著者
米元 俊一
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.112, no.2, pp.96-107, 2017 (Released:2017-06-05)
著者
李 大勇
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.124-129, 1992-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5

本誌86巻9号に, 第1回国際酒文化学術討論会の様子を報告した。今回は同討論会の通訳を勤め, 坂口先生の「日本の酒」を中国語に翻訳紹介された筆者に, 歴史, 自然, 文化に恵まれた中国四川省の酒周辺について解説していただいた。本稿は筆者が, 自から日本語で書かれた文章なので, その実際と雰囲気を直に味わうのに充分である。
著者
下飯 仁
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.7, pp.474-480, 2002-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
16

協会701号等の泡なし酵母は, 1970年代に泡あり酵母の変異株として育種され, 現在, 広く清酒醸造に利用されているが, その泡なしとなるメカニズムについては, 長い間不明のままであった。今回, 協会7号の高泡形成に関わるAWA7遺伝子がクローニングされ, 協会7m号のAWA7遺伝子の構造が解析された結果, 高泡形成および泡なし性のメカニズムが分子レベルで解明された。これは近年の分子生物学と酵母遺伝学の発達の腸物であり, その成果は鮮やかで見事である
著者
田口 隆信
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.8, pp.550-556, 2014 (Released:2018-03-15)
参考文献数
5

上槽工程は省力化装置がなかなか普及せず依然として労力を必要とするとともに,最終の酒造工程として製品の品質に悪影響を及ぼさないように注意が必要な工程でもある。ここで紹介される上槽方法は,従来の方法と発想が異なり品質面を重視し完全に搾りきることを目指さない高級酒に特化した方法である。この方法によれば,同じように搾りきらない上槽方法である「袋吊り法」と同等の品質の上槽酒をより少ない労力で得ることができる。さらに,洗浄が容易なステンレス製の機器を使用するため,気を付けて洗浄などの管理を行えば特別なノウハウがなくても汚染により酒質を劣化させることはない。現状では「袋吊り法」より機器の導入費用は嵩むとはいえ既に10台以上の装置が稼働中とのことであり注目に値する上槽方法といえる。
著者
明比 淑子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.9, pp.597-605, 2011 (Released:2017-02-27)

シェリーといえば,ポーの「アモンティリヤードの樽」,それから「007ダイアモンドは永遠に」で,“There is no year for sherry”(シェリーには年号はないよ)といわれたジェームス・ボンドが“I was referring to the original vintage on which the sherry is based sir. 1851. Unmistakable.”(私がいっているのはこのシェリーのベースとなっている最初のビンテージさ,1851年,まちがいない)と切り返す姿である。しかし,私自身,シェリーに関する知識は少なく「ソレラシステム」ではなく正しくは「クリアデラとソレラのシステム」であることを本稿で始めて知った。さらに,ポートやマデイラについては良質なマデイラやポート自体最近まで味わったことがなかった。酒精強化とともに酸化や熱という酒には大敵とされる条件を使って作り出す独特の香味,それを生み出した歴史と風土,大変興味深い解説である。
著者
谷村 健 濱田 明美 鬼束 楠里 野崎 直樹 甲斐 孝憲 小川 喜八郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.56-64, 2005-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

宮崎県日向灘沿岸および沖縄県石垣島周辺海域からの焼酎用酵母の分離を試みた結果,酵母様微生物を547株分離できた。産膜が見られず,糖醗酵性試験により,良好な結果の得られた16株を選抜した。選抜菌株について醗酵試験,芋焼酎小仕込み試験を行い,醗酵経過が安定し,酒質も良好であったBlD-12株を最優良菌株とした。同菌株はS. cerevisiaeであると同定され,従来の焼酎用酵母よりも耐塩性およびアルコール耐性が高いことが示唆された。高耐塩性は海水域由来株の指標の1つになりうると考えられる。また, 2次膠の最高晶温35℃前後の条件下おいても醸酵は順調に推移し,BlD-12株は高温耐性株であることが確認された。さらに,実地規模での芋焼酎仕込み試験で従来の酵母よりも良好な醸酵経過を示したことから,ソバ等に代表される他の穀類原料においても実用化が期待できる。
著者
河合 弘康
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.311-317, 1996-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
6
被引用文献数
1 2

食生活における高級化, あるいは食の個性化への傾向は年々増している。パン食においても同様で, 我が国独自の酒種を用いたパンも魅力ある商品となっている。長年, パン酵母の研究をされてきた筆者に, 掛け継ぎ方式による酒種の製法と生地発酵力, 並びに速醸方式による醸造酵母の酒種発酵特性と液内発酵力に対する食塩の影響などについて興味深い解説をしていただいた。
著者
高山 卓美
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.172-186, 2007-03-15
参考文献数
26

マルコポー口の「東方見聞録」は, 13世紀末の25年間にわたるシルクロード周辺地域を含む元朝中国や南海諸島でつくられていた酒とその飲酒風俗を現在に伝える貴重な資料である。<BR>著者は, 同書に記録された酒の種類や製法, 地域などの情報から, ユーラシア大陸における酒文化圏の形成を次の類型から説明した。(1) ユーラシア大陸ワイン街道, (2) 米酒文化圏, (3) 乳酒文化圏, (4) 椰子酒文化圏, これらの酒文化圏をマルコポー口の旅行地図上に印した,「酒文化圏マップ」(Fig.1) は, 著者の独創史料である。
著者
稲橋 正明 武藤 貴史
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.824-835, 2008-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
4

きょうかい酵母を使用して, ふと疑問に思ったこと, これでいいのかな?と抱かれた数々の疑問が協会によせられる。そのような問い合わせの中から多くの方々にとって参考になりそうな事例をまとめていただいた。きょうかい18m号酵母に対するQ &Aが中心になってはいるが, 他の酵母や一般のもろみ管理に関しても示唆を与えてくれる一文である。
著者
神渡 巧 瀬戸口 智子 上田 次郎 吉永 優 緒方 新一郎 瀬戸口 眞治 高峯 和則 鮫島 吉廣
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.49-56, 2009-01-15
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

原料サツマイモの成分と芋焼酎の特徴香成分の関連性を検討し,以下のような知見を得た。<br>1. 原料サツマイモのデンプン価は,南九州でもっとも多く栽培されているコガネセンガンの27.9に対し,ダイチノユメ,ジョイホワイト,アケムラサキは30を超え,高デンプンの性質を持っていた。しかし,橙系のデンプン価は最大でも22.4と総じて低いものであった。<br>2. サツマイモの&beta;&ndash;カロテン含量と製品の&beta;&ndash;イオノン濃度には,高い正の相関があり良好な直線関係が認められた。しかし,&beta;&ndash;カロテン含量と製品の&beta;&ndash;ダマセノン濃度には明確な関係を確認できなかった。<br>3. サツマイモのアントシアニン含量と製品のジアセチル濃度には,高い正の相関があり,良好な直線関係を確認できた。<br>4. リナロールを特徴香成分としさわやかな柑橘香を持つ製品が得られるジョイホワイト以外のサツマイモとして,ダイチノユメを見出すことができた。<br>5. ハマコマチ製品は,今回試醸した製品の中で&beta;&ndash;ダマセノン,リナロールおよび&beta;&ndash;イオノンなどの特徴香成分の濃度が最も高く,また官能評価においても,従来の芋焼酎にない魅力的な香気を持つ製品であることがわかった。
著者
寺本 祐司
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.8, pp.583-590, 2013-08-15
参考文献数
3

ベトナムの面積は約33万平方キロメートル。南北に,ほぼ北海道から本州の距離に相当する細長い国土を有している。1995年にASEAN加盟後の経済発展が著しく,日本から多くの企業が進出している。一方,南部や北部の平野には水田が多く水牛が草を食んでおり,かつての日本の農村に似た風景が広がっている。これらの農村では必ず米を原料とする蒸留酒が作られている。大都市の店頭でみかける酒類は,ビールと政府系企業が連続式蒸留機を用いて生産する米製ウオッカだが,農家で自家醸造される蒸留酒の生産量はこの米製ウオッカの10倍以上あるといわれている。本稿では,ベトナム南部メコンデルタの伝統酒について解説していただいた。
著者
境 博成
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.585-593, 2007-08-15
被引用文献数
1

イギリス, フランスに引き続き, 今回はスペイン産のリンゴ酒について紹介していただいた。同じリンゴ酒でありながら日本市場においてはアストリアス地方のシドラもバスク地方のサガルドアも知名度が低い。スペイン産リンゴ酒の歴史的背景, 原料リンゴ果からリンゴ酒の醸造, 醸造場に併設されるレストラン, 飲酒文化についての話まで巾広い話題を提供していただいた。
著者
井上 喬
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.315-323, 2004-05-15 (Released:2011-09-20)
被引用文献数
2

古くからジアセチルは発酵飲食品の品質を左右する重要な香気成分である。筆者は長年発酵飲食品中で最も弁別閾値の低いビール中でのジアセチル生成メカニズムとその制御について研究されてきた。ここでは全般的なジアセチル問題と新しい技術を駆使した制御問題を取り上げて貰った。
著者
今安 聰 川戸 章嗣
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.274-280, 1999-04-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
井部 明広
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.114, no.5, pp.248-257, 2019 (Released:2019-10-11)
著者
上田 護國
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.115, no.2, pp.70-74, 2020 (Released:2020-09-04)
著者
吉田 元
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.56-61, 1993

日本に伝来した洋酒の歴史を紹介した文献は刊行されているが, 逆に外国人が日本酒をどのように自国に紹介していたかは, 大変興味深いテーマであるがまとまった文献はない。本稿は16~19世紀にかけて日本に渡来した宣教師, 貿易商, 外交官などの著作を調査し, 考証を加えたものである。(I) では16世紀を中心に, (II) では17, 18世紀, (III) では19世紀と3部作の膨大なものである。読み物として興味があるばかりでなく, 経営・製造の両面に有益なヒントが含まれている。
著者
尾崎 一隆 鰐川 彰
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.3, pp.150-162, 2008-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
34

近年, 分析形の官能評価方法と機器分析データを組み合わせることで, 様々な食品の「おいしさ」や「劣化」に寄与する成分が明らかになっている。本稿では, 定量的記述分析法による官能評価と化学分析を組み合わせてビールの「おいしさ」を解析する研究について, 詳細に解説いただいた。様々な分析手法とともに, ケモメトリックス手法等も大変参考になると思われる。