9 0 0 0 IR 性同一性障害

著者
木下 勝之 Katsuyuki KINOSHITA 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科 Department of Obstetrics and Gynecology Saitama Medical Center Saitama Medical School
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 = Acta obstetrica et gynaecologica Japonica (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.1208-1214, 2000-08-01
参考文献数
12

Individuals pursuing sex reassignment have not been taken seriously in Japan, differing from in modern Western societies, where gender identity disorder (GID) has been officially adopted in ICD-10 or DSM-IV. Under these circumstances, we established multidisciplinary gender team in Saitama Medical Center, in which transsexuals are diagnosed and treated. The term GID han been used for individuals who show a strong and persistent cross-gender identification and a persistent discomfort with their anatomical sex, or a sense of inappropriateness in the gender role of that sex. The number of the GID in our gender clinic was 317 during 6 years from 1993 to 1999, among which 178 cases (56%) was female to male transsexuals (FTMTS), whereas 139 (44%) was male to female transsexuals (MTFTS). The cases desiring sex reassignment surgery in FTMTS was 102 (57%). Most of the transsexuals visiting our gender clinic became manifest during infant days or before puberty. The sex partners of 48% of FTMTS were female, and one fourth of the patients had the episode of failure to suicide. The origins of transsexualism are still largey unclear. A first indication of anatomic brain differences between transsexuals and no transsexuals have been found. There are two phases for the diagnosis of GID. In the first phase, a diagnosis in made based on formal psychiatric classification criteria, a "strong and persistent cross-gender identification". In the second phase, one's capability to live in the desired role and the strength of the wish for SRS, in the face of disappointments while living in the opposite gender role, is tested. Then the psychological intervention starts, followed by hormone therapy. Sex reassignment surgery for FTMTS is composed of mastoidectomy, a urethra lengthening, closure of vaginal wall and oophorotomy with hysterectomy. The point of operation technique is to make the anterior vaginal flap to lengthening the urethra to reach the tip of clitoris released upward, at hysterectomy. SRS for MTFTS is to dissect penis to make new clitoris and followed by vaginoplasty. SRS was first undertaken in Japan in 1998, and the attitude toward GID has become positive. It seems likely that GID would be accepted in medical, legal social field soon in Japan.
著者
目崎 登 佐々木 純一 庄司 誠 岩崎 寛和 江田 昌佑
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.247-254, 1984-02-01
被引用文献数
10

スポーツトレーニングが生殖生理機能,特に月経現象に及ぼす影響について,筑波大学女子運動部員174名を対象として,アンケート調査した.各スポーツの運動量から,激しいスポーツをA群100名,比較的軽いスポーツをB群74名とした.なお,特別な運動歴のない本学一般学生137名を対照群とした.1)身体的特徴:体格の指標として体内水分量/体重比を用いた.対照群は数値の高い方への分布が多く,運動選手は低値への分布が多い.平均値は,夫々52.6±2.4%(Mean±SD),51.7±1.9%(p>0.001)である.すなわち,運動選手の方が体内水分量が少なく,脂肪量が多く,体格が立派である.2)月経:持続日数の平均は対照群5.8±0.9日,A群5.6±1.0日,B群5.8±1.1日である.過長月経の頻度は対照群0.0%,運動選手3.O%(p<0.05).月経血量こついて,少量とする者は対照群2.9%,A群10.0%(p<0.05),B群14.9%(p<0.001).すなわち,運動選手は少量の月経が長期間持続する傾向にある.3)月経困難症:各群とも主症状は下腹痛と腰痛である.日常生活に著しい支障をきたし服薬する者は,対照群17.5%,運動選手9.8%(p<0.05)である.4)月経周期:稀発月経,頻発月経の頻度に差は危い.不整周期症は対照群10.9%,A群25.0%(p<0.01),B群18.9%である.すなわち,激しいスポーツトレーニングにより,月経周期の異常が発生しやすい.5)月経周期とコンディション:良い時期は月経後1週間と月経と月経の中間期.悪い時期は月経期間中と月経前1週間.6)月経周期の調節:実行中1.2%,以前は実行した5.2%,実行したいが心配15.0%,考えたことたし78.0%.運動選手ではその月経現象に異常の頻度が高いので,将来の妊娠・分娩などを含めた生殖生理機能についても考慮した,婦人科的た保健管理が必要である.
著者
玉田 太朗 岩崎 寛和
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.947-952, 1995-09-01
被引用文献数
11 6

1. 産婦人科外来を訪れた35歳〜59歳(1929年4月〜1953年3月の間に誕生)の患者のうち, 両側卵巣摘出あるいは子宮摘出, ホルモン剤服用および子宮筋腫合併例を除く1,654例について閉経年齢を調査した. 2. 受診時の月経の有無(1年以上の無月経を閉経と判定した)に基づき, プロビット法により解析した結果では, 50%閉経年齢(閉経年齢中央値)は50.54歳, 10%閉経年齢, 90%閉経年齢はそれぞれ45.34歳, および56.34歳であった. 3. 既閉経者の記憶による閉経年齢に基づき閉経年齢を推定した. 記憶閉経年齢は左裾が長い非正規分布を示したが, 平均49.47歳, 標準偏差3.526歳であった. 記憶閉経年齢の分布は, 50歳, 45歳など区切りのよい年齢で異常に高く, 正確さに問題があると推測される. 4. 子宮筋腫が閉経を遅延させる因子(Odds比=9.41)であることが明らかになったので上記の解析では子宮筋腫合併例は除いたが, 卵管結紮あるいは一側卵巣摘出術は閉経年齢に影響を及ぼさなかったので解析に含めた.
著者
佐藤 正憲
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.74-82, 1966-02-01
被引用文献数
2

今後先天異常が増加するかどうかを知り, 先天異常発生要因と考えられる要因より妊婦をまもり, 先天奇形を予防し, 新生児死因として先天奇形のしめる位置を低下させるために, 先ず我が国における従来の先天異常の実態を知つておかねばならない. この目的で昭和32年より36年に至る5年間の出産時を対象として全国病産院に依頼し調査を行い280828例の出産数に対し1817例の先天奇形の報告を受け, その頻度, 種類について観察し, 又無脳症, 脊椎破裂, 鎖肛, 多指症, 口唇口蓋裂, 小眼球及び無眼球症について, 頻度, 母体年令, 経産初産の別, 児の性別, 在胎週数, 生下時体重について観察した. すなわち, 出産数に対する奇形の頻度は0.65%であり, 奇形の種類では, 筋骨格系が最も多く, 消化器系, 脳神経系の順で, これら3系統の奇形が全奇形の72.3%をしめている. 又各々の系統ではそれぞれ, 多指症, 口唇口蓋裂, 無脳症が最も多い. 口唇口蓋裂は608回, 多指症は1324回, 無脳症は1411回, 鎖肛は4842回, 脊椎破裂は5506回, 小眼球及び無眼球症は16520回の出産にそれぞれ1回の割合で発生する. 鎖肛, 口唇口蓋裂, 多指症は勇性に多く, 脊椎破裂は女性に多く発生する. 母体年令による奇形発生頻度の差は認められない. 主要奇形は第1児に多い事等の結果を得た.
著者
木下 勝之 石原 理
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.734-743, 1999-08-01
参考文献数
25
著者
山内 俊雄
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp."N-514"-"N-519", 2005-12-01
参考文献数
5
著者
大沼 靖彦
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.1065-1073, 1977-09-01

女性骨盤の発育と性機能の成熟との関係を検するため,6〜14才の男女について,骨盤外計測,身体一般計測及び性ホルモンのLH・FSH・Estrogen (Es)・17-KSの測定を行つて,次の成績を得た. 1) 女子骨盤は,身長・スパンなどの長管骨の成長に男女差のない6〜10才の小児期においても男子に比べて有意差をもつて大きく,その形態も有意差をもつて男子に比べ前後径が大きい円形に近いことが特徴的である.この年令層では性ホルモン値には差異はないことから,かかる男女差は性差による先天的遺伝因子の相異によるものと推測される. 2) 性ホルモンのLH及びEs値が月経発未前の1年以内に有意差の上昇を示し,これと平行して骨盤指数の有意差の増大もこの時期の9→10才及び10→11才の間にみられた. 更に,月経発来時期の前後それぞれ2年計4回の連続計測による各計測値の年間の伸び率の検討により,卵巣Es分泌の冗進する月経発来の直前に身長とともに骨盤も著しく発育するが,長管骨に比べて骨盤の発育の方が有意差をもつて大きく,且つその後,身長の成長は止まるが,骨盤の方は月経発来後の少なくとも1年間は更に有意差の伸長を示し,且つ前後径が横径に比べて有意差をもつて更に成長して成人女性型の骨盤に近づくことが示された.月経発来の頃の女性骨盤の顕著な発育には性機能の成熟特に卵巣Es分泌の亢進が大きな役割を果たしていることが示唆される.
著者
塚越 俊夫 Toshio TSUKAGOSHI 群馬大学医学部産科婦人科学教室 Department of Obstetrics and Gynecology Gunma University School of Medicine
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 = Acta obstetrica et gynaecologica Japonica (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1655-1662, 1990-12-01

ある矯正施設に収容された女子集団 (15~20歳:平均17.4歳) 141例における性行動とC. trachomatis (以下CT) 感染の関係を疫学的に分析し以下の成績を得た. 1. 初経年齢は, 原発性無月経の1例を除き9~15歳に分布し, 平均12.1歳であった. 2. 全員に性交経歴があり, 初交年齢は11~18歳, 平均13.9歳と低年齢であった. 3. 16例 (11.3%) の子宮頚管材料からCTが分離培養され, Micro Trak法により9例 (6.4%) からCT抗原が検出された. いずれかの方法によるCT抗原陽性者は19例 (13.5%) であった. 4. CT抗原は子宮頚管炎と診断された55例中14例 (25.5%) に陽性であり, 炎症の認められなかった86例からの陽性率5.8%に比べ有意に高率であった (p < 0.001). 5. CT抗原検出と腔トリコモナス症の間に相関が認められた (p < 0.05). 6. CT抗原は低年齢層 (15~17歳) で21.1%と高率に認められ, 年長グループ (18~20歳) での陽性率はわずか4.6%であった (p < 0.01). 7. 57名に妊娠歴 (1~3回) があったが, CT抗原陽性率は妊娠経験のないグループのほうが高率であった(p < 0.05). 8. 血中の抗CTlgG抗体は65例 (46.1%) に証明された.抗CT抗体陽性グループにCT抗原が高率に見出され, かつ抗原と抗体の血清型(immunotype)が一致する例が多かった. このことから血中抗CT抗体は現症のCT感染の結果生じたものであるが, 頚管部へのCT感染に対し, 強い阻止効果を表さないことが示唆された. 9. CTに起因する子宮頚管炎を治療せずに放置した場合, 若年女子では平均56日で自然消失するグループと100日以上に亘って持続感染するグループに分かれることが窺われた.