著者
大浦 浩文
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.7-9, 1950-11-25 (Released:2009-09-04)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

The reflection of sound at the snow surface were observed with the method of standing wave. If the amplitude of incident wave is a, and that of reflected wave is b, then the maximum amplitude of standing wave is a+b, and the minimum is a-b. These values a+b and a-b were measured with the carbon microphone and the Brown tube. From these values the rate of absorption A= (a2-b2)/a2 were calculated. The results were shown in Table 1. and Fig. 1.From these results the following were known.1. The rate of absorption A is considerably large.2. The smaller the density, the larger the absorption.3. For the settled snow, the higher the frequency of sound, the larger the absorption.4. For the settled snow, when the snow were warmed and wetted, the absorption increased.
著者
上石 勲 山口 悟 佐藤 篤司 兒玉 裕二 尾関 俊浩 阿部 幹雄 樋口 和生 安間 莊 竹内 由香里 町田 敬 諸橋 良 後藤 聡 輿水 達司 内山 高 川田 邦夫 飯田 肇 和泉 薫 花岡 正明 岩崎 和彦 中野 剛士 福田 光男 池田 慎二 会田 健太郎 勝島 隆史
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.507-512, 2007-07-15
参考文献数
1

2007年2月~4月にかけて4件の大きな雪崩事故が発生した.2007年2月14日には八甲田山系前岳で表層雪崩によってツアースキーヤーの2名が死亡,8名が負傷した.3月18日には,北海道積丹岳で,スノーモービルで走行中の人など16人が雪崩に巻き込まれ,4人が死亡,1人が重傷を負った.また,3月25日には,富士山富士宮口五合目付近でスラッシュ雪崩が発生し,建物と道路施設に被害を与えた.さらに4月18日には富山県立山雷鳥沢で山スキーヤーとスノーボーダーが表層雪崩に巻き込まれ,1名死亡,2名が負傷する事故が発生した.これらの雪崩事故調査から山岳地域では暖冬でも雪崩の危険性は低くないことが確認された.
著者
渡辺 興亜
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.279-285, 2000-05-15
参考文献数
11

南極氷床内陸部および日本列島の積雪域における広域雪氷観測を通じて, いかにして雪氷化学観測の方法が確立していったかを筆者の個人的経験を回想しつつ述べた.
著者
深澤 倫子
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.369-375, 2009 (Released:2021-04-09)
参考文献数
16

氷や雪のもつ“滑りやすさ”は,スキーやスケート等のウィンタースポーツには欠かせない.この“滑りやすさ”の秘訣は,結晶氷表面の構造にある.結晶氷表面には,融点以下の低温においても,擬似液体層と呼ばれる液体状の層が存在することが知られている. 擬似液体層は,1859年にFaradayによってその存在が提唱されて以来,一世紀以上にわたり,多くの研究者の興味を惹きつけてきた.本稿では,最近の分子動力学計算による研究を中心に,氷表面の構造とダイナミクスについて解説する.
著者
川田 邦夫
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 : 日本雪氷協會雜誌 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.131-136, 2009-03-15
参考文献数
14

高度1000 m 以上の山岳地では一般に風も強く, 地吹雪や降雪時には吹雪となることが多い. その結果として山岳地での積雪は再配分によることが多い.尾根状の地形の所での積雪は風上側が削られ,風下側に多く溜まる.また窪地には雪が多く堆積して,元の地形と大きく異なった表面形態となる. 標高が高い分だけ気温も低く, 強い風速下で積雪は変態と地吹雪によるパッキング, 及び深い積雪による荷重を受けて平地では見られない程硬い雪へと変質する. 山稜部に見られる雪庇というのは本来吹き溜まりの一種と考えられるが, ここに積雪地形という概念を用いて, 雪庇の形成過程を説明した. 風下側の元の地形が急崖であれば, 庇状に伸びた小さな雪庇ができ, 風下側の斜面が緩い場合には最初は吹き溜まり状の形態から前面が次第に急になり, 段差を持つ大型の雪庇を形成する. 巨大に成長する雪庇について, その形成過程を述べた.

1 0 0 0 鉄道と除雪

著者
小竹 豊
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.172-181, 1957

目次<BR>1.雪の輸送に及ぼす影響<BR>2.積雪と気象管理<BR>3.防雪体制<BR>4.機械力除雪<BR>5.人力除雪<BR>6.防雪林及び防雪柵<BR>7.結び<BR>国鉄は23,000kmの本線軌道延長を有し, 年間延39億人の旅客と, 1億6,000万屯の尨大な貨物を輸送して・国民の足の努めを果しているが, 冬ともなれば・その約40%の9,000kmが雪に覆われ, これが除雪に心を砕いている.除雪は雪掻車を主体として, 除雪労務員を併用しているが, その経費は莫大であり, 除雪労務賃銀だけで年間2億円の多額にのぼっている.雪の国鉄輸送に及ぼす影響は非常に大きいが, 以下新潟鉄道管理局における除雪の実晴を主として記述する.

1 0 0 0 OA 氷の中の気泡

著者
前野 紀一
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.8-12, 1966-01-30 (Released:2009-09-04)
参考文献数
4

Microscopic observations were made of the formations and the metamorphoses of air bubbles in ice, which were formed on surfaces of small solid particles on a developing ice-water interface and then captured in the growing ice crystal.The results can explain clearly the regular (sometimes periodic) distributions and shapes of air bubbles in natural and artificial ice crystals.
著者
黒岩 大助
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.131-141, 1968
被引用文献数
1
著者
吉田 順五 黒岩 大助
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-5, 1949

eを氷の電媒常數, em, を積雪の電媒常數とすると, <BR>em-1/em+u=d/0.92*e-1/e+u<BR>を滿足するuは, 積雪の粒の形によつてきまるということがO.Wienerの理論からみちびかれる。dは積雪の密度, 0.92は氷の比重である。いろいろな積雪について電媒常數をはかり, uをもとめたところ, uによつて積雪の粒の形, 粒と粒との連結のぐあいがあらわせそうな見こみがついた。なお, uが粒の形だけできまるというのは近似的なことで, 實はdやeによつてもuはかわる。このことについてもしらべたがuとd, eとの關係は, いろいろの場合でちがい簡單ではない。<BR>この仕事は文部省科學研究費で行つた。

1 0 0 0 OA 黒部川の雪崩

著者
宮嶋 治男
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.35-36, 1963 (Released:2009-09-04)
著者
渡辺 興亜
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.279-285, 2000-05-15 (Released:2009-09-04)
参考文献数
11

南極氷床内陸部および日本列島の積雪域における広域雪氷観測を通じて, いかにして雪氷化学観測の方法が確立していったかを筆者の個人的経験を回想しつつ述べた.

1 0 0 0 積雪モデル

著者
山崎 剛 杉浦 幸之助
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.607-612, 2006-11-15
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

吹雪モデルを含む積雪モデルの現状と課題について概観した.積雪モデルは大きく分けて,少ない入力から積雪を評価する簡便なモデルと,可能な限り複雑な物理過程を考慮して積雪の層構造をも再現する多層モデルに分類される.また,吹雪モデルは個々の雪粒子の運動力学に基づくモデル,吹雪を空間濃度で表現し乱流拡散理論に基づくモデルが構築されている.それぞれに関して日本で開発されたモデルを中心に,代表的なモデルを紹介した.また,積雪モデルの国際相互比較Snow MIPについても紹介した.今後の課題として,雪の移動・再配分を含めた積雪分布モデル,森林地帯の扱い,気候予測に使える凍土を含めた長期積分可能なモデル,組織的な取り組みの必要性を指摘した.
著者
長田 忠良 小林 俊市
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.23-27, 1971
被引用文献数
1

道路横断方向に4観測点を定め, それぞれの点における路面圧雪の密度, 硬度, 雪温などを連続的に測定した.<BR>最高気温が2.1℃, くもりの日中11~17時の間に平均密度が0.57g/cm<SUP>3</SUP>から0.63g/cm<SUP>3</SUP>に, 表面付近の雪粒の最大粒径は約0.3mmから0.5mmに変化し, 表面下約3mmまでは完全に氷板化した. この間に測定された表面硬度は, 35~110kg/cm<SUP>2</SUP> (木下式硬度) であった. 横断方向4点の硬度差の最大は50kg/cm<SUP>2</SUP>であって, 日中の通行幅の広がりによって15kg/cm<SUP>2</SUP>まで減少した.<BR>もっとも融解が進んだとみられる時においても, 横断方向4点の硬度のうち最大は55kg/cm<SUP>2</SUP>で, 一般の除雪機により十分な処理量が得られるほどの硬度の大きな低下はみられなかった.
著者
赤川 正臣
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-6, 1977
被引用文献数
2

オホーツク海西部の海氷季節初期における結氷域の生成・拡大,流氷群南下には低温・低塩分水から成る東樺太海流の役割が重要とされている.この東樺太海流は主としてアムール川の陸水によってかん養され, またアムール川流量は主として夏季モンスーンによる降水量が補給源とされている.したがって, 因果的にはアムール川流域の夏季雨量と海氷季節初期の海氷現象との間に, 相関関係が期待されるかも知れない.<BR>このような考えから,雨量としてブラゴベシチェンスクとニコライエフスクの地点雨量, 海氷現象として樺太東岸の一年氷出現日,エリザベト岬の結氷初日および北海道紋別沿岸の海水比重急落日を選び,それらの相関を評価してみた.しかし,有意な相関関係はほとんど得られなかった.これはアムール川流量を地点雨量で代表させるのに問題があり, また東樺太海流の消長や海氷現象は気温や風などの気象条件が大きく利いているためである.
著者
清水 弘 秋田谷 英次 中川 正之 岡部 俊夫
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-8, 1973-03-31 (Released:2009-07-23)
参考文献数
5

A preliminary observation on the avalanche of the Shiai-dani valley, Kurobe Canyon, North Japan Alps, Honshu (Figs. 1 and 2), was carried out during the winter of 1971-1972.The principal subject of the preliminary observation was to figure out the magnitude of the avalanche of the Shiai-dani valley. Ten sets of penetrometer (Figs. 4 and 5) were installed around the observation site (Fig. 7) : 6 sets on the concrete wall and 4 sets on two frameworks of iron beams with an H shape in the cross section (Fig. 6).(1) From the monthly routine observations of snow accumulation, it was presumed that the amount of snow accumulation through the winter of 1971-1972 in the Kurobe Canyon was less than a half of the average.(2) During the period from February 20 to March 15, 1972, an avalanche assaulted the observation site of the Shiai-dani valley. As the result, upper beams of the iron frameworks were bent to the downhill side of the valley (Figs. 8, 9 and 13) : the directions of the bend of the both beams were almost parallel and coincided with that of the avalanche of 1938 which killed 82 workmen : the airection of the avalanche was given by arrow marks in Figs. 7 and 10.(3) The intensity of the avalanche loading in t/m2 calculated simply from the record of the penetrometers as the static loading is given in Table 1, without particular calibration.i) Fig. 7 gives the distribution of the intensity of the avalanche loading in t/m2 around the observation site. The values in the right half area of the site appeared larger than those in the left half area by twice or more. It could be presumed that the main body of the avalanche ran through the right half of the site or a little more toward the valley side of it. The largest value of the intensity of the avalanche loading (66.9 t/m2) was recorded at the point Q-S, while the smallest value (0.7 t/m2) at the point B which was at a distance of only several meters from the point Q-S, laterally to the avalanche. Moreover, the distribution of the intensity of the avalanche loading over the observation site showed some complicated features, which might have been resulted from the strong effect of the minute surface topography of this area.ii) The intensity of the avalanche loading at point S appeared larger than that at point R, of both P and Q. A supporting effect of the supporting legs of the framework could be reflected on this result; if so, the value at the point S would be closer to the real value than that at the point R.(4) The Shiai-dani valley is a very steep and deep valley with the mean inclination of 30°; it has a total length of 2 km, and a depth of about 40 m in the vicinity of the observation site even in the snow season. At a point about 100 m upstream from the observation site, the valley curves sharply to the right making an angle of about 70°. According to such topographic conditions, it was presumed that the avalanche falling down along the Shiai-dani valley collided against the steep face of the right bank side of the valley at the curve (X mark in Fig. 10), then directly assaulted the observation site without running in the valley.
著者
阿部 修 力石 國男 石田 祐宣 小杉 健二 上石 勲 平島 寛行
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.513-518, 2007-07-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
5

2007年2月14日午前11時過ぎに八甲田山系前岳の北東斜面で発生した表層雪崩について,現地調査および周辺の気象・積雪観測からその発生要因を考察した.その結果,この雪崩は強風により生じた吹きだまりの一部が崩落した可能性があることがわかった.また,今回雪崩があった沢は,典型的な雪崩地形であることがわかった.
著者
湯川 竜二
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.131-133, 1971

シンポジウムの趣旨ならびにまとめについては上述したとおりである。<BR>新幹線における雪氷害の現象, その対策の概要について斎藤氏から, 着雪現象の物理, ならびに散水量と濡れ雪の効果について荘田氏から, また散水設備について石橋氏から, それぞれ経験, 現象の解析, 実験結果等の各角度から詳細な論述と討論が行なわれた。高速自動車交通における視程の問題について土屋氏から, 道路の凍結現象について井上氏から, すべりの機構について市原氏から論述があり, それらの対策についてそれぞれ討論があった。降雪の質, 量, 凍結状況等の測定方法ならびにその情報伝達系について馬場氏, 樋口氏, 荘田氏からそれぞれ論ぜられた。樋口氏の雪雲の観測実験の報告は, 局所的かつリアルタイムの降雪予報体制の確立へ進むものとして多大の関心を呼んだ。更に, 関ケ原地区における気象の特性, 局地的な降積雪の予測について石原氏から詳述され, 高速陸上交通における降雪予報のリアルタイムの情報管理体系について石原氏, 樋口氏および馬場氏から解説と論述が行なわれた。さらに降積雪地帯における高速道路の交通管理のあり方についての大島氏, 巻島氏からの論述, ならびに, 北陸, 東北等の高速道路の計画, 建設における問題点について, 路線の選定, 降積雪から防護方法等について述べられた。<BR>以上, 今次のシンポジウムは, 高速陸上交通における雪氷害の現象の解析と, その対策の樹立について, 今日的問題の究明と, 明日への課題について, 体系的に論ぜられ, Research, Survey, Practice, Engineering, の共同と相互のフィードバックがこの種の問題の解決を加速するという恰好の例を示したものといえるであろう。
著者
和泉 薫 錦 仁
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.461-467, 2002-07-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
21
被引用文献数
1

雪崩を表す言葉が,日本で最初に記載されたのは,1076年に詠われた連歌中でかな文字の「なだれ」であった.日本ではこの平安時代後期頃“なだれ”現象が認識され始めたと推定した.その後室町時代には漢字の「雪頽」が辞書に現れた.これらはいずれも全層雪崩を意味していたと考える.江戸時代中期からは,「アワ」等と呼ばれる表層雪崩が「雪頽」,「ナデ」などの全層雪崩と区別して認識され文書に記載されるようになった.現在一般的に使われている「雪崩」は“なだれ”現象全体を表す言葉であるが,それは明治初頭に国の官林調査で「ナデ」も「アワ」も統一して「頽雪」と書くよう規定したことに由来する.この「頽雪」から現在の「雪崩」までの漢字や書体の変遷には,国が定める当用漢字の変化が大きく関係していることがわかった.