著者
戸澤 あきつ 佐藤 衆介
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.497-506, 2017-11-25 (Released:2017-12-14)
参考文献数
42

スノコ床のウィンドウレスで20頭群飼(SI),スノコ床のウィンドウレスで350頭群飼(LI),発酵床のビニールハウスで400頭群飼(LD),放牧地で9頭群飼(SP)の4つの飼育方式における肥育豚の動物福祉レベル並びに生理的ストレス指標の実態を調査した.福祉評価にはWQ®プロトコルを用い,生理的ストレス評価は血清中コルチゾール濃度と健康性に関わるストレス指標である免疫グロブリンA(IgA)濃度を,唾液,糞便,血液から測定した.福祉評価点はSP > LD > LI > SIの順で,福祉レベルは前2者で「良」,後2者で「可」と評価された.血清中コルチゾール濃度はLIで突出して高く,唾液中IgAはSIとLIで高く,糞便中IgAはSIとSPで高かった.SIは低福祉でストレスレベルが高く,LIは低福祉でストレスレベルが最も高く,糞便中IgAは極端に低く,LDは高福祉で低ストレス,SPは最も福祉レベルが高く,ストレスレベルもやや高いが正常値範囲内の飼育方式と考えられた.
著者
林田 重幸
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.329-334, 1958-02-28 (Released:2011-01-25)
参考文献数
74
著者
秋葉 征夫 松本 達郎
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.351-357, 1978-05-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
20

ヒナの脂肪吸収に対するセルロース給与の影響を,脂肪の出納より検討し,また131I標識trioleinを用いてその様相を観察した.14日齢の白色レグホーン種雄ヒナを用い,7%のタローを含む精製飼料を基礎飼料として,これにセルロースを4%および8%添加して14日間給与し,7日間の脂肪の出納をみた.セルロースの給与は飼料の消化管内通過速度を有意に早めたが,脂肪の吸収率に対しては全く影響しなかった.従って,前報で報告した,セルロース給与によってヒナの月刊蔵脂肪が減少する現象は,脂肪の吸収低下に基づくものではないことが明らかにされた.12時間絶食させた28日齢のヒナに131I-trioleinを含む飼料を給与し,その25,50,120および240分後に,血漿,肝臓,消化管内容,筋肉内の131Iを測定した.セルロース給与により各時間とも血漿中131Iはわずかに減少する傾向がみられ,120分,240分後の肝臓131Iは有意の減少を示した.
著者
鎌田 靖弘 大城 伸明 屋 宏典 本郷 富士弥 知念 功
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.121-130, 1997-02-25
参考文献数
17
被引用文献数
1

ギンネムには毒性物質ミモシンが存在するため,家畜に多量給与するとミモシン中毒症を引き起こすので,飼料としては制限給与している.このミモシン中毒症の治癒,解明を行うためには実験動物にその中毒症を誘発させる必要がある.そこでまずブロイラー雛にミモシン中毒症を迅速で簡易に誘発させる研究を行い,またその中毒時のミモシンの代謝についても調べた.まず,7日齢のブロイラー雄雛にギンネム種子を粉砕し20メッシュの篩を通した種子粉末(ミモシン含量6.55%)を,市販飼料に0,10,15,20添加し各々12日間自由給与した.その結果,各種子粉末飼料群では食欲不振,体重増加の減少がみられ,更に座り込み,足をけいれんさせる特異的な脚弱症状,および腎臓の肥大化がみられた.また各組織でミモシンが検出され,特に羽毛,皮膚および腎臓で高い値が得られた.更に1%粗ミモシン飼料を自由給与すると,15%種子粉末飼料給与時と全く同程度の中毒症が認められミモシン中毒症と断定された.次に粗ミモシンを250mg/日,経口投与しながら市販飼料を給与すると,食欲不振と体重増加の減少は緩和した.しかし,各組織中でのミモシン含量は15%種子粉末飼料給与と同様に存在した.次に加齢とミモシン中毒症との関係を調べた.1,2,3,4および5週齢で15%種子粉末飼料を12日間給与すると,食欲不振,体重増加の減少は加齢に関係なく見られたが,組織中のミモシン含量は加齢に伴って減少した.最後に,ミモシン中毒症の雛に市販飼料を20日間給与し4日ごとに屠殺し,体内でのミモシンの代謝を調べた.その結果,まず市販飼料を給与した初日から食欲が回復し,採食量は市販飼料給与後17日目で対照群と有意差が認められなくなった.それに伴って体重も増加した.また各組織のミモシン濃度は羽毛,甲状腺では20日目でもミモシンが認められた.それに対し腎臓,血清,肝臓は4日目から,総排泄物は8日目から検出されなくなった.皮膚,筋肉,冠,精巣は20日目でも極少量のミモシンが検出された.
著者
菅野 長右ヱ門 大武 由之
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.282-296, 1981-04-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
17

牛乳脂肪球皮膜から得た可溶性蛋白質(SGP)の抗体と反応する蛋白質がホエーに存在することが見出され,これをanti-SGP reacting protein(A蛋白質)と名付けた.A蛋白質の大部分は耐熱性のプロテオースペプトンの成分-3に含まれているが,成分-5と-8にも存在する.ここでは,3成分間のA蛋白質の性質の差異およびA蛋白質とSGPの構造的•免疫学的関連を明らかにするために,各成分をBio Gel A-0.5mによるゲル〓過およびDEAE-celluloseクロマトグラフィーで分画した画分を用いて研究した.得られた各成分の画分を一元平板免疫拡散,二重免疫拡散,免疫電気泳動,およびDisc電気泳動で分析した結果は互に一致していたことから,A蛋白質には移動度の小さいバンド(SMB)とバンド3の2つの蛋白質が関連していることが示唆された.また各画分の沈降線は各成分の画分間においてさえ融合していたから,A蛋白質は同一の抗原決定群をもっていることが判明した.成分-3をDEAE-celluloseクロマトグラフィーで分画した画分の免疫電気泳動パターンにおける沈降線の移動度は溶出された画分の順に増大していた.このことから,多様な形のA蛋白質が存在することが判明した.さらに,A蛋白質とSGPの構造的関連をSDSPAGEで調べた結果,少なくとも2種の糖ペプチド(band AおよびB)が両者に共通していた.したがって,A蛋白質が同一の抗原決定群をもつにもかかわらず,多様な形をとることは,A蛋白質が主要な2種の糖ペプチドとその他のポリペプチドの分子間会合によって形成されていることに起因するものと考えられた.またA蛋白質は血清に由来する蛋白質ではなかった.
著者
海老名 卓三郎 太田 実 打和 秀世 村上 梅司
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.580-589, 1994-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
16

皮膚ケラチンとは反応せず,毛髪に特異的に結合し,毛髪の破断強度を上げる抗毛髪ケラチ ン抗体を含む初乳ならびに常乳を免疫牛に産生させた.人毛髪ケラチン50mgを出産60日前のホルスタイン牛に筋肉内に注射し,(2~3)週間後に同抗原を乳房内または乳房リンパ節附近に投与すると,血中抗体価ならびに初乳中の毛髪ケラチンに対する抗体価は105に上昇した.この時,免疫牛一頭の初乳中に(1~1.5)kgのIgGを産生することが出来た.さらにこれらの免疫牛に分娩2~3ヵ月後ケラチンを50mgずつ筋肉注射し,4週おきに同抗原を筋肉内液射又は腹腔内注射を3回行なったところ,常乳中に初乳と同等の比活性を持った抗体が出来るにとを見出した.常乳では300日間搾乳することができ,全体では(4~5)kgのIgGを得ることができる.にれより,初乳に加えて常乳を抗体生産に利用するにとが可能となった.
著者
尾野 喜孝 岩元 久雄 高原 斉
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.453-459, 1983-07-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
26
被引用文献数
5 1

鶏の大腿二頭筋(M.biceps femoris)においてAndrogenが筋線維型の構成割合および筋線維の直径にいかなる影響を及ぼすかを組織化学的に検討した.供試鶏はNew Hampshire種雄を用い,対照区,去勢区および去勢鶏にtestosterone propionate(TP)を投与したTP処理区の3区に区分した.大腿二頭筋筋線維は,myosin ATPase, succinic dehydrogenase,およびNADH tetrazoliumreductaseの酵素活性に基づきII-R型とII-W型とに区別された.II-R型はfast-twitch-oxidative-glycolytic fibersでありII-W型はfast-twitch-glycolytic fibersである.雄鶏では20週齢以後の性成熟期にII-R筋線維の構成割合が著しく増加し,逆にII-W型筋線維の構成割合は減少した.去勢鶏の筋線維型の構成割合は雄鶏でみられたような変化は示さなかったが,TPを投与することによって雄鶏のそれへと回復した.去勢の結果,筋線維の直径は特にII-R型でその増大が著しく抑制されるが,TP投与によりこれは回復の傾向を示した.以上の結果から,Androgenは雄鶏の大腿二頭筋でII-W型筋線維の一部の筋線維の酸化的酵素活性を特異的に高め,II-R型へと変換し,同時にII-R型筋線維の直径を増大させることによって,同筋肉を持続性を伴った力強い運動に適合させるものと考えられる.
著者
宮本 元 西川 義正
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.205-210, 1979

°C付近通過の冷却速度が,牛精液の過冷却の程度におよぼす影響,ならびにその過冷却の程度が,牛の凍結•融解精子の生存性におよぼす影響について検討し,つぎの知見をえた.1. 最終グリセリン濃度が7%(v/v)になるように,卵黄クエン酸ソーダ液で希釈した1mlの精液をビニール製ストローに注入し,0°C付近を毎分0.5~109.8°Cの速度で通過冷却すると,過冷却点(過冷却が破れて氷晶の成長が始まる温度)は-4.0~-13.8°Cの範囲にあった.1mlの精液をガラスアンプルに注入し,0°C付近を毎分0.6~21°Cの速度で通過冷却すると,過冷却点は-3.0~-9.2°Cの範囲にあった.2.過冷却が破れ凍結現象が始まった後の冷却速度が同じであれば,希釈精液の過冷却の程度は,-196°Cに凍結した後の牛精子の生存性に影響をおよぼさなかった.3. 希釈精液の過冷却が自然に破れても,植氷によって破れても,凍結•融解牛精子の生存性に差は見られなかった.
著者
小松 正憲 西尾 元秀 佐藤 正寛 千田 雅之 広岡 博之
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.157-169, 2009-05-25
参考文献数
35
被引用文献数
1 2

黒毛和種繁殖肥育一貫経営農家経営において,BMSナンバーや枝肉重量(CW)に関与するQTLアリル型情報はどの程度収益上昇に活用できるかを,初期QTLアリル頻度 (<I>p</I>),計画年数 (<I>T</I>),DNAタイピング料金(<I>C<SUB>TYP</SUB></I>),使用する精液差額(<I>SEM</I>),種雄牛と繁殖雌牛の割合(<I>R (s/d)</I>)を変化させて検討した.その結果,BMSナンバーに関わる<I>Q</I>アリルを1個持つことで得られるBMSランク上昇分(Δ<I>BMS<SUB>QTL</SUB></I>)を1.0,BMSナンバー1ランク上昇分の枝肉単価(<I>CWP<SUB>BMS</SUB></I>)を150円/kg, <I>CW</I>を440 kg, CWに関わる<I>Q</I>アリルを1個持つことで得られる枝肉重量上昇分(Δ<I>C<SUB>WQTL</SUB></I>)を20 kg, 黒毛和種去勢枝肉単価(<I>CW<SUB>PU</SUB></I>)を1,900円/kgとした場合,QTLアリル型情報は,黒毛和種繁殖肥育一貫経営農家の経営に充分活用できると考えられた.また,以下のことが明らかになった.QTLアリル型情報を経営に活用する際,集団における<I>p</I>の頻度,<I>SEM</I>および<I>T</I>数が重要であり,<I>C<SUB>TYP</SUB></I>と<I>R (s/d)</I> の重要性は低かった.<I>C<SUB>TYP</SUB></I>が5千円/頭,<I>SEM</I>が1万円程度以下で,1頭当たり1万円程度の収益上昇を確保するためには,<I>p</I>の頻度は,BMSナンバーでは0.6~0.7以下,CWでは0.4~0.5以下であることが示唆された.繁殖雌牛集団のQTLアリル型情報は,<I>p</I>の頻度が0.5~0.7程度の範囲内,<I>T</I>数がBMSナンバーで6年以上,CWで8年以上であれば,収益上昇に貢献できることが明らかになった.
著者
森 香中
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.19-22, 1951 (Released:2008-03-10)
参考文献数
8

マウスを用いてビタミンLの生殖生理的作用の追究を主眼としそ実験し次の如き結果を得た。(1) マウスでは50日間程度のL欠乏に対しては経産未経産を通じて著しい泌乳障害を起すとは考えられない。(2) 幼若マウスに対してLの経口投与は,♀♂共に体及び生殖器官発育には大した効果がみられないが乳腺組織の発育を促進するものと認められる。(3) 未性成熟♀マウスにAnthranilic Acid即ちL1とProlanとを適量混合皮下注射するとProlanの性腺刺戟効果を増大し,L1の乳腺組織発育促進効果をも増加さす,即ちProlanとビダミンL1との間には相互的協同作用が存在する。
著者
林田 重幸 山内 忠平
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.183-189, 1956

トカラ馬は,生物統計学上,体型的に済州島馬,宮古馬,八重山馬,海南島馬及び四川馬に近似性を示し,御崎馬木曽馬,北海道和種,満州馬及び蒙古馬とは近似度が低い。<br>東亜の在来馬を南方小形馬と北方中形馬に分けることが出来る。南方小形馬に属するものは,済州島馬,南鮮馬,宮古馬,八重山馬,海南島馬,四川馬,雲南馬,貴州馬,トンキ馬,アンナン馬,東インド諸島及フイリピンの在来馬である。その典型的なものは四川馬の名で知られる四川,雲南,貴州の山岳地帯に飼養される矮馬であり,その体高100~120cmの矮小馬である。トカラ馬は南方小形馬に属す。東インド諸島及びブイリピンの馬はその基礎は小形馬であると考えられるが,アラブ系統馬によつて,やや貴化と大格化をみる。北方中形馬に属するものは,北鮮,満州,蒙古,伊犁,ハイラル,サンペースの馬である。その典型的な在来馬は,内外蒙古に飼養される蒙古馬であると考えられ,その体123~136cm平均131.4cm程度のものであろう。伊犁及びサンペース馬は蒙古馬にアラブの血液の注入されたものである。本邦在来馬である御崎馬,木曽馬及び北海道和種は大さの点で北方中形馬に入る。<br>南方小形馬と北方中形馬の分布は図のようである。
著者
田中 桂一
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.307-318, 1974-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
146
被引用文献数
1
著者
熊崎 一雄 森 純一
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.362-368, 1962 (Released:2008-03-10)
参考文献数
8

岡山,徳島,宮崎の各県下に,合計13頭のアルビノ牛が発生した.これらの血統調査,外貌観察,被毛および眼球組織の顕微鏡的観察を行ない,次の結果を得た.1. これら13頭は,4頭の優良種雄牛から生れたものであつて,先に松本らが報告した3頭のアルビノ牛と密接な血縁関係をもつていた.松本らが報告した3頭も念めて,総計15頭のアルビノ牛が,種雄牛FM号の血を引いていた.残りの1頭では,その父親が,北海道に発生したアルビノ牛と半兄弟の関係にあつた.これらの関係から,アルビノ牛の発現は劣性遺伝子に支配されるものと推定される.2. 6ヵ月以上観察を続けることができたアルビノ牛には,すべて幽霊斑が出現した.この出現には,性の差が関与するといわれているが,今回調査したなかで,雄はすべて生後間もなく売却屠殺されたので,これを確認することができなかつた.幽霊斑が出現する原因は,被毛に含まれる色素の多少によるものではなく,被毛の構造の違いによるものと思われる.3. これらの牛は,出生後しばらく強い羞明現象を表わしたが,成長するに及んでその程度を減じた.4. 成長するに従つて,虹彩および毛様体部に色素の沈着を認めた.また一部のアルビノ牛の眼瞼および耳の皮膚に暗色の小斑点の出現を認めた.これらの事実から本アルビノ牛は不完全アルビノと推定された.
著者
大高 文男
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.226-232, 1962 (Released:2008-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

16頭の豚で,枝肉の各部位(1~7と呼ぶ)の電気抵抗値(単位Ωははぶく)を測定し,次のような平均値を得た.部位1(腿の切断されて露出している肉面)1931;2(背肉の腿に近い部分)2334;3(背肉の肩に近い部分)1683;4(肩肉の上部)1918;5(肩肉の下部で前肢に接する付近)1363;6(下腹部の中央の肉面)17667(横隔膜筋)1628.部位2と部位3,5,または7との間には,5%水準で電気抵抗値に有意差が認められた.肉の電気抵抗値は,部位および個体によつて差があるが,死後における経時的変化の様相は同じである.死後は,最初急激に低下するが,まもなくゆるやかに減少していく.この間一時,平衡または増加の傾向を示すが,これは,酸溶性燐酸化合物およびpHの変化とも考えあわせると,死後強直の時期と思われた.赤血塩還元法で遊離SH基の量を測定した.最初の間は肉蛋白質の変性による遊離SH基の量の増加よりも,他の還元性物質の減少が大なるため,測定値は急激に減少して行き,この期間における電気抵抗の変化と同じ様相を示した.その後,蛋白質の変性にともない,遊離SH基が増加するに従つて,この値は増加するようになるが,この時期はいわゆる初期腐敗の時期と思われた.一般に応が腐敗して来るに従い,電気抵抗は,各部位でたがいに似た値を示すようになる,しかし,いわゆる初期腐敗と思われる時期の値は,部位によつて幾分異なるようであつた.
著者
カジャラン J. カジャラン S. シリノンコート S. 取出 恭彦
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.754-759, 1998

<i>Brevibacterium lactofermentum</i>より調製された酵素処理菌体末(DBCP)経口投与の初産母豚および哺乳子豚に対する影響について研究した.DBCPを妊娠期に投与する事により,出生時の一腹あたりの子豚数が増加した.DBCPの投与により,糞中の<i>Escheyichia coli</i>数が減少し,また母豚初乳中の全タンパク質,β-ラクトグロブリン,γ-ラクトグロブリンの量が増加する傾向がみられた.これらのDBCPの効果はDBCPに含まれるペプチドグリカンの免疫賦活効果によるものと考えられた.DBCPを妊娠16日から,授乳期まで投与し,更に,哺乳期に哺乳期用飼料添加により投与した場合が離乳時の一腹あたり子豚数および体重において最も良い成績が得られた.
著者
黄 宸佑 竹田 謙一
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.243-246, 2016-08-25 (Released:2016-09-13)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究では,羊毛食い発現の日内変動を2つの飼育密度条件下で調べた.供試個体を高密度(全45頭,1頭/m2)と低密度(全24頭,0.4頭/m2)条件下で供試個体の羊毛食いを10分間隔で5分間の連続観察を行い,各個体ごとの羊毛食い発現回数と,羊毛食い1回あたりのバイト数,羊毛食い発現個体数を記録した.両飼育密度条件下において,夕方の給餌後の時間帯での羊毛食い回数,バイト数が他の時間帯より有意に多かった(P<0.05)が,1回あたりのバイト数は有意に少なかった(P<0.05).また,1日あたりの羊毛食い発現個体割合は,夕方の給餌後に最も多くなった(P<0.05).以上より,ヒツジの羊毛食いは摂食行動後に多発し,摂食時における何らかの口唇への刺激不足が羊毛食い行動発現に影響している可能性が示唆された.
著者
上坂 章次 堀 力
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.153-158, 1950

カゼインの高周波乾燥について予備的な試験を行い次の如き成績を得た。<br>1 平板極板を用いても金網極板を用いても生カゼインの乾燥效果には大差ないようである。<br>2 極板距離の小なる場合即ち電界強度の大なる場合程温度の上昇も速く,乾燥速度も速い。<br>3 生カゼインの厚みが薄い程温度上昇は早く,乾燥時間は短かくてすむ。<br>4 カゼインの乾燥に高周波を応用することは普通の方法では乾燥温度が余りに高くなるために品質を惡化する。<br>5 この乾燥温度をなるべく少くするために出力を落として照射したが乾燥時間が徒らに長くなり,かつ温度も相当高くなつて目的を達しなかつた。また扇風機を用いて送風しながら乾繰したが温度の上昇はまぬがれなかつた。