著者
舘林 史子 緒方 稔泰 斉藤 潮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.439-444, 1999
被引用文献数
1

Our representations of landscapes change though both land development and psychological changes. During Taisho periods Ena-kyo had an experience that both physical and psychological changes happened simultaneously. This study focuses on the influence of these physical and psychological changes on our representations of Ena-kyo and the relationship between them. The results show that naming elements of landscapes is able to change our representations of landscape. This could be one of the adequate methods to remain the landscapes in our mind despite that the physical change of land actually occurs. Furthermore seeing artificial objects in natural landscapes and vice versa refer to our expectation of friendships between human and nature.
著者
籔谷 祐介 阿久井 康平
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.772-779, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
18

本研究では、高校生の通学時における地域風土との接触が地域愛着の醸成に与える影響を実証的に検証することで、どのような接触機会が地域愛着形成に有効であるかを明らかにした。具体的には、富山県小矢部市内の高校に通学する高校生380人を対象にアンケート調査を実施した結果、自然や人との接触が地域愛着(選好)や地域愛着(感情)に影響を与えることを統計的に明らかにした。さらには、子どもの頃の地域愛着醸成がUターン意識や地域における活動への参加意識の向上につながる可能性が示唆されたことから、Uターン施策として、地域愛着を醸成する通学路の計画や地域の人や自然との接触機会を増やす施策が有効である可能性を示した。
著者
太田 裕通 神吉 紀世子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1208-1215, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
13

本研究はジャカルタのカンポン・アクアリウム(Kampung Akuarium)を対象としては居住者による「個人」が捉えるカンポンの姿から「集団」がつくり上げる空間や秩序と自己組織化との関係を明らかにするものである。このカンポンは2016年4月、州政府によって強制立ち退き・住宅撤去が行われたが、その後居住者復帰と再建の運びとなり今まさに一からカンポンの物理的環境を構築しようとしている。物理的環境の再建に向けて、既に開発されている「都市認識」へアプローチするダイアログ手法を導入し、居住者らが抱く「カンポン」の姿へ迫った。結果12名の居住者「個人」が捉える自地域の姿と成り立ちを明らかにし、その中での価値付けに基づく空間的関与が撤去後に仮設されたシェルターの住環境にも反映され、実現している空間があることを確認した。さらに、撤去により物理的環境が失われても自律的に残っている「集団」がTempat Nyamanの存在や、漁村、密集市街地ならではの空間性を共有していることを明らかにした。以上から「個人」の多様な捉え方と関与の実現を許容しつつ、同時に異なるレベルで「集団」によって自律的に生まれる秩序とその実現が住環境をつくり上げていくというある種の自己組織化が明らかになった。
著者
佐野 浩祥 渡辺 貴介 羽生 冬佳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1093-1098, 2000-10-25 (Released:2018-02-01)
参考文献数
14

This paper aims to clarify characteristics of Local Mt. Fuji in Japan, and also to clarify the relation Local Mt. Fuji and local-government policy. Some of findings are as follows; 1) 357 Local Mt. Fuji are classified into 5 groups from the characteristics, and classified into 3groups from the landscape. 2) The factor to characterize Local Mt. Fuji are flat summit and being visible from a central city area. 3) We suggested 'The degree of Mt. Fuji' and 'The degree of Local Mt. Fuji' as the measures which measure Local Mt. Fuji in a certain meaning to try overall positioning of Local Mt. Fuji. 4) The existence of Local Mt. Fuji has effectively influenced for loal government administration to some extent.
著者
秦 瑞希 浅野 純一郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.197-204, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
9

本研究は、地方都市の公立小中学校の再編実態を都市計画的観点から明らかにするとともに、非市街地部に存在する学校の拠点設定や拠点性の実態を示し、両者の関係性を明らかにすることを目的とする。調査結果から、1)地方都市の公立小中学校の再編の70%が非市街地部で起こっていたこと、2)公立小中学校へ都市マス上の拠点設定がされている事例は、休閉校が40校、存続・新設校が55校であり、非市街地部に立地するものが最も多いこと、3)学校再編と拠点設定の関係には、生活維持を担う施設を中心とした拠点エリアの併設施設群の一部に再編された学校が追加されてまちの中心に一体的な拠点を形成している「他中心施設併合拠点型」と学校の拠点性をつかって小さいレベルで拠点を形成している「学校中心小拠点型」の2型があること、4)市役所の支所があることで一体として学校に拠点性をもたせることができ、市役所の支所がない場合でも一定の生活利便施設の集積があることで学校に拠点性をもたせることができると考えられること等を明らかにした。
著者
村上 善明 秋田 典子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.191-196, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
6

本研究は静岡県伊豆市を対象に特定用途制限地域制度の導入による市街地開発への影響を検証するものである。本研究の狙いは、線引きの対象とならない小規模な地方自治体における土地利用コントロール手法としての同制度の検証により、人口減少化における土地利用コントロール手法に関する示唆を得ることにある。伊豆市ではコンパクトシティ政策の実現のために同制度を導入され、検証の結果住居や店舗が拠点に集積していることが確認できた。その一方で、歩行空間など住環境に関する課題があることもまた明らかとなった。
著者
堀籠 悠河 窪田 亜矢 益邑 明伸
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.189-200, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究は、特定の区域における最寄り品アクセス環境の把握において、特定の距離圏を徒歩圏として想定する従来の手法に不足する視点を考慮することで、より精緻な把握が可能となることを示している。本研究で提案する「包含率線」は、個々人の移動能力を考慮に入れた任意の距離圏とこれに含まれる区域内人口割合の関係を図示したもので、居住者ごとの移動可能距離の差異を考慮に入れた分析が可能となる。区域内の最寄り品アクセス環境は、「包含率線」全体のふるまいで把握できるが、市街化区域・ DID ・立地適正化計画の誘導区域の三区域の差異もそれぞれの「包含率線」を比較により明らかにできる。また、同一地区における高齢者・非高齢者の「包含率線」は一致し、高齢化率の高い地区は偏在する一方で、全体的には高齢・非高齢者は同程度に包含されていた。そして、既存手法の有効性も一定程度確認された。
著者
小林 里瑳 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1245-1252, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では,近代地方都市における界隈形成のメカニズム解明に向けて,土地所有形態選択問題として統計的モデルを用いた全く新たな都市形成史分析手法の提案を試みた.モデル構築において,所有筆=土地とその所有形態の同時選択確率を記述可能なCNL型の離散選択モデルを提案し,所有形態の選択に関して地主の態度の異質性を仮定した潜在クラスモデルを導入した.パラメータ推定には,隠れ変数を含む選択確率の対数尤度関数最大化問題の求解に適していることから、機械学習の代表的な手法の一つであるEMアルゴリズムを用いた.道後温泉本館周辺を対象に,旧土地台帳と付属図という近代史料をモデル推定可能な形式に変換する方法提案を行い,集積や継承,撤退といった近代地方都市の土地所有の変容の実態解析が可能なデータベース構築に成功した.さらに,非集計分析と提案したモデルを用いてパラメータ推定を行うことで,近代地方都市の地主の土地所有形態の選択に異質性があり,時間の経過とともに地租や立地条件といった要因が土地所有形態の選択に及ぼす影響が大きく変容していることを統計的に示すことができた.
著者
浅野 純一郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.178-188, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
15

本研究は、集落地域整備法制定から30年が過ぎ、依然活用が低調に留まる現状を踏まえ、調整区域の開発管理の観点から集落地区計画を捉え、集落地区計画導入地区の現在の状況や他の緩和手法との関係性から調整区域の開発許可制度運用に与えた影響を明らかにすることを目的とする。適用した当該自治体では、圃場整備等営農環境が改善されたことを根拠に概ね当初の目標は達成したと評価しているものの、既存集落の環境改善や新規住宅供給等を個別に見ると、集落地区施設の整備は低調であり、地方都市を中心に宅地整備地区の充足がなされない地区も見られる。集落地区計画の後、市街化調整区域の開発許可制度緩和手法が充実する中で、集落法適用事例においても後続の制度の活用の仕方に格差があることを示した。以上の分析を踏まえ、調整区域の土地利用管理のあり方や集落法適用の今後のあり方を考察した。
著者
原田 陽子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.122-130, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

本研究を通して主に以下の点が明らかになった。1)X団地では、未利用地が74%であり、その内の約76%が雑草や樹木が繁茂している。2)居住者の多くは雑草等が生い茂った空き地が多いことや車がないと移動しにくいことに困っている。3)不在地主の多くは高齢者で県外の人も多く、所有地への訪問頻度の少ない人も多い。不在地主の土地入手の動機では、資産として購入などが多く、今すぐにでも売却したいと思っているが売れないため所有地を持ち続けている人が多い。4)X市は土地の寄付を受け入れてきたが、維持管理費がかかるため事実上X団地の土地は対象外となり、集約化も頓挫した。5)雑草等管理事業に対して、不在地主に一定のニーズがあることが明らかになったが、一方で無関心な不在地主や連絡先の分からない不在地主も多い。
著者
谷口 守 戸田 常一 松本 竜也
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.97-102, 1988

This paper aims at clarifying the process of generating housing demand, in order to support effective planning for improvement of dwelling or housing conditions by occupiers. This study is composed of two parts: 1) The diversity of housing evaluation is analysed. and various types of housing are classified into several groups by using factor analysis. 2) Research concerning relations among ① Assessment of physical condition of the dwelling, ② Formation of ideas by occupiers to improve their housing condition. ③ The achievement or otherwise of those idea. The data are adopted from "Fact-Finding of Housing Demand", a survey carried out in Keihanshin Metropolitan Area.
著者
中川 真紀子 嘉名 光市 蕭 閎偉 Supagtra Suthasupa
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.105-112, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
14

グローバルツーリズムの時代において、観光地化は、経済の発展や雇用機会を創出する一方、外部資本の流入や雑多な事業の介入を招きかねない。そこで、既存の生業や地域空間を保全活用することは持続可能な観光開発にとって重要であると考える。タイ・バンコクは近年の観光地化が著しく、特に、Rattanakosin島は、政府による歴史的建造物の保全や観光開発が行われ、バンコクの主要な観光地として位置づけられている。本研究は、Rattanakosin島の歴史ある2つのコミュニティに着目し、地価や土地利用などの空間的側面と、住民や政府、コミュニティ組織、事業者といった地域関係者の意識と関係性から観光地化の実態を解明した。
著者
松中 亮治 大庭 哲治 井手 秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.63-72, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
20

近年、日本の地方都市では公共交通の利便性低下や中心市街地の空洞化といった問題に直面している。そのような状況下で、「コンパクト+ネットワーク」は都市を持続可能なものとする方策のひとつとして注目されている。本研究では、日本の36地方都市を対象として現地調査により賑わいを定量化し、その要因について人口規模別に分析した。その結果、人口規模によらず賑わいは自動車密度とほとんど相関がみられないこと、自動車到達圏人口は賑わいにほとんど影響をしないのに対し公共交通到達圏人口は強く影響することを明らかにした。
著者
山内 自希 阪本 一郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.975-980, 2013-10-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
5 2

2011年3月11日の東日本大震災で被災した自治会へのアンケート調査を用いて分析し、実際に活動した実績を基に、(1)自治会が実際の災害時に有効に機能したかの実証 (2)日常の活動が災害時に実際に機能したかの実証 (3)さらに日常活動による交流が災害時に有効に機能したかの実証 を行った。さらに日常活動を通じて「人を知る」を深めることが、災害時の自治会活動を円滑にしたことを明らかにした。
著者
鎌田 佑太郎 松中 亮治 大庭 哲治
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.43-53, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
31
被引用文献数
1

本研究は外出先別に加齢に伴う訪問頻度の変化を定量的に把握したうえで,訪問頻度の変化が1日平均歩数に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,2016年と2018年の2時点の1日平均歩数と都市公園や商業地区といった外出先別の訪問頻度の変化を把握し,これら訪問頻度の経年的な変化が1日平均歩数に及ぼす影響を分析した.その結果,徒歩のみの外出中における中心市街地,運動施設・都市公園,商業地区への訪問の頻度の増減,自転車および公共交通による外出中における中心市街地への訪問の頻度の増減が1日平均歩数の増減に影響を及ぼすことを明らかにした.
著者
羽野 暁 樋口 明彦 榎本 碧 原田 大史 佐々木 裕大
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.32-42, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
21

屋外空間における視覚障害者の歩行支援として、筆者らは白杖の打音を用いた音による誘導に着眼し、一般的な舗装材と音響特性が異なる木材を舗装に用いた「木製バリアフリー歩道」を考案した。本研究は、この開発研究における最終フェーズとして、実用化標準断面に基づき屋外に実装した試験歩道において42名の視覚障害者を対象に歩行実験を実施し、行動観察により歩行支援機能を検証したものである。アスファルト舗装部とスギ板舗装部の二種類の舗装区間にて実験した結果、アスファルト舗装部を開始点とした歩行実験において27名の被験者が歩車道境界に近づき7名の被験者が車道に飛び出した。一方、スギ板舗装部を開始点とした歩行実験においては26名が歩車道境界に近づいたが、車道への飛び出しを全員が回避した。さらに、歩車道境界を白杖のみで認識し足踏を必要としない被験者が、アスファルト舗装部と比較してスギ板舗装部においてより多く確認できた。これらより、スギ板舗装がアスファルト舗装と比較して視覚障害者の車道飛び出し防止に有効であることが分かった。
著者
松村 優 真鍋 陸太郎 村山 顕人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.24-31, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
9

外出は高齢者が自立して生活していく上で重要な要素である。本研究では徒歩による外出に関わる街路や施設配置などの市街地環境に着目し、外出の阻害要因および促進要因を明らかにすることを目的とした。高齢化が進む郊外計画住宅地である小金原地域において市街地環境の客観的調査・アンケート調査・ヒアリング調査を行ったところ、主に「坂道・公共交通不便という阻害要因があること」、「いつでも立ち寄れる行き先という促進要因が無いこと」が外出を妨げていることが明らかになった。よって、外出しやすい環境の実現には、坂道でも歩けるような休憩場所の整備・コミュニティバスの導入・行き先となる集い場の整備の優先度が高い。また、身体状況に不安がある高齢者は阻害要因を、健常高齢者は促進要因を重視するという傾向が見られた。身体状況により意向が異なることを考慮し、阻害要因の解消・促進要因の創出の両面からアプローチすることが望ましい。
著者
萩行 さとみ 大澤 義明
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-13, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
23

地方創生の主たる施策の一つである「地方創生関係交付金」は、今から30年程前に各自治体に1億円ずつ配分された「ふるさと創生事業」以来の大胆な自治体向けの交付金事業であるが、この30年でどのように変わったのだろうか。本研究では、両交付金を対象に歴史的背景の考察、人口規模や面積等によるジニ係数の比較、テキストマイニングによる事業名の比較によりそれぞれ比較考証した。結論として、次の3つが得られた。第1に両交付金は配分方法が異なるにも関わらず、住民1人あたりの交付金額の偏在度の差異は僅差である。第2に地方創生関係交付金の獲得の有無には、「財政力指数」、「周辺自治体の平均獲得件数」が統計的に有意であること示めした。第3に両交付金の事業タイトルをテキストマイニングを用いて分析したところ、事業テーマはハード事業からソフト事業へ移行していることが分かった。さらに対応分析から、ふるさと創生のような国主導の方が、より自由度の増した地方創生より地域性をより反映していることを可視化した。
著者
大山 雄己 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.643-648, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
8
被引用文献数
3 1

近年、都市縮退や健康、環境保護の流れの中で歩行者を中心とした街路空間の再配分の動きが見られるように、歩行者にとって快適な街路空間を整備する必要性が高まっている。本研究ではこのような背景のもと、渋谷を対象として、街路空間が歩行者の経路選択行動に及ぼす影響を分析した。プローブパーソンデータを用いることでミクロな歩行者行動を分析し、街路レベルでの歩行者の行動様式を把握した。また、街路景観や微視的な構成要素を考慮した経路選択モデルの構築によって街路の空間特性と歩行者の経路選択行動との関係性の把握を試みた。その際、従来の研究では考慮されていなかった説明変数同士の多重共線性を考慮し、街路空間指標を集約化し、類型化した街路景観パタンをダミー変数として用いてモデルの推定を行った。その結果、相関のある構成要素同士を除いたモデルと同程度の精度が得られた。また、推定結果からは街路景観や微視的な要素、そして類似景観の連続性が歩行者の経路選択行動に影響を与えていることを確認した。特に歩行者が類似した景観の街路を選択する傾向からは、街路をネットワーク全体から見て戦略的に整備する重要性と、整備への知見を得た。