著者
西村 直也 柳 宇 鍵 直樹 池田 耕一 吉野 博 斉藤 秀樹 斉藤 敬子 鎌倉 良太 小畑 美知夫
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.175, pp.1-8, 2011-10-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
10
被引用文献数
2

本研究は医療施設における室内空気環境の維持管理のあり方について検討することを目的とする。第1報では調査の詳細および冬期、夏期における計18件の病院の外来待合室、事務室および病室に対する建築物衛生法の測定方法に準じた空気質の実測調査結果を示した。また第2報では浮遊微生物濃度の実態を明らかにした。第1、2報では建築物衛生法の環境基準値およびHEAS指針値を超過する室が多く見られ、適切に運用するためには、空気環境について定期的に監視することが有効であるという見解が得られた。本報では、温熱環境、空気質について連続測定や定量分析を行うことによって、より詳細に実態の解析を行った。その結果、室によっては温熱環境の日中変動が大きいこと、室内の浮遊粉じん濃度が外気の濃度に大きく影響を受けていること、VOC類の濃度は概ね低く抑えられているものの、DEGEEやカンファーなどが特徴的に検出されることなどを確認した。
著者
大高 武士 末原 忠臣 門 久義
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.198, pp.27-33, 2013-09-05 (Released:2017-09-05)

ヒートアイランド現象への対策には,都市緑化率の向上,ビル屋上や壁面の緑化,霧噴流による局所冷却,ビル壁面への高断熱材使用あるいは高反射塗料の塗布など,様々な方法が実施されている.本研究では,建物壁面に貼り付けた布に水を浸透させ,水の蒸発潜熱で壁面を冷却して建物内の冷房負荷を低減することにより,空調用電力の省エネルギーを促進することを目指す.本報告では鉛直加熱壁面を模擬した黄銅板に,保水率が42.7〜268mass%で蒸発速度が3.13〜3.50g/(m^2・min)の5種類の不織布を貼り付け,それに供給される水の蒸発による冷却量を計測した.その結果,冷却量がどの供試布でも同程度であったが,壁面温度が高いほど冷却量が大きく,風速が速いほど冷却量が大きくなることが明らかになった.
著者
山下 礼二 島田 学 植林 信一
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.45, pp.13-18, 1991
被引用文献数
1

大きさが0.5〜3μmの粒子を対象として,ダウンフロークリーンルーム内に置かれた物体への粒子沈着実験を行った.沈着に及ぼす静電気力の影響を調べるため,接地した平板と,正または負の電圧を印加した平板を沈着面として使用し,円管内を層流で流れる単分散エアロゾル粒子を室内気流と等速で吹き付けた.また,粒子の帯電量分布の測定も行った.平板表面に付着した粒子の個数から沈着速度を求めたところ,粒子に働く重力ならびにクーロン力の解析結果に基づいて得られた理論値との間に良い一致がみられた.本報の結果より,粒子沈着量の予測においては粒子の帯電状態および沈着面近傍の電場の把握が重要であることが示唆された.
著者
上村 靖司 加藤 涼 上浦 圭太
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.201, pp.11-18, 2013-12-05 (Released:2017-09-05)

人工的に製造した角氷と空気を直接接触させて冷房を行う冷房装置を製作し,冷房能力および空気清浄(集塵・脱臭)効果を試験的に評価した。内径250mmの円筒内に一辺約30mmの角氷を充てんし,角氷の空げきに空気を通して冷房したところ,2.5kWの冷房能力が得られた。次に,粒径の異なる3種類の氷,2段階の風量,2段階の初期氷充てん高さを組み合わせた条件を設定し,タバコの煙を用いて試験環境内の粉塵濃度および代表臭気成分濃度の変化を測定したところ,条件によらず集塵効果は見られなかったが,脱臭は空気清浄機と同等以上の効果が見られた。
著者
安岡 絢子 上野 剛 宮永 俊之
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.230, pp.27-36, 2016-05-05 (Released:2017-05-05)
参考文献数
26

省エネに寄与する新たなエアコン選定方法を提案するため,従来のエアコン選定に関する調査とその課題を抽出した。その結果,「畳数めやすの基になっている冷暖房負荷の値は1964年から改正されていないため,現在の住宅特性に合わない」,「多様なライフスタイルが考慮できない」といった課題が抽出された。これらの課題を基に,生活者が「住宅特性」,「ライフスタイル」,「選好項目」を入力することで,多様な住まい方に合ったエアコンを自動で選定できる,エアコン選定ツールを提案した。戸建住宅を対象としたツールのプロトタイプを構築したところ,畳数めやすで選定するよりもツールで選定する方が,省エネとなることが試算された。
著者
宮田 翔平 赤司 泰義 林 鍾衍 本村 彬 田中 勝彦 田中 覚 桑原 康浩
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.261, pp.1-9, 2018-12-05 (Released:2019-12-05)
参考文献数
6

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による実際の計測データ(BEMS データ)の不具合検知・診断(FDD)がより適切となるよう,シミュレーションにより作成した不具合データと不具合がない場合のデータの差分を正規化し,不具合が生じたデータのみを抽出し,各ラベルのデータ数を均等にする前処理手法を提案した。本手法に従い前処理された不具合データを学習した CNN を 1 年間の BEMS データに適用し, CNN による診断結果と BEMS データ分析結果とを比較することで本手法が適切であることが示された。加えて,システムが有する不具合は運用条件によりデータに発現または潜伏し,これが本研究の提案するFDD 手法により捉えられることが示された。
著者
藤村 和也 坂上 恭助 光永 威彦
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.255, pp.29-36, 2018-06-05 (Released:2019-06-05)
参考文献数
8

給水設備における給水管径やポンプ吐出流量といった各種の機器容量の設計には、器具給水負荷単位により瞬時最大流量を求める負荷算定法が一般的に用いられている。この方法は、1940 年代にアメリカのハンター(Roy.B.Hunter)により提案された手法であり、我が国では、当時の設備事情に合わせて微修正をしたものが、HASS-206 (現行の SHASE-S 206)の技術要綱や建築設備設計基準(国土交通省監修)において記載され、広く普及した。しかしながら、近年の衛生器具の節水化は著しく、ハンタ ーが提案した当時の衛生器具の仕様を基に制定されている本手法によって求めた給水負荷は、実態からかい離しているおそれがある。そこで、本報では節水化が進んでいる最新型の大便器と小便器の給水特性の調査を行い、器具給水負荷単位を適用する検討を行った。その結果、最新型の大便器と小便器の器具給水負荷単位は、現行の値よりも小さくなることを示した。
著者
近藤 基 持田 徹 桑原 浩平 長野 克則
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.81, pp.1-9, 2001-04-25 (Released:2017-09-05)
参考文献数
6

快適な都市空間づくりが主要なテーマとなってきた現在,都市の熱環境が人の温冷感に及ぼす影響を正しく評価することも重要である.その評価のための温熱指標確立のための要素は種々であるが,屋外環境では,特に,日射の影響が地物での反射も含めて大きい.そこで,本研究では,多重放射を考慮して,日射と建物など地物の影響を組み入れた平均放射温度の導出を試み,その評価法として提案する.また,多重放射の影響については,射度と本研究で定義するIncidence Factorにより考慮し,それぞれによる平均放射温度を導出し,その特性について検討する.
著者
宮良 拓百 射場本 忠彦 百田 真史
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.133, pp.27-35, 2008
参考文献数
27

前報では,効率の良い熱搬送システムを構築するために,水平直管部における圧力損失特性と,搬送熱量の制御を目的とした配管内IPF計測手法について検討し,システム実現の可能性を確認した.本研究は,ブロックアイスの熱的有効性の検証を目的に,焼結回避の条件と搬送熱量の増大化について検討し,また具現化に必要な設計用数値データの提供を目的に,ブロックアイスと水との熱交換速度について検討した.その結果,ブロックアイスを水中に没することで焼結を回避でき,配管内最大氷充填率約50%においても搬送可能であることを実証した.また実測した熱交換速度から,地域主配管内での負荷処理速度予測が可能であることを確認した.
著者
百田 真史 射場本 忠彦 宮良 拓百 山田 博 村上 浩 今井 智将
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.83, pp.11-20, 2001
参考文献数
15
被引用文献数
3

地域冷房にブロックアイス(25mm角)を用いた氷水搬送による高密度熱搬送システムを提案した.このシステムは需要家からの還水と地域主配管内の氷を直接配管内で熱交換させるもので,従来の二管式と比較して管路が短縮できるという利点を持つ.このシステムのかなめとなる氷水圧力損失特性把握,管内IPFの非可動・オンライン計測手法,及び管内氷粒径の推測手法について検討を行い,提案システムの可能性を示した.氷水圧力損失特性については流速,IPF,管径を変えた時の圧力損失特性が予測を基に最適制御が可能なことを,また管内IPF計測については超音波濃度計を用いたオンライン計測が可能であることを確認した.
著者
吉岡 誠記 横山 真太郎 小口 智
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.146, pp.13-21, 2009
参考文献数
24
被引用文献数
2

わが国では人口構成の高齢化が進んでおり、今後、社会福祉施設を利用する数の増加が予想される。一方、近年では室内環境における微生物汚染が着目されており、例えば一般に易感染者とされる高齢者を中心とする社会福祉施設においては、重症かつ大規模な被害の可能性も考えられる。そこで、我々は札幌市東区にある老人保健施設を対象に、ビル管法で室内における濃度基準が定められている項目に加え、一般に室内空気汚染の指標として取り上げられることが多いと思われる室内浮遊微生物や自然放射性物質などを加えた項目を主要室内空気質として、その測定調査を実施し、その実態の調査を行った。この結果、冬期では非常に低湿度傾向にあることが確認された。続いて、このような低湿環境においては細菌やウィルスに対する抵抗力が低下すること多くなることが考えられるため、施設内感染対策に関連した室内空気環境における微生物制御を念頭に、加湿・滅菌複合システムの開発を行った。そして本システムの有効性の考察およびその活用法の具体的手順の提示を目的とし、同施設での導入実験を行い、湿度レベルの保持とともに浮遊微生物数の減少に効果がみられることを確認した。
著者
富樫 英介
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.204, pp.69-76, 2014

本研究の目的は、設備の年間エネルギーシミュレーションという用途において、実装が簡便で計算が速い、R32の熱物性値の計算法を開発することである。新たなPVT式を提案し、微積分操作により比エンタルピー、比エントロピーおよび比内部エネルギーを算出する方法を示した。R32の標準的な冷凍サイクルを前提に状態式の適用範囲を検討し、PVT関係、比エンタルピー、比エントロピー、ギブスエネルギーについて同時回帰を行うことで近似係数を推定した。また、簡単な冷凍サイクルの計算を行うことで、国際状態方程式との計算結果の比較を行い、提案した状態方程式の精度を評価した。圧縮仕事や冷却量に関しては誤差率5%未満で計算が可能であった。
著者
須田 礼二 岡 建雄
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.80, pp.49-58, 2001
参考文献数
17

近年の高齢化世帯の増加や職住近接のニーズを背景として注目されつつある都心集合住宅では,従来の標準世帯構成とは異なる給湯負荷特性が予想され,新しい省エネルギーシステムの導入計画には最新の実態把握が必要である.本研究は給湯負荷実測により,住宅タイプの異なる200戸レベルの都心集合住宅の給湯負荷特性を解析したもので,時間間隔別最大給湯流量や平日と土・日の日変動パターンに関する最近の傾向を明らかにした.また,これらの実測結果を基に本研究実測値と既存文献で報告されている実測値を同一の基準で整理し,給湯同時使用に関する計画設計データの基礎資料を得た.
著者
鳴海 大典 照井 奈都 羽原 勝也 水野 稔
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.153, pp.1-11, 2009
参考文献数
9

本論文では、ヒートアイランド緩和対策に関する数値目標を設定した際に、各地域の必要大気熱負荷削減量や具体技術の必要投入量を把握することを目的として、大気熱負荷削減ポテンシャルと目標設定の関係について検討を行った。まず、メソスケール気象モデルにより過去回帰から具体的な数値目標を求めた結果、熱帯夜DHの必要低減量は大阪平野部の空間平均で10.7℃・h、人口重み平均で12.5℃・hと算出された。また、必要熱負荷削減量は、大阪平野部全体での一律削減時には空間平均で11.5W/m^2、人口重み平均で12.0W/m^2である一方、熱負荷削減ポテンシャルの大きな都心部を中心に削減を行う地域配分条件では、概ね同量の熱負荷削減で目標を達成することを示した。大阪府内のある市区を対象として、本論文で採り上げた各種ヒートアイランド緩和対策を導入率100%で実施した場合、目標を達成する市区が存在することが示された。
著者
宮坂 房千加 大川 剛直 湯元 真樹 薦田 憲久 山崎 高弘
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.72, pp.11-21, 1999
参考文献数
8
被引用文献数
2

空調システムの異常検知・診断システムの研究開発は,IEA-Annex 25を契機に始まったといえる.その後,空気調和・衛生工学会蓄熱最適化委員会のFDD-WGやIEA-Annex 34として研究が進んでいる.確率的定性推論は,計装図と制御内容を基に人間の定性的な思考過程をモデル化し,少ない情報で異常検知・診断を行う手法である.これをVAVシステムで発生させた故障状態データに適用したリアルタイムシミュレーション内容について報告する.今後,異常検知・診断を自動的に行う手法として,確率的定性推論を利用した異常検知・診断アプリケーションが期待される.
著者
高田 宏 村川 三郎 西名 大作 高橋 大輔
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.96, pp.85-94, 2005
参考文献数
7
被引用文献数
5

1年間にわたり測定した複合商業施設内飲食店舗における使用水量データをもとに,経時的な使用水量の変動傾向を解析し,各店舗の水使用実態を明らかにした。得られた結果をもとに水使用モデルを作成し,モンテカルロ・シミュレーション手法を用いて給水負荷の算定を行った。はじめに,1分間隔で測定した使用水量データの時系列的な取り扱いについて検討を行った。また,時間使用水量と来客者数の関係について,1日の来客状況調査を実施し,両者の関連について考察した。さらに,年間休日の時間平均使用水量の変動パターンを用い,店舗の水使用パターンの類型化を行った。最後に,各種店舗の厨房内における水使用モデルとして,吐水時間,吐水流量,水使用頻度からなる負荷算定モデルを作成し,全店舗を合計した時系列的給水負荷の算定を行った。
著者
近藤 靖史 小笠原 岳 宿谷 昌則
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.127, pp.25-30, 2007-10-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
5
被引用文献数
2

タバコ煙は室内空気の汚染質の一つであり、健康への影響が広く認められている。近年、室内での非喫煙者が喫煙者のタバコ煙を吸引する受動喫煙は社会的に大きな問題となっている。このような背景のもと公布された健康増進法では、受動喫煙の防止に関して努力義務規定が明文化され、建築内においてタバコ煙に関する分煙が進められている。本研究では空間分煙に着目し、滞在時間が比較的長く、未成年者も利用すると考えられる飲食店舗を対象とした実態調査を行った。次に実態調査の結果に基づいて効率的な分煙方法を数種類想定し、CFD解析により検討した。
著者
樋山 恭助 〓 芸〓 加藤 信介
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.169, pp.39-48, 2011-04-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1

近年,BIMによる設計図書を要求する機会が増えており,設計事務所,ゼネコン,サブコン等において,BIM導入の検討が進んでいる。また,この背景の下,多くの企業がBIMソフトウェアの技術開発に注力する。ダクト配管や機器の収まり検討等,BIMの持つ3次元CAD機能やデータ標準IFCを用いたデータの統合による空調設備設計の効率化は言うまでもなく,BIMの持つデータベースとしての機能は,空調設備設計におけるシミュレーション技術の利用を簡易化する。今後,BIMの研究開発を進めるにあたり,利用者となる空調設備設計技術者が抱く期待を知る必要がある。そこで,空調設備設計技術者を対象としたアンケート調査を行い,BIM導入に対する回答者の期待を分析した。結果,回答者はBIMに対して3次元CADとしての認識が強いものの,その導入に対し,業務の効率化のみでなくシミュレーションの適用による設計の高度化を期待していること等,調査結果を得た。
著者
田中 毅弘 藤井 修二
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.104, pp.11-18, 2005
参考文献数
7
被引用文献数
2

世界中のアーティストの作品・芸術を間近で見たいという願望から生まれた美術館は、その時代のニーズに応えながら施設の形や機能を変化させてきている。本研究では、美術館における設備・維持管理がどのように行われているかについて、47都道府県に設置されている主として公的な施設で運営されている美術館を対象として、設備・維持管理およびそれらに関連した省エネルギー対策、防災・防犯対策、美術館の特徴ともいえる展示・収蔵品に対する、くん蒸消毒の頻度・方法、カビ対策、文化財保護の目的による入場制限の実施、照明・空調の配慮、温湿度管理についての15の設問によるアンケート調査を行い、さらにそれらの集計結果を、より信憑性が高い考察を行うため、約1年間6ヶ月かけて調査結果の精査を行った分析結果から、傾向と特徴をまとめた。