著者
青沼 徹 前田 信治 岡田 誠之 野知 啓子 赤井 仁志
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.157, pp.11-17, 2010-04-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1

浴場施設における浴槽水の水質は公衆浴場法等により規制されているが、公表された浴槽水水質データは比較的少ないと考えられる。一方では、浴槽水の水質が微生物汚染等により悪化し、利用者の健康被害が生じている例も挙げられる。そこで既存浴場施設における浴槽水の水質実態把握が必要であると考え、実施した。また、浴槽水の有機汚濁負荷を明確にするために、被験者一人当たりの浴槽水水質についても調査した。得られた浴槽水質については、各水質項目間の相関、重回帰分析を行い、浴槽水質の特性を考察した。
著者
紀谷 文樹 円角 健一 市川 憲良 小川 正晃 栗原 隆
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.51, pp.69-78, 1993
被引用文献数
2

本報は,当学会で作成した"給水・給湯設備の計測システム指針"に基づき,男子独身寮における水・湯の使用量の実態調査を行った結果に関する調査研究報告である.約80名を収容する男子寮を対象として,給水4系統(建物全体・洗濯室・厨房および大浴場),給湯1系統(大浴場)の使用状況について,約1週間にわたり連続自動計測を実施している.同様の計測を冬期および夏期に実施し,それらの結果を比較・分析してその傾向を把握した.
著者
吉永 美香
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.81, pp.31-38, 2001-04-25 (Released:2017-09-05)
参考文献数
12

結晶系シリコン太陽電池はその温度上昇により発電効率が低下するため、特に夏期に効率よく熱を除去することが望ましい。本研究では自然冷房の一手法である蒸発冷却を応用し、太陽電池パネル面に散水を行うことで電池温度を低く維持する方法を定常シミュレーションによって検討する。散水を行わない太陽電池パネルと比較することで散水の有効性を確認し、日射量、気温、風速、相対湿度、散水温度などのパラメータが発電性能に及ぼす影響を明らかにする。さらに東京標準気象データを用いた夏期シミュレーションより実用上期待される効果を示し、散水の水源として雨水を利用する可能性についても言及する。
著者
山口 容平 永山 紗弥子 下田 吉之 西山 満 西端 康介 今井 和哉 濱根 潤也 三瀬 農士
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.197, pp.1-9, 2013-08-05

小規模事務所ビルは床面積に占めるペリメータ域の比率が高く,外部環境からの熱的影響を受けやすい。また,外皮の断熱対策が十分に行われていないものが多い。このような性質を持つ事務室を対象として,空調負荷および室内空気温度の分布を計測した。その結果,冬期において,外皮からの熱負荷によって机の下など床面付近に低温度の空気が滞留し,垂直方向に大きな温度差が形成されていることが確認された。一方,空調機は室内の代表点温度によって制御を行うため,垂直方向の温度分布によって室内への供給熱量が過小となり,室内の快適性が確保されていないことが確認された。このような状況の改善のため,建物外皮の断熱性能の向上,室内温度分布を考慮した空調システムの制御を行うことを想定して熱負荷計算を行い,空調熱需要の低減効果を推計した。
著者
石原 修 中川 正裕 久保 隆太郎 馬場 敬之
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.117, pp.29-36, 2006-12-05
被引用文献数
2

猛暑が続くと電力需要が伸び、冷夏では減少する。逆に暖冬ではガス消費量が減少し、寒い冬には増大することが良く知られている。近年、電力各社の販売電力量は増加しているが、ピークデマンドはここ数年最大量の更新はない。本研究は、九州地方において、外気温の変動に伴う電力負荷量を定量化するために、福岡市及び熊本市の電力供給量と気温変動に関して詳細な分析を行った。また、福岡市及び熊本市の各電力供給エリアにおける建物延べ床面積のデータベースを基に、福岡市及び熊本市の電力供給量の気温感応度の原単位を算出した結果について報告する。
著者
藏澄 美仁 濱中 香也子 小林 和幸
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.99, pp.31-41, 2005-06-05
参考文献数
39
被引用文献数
5

本研究の目的は,床冷房条件の違いが人体に及ぼす影響を被験者実験により明らかにし,床冷房時の至適域を提案することである.実験は,気温と床表面温を組み合わせた条件に,被験者6名を用いておこなった.その結果,以下の知見を得た.1)熱放射と熱伝導の影響を組込んだ伝導修正作用温度は,熱放射と熱伝導の効果を気温換算して的確に表現し得る温熱環境指標であることを示した.2)床冷房の冷却の効果により,全身の温冷感申告値が中立温冷感よりも暑い側を好む傾向を明らかにした.3)投げ足位姿勢での床冷房の至適温熱環境条件は,伝導修正作用温度が25.3〜30.5℃の範囲となることを提案した.
著者
越川 康夫 飯尾 昭彦 村川 三郎 市川 憲良 坂上 恭助
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.65, pp.41-52, 1997-04-25
被引用文献数
7

成人を対象として,トイレ利用に関する意識調査を実施し,職場のトイレまでの距離に対する考え,トイレでの待ち行動,トイレに対する要望および好ましい便器などのトイレに対する種々の事項を明らかにした.また,同時に実施した15分間隔の生活調査により,トイレ利用に関連する生活行為と排せつ行為の1日の経時変化を示した.そして,これらの結果を用いてトイレ利用を考察し,"基本要因(起床・昼休み・就寝)","時間帯","場所","習慣"および今後考慮すべき質的な内容である"清潔"をトイレ利用の要因として選定した.
著者
洪 玉珠 市川 憲良 鎌田 元康 石渡 博 坂上 恭助 炭田 和宏 大中 忠勝 坊垣 和明 田中 正敏
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.43-59, 1991-02-25
被引用文献数
7

快適なシャワ設備の設計用資料を得ることを目的とした,シャワヘッドをハンガに掛けた状態でのシャワ実験と,入浴時の洗体を想定したハンドシャワでの適温・適流量を求めるとともに,その時の浴槽内の適温を探る実験を行った.また,近年の自動ふろがま(風呂釜)の普及にともない出現した追いだきの方式から,強制循環・半強制循環・高温差し湯の三つを選定して種々の条件で運転し,入浴時追いだきの快適条件を探る実験を行った.これら3種類の実験で得られた結果から,適温・適流量および湯温・湯流量の許容変動幅に関する第一段階の設計目標値を提案するとともに,入浴しながら追いだきを行った場合の,現状機器での問題点を明らかにした.
著者
松川 安樹 宮下 守 宮田 義一 朝倉 祝治
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.157, pp.1-9, 2010
参考文献数
16

冷温水や冷却水配管に使用した亜鉛めっき鋼管に,局部腐食による漏水トラブルが発生することが度々報告されている.この原因として,亜鉛と鋼の電位逆転現象が考えられているが,そのメカニズムと腐食対策は明らかにされていない.前報では,過去に行われた研究の歴史と筆者らが経験した腐食事例の解析結果から,水質の影響で亜鉛の電位が貴方向に変化することを示した.本研究では,亜鉛の電位が貴化する機構を電気化学的な測定により明らかにした.そして,これまでの研究で得た結果を基に亜鉛めっき鋼管に局部腐食が発生する要因を推察し,漏水トラブルを未然に防ぐ方法を提案した.
著者
松川 安樹 宮下 守 宮田 義一 朝倉 祝治
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.157, pp.1-9, 2010-04-05

冷温水や冷却水配管に使用した亜鉛めっき鋼管に,局部腐食による漏水トラブルが発生することが度々報告されている.この原因として,亜鉛と鋼の電位逆転現象が考えられているが,そのメカニズムと腐食対策は明らかにされていない.前報では,過去に行われた研究の歴史と筆者らが経験した腐食事例の解析結果から,水質の影響で亜鉛の電位が貴方向に変化することを示した.本研究では,亜鉛の電位が貴化する機構を電気化学的な測定により明らかにした.そして,これまでの研究で得た結果を基に亜鉛めっき鋼管に局部腐食が発生する要因を推察し,漏水トラブルを未然に防ぐ方法を提案した.
著者
吉永 美香
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.81, pp.31-38, 2001-04-25
参考文献数
12

結晶系シリコン太陽電池はその温度上昇により発電効率が低下するため、特に夏期に効率よく熱を除去することが望ましい。本研究では自然冷房の一手法である蒸発冷却を応用し、太陽電池パネル面に散水を行うことで電池温度を低く維持する方法を定常シミュレーションによって検討する。散水を行わない太陽電池パネルと比較することで散水の有効性を確認し、日射量、気温、風速、相対湿度、散水温度などのパラメータが発電性能に及ぼす影響を明らかにする。さらに東京標準気象データを用いた夏期シミュレーションより実用上期待される効果を示し、散水の水源として雨水を利用する可能性についても言及する。
著者
伊藤 一秀 八木 久晴 山口 一 西川 和男 林 徹夫
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.134, pp.21-29, 2008-05-05
被引用文献数
2

本研究は、気中に放出された負イオンならびに正イオンの移流・拡散性状、固体壁面に対する沈着現象、正負イオンの再結合現象等の物理化学現象に着目し、その工学的モデリングと支配パラメータの推定を行うと共に、実空間に適用可能なイオン濃度分布の予測法を開発することに主眼がある。本報(第1報)ではCFDをベースとしたイオン濃度予測モデルの概要を示すと共に、特に、イオンの不均一密度分布に起因する体積力の程度、壁面沈着モデル、再結合モデルといった各モデルの適用が負イオンの濃度分布予測結果に与える影響に関して、2次元居室モデルを対象として検討した結果を報告する。
著者
斎藤 隆雄 五町 善雄 中原 信生 蜂須賀 舜治 佐藤 浩 井内 松三郎
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.13, pp.67-76, 1980-06-25

無風時における自然通風冷却塔の塔内気流について模型実験を行った.模型の高さは800mm,底部と頂部での直径は,それぞれ672mmと424mmである.熱交換部は電気ヒータによって模擬し,気流への通風抵抗はグラスウールフィルタによって与えた.煙による塔内気流の観察と,頂部吐出し口における速度と温度の分布の測定を行い,発熱量・通風抵抗・空気取入れ口の大きさなどが,塔内気流に及ぼす影響について調べた.
著者
加藤 正宏 山中 俊夫 小林 知広 渡部 朱生
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.285, pp.17-27, 2020-12-05 (Released:2021-12-05)
参考文献数
14

大面積の窓を有するエントランス・吹抜空間や,窓性能が低く暖房時に窓近傍の温熱環境悪化が懸念される場合にはペリメータファンおよび自然対流型ペリメータヒータなどの窓対策設備の使用が検討される。本報告では冷却された窓面下部に機器を設置した場合の詳細な現象の把握とシミュレーション検証データ取得を目的とした温度分布およびPIV による風速分布測定を行った。また,特に上下温度分布予測モデルの検証やモデル化に反映するため,窓面近傍の上昇流・下降流風量の推定と,室温・窓面熱流の測定値より,対流・放射熱伝達率を算出した結果について報告する。
著者
近藤 靖史 太田 恭兵 小倉 久 横田 賢祐 早川 眞
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.215, pp.11-18, 2015-02-05 (Released:2017-09-05)

シックハウス対策として新築住宅に義務付けられた常時換気システムの一つである「排気セントラル換気方式」では、排気経路として扉のアンダーカットが多く採用されている。しかし人体から発生する汚染質や水蒸気などの排出を主な目的とする場合においては、室上部に排出経路を設けることが適切と考えられる。そこで、本研究では就寝時の住宅寝室を対象とし、排気経路を扉のアンダーカットとした場合と扉上部に設けた開口とした場合の換気性状を実験とCFD解析により比較・検討した。その結果、温熱環境には両者に大きな差は見られないが、空気環境は扉上部の開口を排気経路とした場合の方が良好となった。
著者
早川 眞 近藤 靖史 太田 恭兵
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.192, pp.31-34, 2013-03-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
6

シックハウス対策として新築住宅に義務付けられた「住宅の常時換気システム」の一つである「排気セントラル換気方式」では、排気経路として扉アンダーカットが多く採用されている。しかし、人体から発生する汚染質や水蒸気の排出を主目的とする「個室の換気性能確保」の観点では、扉の上部開口を中心とする上部排気経路の配置の方が効果的なはずである。このような観点から冬期の夜間の寝室を想定して、アンダーカットと扉上部開口を比較する形で気流分布、温度分布、CO_2濃度分布をCFD解析で求めてその優劣を確認した。その結果、扉上部開口の設置の方が有効であること、既存の換気計画マニュアル等の改正が望ましいことが分かった。
著者
黄 孝根 加藤 信介 関根 賢太郎 吉冨 透悟
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.229, pp.47-56, 2016-04-05 (Released:2017-05-01)
参考文献数
8

一般に、人を除く内部発熱源は定位置で、室内設定温度以上の比較的高温で放熱する。この発熱の多くを室内空間に広く拡散させず、その直近で、室内設定温度程度の冷却水で直接吸熱処理できれば、室内空間での温度分布が低減され、室内の温熱環境が改善されるとともに、冷却水温度の上昇により、冷却熱源用ヒートポンプのCOP(成績係数)が増加し、空調の省エネルギー化が促進できる。本報は、このような室内空調設計の基本思想を素直に具現化する「液冷空調システム」の実現を図る研究の一環である。本研究は複数の連続する報告により構成されるが、本報は、一般業務ビル(オフィスビル)を対象とし、代表的な建物内の内部発熱源として、人の温熱環境に大きな影響を与える可能性のある天井設置LED照明とPC(Personal Computer)の室内空間への放熱特性を詳細に分析した結果を示す。この分析は、LED照明やPCからの発熱を直接冷却水に吸熱させ、「液冷空調システム」の重要な室内パーツとなる内部発熱源の「液冷熱回収ユニット」の設計基礎資料、およびオフィスワーカーのワークスペース周りの温熱環境分析を行う基礎資料となる。検討したPCは、2013年現在で一般的であるノート型およびデスクトップ型の市販品であり、天井付きのLED照明も同時期の市販品である。検討は、対象発熱機器を室内温度25℃前後の恒温チャンバに設置し、発熱体の表面温度分布、機器への投入電力を測定するとともに、測定値に基づく対流放射連成CFD(Computational Fluid Dynamics)解析により行う。対流放射連成CFD解析により、表面からの詳細な対流、放射熱放熱性状、並びに機器の隙間から生じる隙間換気による放熱が、同定される。その結果、これら機器からは、総発熱量(投入電力量)の約35(ノートPC)〜75%(LED照明)が表面からの対流・放射伝熱で周囲に放熱され、残りが機器の排気ファンや隙間などで生じる隙間換気で放熱されること、機器表面で生じる放熱のおよそ40%が対流成分で60%が放射成分であることが明らかになった。なお、本報で検討した結果は、これらの発熱機器の発熱温度が、室温設定温度より相当高温のため、室内設定温度の若干の上昇あるいは下降の場合にも準用可能と考えられる。
著者
田中 辰明 平山 禎久 柚本 玲
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.128, pp.41-44, 2007-11-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1

ドイツのブデルス社は1731年に鉄鋼業として創業し、放熱器やボイラ、調理用暖炉などを製造してきた。1920年代には日本の有名建築にボイラを多数輸出し、わが国の建築設備界に影響を及ぼした。本報では同社が製造した調理用暖炉の調査報告を行う。当時は調理用の暖炉がそのまま厨房の暖房に用いられた。主に同社が1895年に発行した社内資料による。
著者
持田 徹 堀越 哲美 落藤 澄 嶋倉 一實
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.48, pp.39-47, 1992-02-25 (Released:2017-09-05)
被引用文献数
1

人体と環境との間の熱平衡式を基礎にして,温熱指標を作成しようとする時,蒸汗放熱量の表現がその全体像を決めると言っても過言ではない.本論文では,まず蒸汗放熱の表示式の特徴と,それらが熱平衡式の中で果たす役割について考察した.次に,生理実験の結果から,一定の平均皮膚温の下で,ぬれ面積率の値がある範囲内で変化することを確認し,このような挙動を示すぬれ面積率を考慮した場合,等平均皮膚温線は,湿り空気線図上で曲線を描くことを導いた.さらに,平均皮膚温ごとに,取り得るぬれ面積率の最大値と最小値を,実験データと理論的な検討から決定し,ぬれ面積率の特性曲線を定めた.そして,この特性曲線を基に,新しいタイプの温熱指標となる,等平均皮膚温線群を提案した.
著者
宮田 翔平 小暮 友太 赤司 泰義 谷口 景一朗
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.314, pp.19-28, 2023-05-05 (Released:2023-04-20)
参考文献数
31

近年、デマンドレスポンスや不具合検知・診断といった建築設備の高度な運用が期待されている一方、これらに必要な空調システムシミュレーションの構築やデータ分析は手作業に依るところも大きく容易ではない。本研究では Brick Schema を活用し、空調システムシミュレーション構築支援・活用フレームワークを提案する。提案フレームワークの活用例としてまず熱源システムのBrickモデルを構築し、機器オブジェクトの作成や隣接する機器の温度・流量に基づく対象機器の入口温度等の算出を自動化する手法を示した。次に、Brick モデルのグラフ構造を活用したシミュレーション結果の分析がスケーラブルに実行可能であることを示した。