- 著者
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池上 真理子
- 出版者
- 聖学院大学
- 雑誌
- 聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.1, pp.197-212, 2013
近年,新教育基本法や新学習指導要領の中で,日本の伝統文化教育を重視する方針が打ち出されたことにより,学校教育の中に日本音楽を取り上げる動きが活発になっている。しかし,教師の側の日本音楽に対する理解不足など,実際の導入に際してはいくつかの課題もある。そのような現状を踏まえ,本稿では,日本音楽の一領域である雅楽を,小学校の音楽教育に導入する意義と可能性について,筆者が実際に行った授業の分析や,学習指導要領に基づいた具体的な指導計画の提案などをもとに考察した。そして雅楽の導入が,その音楽を知るのみでなく,日本独自の豊かな芸術的感性を体験的に理解できる,歴史,文学など他教科との関連性をもって伝統文化の体系的な理解を深められる,など幅広い学びの可能性を持つことを指摘した。