著者
中村 圭寛
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.200-207, 1991-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
6

偶然に発見されたアスパルテームは甘味料として, アメリカで1981年, 日本で1983年に使用が認可された。甘味の質は砂糖によく似ており, 砂糖の約200倍の甘味度をもち, 果実7レーバー増強の効果をもつ。蛋白質の成分からできているダイエット甘味料として, 欧米及び日本では大きな注目を集めている。
著者
童 江明 李 幼均 伊藤 寛
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.815-821, 1997

日本の味噌・醤油のプロトタイプといわれる醤は古い歴史の中で発展してきただけあって, その種類は多岐にわたり, 今日では非発酵のドロドロした調味料も含まれる。その醤の歴史, 原料と製造法, 製品の品質特性および用途などについて, 中国で製造と研究の実務を担当している著者の情報を中心に纏めていただいた。その1は原料別に異る醤についての総論であり, その2, 3は代表的生産地における醤の各論である。
著者
村上 雄哉
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.728-735, 2016

日本産食品の海外輸出は,国の施策の後押しもあって増加しているが,イスラーム食品市場では,ハラールやハラール認証への理解と対応が必要だ。しかし,ハラールやハラール認証については,なじみが薄くよく知られていない。また,国により詳細は異なっている。これらの実態に詳しい専門家に,ハラールやハラール認証,イスラーム圏のマーケットの実態について解説をいただいた。
著者
但馬 良一
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.177-184, 2012 (Released:2017-10-24)
参考文献数
49

ブショネ(bouchonne)と呼ばれるコルクからのカビ臭は,ワインの品質を著しく損なうオフフレーバとして国際的な問題となっている。コルクを使用するワインの20から30本に1本という頻度は,消費者,レストラン等の経済的損失ばかりではなく,嗜好品として大切な「ワインを飲む喜び」を奪うことになる。製造者にとっては,ぶどう栽培や醸造といった自分たちの責任範囲外に品質を損なう要因がありその頻度が高いことは容認できないであろう。しかし,この臭いの原因物質の閾地が極めて低く検査が困難である上,天然素材であるコルクの汚染にばらつきがあり,抜き取り検査だけでは汚染がないことを証明できないため,決定的な解決方法がなかった。筆者らはこの問題に対し早くから研究を進め,高圧水蒸気処理により,カビ臭原因物質を含まないコルクの生産に成功された。
著者
三鍋 昌春
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.96, no.7, pp.466-474, 2001

日本初の国産ウイスキ-はスコッチウイスキーを範として始まった。その後日本人の味覚にあったウイスキーを追求するようになり, 製造方法に独自の手法が採り入れられるようになった。ウイスキ-の製造方法はすでに周知のとおりであるが, 国産ウイスキーの品質の特徴が製造工程のどの段階のどのようなメカニズムによるものなのか興味深いところである。<BR>本稿ではウイスキーの製造方法に造詣の深い筆者に, 国産ウイスキ-が生まれた経緯と国産ウイスキーの製造方法を解説していただいた。また, 日本におけるウイスキーの将来についても言及していただいた。
著者
池田 浩二 中野 隆之 米元 俊一 藤井 信 侯 徳興 吉元 誠 倉田 理恵 高峯 和則 菅沼 俊彦
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.11, pp.875-881, 2012 (Released:2017-12-15)
参考文献数
27

「芋焼酎粕飲料(新飲料)」の生体防御能亢進効果に関する試験を行った。新飲料のガン抑制能試験では,サルコーマを接種したマウスに新飲料区の摂取によって腫瘍の重量増加が抑制されており,両者間は5%水準の有意差であり,ガン細胞増殖抑制効果が認められた。このときの脾臓のNK活性はコントロール区に比べて高い値を示し,この両者間では0.1%水準で有意な差が認められ,非常に強いNK細胞活性を示した。新飲料の摂取によって生体防御能が高く維持され,また,新飲料に含まれるポリフェノールの抗酸化作用によっても腫瘍の増殖が抑制されたと考えられた。

2 0 0 0 OA 原料処理

著者
丸山 新次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.184-190, 1998-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
25

新人の方々のために, これから6回にわたって, 清酒の基本技術について解説いただく。今回は, 原料処理について非常に詳しい筆者に解説いただいた。一通り酒造技術を学ばれた中堅の方々にとっても, 十分参考になるものと思われる。

2 0 0 0 味噌飲料

著者
大野 彰一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.12, pp.885-891, 2000

"ご飯と味噌汁" は, われわれ日本人の食事の原点である.現在でも, 味噌の用途のほとんどは味噌汁用で, 一部が鍋料理など料理用, たれ, 味噌漬などに使われる。しかし, 昨今の食の洋風化, 米ばなれなど食生活の変化に伴い, 味噌入り洋風スープ, サラダドレッシングなど, 新しい味噌利用の調理例も多い。多様化する消費者のニーズとあいまって, 味噌を用いた新商品も多数販売されているが, 飲料の分野に味噌を用いた商品例は未だない。筆者は, 味噌の栄養成分, 機能性に着目され, 味噌の飲料原料としての適性を検討され, 味噌を用いた保健飲料, その製造技術を開発され, 商品化の可能性も示された。この味噌飲料について, 詳細に解説していただいた。
著者
奥田 将生
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.5, pp.262-272, 2010 (Released:2012-02-24)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

着色度の増加や老香の生成などの清酒の劣化は,含まれる窒素化合物や硫黄化合物が大きく影響すると考えられている。この劣化を防ぐために,清酒メーカーでは,米を磨き,アミノ酸度の低い清酒を醸造し,活性炭ろ過を行った後,製品化している。本稿では,清酒の劣化に対する原料米や清酒中の窒素や硫黄化合物の影響について解説いただいた。
著者
増子 敬公
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.4, pp.217-223, 2012 (Released:2017-12-11)

ワインはpHが低く,アルコールとSO2があるので微生物汚染に強い,と考えられていた。しかし,このような条件であっても醸造中や醸造後のワインの品質に危害を与える微生物はワイナリーに潜んでおり,安定して高い品質を維持するには適切なサニテーションが欠かせない。これまで日本語の解説が少なかったワイナリーのサニテーションに関する情報を紹介していただいた。
著者
岩野 君夫 伊藤 俊彦 中沢 伸重
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.7, pp.526-533, 2004-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
4 8

1, 吟醸酒, 純米酒, 本醸造酒及び普通酒のアミノ酸組成を調べ平均値の差の検定を行った結果, 製造区分間に全アミノ酸含有量と組成に大きな違いが認められ, 醸造法の違いが製成酒のアミノ酸組成に影響することを知った。2, アミノ酸を甘味,酸味,苦味,その他の4区分にグルーピングし, 各種清酒間の有意差を調べた結果, 吟醸酒は他に比べて甘味アミノ酸, 酸味アミノ酸の割合が高く苦味アミノ酸が少ないなど, 製造区分によって構成比が異なることが明らかとなった。3, アミノ酸を変数とする変数選択型判別分析を行った結果, グルタミン, プロリン, リジン, グルタミン酸, アラニン, ヒスチジンの6個のアミノ酸を変数として吟醸酒, 純米酒, 本醸造酒及び普通酒を高精度で判別できる判別関数を得た。
著者
松井(岡村) 徳光 大杉 匡弘
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.11, pp.766-773, 2002-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

酒類は酵母のアルコール発酵力を利用して製造されている。最近, きのこがアルコール発酵するという興味深い現象が発見され, 酵母の変わりにきのこを用いて酒類が製造された。製成酒には疾病の予防効果を示す成分が検出され, お酒の機能性が強調された品質になっている。酒類の品質や製造方法の今後の展開を模索する上で本研究は貴重な情報を提供している。
著者
西谷 尚道
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.7, pp.489-500, 2002-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

日本の伝統的な蒸留酒である本格焼酎と泡盛は, それぞれ独自の製造方法と酒質を確立している。一方, 現在の酒税法では焼酎は「アルコール含有物を蒸留したもの」と定義され, 本格焼酎と泡盛の顔が見えてこない状況にある。本格焼酎と泡盛が世界に向けて発展するためには, 国際的に通用する定義の必要性は論を待たない。本格焼酎と泡盛の21世紀の展望シリーズ第2弾として, 筆者に本格焼酎と泡盛の定義について展望していただいた。
著者
鈴木 俊二
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.10, pp.658-663, 2016 (Released:2018-08-06)
参考文献数
7
被引用文献数
1

ワイン用のブドウを夜間に収穫(ナイトハーベスト)すると,より優れた品質のワインが醸造できることが経験的に知られている。ブドウの温度が低いうちに収穫することで低温での原料処理が可能となり,酸化や微生物汚染のリスクを低減できるのがナイトハーベストのメリットだと考えられていた。しかし,筆者らのグループは,近年甲州の香気成分の一つとしても注目されているチオール系香気成分の前駆体に着目し,早朝に前駆体量がピークになることを明らかにしている。ナイトハーベストの意義を香気成分の面から明らかにした興味深い研究成果を解説していただいた。
著者
蛸井 潔
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.88-97, 2013 (Released:2017-12-28)
参考文献数
27
被引用文献数
1

近年,アメリカやドイツでは古典的なアロマホップ,ビターホップという区分の品種だけではなく,フムロン(苦味物質)を高濃度で含みながら,極めて特徴的な強い香りをビールに付与できる「フレーバーホップ」と呼ばれる品種が開発され,クラフトビールなどで注目されるようになった。著者らの研究は,フレーバーホップの特徴香に寄与する成分を,ビール中のホップの香気成分として代表的なモノテルペンアルコール(ゲラニオール,リナロール,シトロネロール)の含有量,相互作用,酵母の代謝による変換という観点から考察したものである。
著者
吉田 充 堀金 明美
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.10-16, 2008-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

日本においては, 炊飯前に米を水に浸けることが習慣となっている。これにより米粒の中に水が浸透し, 加熱されたときに米粒の中心までデンプンが充分に糊化して米がふっくら炊きあがる。弥生時代の昔から米を栽培し, 米食に親しんできた日本人のやり方である。日本酒の醸造においても, 麹菌を生育させる米は, 蒸す前に水に浸す。浸漬時の米粒内への水の浸透とその結果である粒内水分分布は, 炊飯後, 加工後の米やその加工品の品質を決定する重要な要因である。そこで, 水の分布を画像化できる磁気共鳴画像法 (magneticresonanceimaging, MRI) を用いて, 浸漬過程における米粒中の水分分布変化を追ってみたところ, 水の浸透経路や水分分布は, 米の胚乳のデンプン細胞の粗密や並び方を反映し, 炊飯用の品種コシヒカリと, 酒米用の品種山田錦とでは, 水の浸透パターンが異なっていた。このことから, MRIにより米粒内への水の浸透を観察することで, その米の加工適性の一面を評価できるのではないかと期待される。

2 0 0 0 OA 飲酒と健康

著者
林田 真梨子 木下 健司
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.1, pp.2-10, 2014 (Released:2018-02-16)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

武庫川女子大学バイオサイエンス研究所では,2010年より久里浜医療センター監修のもとアルコール体質遺伝子検査および飲酒習慣に関するスクリーニングテストを実施している。それによって,未成年者に対しては飲酒防止のための健康教育,成人に対しては適切な飲酒習慣の指導を行っている。また,この活動には,我々にとって身近なアルコール体質検査を通じ,遺伝子診断によるオーダーメイド医療の普及・理解に向けた啓蒙を行うといった目的も含まれている。アルコール体質を5タイプに分類し,それぞれ留意すべきポイントがまとめられているので,読者の日々の健康管理に役立てられたい。
著者
本藤 智
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.868-877, 1997-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
33

米味噌も清酒と同様米麹を醸造原理の基本とする点で一致する。永年信州味噌研究所で研究業務に携わってこられた著者は, 2年前から清酒醸造技術を専攻されることになったので, この機会に両醸造技術対比につき概説をしていただいた。味噌醸造技術の新しい展開にお役に立てれば幸いである。