著者
江藤 剛治 竹原 幸生 高野 保英 奥野 訓史 藤田 一郎 酒井 信行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.796, pp.39-52, 2005-08-15
参考文献数
21
被引用文献数
1 4

本研究はローカル・リモートセンシングによる河川・湖沼・沿岸等の流れ場の精密な画像計測技術の開発を目的としている. 淀川三川合流部の宇治川で試験計測を行った. 国土交通省のヘリコプター「きんき号」を用いて上空300mからビデオカメラで水面を撮影した. トレーサーとして直径15cmの多数の煎餅を撒いた. それにより表面流速分布を求め, ボートに積んだ超音波流速計による計測結果と比較することにより, 実用上の多くの問題点が明らかになった. 例えば, コンピューターによる自動解析では, さざ波に対する光の反射とトレーサー粒子を分別することができなかった. これらの課題に対する解決法を検討した.
著者
池永 均 向山 公人 大島 伸介 山田 正
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.628, pp.77-96, 1999
被引用文献数
1

塩淡二成層を有する汽水湖沼の長期的な界面変動予測手法の開発を目的に, 集中定数型の数値予測モデルを提案した. それを用いて, 1975年以降における網走湖の界面変動のシミュレーションを行い, モデルの適用性と塩水化の機構について検討した. 網走湖の界面変動は, 上流河川からの流入とそれに伴う湖内塩水の流出形態に依存する. 界面水位がピークを示す1987年を境に, それ以前は連行現象に起因する塩水流出成分が卓越するのに対し, それ以降では吸い上げによる流出形態が支配的となる. ここではそれぞれの流出形態を同時に考慮した塩水流出モデルを界面変動予測モデル組み立てることにより, 網走湖における過去20年間の塩淡境界の変動を実用上の精度で再現できることを明らかにした.
著者
風間 基樹 岡田 直仁 中村 晋
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.722, pp.207-217, 2002-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
28

強震動を受け強非線形化した地盤の地震時挙動を解析するため, 高速ウェーブレット変換を用いた時間-周波数領域の非定常地震応答解析手法を提案した. 提案手法は地震動が入力されてから非定常に変化する地盤のせん断剛性と減衰定数を, その時点までに地盤が受けた累積損失エネルギーと最大ひずみレベルに基づいて規定する方法を示している. この方法の特長は, 地盤の時々刻々の剛性低下が陽な形で計算結果として出力されることであり, 一種の非線形解析となっている. また, 提案手法を用いて神戸ポートアイランドで観測された強震記録を対象とし, 液状化による剛性低下を伴う地盤の強震時挙動解析に対する適用性を検討した.
著者
宮下 衛
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.657, pp.65-73, 2000-08-22 (Released:2010-08-24)
参考文献数
13
被引用文献数
1

利根川河口域の利根かもめ大橋の建設地で行った現地調査に基づき, 絶滅危惧種ヒヌマイトトンボの生息環境の調査および開発の影響の予測・評価法として, 地形測量, 幼虫のコードラート調査, 塩分濃度・水位の測定を併用する手法を提案した. 生息地のヨシ原の塩分濃度をモニタリングは, 生息地の水環境の変化を事前に検知するのに簡便で容易な方法であることを確認した. また, 幼虫の分布のメッシュ図を作成し, 開発の影響の予測・評価を行う方法を提案した. また, ヒヌマイトトンボ幼虫は汽水域のヨシ原で後背地から真水が供給される場所に限られ, しかも, 干潮時には水溜まりが残る窪地に局在して生息することが明らかとなった.
著者
森 吉昭 内田 善久 中野 靖 吉越 洋 石黒 健 太田 秀樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.687, pp.233-247, 2001
被引用文献数
3

大型重機により現場転圧された粗粒材料の高応力下での圧縮性状について検討を加えた. フィルダムロックゾーンの築堤時実測沈下データを整理し, 大型ダムのような高応力下では転圧された粗粒材料が弾塑性的な圧縮変形挙動をとること, 圧縮変形量が粒子サイズ, 粒度分布, 間隙比などの影響を受けて変化することを明らかにした. 実堤体の材料定数を, 供試体の粒子サイズに制約を設けた室内試験結果によって直接評価できないことを指摘し, 現場材料と室内供試体の材料粒度の違いに関する変形パラメータの補正方法を示した後, これを用いてあるロックフィルダムの築堤, 湛水工程を再現した応力変形解析を実施した. 解析結果は実測値と概ね良好な一致を示し, 提案手法の実務レベルでの適用性が確認された.
著者
山田 善一 家村 浩和 野田 茂 嶋田 三朗
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.362, pp.471-480, 1985
被引用文献数
1 1

In this study, response spectra of long-period earthquake ground motion (approximately from 5 to 15 seconds) at several cities in northern part of Japan due to Nihonkai-chubu Earthquake 1983 are estimated from sloshing height of oil storage tanks and recorded data of acceleration and displacement type strong motion seismographs. Especially in Niigata city which is about 270km away from the epicenter, very high sloshing is observed, from which equivalent velocity response spectrum is predicted to be more than 200 kine for 10 seconds structures with 0.1% damping. Mended and corrected displacement and acceleration. type strong motion seismograms are found to give much higher response spectra than design values for long period (5-10 seconds) structures with 2-5% damping.
著者
羽矢 洋 西村 昭彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.595, pp.127-140, 1998
被引用文献数
7

鉄道の基礎構造物設計基準では, 平成9年度に限界状態設計法が導入された. この中では, 地震力としてマグニチュード8, 震央距離40km程度の海洋型地震を想定しており, これにより設計震度は従来と比べ大きくなった. しかし, 平成7年1月に発生した兵庫県南部地震 (マグニチュード7.2の都市直下型巨大地震) の持つ地震力は, その値を大きく上回るものであり, 従って, このような大地震力を考慮した基礎の設計法の確立が急がれている. 本論文では, このような大地震力を念頭に, 基礎構造物のうち, 浅い剛体基礎として分類される「直接基礎」の設計法の確立を目的に行ってきた実験的研究および解析的研究の成果をまとめ,「大地震力を考慮した直接基礎の設計法」について提案を行った.
著者
横山 秀史 永田 茂 山崎 文雄 片山 恒雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.450, pp.181-187, 1992-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
20

緊急時の人間行動を定量化するための指標として, 動線のフラクタル次元を用いることを提案し, 迷路を用いた被験者実験の結果と, 過去の火災事例に適用して有用性を検討した. その結果, フラクタル次元が, 脱出時間, 歩行距離, 行動範囲などで評価できない人間行動の複雑さの度合を定量的に表していることがわかった.
著者
喜多 秀行 谷本 圭志 福山 敬
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.737, pp.147-157, 2003-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2

個人間での意思決定に基づく個人の選択行動を分析する道具としてゲーム理論がある. ゲームを用いてある現象の再現を試みる場合には, 利得を正確に与える必要がある. しかし, ゲームの分析者は利得を観測しえないため, これをどのように推定するかが問題となる. 一方で, ゲームの結果は分析者によって観測可能である. そこで本研究では, 同一の利得関数をもつプレイヤーによって行われる2人ゲームを複数回観測した結果を用いて利得の構造を逆解析する方法を提案する. その際, 離散選択モデルをベースとし, 最尤推定法を用いることで利得を推定しうることを示す.
著者
杉本 博之 鹿 汳麗 山本 洋敬
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.471, pp.67-76, 1993
被引用文献数
20 19

ダーウィンの自然淘汰説を基本概念とする単純遺伝的アルゴリズム (単純GA) は, 繁殖・淘汰, 交叉, 及び突然変異を基本オペレータとし, 離散的最適化問題あるいは組合せ最適化問題の有力な手法として, 現在種々の工業分野で注目されている. この単純GAを離散的構造最適設計問題に応用したところ, 安定的に良好な設計が得られなかった. そこで新しく, 生長オペレータを導入して, GAの信頼性の向上を図った. 既製形鋼を用いる平面骨組構造物の最適設計等の計算例は, 生長の有効性を示した.
著者
岸 清
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.522, pp.45-49, 1995-09-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
森 康男 西村 尚己 佐藤 久嘉 田中 聖人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.524, pp.23-35, 1995
被引用文献数
3

最近, 高速道路の景観設計が盛んに行われているが, それらの成果が高速道路の一般利用者や沿道に住む人々にどう評価されているかは十分に調査されていない. 本論文では, 外部景観を構成する代表的な構造物を景観評価対象として取り上げ, それらに対する計量心理学的調査を行い, 沿道の人々の評価傾向を分析し, 技術者のそれと比較し, 一般の人々の求めている景観設計の方向を考察する.
著者
下田 義文 鈴木 真次 石川 信隆 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.480, pp.97-106, 1993
被引用文献数
2

本研究は, コンクリート製砂防ダムの耐土石流衝撃設計に資するため, まず個別要素法による衝撃応答計算モデルを作成し, 次にこのモデルを用いて土石流に含まれる巨礫の衝撃に対する砂防ダム袖部の衝撃応答解析を行った. この結果, 個別要素法による衝撃応答計算モデルが, 砂防ダム袖部の小型模型実験における衝撃応答, サンドバッグの緩衝効果および実砂防ダムの土石流による被害形態をよくシミュレートできることを確かめた.
著者
Megawati Kusnowidjaja 東原 紘道
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.584, pp.11-18, 1998-01-21
参考文献数
20

1995年に京都北部―淡路島西部断面に沿って, 一連の爆破実験がおこなわれた. 明石海峡大橋の基礎部での観測記録はS/N比が乏しいものであったが, 波形処理により, 爆破震源からのS波を求めることができた. そして, 到達時刻のフィッティングで地下のP波速度構造を求めた. 明石海峡大橋直下の地下構造はP波速度5.2-6.0km/sの4つの層から構成されていることがわかった. 本研究で明らかになった地下構造は, およそ30年前の爆破実験で求められた地下構造に較べ, 浅部をより詳細に記述するものとなった.
著者
日下部 伸 森尾 敏
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.517, pp.149-158, 1995-06-21
参考文献数
8
被引用文献数
1

粒子表面のぎざの有無が異なる典型的な2種類の砂を使用し, オンライン実験手法により地震応答液状化抵抗について検討した. ぎざの有る砂はぎざの無い砂に比べ, 地震応答液状化抵抗が強い. ぎざの無い砂は有効応力が半減するのが早く, ぎざの有る砂は有効応力が半減後もねばりを発揮する. ぎざの有無によるミクロ・ダイレタンシー特性は, 液状化抵抗を支配する重要な要因の一つであることを示した.
著者
佐藤 丈晴 荒川 雅生 中山 弘隆 鉄賀 博己 古川 浩平
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.707, pp.153-163, 2002

降雨によるがけ崩れ発生予測としてがけ崩れ発生限界雨量線 (CL) の設定手法が提案されている. しかしながら, 従来のがけ崩れ発生限界雨量線はほとんどが線形で示されており複雑な自然現象を再現しているとは言い難い. またその的中精度が低い問題がある. そこで本研究では, 従来のがけ崩れ発生限界雨量線の問題を解決するために, 包絡分析法 (DEA) を応用して警戒避難基準雨量の設定を試みた. 本手法では降雨データの分布のみから, 最適な警戒避難基準雨量の設定ができる. そして, がけ崩れの予測に関する検討を行い従来のがけ崩れ発生限界雨量線と比較して精度の向上を確認した. さらに警戒基準雨量, 避難基準雨量の設定を試み, 従来手法との比較を行いその有用性を検証した.
著者
川島 一彦 星隈 順一 長屋 和宏 Macrae Gregory A.
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.501, pp.183-192, 1994
被引用文献数
5

構造物が大規模地震を受けて非線形域の応答を生じた場合には, 構造物には残留変位が生じる. したがって, 構造物に許すじん性率をあまり大きくすると, 地震後に構造物には大きな残留変位が生じ, 復旧不能となる. 本研究は, バイリニア型復元力特性を有する各種の固有周期, じん性率を有する1自由度系に生じる残留変位から残留変位応答スペクトルを提案し, この特性を検討するとともに, 提案値に基づいて鉄筋コンクリート橋脚に予想される残留変位を検討したものである.
著者
日下部 伸 森尾 敏 兵動 正幸 村田 秀一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.541, pp.223-232, 1996

本研究では先ず, 既存の基準化された比較的簡単な二つの試験法 (ふるい分析と最小密度試験) を組合わせた簡便な方法で砂粒子表面形状を定量的に評価する方法を提案した. 次いで, 粒子表面のぎざの程度が異なる典型的な3種類の砂を対象に, 単調載荷とひずみ振幅漸増方式の繰返し非排水ねじり単純せん断実験を実施し, 変相線と破壊線の相違を調べた. その結果, 砂粒子表面形状の相違は, 変相線の差異として現れ, これが液状化に対するねばりに関係すること, 及び提案した正規化最大間隙比による定量化法は, ぎざの程度により異なる繰返し載荷時の変相線の応力比や変相時に動員される摩擦角を評価する指標として有用であることが明らかになった.