1
著者
藤波 潔 MAINA James 松井 邦人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.781, pp.171-179, 2005

トラックやトレイラーのような大型車が左折するとき, 舗装表面では鉛直方向の荷重だけでなくすえ切り荷重のようなトルクが作用することが知られている. しかし, トルクによる多層構造物の応答解析の類例は皆無に近い. 本研究では, 多層弾性構造の表面にトルクが生じるような円形分布のせん断応力の作用に対する理論解を誘導している. すでに求めた鉛直方向の分布荷重作用時の理論解とこの理論解を組み合わせることにより, すえ切り荷重作用時の舗装に発生する応力, ひずみ等を予測することが可能となる.
著者
大町 達夫 紺野 克昭 遠藤 達哉 年縄 巧
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.489, pp.251-260, 1994
被引用文献数
20

常時微動にレイリー波が多く含まれていることを前提に, 微動の水平動と上下動の振幅比を用いて地盤の卓越周期を推定する上で障害となっていた幾つかの問題点を理論的に解明するとともに, 常時微動と表面波との関連性を明らかにした. それに基づいて多層地盤の卓越周期の簡便な推定手順を具体的に提案した. 最後に, 東京都区内の全中学校を測定点とする常時微動を実測した結果を用いて東京都区部の周期マッピングを行い, 既往のマップと比較して提案の実用性を実証した.
著者
山崎 浩之 森川 嘉之 小池 二三勝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.708, pp.199-210, 2002-06-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
4

サンドコンパクションパイル工法は, 密度増加による代表的な液状化対策工法である. 同工法の設計, すなわち圧入率あるいは置換率 (以下本論文では圧入率とする) とよばれる砂杭面積の原地盤に対する占有率の設定は, 原地盤N値, 細粒分含有率, 改良目標N値を用いる設計法で行われることが多い. 本論文では, 港湾・空港において行われた同工法の液状化対策としての実績を集め, 圧入率と改良後の杭間N値を調べ, 既存の設計法の妥当性を検討した. その結果, 実測値は圧入率が同一であれば改良前の原地盤N値が小さい方がN値の増加が大きくなっていたが, 既存の設計法はこの傾向を逆に評価することがわかった. そこで, 同工法の改良メカニズムについて繰返しせん断効果を考慮した方法を導入し, 圧入率設定のための新しい方法を提案した.
著者
木下 雅敬 コッボス マイケル パブロビッチ ミリヤ
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.502, pp.131-142, 1994
被引用文献数
2

コンクリートが側方より拘束を受ける時, その軸方向の強度及びダクティリティーが大幅に改善される. この様なコンクリートの挙動は一般に三軸圧縮試験等で能動的に拘束を与えることにより調べられているが, 実際の構造物では, 拘束力は受働的に作用する. 本文では, 受働的な拘束を受けるコンクリートの挙動を基礎的な実験により調査し, この様な条件下での強度特性, 弾性定数及び塑性歪み等について検討を加えた.
著者
木下 雅敬 パブロビッチ ミリヤ コツボス マイケル
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.502, pp.143-154, 1994

コンクリート充填鋼管等では, コンクリートが鋼材により拘束されることにより, その強度及びダクティリティーが大きく改善される. 本文では, このような受働的な拘束を受けるコンクリートの構成モデルを提案している. また, 提案された構成モデルを組み込んだFEM解析コードを開発し, 偏心圧縮を受けるコンクリート充填鋼管の挙動を解析した結果, 解析結果は実験結果をうまく再現している.
著者
メンサボンス アイザックF 加賀屋 誠一 山村 悦夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.506, pp.119-127, 1995

本件級は, 地方道路投資のための意思決定モデリングにおいて2つの顕著な問題を扱っている. すなわち, 公平性と効率性のトレードオフ問題と意思決定での受益者参加の問題である. このような, 問題を統合化するモデリング手法の開発と, その地方道路投資問題への適用がここでの目的で, それらの問題は, 多基準数理計画プログラミング問題としてモデル化された. そして, それは投資によるアクセスビリティの増加量を最大化する目的と, 分布するアクセスビリティ格差最小の目的を同時に満たすように表現, 定式化された.ε制約法が, 非劣解の集合を一般化するために用いられ, また選好解の決定は, 地方開発機関に対する各リンクの重要度の情報を集約し, その重要度を基にして非劣解から選好するプロセスを導入することでおこなわれた. その結果, 道路投資のための意思決定で, 各機関の参加が図られた. このような方法は, ガーナオフィンソ地区に適用され, 実証分析がおこなわれた. その結果, 開発途上国の道路投資決定法に有効であることが明らかにされた.
著者
三木 千壽 冨永 知徳 柳沼 安俊 下里 哲弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.759, pp.69-77, 2004
被引用文献数
1

鋼製橋脚の隅角部に発見された疲労き裂について溶接補修を行ったところ, 鋼材の内部に割れが発生した. この割れについて直接観察, 板厚方向引張試験および材質面からの調査を行うことによって, 古くて板厚方向特性の良くない鋼材に起因したラメラティアであると判定した. 同時に, 主に文献調査を行うことによって, 1973年以前に建設した鋼製橋脚についてはラメラティア発生の可能性を検討すべきと判断した. 特に鋼材成分中の硫黄 (S) の量が0.01%以上, 板厚方向引張試験での絞り値 (φz) が15%以下の場合は, 補修に溶接を用いる場合は特別な検討が必要である. その検討手法に関する案を示した.
著者
三木 千寿 平林 泰明 時田 英夫 小西 拓洋 柳沼 安俊
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.745, pp.105-119, 2003-10-21
被引用文献数
5 5

首都高速道路の鋼製橋脚隅角部に疲労き裂が発見され, その補修対策の検討が進められている. き裂の発見された橋脚は566脚にのぼり, この調査結果を元に損傷データベースを作成し, これを元にき裂状損傷の分析を実施した. 損傷脚のうち比較的大きなき裂を有する253脚について, 溶接ビードの切削を含むき裂状損傷の詳細な調査を実施し, 板組み毎の疲労き裂パターンの分析を実施した. さらに板組み模型による溶接性の検討, 施工試験による確認等を行い, 板組みに起因する未溶着部である固有内在キズがき裂の発生起点となることが判明した. 以上の知見に基づき鋼製橋脚の板組みとき裂パターンの関係について報告する.