著者
菊池 武彦 田中 一成 齊藤 寿幸
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.457-466, 2006-09-25 (Released:2009-08-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

東京電力(株)が過去40年以上にわたって実施してきた送電設備に関する着氷雪対策技術の状況についてまとめた.本報告書では着氷雪現象のうち特に樹氷型着氷と湿型着雪を対象とした.現象の把握や送電設備への機械的影響,その影響を軽減するための対策技術について述べる.観測データは,現地での有人による直接的な調査や実規模試験線などを用いた調査結果である.着氷雪現象の物理的理論や数値解析,対策技術(偏心重量錐と回転自在型スペーサ,ルーズスペーサなど)の基本的考え方は,各検討段階において学識者やメーカ各社と協働で蓄積した.それらの技術が現実的に有効であるか否かについて,現地で自然発生する着氷雪や強風に曝される実規模試験線(高石山試験線,最上試験線)を用いて観測した.観測の結果,送電線への着氷雪に伴う荷重の増加量や振動抑止装置の効果を再現性あるデータで示すことができた.これらの成果は,現在運用されている送電設備に適用され,安定運用に貢献している.
著者
宮崎 伸夫 原田 俊之 近藤 茂 長谷 美達雄
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.149-154, 1995-06-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1

雪の資源的ポテンシャルを多目的に活用するために,"スクリューフィード方式&quotの小型雪圧縮機を開発した.この雪圧縮機は,集めた雪をスクリューで筒内に押し込み,テーパーのついた筒の先端から円柱あるいは四角柱に圧縮・成型された雪を連続的に排出する仕組みになっている.また,この圧雪塊は着色することもできる.圧雪塊の力学試験から,実用上十分な強度と保存性があり,雪祭りや雪室の貯雪などの各種の材料として利用できることを明らかにした.この方式の特徴は,機械が小型で小動力で作動すること,操作が容易でかつ安全であり,経済性に優れた点も併せ持っていることである.
著者
藤井 理行 樋口 敬二
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.173-186, 1972
被引用文献数
4 1

富士山頂において, 富士山測候所付近で存在を知られていた凍土は, 山頂一帯にわたる永久凍士 (permafrost) ではないかと考え, 凍土およびその上部融解層 (活動層, activelayer) の調査を, 1970, 71年に4回にわたっておこない, 次のような結果を得た.<BR>(1) 1971年10月の調査から山頂部の凍土は, 越年する凍土すなわち永久凍土である事を確認した.永久凍土の分布は, 山頂部一帯に広がり, 下限高度は2,800~2,900mで, 高緯度永久凍土南限の年平均気温とよい一致を示す高度である.<BR>(2) 活動層厚は, 山頂部においては7月末で50~130cmで5月末の積雪水量が大きい所ほど小さい.<BR>(3) 火口稜線内部の活動層厚は, 消雪後の積算温度 (thawing index) の平方根にほぼ比例し, その比例定数である融解係数は6.44である.<BR>(4) 火山砂礫の透水性は, 凍土の方が同じ有効空隙率を有する非凍土に比べはるかに良い.10月に採取した凍土及び非凍土の透水係数 (permiability) は, それぞれ約0.62×10<SUP>-2</SUP>cm/s, 0.74×10<SUP>-2</SUP>cm/sで, 透水性は良好である.透水試験及び凍結面の観察から, 永久凍土の成長は, 水の供給という点で, 熔岩帯では制約を受けるが, 砂礫帯では制約を受けないと考えられる.<BR>(5) 積雪が最寒期に少なく, 気温が0℃を上まわる4月末から5月にかけて多いという富士山頂部での傾向は, 永久凍土の形成, 維持という点で有利な役割を果している.

2 0 0 0 OA 氷の双晶構造

著者
古川 義純
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.259-265, 1979-12-31 (Released:2010-01-22)
参考文献数
37

氷の双晶構造が主に多結晶雪結晶の場合に焦点を絞って解説される.Coincidence-Site Lattice (CSL) 理論から低エネルギーの結晶境界面による結合のしかたを予想し, これが天然の雪結晶の中にどの程度の頻度で出現するかを調べることによって双晶の形態が決定される.また, 多結晶の氷結晶が発生する機構を, 考察することによって, 70.3°/ [1120] のCSL関係を満足する結合のしかたが出現し易いことが明らかとなり, 実際の雪結晶に現れる要素結晶の間のc軸のなす角度が70°に集中することを良く説明することができる.
著者
遠山 和大 鈴木 悟郎 佐竹 洋 川田 邦夫 飯田 肇
出版者
日本雪氷学会
雑誌
雪氷 : 日本雪氷協會雜誌 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.319-330, 2005-07-15
被引用文献数
1 5

北アルプス・立山周辺の,標高の異なる3地点(室堂平:海抜2450m・弥陀ヶ原:1930m・雷鳥バレースキー場:1200m)において,2001年3~4月に積雪の断面観測を行い,地面から雪面にかけて連続的に積雪を採取した.また,2000年12月~2001年3月まで,富山市において降水を採取した.これらの試料について,そのδ<SUP>18</SUP>O値を測定した.<BR>各地点の積雪と富山市降水のδ<SUP>18</SUP>O値は大きく違っていたが,各地点における積雪のδ<SUP>18</SUP>O値の鉛直分布と,富山市降水の経時変化パターンは良い一致を示した.富山市降水のδ<SUP>18</SUP>O値の経時変化に見られる極大・極小のそれぞれが,各地点の積雪δ<SUP>18</SUP>O値の鉛直分布における,どの極大・極小に対応するかを同定し,それを元に日付を割り付けた.この事から,2日~1週間程度の分解能で,積雪の全層にわたって堆積時期の推定が可能になった.この方法で得られた日付は,黄砂層によって同定された日付と良く一致した.<BR>同じ日の降水のδ<SUP>18</SUP>O値を標高毎に比較したところ,δ<SUP>18</SUP>O値と標高の間には非常に強い負の相関があり,δ<SUP>18</SUP>O値の変化率は-0.4~-0.2‰/100mという値を取った.しかし,春先に太平洋側を低気圧が通過するとき,両者の相関が悪くなり,変化率も-0.1‰/100mと小さくなる場合があった.このような低気圧の場合,雲の流れが冬期に一般的な富山→室堂平の方向とは異なる可能性が示唆された.
著者
石原 健二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.139-155, 1971

以下に, 筆者の最近行なった統計的降雪予報の概要を述べよう。この研究は, 北陸地方の除雪に寄与することをねらいとしたものである。
著者
粉川 牧 伊藤 修 渡辺 大
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.59-68, 2002-01-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
10

氷を構造材料とする薄肉の曲面板構造“アイスシェル”を冬期間の建築構造物として使用するというこれまでにない新しい試みが1997年以来,北海道はトマムで展開されている.同じ敷地内の一角で,ここ2年間,スパン20mアイスドーム(規模:底面直径約17m,高さ約6.5m)について構造工学的側面からフィールド実験が実施されてきた.この実験は,大規模アイスシェルの建築構造物への適用可能性を探るべく,その実証的研究として行われているもので,本報告は,これらのうちの一つ,2000年2月から4月初めにかけて実施された建設実験及び完成後のクリープ実験をまとめたものである.結果として,型枠空気膜に散雪散水する本工法は5~6日間で建設施工を可能にし,さらに完成したドームの構造性能は,平均鉛直変位速度が3~4mm/dayと小さく,又,崩壊性状は「延性的」であったことから,この規模のアイスドームが建築構造物として適用可能であることを示している.
著者
福井 幸太郎 岩田 修二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.23-28, 2000-01-15
被引用文献数
17 2

1999年10月10日, 飛騨山脈北部に位置する立山, 内蔵助 (くらのすけ) カールの標高2,720mの地点で, 日本アルプスでは未報告であった永久凍土であると考えられる凍結層の存在をピット調査によって確認した. ピット掘削時の活動層の厚さは120~130cmであった.<BR>この永久凍土の形成には秋の積雪前の凍結とマトリクスを欠く角礫層やルースな砂礫層の存在が, 維持には夏遅くまで残る積雪層が大きな役割を果たしていることがピット調査と地表面温度観測結果から分かった.<BR>また, 永久凍土が確認できたプロテーラスランパートと呼ばれている岩屑地形は, 今まで雪渓 (氷体) 上に砂礫が堆積した地形と考えられており, この地形内の凍土は, 下層に存在する氷体の断熱効果のために底面融解が抑制されている可能性があった.しかし, 電気探査の結果からこの地形の下に氷体は存在しないことが明らかになった.
著者
森田 勲 山口 明彦 須田 力
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.631-639, 2002-11-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

本研究はショベリング除雪に必要な,パワーおよび身体資質の関係を明らかにすることを目的に行なった.258名の男子大学生が被検者となったが,その内訳は,積雪地出身者(SG)が126名で,非積雪地出身者(NSG)が132名であった.それぞれ握力,背筋力,脚伸展パワーの測定を行なったほか,5 kgと10 kgの負荷によるショベリング投擲を行なった.両グループの身長,体重,筋力および脚伸展パワーの平均値に有意な差が認められなかったにもかかわらず,投擲距離においてはSG群がNSG群を上回り,5 kg負荷時(6.5±1.3 m vs 5.9±1.1m)と10 kg負荷時(4.2±0.77 m vs 3.9±0.79m)で有意な差が認められた.投擲距離とそれぞれの測定項目との間に有意な相関関係が認められたほか,SG群を除雪の実施状況に応じたグループに分けて比較をしたところ,常習的に行なっていたグループが,ほとんどしないグループおよびNSG群を上回る結果が得られた.これらのことから,ショベリング除雪能力を規定する因子として,体力と技術の関与が示唆された.
著者
長谷美 達雄
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.33-43, 1991-03-29 (Released:2010-02-05)
参考文献数
14
被引用文献数
2 12

日本の主な気象官署の天気と気温の記録から,固体降水の発生確率と地上気温の関係を,季節風型および低気圧型天気図時の降水に分けて調べた.その結果,発生確率と地上気温の関係は地域性が大きいことがわかった.例えば同じ発生確率に対する地上気温は標高(H:m)とともに低くなり,発生確率が50%となる地上気温(T50:℃)で代表するとその傾向は次の式で表わされる. (季節風型) T50=4.0-0.44・1n(H) (低気圧型) T50=2.2-0.21・1n(H) T50が標高とともに低くなる理由として降雪粒子が標高が高いほど小さいことが考えられた.また,T50が季節風型と低気圧型で違う理由として,上層大気の熱量の違い等が示唆された.この結果を利用して,降水が雪になるか雨になるかの判別予測,降雪量,降水のうち着雪に寄与する降水量,あるいは積雪として残る量の推定が地域性を反映してより精度よく行なえるであろう.
著者
澤柿 教伸 福井 幸太郎 岩田 修二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.163-178, 2005-03-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
85
被引用文献数
1 2

近年,あいついで惑星探査機が火星に到達し,地表面の詳細な数値標高データが得られたことから,地形の解析は飛躍的に進展した.火星表面の環境は,寒冷・乾燥を主な特徴とする「極地砂漠」であると言われ,地球上のアナロジーとして南極大陸のドライバレー地域に見られる地形が用いられている.また,これまで,火星表面の広範囲に水流の侵食を受けたと考えられる地形が認識されてきたことに加えて,寒冷環境の水に関わる地形として氷河や永久凍土に起因すると考えられる地形も多く確認されており,その詳細な形態も明らかにされつつある.しかし,水が流れた地形と氷が流れた地形に決定的な違いはあるのか,といった両者の判別に関する問題は,地球上の地形についても未解決の部分が多く,火星の地形の解釈に適用する際には注意を要する.雪氷の流れによって形成される,岩石氷河や岩屑被覆氷河などの地形の解釈についても,地球上の研究例を火星の地形に単純に当てはめるには問題がある.
著者
山田 知充
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.137-147, 2000-03-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
36
被引用文献数
1 3

地球温暖化の影響でネパール王国は, 1960年代以降少なくとも14回, 3年に一度以上の頻度で氷河湖決壊洪水 (Glacier Lake Outburst Flood, 略称GLOF) に襲われている.氷河湖は岩屑に覆われた氷河の末端に形成されて, モレーンで堰き止められている.モレーンは小氷期にできた不安定な堆積物である.容易に決壊し, 数百万m3から数千万m3の湖水が数時間のうちに一気に溢れ出すためGLOFは鋭い洪水波形をもつ.インフラや村落の生活基盤の破壊, 人命や家畜の損失に加えて, 斜面崩壊, 森林破壊, 河床への膨大な堆砂など, ヒマラヤの自然にも深刻な損傷を与える.多量の土砂を含むため土石流の様相を呈し, 破壊力が大きい.現在拡大を続けているネパールの氷河湖は1950~1960年頃に誕生した.その後急激に成長し, 長さ1~3km, 幅500m, 深さ80~130m, 貯水量3000~8000万m3もの大きさに拡大を遂げ, 今後のGLOF発生の危険は極めて高い。本総説では氷河湖を持つ氷河の特徴と氷河湖の分布, 氷河湖決壊洪水の実態, その急激な成長過程を紹介し, 今後に残された課題を述べる.
著者
菊地 勝弘 神田 健三 山崎 敏晴
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.441-448, 2006-09-15
被引用文献数
3

第2次世界大戦末期の昭和18~20年の冬期に,北海道ニセコアンヌプリ山頂の着氷観測所で実験機として使用されたと思われる,「零式艦上戦闘機(通称:ゼロ戦)」の右主翼が1990年8月初旬山頂東側の沢で発見され,その後2004年に回収されて,2005年12月22日から北海道倶知安町の風土館に常設展示されて話題を集めている.それは,60年前のゼロ戦の翼という野次馬的な見方の他に,もはや着氷観測所などといった言葉さえ知らない世代が増えた昨今,そもそも着氷観測所はどんな観測所で,どんな実験をしていて,その結果はどうなったのであろうかという興味とは別に,関連する資料の展示,解説,当時の写真や新聞記事に見られる実験機が,ゼロ戦とは違う「九六式艦上戦闘機(通称:九六式)」のものが多かったからである.どうしてこのようなことになったのか?マスコミ関係や専門家の間で注目されてきたが,幸い「中谷宇吉郎雪の科学館」が所蔵している,当時北海道大学助手で,直接この実験の担当者だった黒岩大助(元北海道大学低温科学研究所長)が撮影していた写真のアルバムから,中谷宇吉郎門下生の一人だった樋口敬二(名古屋大学名誉教授)の考察によって,昭和18~19年の冬が九六式,19~20年の冬がゼロ戦であったという結論が得られた.この報告では,ゼロ戦主翼の発見を契機として着氷観測所ではどのような実験が行われたのか,その実験の主目的であった飛行機の着氷について,使用された実験機の機種とそれに関連するいくつかの疑問について整理したものである.
著者
沢田 照夫
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.12-14, 1962 (Released:2009-09-04)
参考文献数
2
被引用文献数
4
著者
太田 岳史
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.37-48, 1989
被引用文献数
6 14

山地での積雪水量の経時変化を簡易な気象要素から推定するため, 降水量と気温のみを用いて積雪水量の経時変化を検討した.その結果, 以下の知見をえた. (1) 降水形態は, た。 (2) 融雪量が0日平均気温1.5~2.0℃で雨と雪の確率がほぼ50%となり, この値は他の地域と大きな相違はなかっとなる日はなく, 厳冬期においては緩やかな季節変化が認められるがほぼ1mm/dayの一定な融雪が生じた.また, 日平均気温0℃以上での日平均気温と日融雪量の関係はべき数関係にあった. (3) 標高による降水量の増加比は積雪水量の増加比から推定できた. (4) 上記の観測結果にもとづいて積雪水量の推定を行ったところ, 再現性は良好であった.また, 対象地域では, 下部の標高240~850mの間での標高と降水量増加比の関係を1次式で近似することで, 標高1060mまでの積雪水量をほぼ安定した精度で推定可能であった。
著者
福田 明治
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.239-244, 1979-12-31 (Released:2009-09-04)
参考文献数
11

氷の転位の速度が, 直接的に得られてから, 氷の転位に関する研究は, 2つの方向に向って発展している.1つは, 氷の転位の速度そのものを分子の挙動から解明してゆこうとする方向, もう1つは, この速度と転位の分布構造から過去に行われた種々の塑性実験の結果を転位論的に解釈しようとする方向である. 本文は, 現在まで行われたこれらの研究について簡単に述べたものである.
著者
莊田 幹夫
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.23-26, 1949

今冬は異常な雪不足に見舞れたが, 各方面の御援助により豫期以上の成果を修める事が出來た。最初に主な研究項目を列記し, 各詳細については此の夏の頃迄の間に逐次本誌に報告しようと思う。