著者
粉川 牧
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.365-375, 2004-05-15
被引用文献数
2

湖氷板上にアイスドームを建設する場合,湖氷板は長期のリング荷重を受ける.このとき,その力学的安全性が問題となる.そこで,この問題の理論的解明を計るために,ドーム建設中は時間に関して直線的に増加し完成後は一定となるリング荷重と線形Maxwell流体の構成式に従う氷の粘弾性モデルをそれぞれ仮定し,無限平板の弾性解に対応原理を適用して,氷板のクリープ解析法を展開した.その結果として,時間とともに変化する氷板の応力,変位を閉形級数解の形で示している.
著者
後藤 博 梶川 正弘 菊地 勝弘 猿渡 琢
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.191-198, 2006-05-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
12
被引用文献数
1

乾き新積雪(新雪)からこしまり雪に変態する過程で,圧縮粘性率と密度の関係が結晶形と雪温にどのように依存するかを調べる目的で室内実験を行った.その結果,雪温と圧力が低いほど,こしまり雪への変態に長時間を要した.また,圧縮粘性率と密度の関係は,結晶形と雪温により大きく異なることを確認した.さらに,圧縮粘性率の雪温依存の度合いは,新雪段階では卓越結晶形により異なることがわかった.
著者
柏村 良一 大月 晃
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.17-28, 1973-03-31 (Released:2010-01-20)

東京電力 (株) では, TACSR (鋼心耐熱アルミ合金より線) 410mm2×6,810mm2×4導体 (送電容量650万kW), および1,520mm2×4,810mm2×6導体 (送電容量1,000万kW) の大サイズ多導体よりなる, 50万V大容量送電線の技術開発を行なっている.そして, その一環として, 耐雪構造化の開発も行なっており, このため藤倉電線 (株) と共同で, 高石山, 野反湖着氷試験線, 石打着雪試験線, ならびに切明, 渋沢, 地蔵峠のロボット観測小屋において, 昭和44年度冬季より, 気象, 電線着氷雪の観測に着手し, 現在すでに3冬を経過し, 4冬の観測中である.3冬季の観測結果より, 着氷・着雪の傾向を掴み得たこと, 予想される着氷+風圧荷重に対し, 大容量電線の強度は十分であることなど, 耐氷雪設計上有益な資料が得られた.
著者
石坂 雅昭
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.229-238, 1995-09-15 (Released:2010-02-05)
参考文献数
16
被引用文献数
13

雲粒付雪片について,落下速度を初めとする落下に関する諸物理量を,可能なかぎり同時かつ直接的に測定した.雲粒付雪片は,雲粒の付着の度合いに応じて3タイプに分けた.その結果,落下速度はLangleben (1954)の提出したV=kDn(Dは雪片の融解直径)の形に書けた.また,雲粒付きの度合いが多い雪片ほど,n,k とも大きくなる傾向もこれまでの結果と同じであった.雪片の空中での落下姿勢は,逆円錐形で落ちてくるものが最も多かった.密度σは,大きさdとともに低下し,その関係は,濃密雲粒付雪片で,σ・d0.81=0.027となり,傾向は,Magono and Nakamura (1965)の結果と同じであるが,その関係式は,彼らのσ・d2=0.02 とは異なった.雪片の質量は,どのタイプの場合も,横方向から見た断面積にほぼ比例し,最大粒径とは,およそその2乗に比例する関係が得られた.また,レイノルズ数300~2500の範囲の抵抗係数を計算によって求めることができた.値は大きくばらついたが,どのタイプも,多くは0.4から1.3の間に分布し,同じ範囲のレイノルズ数における球と円柱の抵抗係数の間の値をとり,レイノルズ数の増加とともにわずかに低下する傾向が見られた.また,これらの諸量の関係からV=kDn形の式を検討した結果,kやnの値には,抵抗係数とレイノルズ数の関係や,横方向(水平方向)の大きさと融解直径の関係を反映することがわかった.そして,後者については,雲粒が多く付いているタイプの雪片では,少ないものに比べ,融解直径の増加に対する大きさの増加が小さいこと,すなわち重くなる割に水平方向の大きさの増加が小さいことが,特に融解直径の大きい領域で終速度を大きくする要因であることがわかった.
著者
石田 仁
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.489-496, 2006-09-25 (Released:2009-08-07)
参考文献数
14

積雪時の地表面温度の特性を明らかにする目的で,超音波積雪深計によって観測された積雪の有無と地表面温度(1時間インターバル)との関連について検討した.その結果,積雪時の地表面温度は,0.5±1.0℃(平均±標準偏差,最小-0.4℃,最大3.2℃)であった.地表面温度3.2℃以下,前後5時間の標準偏差が±0.22℃以下の条件を積雪下とみなした場合の積雪の有無の判定的中率は95%であった.この判別条件を用い,2003年10月上旬から2004年6月下旬までの一冬季間,富山県下の暖帯から高山帯に至る主要森林タイプ19地点で林床の地表面温度の計測を行い積雪日数の推定を行った.その結果,各地点の積雪日数は,暖温帯常緑―落葉広葉樹林:22.5日/年,暖温帯落葉広葉樹林:58.4~104.5日/年,温帯落葉広葉樹林:113.3~158.6日/年,温帯針広混交林:150.3~158.7日/年,温帯―亜高山移行帯林:167.0日/年,亜高山帯林:214.5日/年,高山帯林:200.4~207.1日/年と推定された.暖帯から亜高山帯の森林では,標高と積雪日数の間に高い相関関係が認められた.
著者
山口 悟 西村 浩一 納口 恭明 佐藤 篤司 和泉 薫 村上 茂樹 山野井 克己 竹内 由香里 LEHNING Micheal
出版者
日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.51-57, 2004-01-15
被引用文献数
6 4

2003年1月5日に長野県南安曇郡安曇村の上高地乗鞍スーパー林道で起こった複数の雪崩は,死者こそ出なかったが車20台以上を巻き込む大災害となった.雪崩の種類は面発生乾雪表層雪崩であった.今回の雪崩の特徴は,従来雪崩があまり発生しないと考えられている森林内から発生したことである.現地における断面観測より,今回の雪崩は表層から約30cm下層に形成された"こしもざらめ層"が弱層となり発生した事がわかった.積雪変質モデル並びに現場近くの気象データを用いた数値実験でも,同様の"こしもざらめ層"の形成を再現することができた.弱層になった"こしもざらめ層"は,1月1日の晩から1月2日の朝に積もった雪が,3日早朝の低温,弱風という気象条件下で変質して形成されたと推定される.今回の研究結果により,雪崩予測における積雪変質モデルの適応の可能性が明らかになった.また,考えられている森林の雪崩抑制効果に関してより詳細に検討する必要性があることも示された.
著者
丸山 久一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.150-156, 1977
被引用文献数
2
著者
樋口 敬二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.195-207, 1968-11-30 (Released:2009-07-23)
参考文献数
25
被引用文献数
1 4

最近, 国際水文学十年計画 (IHD) の一環として, 地上および地下に存在する多年性氷雪の世界的規模における調査がおこなわれる計画があるが, 日本では, 万年雪, 雪渓が多年性氷雪であるので, これを機会に, 現在までにおこなわれた雪渓調査の記録をまとめた.もっとも古いのは, 1916年, 大関久五郎による月山の万年雪の調査であり, 以後, 月山のほか, 北アルプスの劔岳, 鹿島槍ケ岳, 雄山, 穂高岳, 大雪山などにおける万年雪, 雪渓の調査がおこなわれている.これらの報告をできるだけ多く, かつ, 一部は原文を引用して, 日本における多年性の氷雪の分布に関する資料とした.
著者
石田 邦光 大島 慶一郎
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.249-262, 2007

衛星リモートセンシングデータの中で,多くのデータ蓄積があるにもかかわらず,利用されずにいるデータの一つがMOSデータである.3つの異なったセンサによる同時観測という優れた特性を有しながら,取得されたデータが広く研究に利用されることはなかった.しかしながら,雪氷研究においては,観測対象域が極域に多くあることから,少ないながらも利用されてきたといえる.特に,南極域においては,昭和基地において精力的に受信されたことから,貴重なデータを数多く得ることができた.MOSの一つのセンサであるMESSRによって観測された範囲は昭和基地沖周辺に限られるが,これらの画像からは,南極季節海氷域のさまざまな特徴を知ることができる.a)定着氷から氷縁に向かって氷野内の海氷分布構造がいくつかの特徴的な領域に分類できること.b)沿岸ポリニヤの定常的な出現やポリニヤ内における海氷移動の特徴を知ること.c)氷縁だけでなく氷縁内部まで形成されるアイス・バンド構造を理解できることなどである.ここでは,これらの研究成果を紹介することで,MOS MESSRデータの海氷観測における有効性を示した.
著者
松下 拓樹 権頭 芳浩
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.355-365, 2000-07-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
38
被引用文献数
2

雨氷発生の気候学的な地域特性を調べるため, 長野県を解析対象地域として, 雨氷発生日の特定を行い, その年平均日数の地域分布を求めた.雨氷は, 過冷却の雨滴が地物などにあたり氷になる着氷現象の一種で, 上空暖気層 (気温0℃以上) で雪片が融解して雨滴となり, それが地表付近の寒気層で冷されて過冷却の雨滴 (気温0℃以下の降水) となり発生する (melting ice process).その他, 大気全層の気温が0℃以下の場合 (supercooled warm rain process) でも発生することがあるが, ここではmelting ice processのみを対象とした.高層資料から上空暖気層の有無を, AMeDAS資料から地表付近の寒気層と降水の有無を調べ, 二つの気象条件を満たす日を雨氷発生日と定義した.過去20冬季 (1979年11月~1999年4月) について調べた結果, 雨氷の発生は3月に最も多く, 次いで12月に多いことがわかった.また, 最近6年間は雨氷発生日数が少ない傾向にある.次に, 地形因子値を用いた重回帰分析から, 年平均雨氷発生日数のメッシュマップを得た.その結果, 年平均雨氷発生日数は長野県中部と東部で多いことがわかった.特に標高との関係が強く, 山岳地域や高原地域で多くなる傾向が得られた.一方, 北部と南部の低標高地域では少ない傾向にある.
著者
牛尾 収輝 若林 裕之 西尾 文彦
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.299-305, 2006-07-15 (Released:2010-02-05)
参考文献数
19
被引用文献数
2 4

1990年代後半から2005年までの間,南極リュツォ・ホルム湾では沿岸定着氷の崩壊・流出が頻繁に観測されている.南極沿岸海氷の変動特性を把握するために,同湾で生じる海氷流出の履歴に着目して衛星画像を解析した.その結果,流出発生の有無,つまり海氷の安定/不安定は数年間ずつ続いていること,それらの発現時期は海氷上積雪深や地上気温・風系の年々変化の傾向と符合していることが見出された.また,同湾南端に流れ込む白瀬氷河の浮氷舌の動態を加えて,過去50年間の沿岸定着氷の変動を推定したところ,1980年代初期以降の約25年間は不安定で,それ以前に長期間続いた安定な氷状と顕著に異なることがわかった.南極リュツォ・ホルム湾の沿岸定着氷の変動を解析した結果,以下のことがわかった.
著者
井上 聡 横山 宏太郎
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.367-378, 1998-09-15
被引用文献数
18 11

地球環境変化は,日本の冬季の気候や降積雪状況に対して大きな影響を与えることが予想される.そこで,大循環モデルの数値実験結果である地球環境変化シナリオを元にして,日本での降積雪状況の変動予測を行った.その手法は,月平均気温と月降水量を入力とし,経験的モデルによって月降雪深を予測し,得られた降雪深と気温から統計的に最深積雪と雪質を予測するものである.この手法を用い,時系列的に現在から100年後までの降積雪状況の変動を推定したところ,地域的な特徴が明らかになった.北海道と本州山岳地域では,最深積雪が減少した以外は降積雪状況の変動はあまりなかった.山岳地域を除く東北地方では,降雪深と最深積雪が減少し,乾き雪から湿り雪に変化するという大きな変動が生じた.北陸地方以南の日本海側平野部では,気温上昇によって降雪しなくなり,積雪も生じなくなった.これらの特徴は50年後以降に特に顕著となった.また,3つの他の地球環境変化シナリオからも同じ降積雪状況への移行が予測された.降雪深の年々変動は,東北地方北部と北海道で51~75年後に変動幅が大きくなると予測された.
著者
長谷美 達雄 馬場 邦彦
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.119-126, 1994-06-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

関東地方では,南岸低気圧の通過の際に低気圧による暖かな東寄りの気流とこれとは相対的に冷たい北西部からの気流との間に局地前線が形成される.発達した低気圧の場合には東寄りの気流が強く内陸深くまでおよび,はじめ房総半島に見られた局地前線は内陸に進行する.一方,地上付近の北西風は関東西部の山地と前線との間に収束される.前線の西側で湿雪が降り,送電線着雪の発達条件となる.過去の大きな着雪事故はこの地域内で発生している.この地域性は関東の地形に起因し,また低気圧による局地的な前線と関連が深いと考えられるので,局地的な前線の成因と着雪発生との関わりについて考察した.
著者
赤田 尚史 柳澤 文孝 本山 玲美 川端 明子 上田 晃
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 : 日本雪氷協會雜誌 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.173-184, 2002-03-15
被引用文献数
9 4

冬季に,日本海側を中心に湿性降下物中に含まれる非海塩性硫酸イオン濃度が増加する現象が見られ,その原因として中国から冬季北西季節風によって硫黄化合物が輸送されてきていると言われている.その現象を明らかにするために,日本各地の湿性降下物に含まれる非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比を測定した.その結果,硫黄同位体比は各地とも夏に低く,冬に高いという季節変化を示した.しかし,冬季の高い硫黄同位体比に違いが見られた.そこで高層天気図を用いた流跡線解析と東アジア地域で産出・使用されている化石燃料の硫黄同位体比から硫黄同位体比の違いを検討した.中国では北部ほど高い同位体比を持った石炭が燃料として使用されていることから,冬季北日本には中国北部からロシア極東地域で排出された高い同位体比の石炭燃焼起源硫黄酸化物が輸送され,また西南日本には朝鮮半島付近から中国中部及び南部で排出されたものが混合して,同位体比が平均化されて輸送されてくることが推定できた.
著者
福嶋 祐介 木本 二郎 原 正栄 小林 敏夫 酒井 隆市 石丸 民之永 八戸 剛志
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.399-403, 2003-07-15
被引用文献数
2

長岡市よりの委託を受けて,新しい地下水節水型の消雪パイプの有効性を確認し実用化を図るために,長岡市道にて消雪パイプの実証試験を行なった.このプロジェクトは産・官・学の協力の下でおこなわれ,現場実験は実質的に平成15年1月15日に始まった.消雪パイプは極めて有効な除排雪システムではあるが,地下水を用いることで地盤低下,地下水位減少に伴うくみ上げの困難,歩行者に対する散水など,さらに消雪パイプを普及させるためには困難も多い.本実証試験は,降雪強度計を用いて降雪量を測るとともに,インバータで揚水ポンプを制御して,必要最小限の散水を行なおうとする新型の消雪パイプである.この消雪パイプの有効性を確認するため,流量計,水位計,圧力計などを取り付け,これらからの出力をADSLを介してサーバーにデータを蓄積し,いつでもデータを利用可能なシステムとした.また,現地にはデジタルカメラを3台取り付け,画像データもインターネットを介して閲覧可能にした.このことで,1月15日から3月31日まで1分間隔(画像データは10分間隔)で保存するようにした.それ以外にADSLを介して制御パラメータの変更もできる.データはまだ十分な解析を行なっていないが,ここに2003年冬季分の成果を示すことにした.
著者
菊地 勝弘
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.659-662, 2007-11-15
被引用文献数
1

北海道倶知安町の「風土館」に2005年12月から常設展示されているニセコ着氷観測所で実験に使用されたと思われるゼロ式艦上戦闘機(通称:ゼロ戦)の右主翼の発見に端を発した観測所の全容や,実験機の真偽については既に紹介してきた.また,実際に行われた主翼の摺動式防氷装置の実験結果や,中谷宇吉郎が主導したニセコ着氷観測所と孫野長治が主導した手稲山頂の北海道大学雲物理観測所についても考察されている.しかし,U.N.Limitedや中谷宇吉郎雪の科学館に保存されているアルバム,またその他の資料を見比べて,ニセコ観測所での転進台からの九六式の落下事故や,それに関連した九六式の左右の主翼の欠落は何を意味しているのかといった,これまで報告されてこなかった実験機のその後の疑問について検討してみた.
著者
大野 宏之 横山 宏太郎 小南 靖弘 井上 聡 高見 晋一 WIESINGER Thomas
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.225-231, 1998-05-15
被引用文献数
17 13

気象庁で使用されているRT-1, RT-3, RT-4型の転倒桝降水量計について,固体降水に対する捕捉率を新潟県上越市において2寒候期にわたり観測した.捕捉率の計算に必要な真の降水量は,WMO「固体降水の比較観測に関する国際組織委員会」が定めた方法に準じて推定した.観測の結果,固体降水の捕捉率はいずれの降水量計でも風速が強いほど減少し,風速4mにおいては無風時の60%程度であった.減少の程度は,RT-3, RT-1, RT-4の順で大きかった.準器に着雪が発生するなど,国際組織委員会が定めた方法は,北陸地方の降雪の特性には必ずしも良く対応していない点があることが観察された.
著者
福嶋 祐介 大澤 範一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.357-369, 2007-05-15
被引用文献数
1

本州日本海側の豪雪地帯ではその雪の量にも係わらず比較的温暖である.このため,2月から3月にかけては,全層雪崩が多発し,人家に被害を及ぼしたり,道路の閉塞を伴う災害が発生する.このような全層雪崩についてはこれまで多くのモデルが開発されている.しかし,これらのモデルは実際に起こる雪崩をかなり簡略化したり,雪玉の運動に置き換えたりするモデルである.本研究では流体力学の基礎方程式を元にこれを斜面に対して直交方向と流れ方向に積分して,全層雪崩の基礎方程式を求めた.さらに,構成関係式を加えて,雪崩のシミュレーションを可能にするモデルを構築した.この中で,雪の取り込み係数と離脱係数の評価が重要であることを示した.