著者
山本 泰由 大庭 寅雄
出版者
The Weed Science Society of Japan
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.29-33, 1977
被引用文献数
2

主要な畑雑草12種を供試し, 4段階の土壌水分条件下における種子の休眠覚醒状況を調査した。<br>1) 冬雑草のスズメノテッポウ, ノミノフスマ, ナズナは高土壌水分 (最大容水量の約85%) 下で休眠覚醒時期が早くなるが, スズメノカタビラ, ミミナグサは最大容水量の約43~85%の範囲では同時に覚醒された。たん水条件下では, スズメノテッポウ以外の草種はいずれの時期もほとんど発芽せず, ミミナグサ, ナズナでは大部分の種子が死滅したものと推察された。<br>2) イヌタデはたん水条件下で休眠覚醒が遅れた。ハルタデは高土壌水分ほど休眠覚醒が早まるが, たん水条件下では, その進行が緩慢であつた。<br>3) メヒシバ, オヒシバ, スベリヒユ, コゴメガヤツリの休眠覚醒は, 最大容水量の約43~85%の範囲では差がなかったが, ホナガイヌビユは85%水分で若干遅れた。また, メヒシバ, オヒシバはたん水条件下で休眠覚醒が遅れたが, たん水による種子の死滅はみられなかった。しかし, スベリヒユ, ホナガイヌビユ, コゴメガヤツリは10月中旬から4月中旬までのたん水によって多くの種子が死滅するものと推察された。
著者
伊藤 健次 井手 欽也 井之上 準
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.100-107, 1967-12-25
被引用文献数
5

1) In southern part of Japan, the time of flowering of Artemisia princeps Pamp. is late september to early october. As the results of experiments the flowering was observed under short day (8 hours light), and did not under long day condition (continuous light). 2) Number of head per plant was 2,000〜14,000, and a head consisted of about 15〜17 florets. On the other hand, the rate of fructification of the florets was about 2〜40 per cent, averaged about 20 per cent. From the results, number of seeds per plant was about 5,000〜40,000. 3) About 20 days after flowering, the seeds had an ability of germination, and it reached maximum after about 50 days. This result showed that the seeds had no dormancy. From our observations, it seemed that the seeds germinate from late autumn to early winter and pass through winter season with cotyledonary plants. 4) Effect of temperature on germination of the seeds was as follows: minimum temperature O〜5℃, optimum temperature ; 20〜30℃, maximum temperature ; 35〜40℃. 5) The rate of emergence of cotyledonary plants war good under the soil of 10〜20 per cent soil moisture content, and it decreased with the increase of soil moisture content. However, the seeds were able to germinate in boiled water, and it grown up to 6 leaf stage under the water. 6) The rate of emergence was also affected by the depth of seeding, and it decreased with the increase of the depth of seeding. As the effect of soil compaction of cover soil after seeding, in the plot of 0.1kg/cm^3-compaction 30 per cent of seeds emerged at O. 5 cm-seeding depth and did not emerge at 1.0cm-seeding depth. In the plot of 0.2kg/cm^3-compaction no emergence occured even at the plot of 0.5cm-seeding depth.
著者
二瓶 信男 佐々木 亨 山崎 慎一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.94-100, 1967-12-25
被引用文献数
5 2

(1) スギナの生態について調査した。<br>(2) 胞子の発芽試験を5月の室温で試みた。接種後7日目に一斉に発芽し, 43日後には栄養茎の発生がみられる。<br>(3) 地下茎の発根伸長は4月上旬より始まる。栄養茎の最も繁殖するのは地下30cm以内の地下茎からである。<br>(4) 栄養茎は一節さえあれば発根可能である。スギナの生育はNによつて左右される。pHは7前後がよかつた。発生深度は5~10cmがよい。土性は壌土がよかつたが, 土壌中の養分, pHなども関係すると考えられる。<br>(5) 地下茎の繁殖力は旺盛で, 1年で総重は33~37倍, 長さは165~182倍となる。<br>(6) スギナの防除は, 麦畑の場合, 跡作のない時はスギナ発生期から麦刈取り15日前の間に, a当りリニュロン 10g+2,4-D20g の混合液をスギナの草体に散布すればよい。間作や跡作に大豆, 陸稲がある場合は, 残効の問題から, スギナの発生最盛期頃に散布することが必要である。
著者
輪嶋 正隆
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.252-255, 2009 (Released:2009-12-23)
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.SupplI, pp.80-89, 1996 (Released:2010-02-25)
被引用文献数
1
著者
近藤 哲也 榎本 博之
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.268-276, 1997-11-25
参考文献数
9
被引用文献数
5

福井県地方を中心に, 畦畔の雑草を抑制し, 農村景観の美化を図ることを目的として, 強健で被覆速度が速く, 花の美しい地被植物が導入されている。本研究では, それら地被植物の中でも最も多く導入されているセイヨウジュウニヒトエ(Ajugareptans L.)の被覆速度ならびに雑草抑制効果と除草時間を評価した。1994年10月11日に4, 9, 16, 25本/m^2の植栽密度とポリエチレン製マルチ被覆の有無を組み合わせた実験区を設け, 1996年12月まで, 毎月被覆率・株高・開花数を測定し, 年に3回手取り除草時間と雑草量を測定した。植栽後まもなくは, 植栽密度が高いほど雑草量が多くなり, 除草時間も長くかかった。しかし, その後は植栽密度が高いほど被覆率は早く高まり, 植栽後10か月の被覆率は80%以上となって, 雑草量, 除草時間は, 全ての植栽区で裸地よりも少なくなった。さらに, マルチを併用すると, 雑草量, 除草時間ともは大幅は短縮できた。
著者
山河 重弥 伊藤 一幸
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.206-219, 2004-09-30
著者
中山 祐一郎 梅本 信也 伊藤 操子 草薙 得一
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.332-338, 1997-01-31
被引用文献数
1

オオバコの種内変異を調査するため, 京都市北東部の8集団から得た系統を供試し, 同一条件下での栽培実験を行なった。さらに, 生育地の環境を調査して, 種内変異と生態分布との関連を検討した。1) オオバコの形態には著しい遺伝的変異が認められ, 普通型とminima型の2型が識別された。普通型では, 葉は大きく斜立し, 葉脈数は5で, 花序は長く, 斜立〜直立し, 1蓋果は3〜7個の大きな種子を結ぶ。minima型では, 葉は小さく傾伏し, 葉脈数は3で, 花序は短く, 傾上し, 1蓋果は4〜10個の小さな種子を結ぶ。2) 普通型は, 畦畔や農道, 路傍, 未舗装の駐車場, 社寺林の林床などに生育していた。minima 型は神社や仏閣の境内に限って生育していた。3) minima型の生育地である神社の境内は, 薄暗く, 土壌中の窒素とリンの含量が普通型の生育地より低く, 維管束植物の多様度指数が低く, また毎日掃き掃除が行われるなど, 普通型の生育地とは環境条件や管理様式が顕著に異なっていた。そのため, minima型はストレスや撹乱の質と程度に関して普通型とは異なった環境に生育していると考えられた。オオバコの種内2型はこのような生育地の環境条件の違いに適応し, 住み分けているものと推定された。
著者
鈴木 光喜
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.34-39, 1994-05-13
被引用文献数
6

25年間地中30 cmに埋土した7科12種の畑雑草種子の発芽力について検討し、次の結果を得た。1)供試雑草種子は埋土翌年の4月から11月における最大出芽率はヒメイヌビエ、アキメヒシバ、スズメノカタビラ、イヌタデ、エゾノギシギシ、シロザ、ハコベは81〜96%、エノコログサは78%、メヒシバ、ツユクサは52〜58%、スベリヒユは30%であった。2)埋土25年目の4月28日と6月30日にはヒメイヌビエ、エノコログサ、メヒシバ、アキメヒシバ、スズメノカタビラ、イヌタデおよびハコベの種子はほとんど腐敗し、健全種子はなかった。健全種子の認められた5種の埋土種子数に対する発芽率はシロザ2〜3%、スベリヒユ2%、エゾノギシギシ1〜2%、エノキグサ0〜1%、ツユクサはで12〜14.5%であった。. 3)発芽したツユクサとシロザの芽生えは移植後開花・結実に至った。4)埋土25年目の9月6日に掘り上げたツユクサ種子はほととんど発芽しなかったが、3ヵ月間4〜6℃の低温処理をした後では22%発芽し、25年経過後も休眠の季節的周期性が認められた。
著者
榎本 敬 深井 いと代 福山 利範 武田 和義
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.185-193, 2001-09-28 (Released:2009-12-17)
参考文献数
16

国内の植物標本庫に保存されているホウキギク類 (Aster 属 Oxytripolium 節) の標本225点を調査した結果, 次の3つの分類群が帰化種として確認された。すなわち, 1) Aster subulatus Michx. var. subulatus, 2) Aster subulatus Michx. var. sandwicensis A. G. Jones, 3) Astey subulatus Michx. var. elongatus Bosserdet である。原色日本帰化植物図鑑で用いられている和名ではそれぞれホウキギク, ヒロハホウキギク, オオホウキギクに相当する。体細胞染色体数は, ホウキギクで2n=20, ヒロハホウキギクで2n=10, オオホウキギクで2n=20であり, 染色体の基本数はX=5と推定された。これは日本に自生する Aster 属の染色体の基本数X=9と異なっていた。ホウキギクとヒロハホウキギクの間では自然雑種が形成され, ムラサキホウキギクと命名した。その染色体数は2n=15の3倍体であった。ムラサキホウキギクの舌状花はうす紫色であり, ホウキギクの白,ヒロハホウキギクのピンク色とは異なっており, 種子は不稔である。ヒロバホウキギクとオオホウキギクの間にも自然雑種が形成されオソザキホウキギクと命名した。いずれの自然雑種も, 人工交配の変種間雑種と同じ形態的特徴を示した。ホウキギクとオオホウキギクでは人工交配による雑種種子が得られたが, 種子は発芽後すぐに死亡した。
著者
榎本 敬 深井 いと代 福山 利範 武田 和義
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.185-193, 2001-09-28

要約:国内の植物標本庫に保存されているホウキギク類(Aster属Oxytripolium節)の標本225点を調査した結果,次の3つの分類群が帰化種として確認された。すなわち,1)Aster subulantus Michx. var. subulatus, 2)Aster subulatus Michx. var. sandwicensis A. G. Jones, 3)Aster subulatus Michx. var. elongatus Bosserdetである。原色日本帰化植物図鑑11)で用いられている和名ではそれぞれホウキギク,ヒロハホウキギク,オオホウキギクに相当する。体細胞染色体数は,ホウキギクで2n=20,ヒロハホウキギクで2n=10,オオホウキギクで2n=20であり,染色体の基本数はX=5と推定された。これは日本に自生するAster属の染色体の基本数X=9と異なっていた。ホウキギクとヒロハホウキギクの間では自然雑種が形成され,ムラサキホウキギクと命名した。その染色体数は2n=15の3倍体であった。ムラサキホウキギクの舌状花はうす紫色であり,ホウキギクの白,ヒロハホウキギクのピンク色とは異なっており,種子は不稔である。ヒロハホウキギクとオオホウキギクの間にも自然雑種が形成されオソザキホウキギクと命名した。いずれの自然雑種も,人工交配の変種間雑種と同じ形態的特徴を示した。ホウキギクとオオホウキギクでは人工交配による雑種種子が得られたが,種子は発芽後すぐに死亡した。
著者
橘 雅明 伊藤 一幸 渡邊 寛明 中山 壮一 山口 裕文
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.175-184, 2008 (Released:2009-01-24)
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

東北地域の転作コムギ畑で問題となっているハルザキヤマガラシ(Barbarea vulgaris R.Br.),カミツレモドキ(Anthemis cotula L.)および侵入が危惧されるイヌカミツレ(Matricaria inodora L.)の防除法を策定するために,出芽を中心にこれらの生活史を調査し,除草剤と中耕による管理について検討した。カミツレモドキは,青森県の秋播きコムギ畑では,主に秋季に出芽する越冬個体が雑草害の原因となっていた。カミツレモドキは春季と秋季の年2回種子より出芽していた。コムギ畑に発生したハルザキヤマガラシ,カミツレモドキおよびイヌカミツレの帰化雑草3草種に対しては,播種直後のリニュロン水和剤土壌処理,秋季の出芽終期にあたる11月上旬のアイオキシニル乳剤処理,5月上旬の条間中耕またはアイオキシニル乳剤処理に高い除草効果がみられた。上記の3つの除草管理時期のうち,いずれか2つの時期に適切な除草管理を実施すれば各草種の収穫期乾物重は無除草区の4%以下となり,帰化雑草3草種のいずれでも防除できる。カミツレモドキとイヌカミツレについてはチフェンスルフロンメチル水和剤による茎葉処理でも高い除草効果がみられた。
著者
尼子 直輝
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.137-140, 2007 (Released:2008-06-21)
被引用文献数
2 1
著者
吉田 光司 金澤 弓子 鈴木 貢次郎 根本 正之
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.63-70, 2009 (Released:2009-07-08)
参考文献数
17

ナガミヒナゲシが国内で急速に帰化している原因を,実験によって求めた種子発芽特性から考察した。野外の播種実験の結果,6月の種子散布後,散布当年の秋季と翌春に多くの出芽をみた。次に室内で,異なる温度と水分条件に貯蔵した種子を定期的に取り出す発芽試験を行った。その結果,(1)種子を湿潤・暖温条件に2∼3ヶ月間貯蔵してから5°Cで発芽させた場合,(2)湿潤・暖温条件に3ヶ月間貯蔵した後に湿潤・冷温条件に半月∼1ヶ月間貯蔵してから10∼20°Cで発芽させた場合,(3)30°C/10°Cの変温条件で発芽させた場合に高い発芽率を示した。これらの野外と室内の発芽実験の結果から,自然環境条件では夏季の暖温湿潤条件を経て地温が低くなる秋季と,冬季の冷温を経て地温が上昇する春季に多く発芽することが確かめられた。また,高温や室温の乾燥条件に約3年間貯蔵した種子や,暗条件ではほとんど発芽しなかったことから,土中では埋土種子となって長期間残ることが予測された。試験から得られたナガミヒナゲシの発芽条件から国内の分布を説明できた。また,同種が多く分布している国内外の地域の年平均気温と年間降水量は一致した。
著者
冨久 保男
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.64-68, 1976-09-25

1)わが国では,ホテfアオイの栄養繁殖は知られているが,種子繁殖の実態ははっきりしていない。そこで,実生個体の形態を観察するとともに,若干の生育環境についても検討した。2)第5葉前後までの葉はぺべ状の細い葉である。その後展開する葉は先端がやや膨れ,第8〜9葉からは,一般に栄養繁殖個体でみられるように,葉柄は膨大して葉身は倒卵形を呈する。3)!0〜15cmの冠水下の土壌面で生育した場合は,葉柄が膨大しはじめる第8〜9葉以後になると,根が腐って水面に浮いて生育する。4)土中に根を下している時はほとんど側根を認めないが,水面に浮くと側根の発生や伸長が旺盛となる。