著者
加藤 博一 Billinghurst Mark Poupyrev Ivan 鉄谷 信二 橘 啓八郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.97-104, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
27
被引用文献数
4 8

人間にとって自然で直感的なインタフェースを設計するためのデザインコンセプトとして,Tangible User Interfaceをあげることができる.このコンセプトに基づき設計された拡張現実感システムを我々はTangible Augmented Reality Interface と呼び,そのプロトタイプシステムをいくつか試作してきた.本論文では,このTangible Augmented Reality Interface について,その特徴,有効性を説明する.また,具体的なプロトタイプシステムとして「Magic Book」および「Magic Paddle」を紹介する.Magic Book は,仮想3次元絵本であり,ユーザは実際の本の上に,仮想的な3次元オブジェクトを見ることができる.さらに,そのシーンの中に入り込むことも可能である.また,この仮想世界の中で,複数のユーザがコミュニケーションをとることもできる.Magic Paddleは,仮想のミニチュア家具のレイアウトシステムで,紙製のパドル(へら状の物体)で,仮想の家具に対する操作ができる.直感的なインタフェースが実現されており,容易に3次元オブジェクトの操作ができる.
著者
伊豫田 旭彦 木村 秀敬 武井 悟 垣内 祥史 杜 暁冬 藤井 宗太郎 益田 義浩 枡野 大輔 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.33-44, 2006-06-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1 4

加速度センサと, のれん状スクリーンを用いた野球におけるピッチングを体感するVRアプリケーションを提案する. 従来の入力デバイスにはない, 直接かつ直感的な入力方式を開発した. 加速度センサを埋め込んだボールを用いることで, 実際のピッチングと同じ動作で変化球を投げることができる. また, 現実空間と仮想空間をシームレスにつなぐスクリーンを開発することで, プレイヤーは, 投げたボールが仮想空間に飛び込むという新感覚を体験できるようになった.
著者
宮田 一乘 高橋 誠史 黒田 篤
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.13-19, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
34

PCのグラフィックボード(GPU)の果たす役割は年々加速しており,CPU中心の計算環境からGPU中心の計算環境へと徐々に移行している.また,GPUの持つ機能をプログラムで利用できる環境が整ったことにより,GPUをグラフィック処理専用のCPUの補助プロセッサとしてではなく,並列計算機として応用する研究が活発化している.本論文では,GPUコンピューティングで何が可能となり,今後どのような発展が期待できるかを,具体的な例を挙げながら述べる.
著者
長嶋 洋一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.108-148, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
71
被引用文献数
3

聴覚的情報と視覚的情報を同時に視聴するマルチメディアコンテンツにおける「ビート」に注目し、音楽的ビートが映像的ビートの知覚に及ぼす局所的な引き込み効果を提唱した。これを解析・検証するための新しい心理学実験システムを制作し、被験者テストによる実験・評価を行った。あわせて、コンピュータを用いた心理学実験で重要となる、システムのレイテンシ(遅延)について検討・考察した。具体的には、従来から進めてきたComputer Music関係の研究を受け継ぎ、新しいモデルを提唱し実験的に検証するために、(1)新しい視点での「ビート」概念の定義、(2)実験に適した映像素材の検討と制作、(3)実験に適した音楽素材と被験者インターフェースの開発と映像系との同期制御、(4)被験者の音楽経験など個人的要因によるばらつきへのシステム対応(チューニング)、(5)システムのレイテンシの検討と心理学的影響の考察、(6)実験データの効果的な可視化、などの新しいアプローチを行った。
著者
杉山 紘一郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.170-180, 2008 (Released:2009-01-14)
参考文献数
14

風が通り抜けると、ひとりでに音を奏でるエオリアン・ハープ。不思議な印象を与える発音方法と繊細で神秘的な音色のため、古くから人々を魅了してきた。しかし、現在では都市の喧噪に飲み込まれるようにほとんど失われつつある。本稿では、エオリアン・ハープの歴史的な背景をおさえながら、独特な発音原理を紐解いていく。そして、オーストラリアやアメリカで活躍しているエオリアン・ハープ・アーティストの作品、著者によるエオリアン・ハープの実践を紹介していく。多くのアーティストは主に安定した風の吹く広大な土地の中で実践を行なっている。しかし、著者は住んでいる都市にエオリアン・ハープを組み込むことを考えた。普段感じている都市特有の複雑な風をエオリアン・ハープの音を通じて改めて感じ、日常的な感覚をより鋭敏にするためである。また、こうした体験を通じて制作した新たなエオリアン・ハープを紹介し、現代におけるエオリアン・ハープの可能性を探る。
著者
白鳥 和人 塩入 健太 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.65-74, 2008 (Released:2008-07-30)
参考文献数
34
被引用文献数
3

概要-本稿では,格闘対戦型ゲームの自動対戦キャラクタの仮想プレイヤにゲーム状況やプレイヤ行動に応じた発話音声を付加する手法を提案する.本提案ではまずゲーム状況を画面内マーカ位置の画素変化からライフポイントや技パターンを読みとり獲得する.これに基づき計算機側プレイヤの感情パラメータを算出する.音声会話データは実際にゲームプレイ中の発話を録音し抽出しパラメータと対応付けておく.このシステムで遊ぶときこれらの会話セットを適切に選択し仮想プレイヤに発話させる.実際のユーザにプレイをさせた結果,対戦型ゲームを計算機プレイヤと行う場合での手法の有用性が確かめられた.
著者
安藤 大地 Dahlstedt Palle Nordahl Mats 伊庭 斉志
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.77-86, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20
被引用文献数
6 10

近年,音楽作曲の分野への対話型進化論的計算(IEC)の応用に関する研究は非常に発展してきている.この発展の背景には,人間の感性をコンピュータシステムに取り込むことは,コンピュータシステムの発展にとって必要不可欠という認識がある.しかしながら,IECを作曲に応用した従来のシステムは,実際の作曲家には積極的に使われてこなかった.この理由は,主にシステムを用いた作曲過程や扱うデータ形式が伝統的な作曲技法のそれとは大幅に異なるためである,と考えられる.そこで筆者らは,実際の作曲にIECシステムを活用することを目的として,新しい作曲支援システムを構築した.新しいシステムの主な特徴は,クラシック音楽の作曲家が馴染みやすい遺伝子表現や作曲過程である.また,実際にシステムを利用してピアノの小品を作曲し,その有効性を確認した.
著者
白井 暁彦
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.22-34, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

この論文は,近年のコンピュータゲームに代表されるエンタテイメントシステムの定義に関する論文である.芸術科学分野において,エンタテイメントシステムは,メディアアートやテクノロジアートといった他のインタラクティブシステムと混同され,もしくはその解釈をあいまいにして語られることが多い.本論文では中世から近代,現代の「遊び」に関する科学的研究を引用しつ,近年のコンピュータを用いた遊びのためのシステムである「エンタテイメントシステム」の解説と定義を,最新の実例とともに行うものである.
著者
井上 亮 糸原 良子 矢島 邦昭 海野 啓明
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.151-158, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
9
被引用文献数
4 7

4次元折り紙では,4次元空間において立体を折り面で折る.4次元空間とは,この3次元空間とそれに直交する第4軸により張られた空間である.4次元折り紙のCG画像は3次元スクリーンで描くのが合理的なので,本論では4次元CG画像を4次元ペインタアルゴリズムとステレオグラムを用いて生成する.最初に,4次元空間における立体の折りたたみについて説明する.この立体の表裏を定義すると,折り紙の山折りと谷折りが決まる.それら用いて「4次元のし」を折り,ステレオ画像を生成する.次に,正4面体を稜角2等分折りにより折りたたみ,それを利用して二重4面体から4次元鶴を折る.最後に,この4次元鶴が翼を開いたところのCGステレオ画像を数種類生成し,本手法の有効性を示す.
著者
松井 哲也
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.120-128, 2021-06-30 (Released:2023-05-03)
参考文献数
20

地方自治体や地域密着型企業をアピールするために利用されるマンガ的なキャラクターである「ご当地萌えキャラ」は、現在では日本各地非常に多くの種類が展開されている。しかし、そのデザインメソッドについては十分に分析されておらず、特にこれらのキャラクターがその主たる目的である「商品や観光サービスの購入意欲の促進」という目的に叶ったデザインを有しているかどうかについては、ほとんど検討されていない。本研究では、「ご当地萌えキャラ」の外見デザインが受け手に与える影響の因子を明らかにするために、質問紙調査を行い、その結果に対して因子分析を実施した。先行研究ではバーチャルキャラクターの外見デザインには"reality"と"familiarity"の2因子が存在することが明らかにされているが、本研究で同様の質問紙を用いて分析を行った結果、「ご当地萌えキャラ」においても同様の2因子が確認できた。また、これらの因子得点と商品推薦効果の相関を調査した結果、"familiarity"因子と商品推薦効果との間に高い相関が見られた。さらに、キャラクターの等身によって「ご当地萌えキャラ」を2グループに分類し、グループ間で因子得点の分散分析を行った。その結果、頭身の高いキャラクターのほうが、より高い商品推薦効果を持つことが明らかになった。
著者
富岡 洋子 米村 貴裕 長江 貞彦
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.89-90, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
4

近年,俳句は海外でも親しまれ,英語で詠まれる機会が多くなった.昔から俳句は色紙や短冊に毛筆で書き作品とする風習がある.そこで英語の俳句も筆文字で表現することにより趣ある作品を作成することが可能だと考えられる.しかし,一般に英語圏の人々は筆文字に親しみがなく,実際に毛筆で文字を書くことは困難である.そこで本研究では英語圏の人々が作成した俳句を容易に筆文字で表現するためのソフトウェアを試作した.英文字には実際に筆で書かれた文字を使用し,文字間をスプライン曲線で補間することにより筆記体を表現した.補間する曲線は線幅を変えることで筆圧の変化を表現し,ユーザが自由に変更できるようにした.
著者
家田 暁 琴 智秀 萩原 将文
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.163-172, 2010 (Released:2011-03-01)
参考文献数
36
被引用文献数
1 2

本論文では感性を反映した構図修正による,デジタル写真の品質向上システムを提案する.提案システムでは入力画像に適した構図を自動選択し,画像の構図を原画像の印象を保ちながら修正することで,画像の品質向上を行うことができる.修正は4 段階の処理によって行われる.まず,入力された画像から主となる顔,際立つ領域,三角部分,水平線,対角線,遠近法消失点の6 種類の構成要素が検出される.検出された各構成要素の位置や他構成要素との関係から,それぞれの構成要素に適すると考えられる出力構図案が計算される.次にそれらの構図案から,原画像の印象から大きく変わってしまう案が削除される.すなわち,画像に対する構成要素の位置が大きく移動する案が削除される.最後に,残った出力構図案の中から原画像の印象を最も保つことが可能な構図案,すなわち切り出す面積が最も小さい構図案が選択され,その構図案に従い画像の構図修正が行なわれる.ユーザアンケートによる2 種類の評価実験を行った.その結果,提案システムによってユーザにとって好ましい修正が行われること,また既存手法と比較しても好ましい修正が行われることが確認された.
著者
星野 准一 森 博志
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.20-28, 2009 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18
被引用文献数
2

近年,ゲームやテーマパークなどで,CGキャラクタと対話をすることでストーリーが進行する,音声対話ゲームが見られるようになってきた.このようなゲームでは,ユーザのストーリー体験を強化するために,自然で現実味のある対話を実現することが求められている.しかし,従来ゲームでは,ユーザの発話内容を認識する間CGキャラクタがレスポンスを返すことができないため,CGキャラクタの反応タイミングが遅く不自然に感じられるという問題があった.そのため,本論文では,ユーザの発話内容を理解し反応する熟考的反応だけでなく,会話状態に連動した注意動作や,ユーザの非言語情報を知覚し反射的に注意を向けるといった,反応的注意動作を生成する手法を提案する.最後に,提案手法を音声対話型ゲームに適用し,従来の音声認識の遅延によって発生していたCGキャラクタの反応動作の遅延が軽減され,CGキャラクタとの対話感が増すことを示す.
著者
望月 茂徳 蔡 東生 浅井 信吉 王 雲 福本 麻子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.102-110, 2010 (Released:2010-10-01)
参考文献数
12

UNESCO世界遺産にも登録されている龍安寺石庭は, 15個の石が無名の設計者により一見してランダムに配置されているが,石もしくは石群の配置は基本的に手前からみて奥が鈍角をなす不等辺三角形をなし,基本的に,三石もしくは三石群がそれより大きい一石群をなし,不等辺鈍角三角形が3回再帰的に繰り返される構造になっている.本論文ではまず, それぞれの石もしくは石群のサイズは1/f揺らぎもしくはZipfの法則に従っていることを算出した. さらに, より詳細な配置分析としてアイ・トラッキング実験を行い,石(もしくは石群)から石(もしくは石群)への視線の遷移をリンクとして計測した. 計測したデータよりホットスポット(視線注視分布)図の作成および視線の"PageRank"の算出によって, 視線軌跡ではわかりづらかった, 石庭鑑賞上の視線の乱れが起こる例外的石配置ルール出現箇所において, 視覚的不協和が使われている可能性が高いことを示した.
著者
古矢 志帆 伊藤 貴之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.120-129, 2009 (Released:2009-10-09)
参考文献数
19
被引用文献数
4 5

スカラ場とベクタ場を同時に,かつ三次元的に可視化する試みは,さまざまな観点から研究の余地があると思われる.例えば気象シミュレーションの分野では現在でも,スカラ場(気温・気圧など)とベクタ場(風向)を二次元的な手法(断面上の等高線や矢印など)で可視化する事例が多い.しかし二次元的な可視化結果からは,気象現象の立体的なメカニズムを理解するのが難しい場合が多い.本論文では,等値面と流線を用いてスカラ場とベクタ場を同時可視化するための,流線自動選択手法を提案する.本手法ではまず,複数の等値面を選択表示する.続いて本手法では,多数の流線を一時的に生成し,それらの見かけを評価し,上位に評価された流線を選択表示する.その際に本手法は,等値面による遮蔽を低減すること,流れ場の特徴を示す渦などの現象を効果的に表現すること,を考慮して流線を選択する.結果として本手法は,視点に依存せずに等値面を選択し,視点に依存して流線を選択する.
著者
山本 欧
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.15-24, 2009 (Released:2009-06-02)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

ボリュームディスプレイは,立体を3次元空間内に直接描画し表示するディスプレイであり,実体感のある立体表示が可能である.このため,科学だけでなくアートの分野においてもボリュームディスプレイの利用が期待される.しかし,従来のものは装置が複雑・高価格であり,アート分野での利用は進んでいない.本論文では,光学系の不要な単純な構造を持ち,市販部品から容易に構成可能なボリュームディスプレイ,およびそのための表示データ生成ツールの提案と実装について述べる.本ディスプレイは,往復運動する蛍光表示管(VFD)上に立体の断面を位置に応じて表示し,残像効果により立体表示を行う.これにより,単色で表示画像は小さいものの,鮮明な立体静止画像および動画像が表示できる.また,表示データ生成ツールは,表示エリアを立体的に指定するフレームにより,本ディスプレイのための表示データを一般の3Dモデリングソフトウェアを用いて容易に作成可能とするものである.
著者
戸田 真志 秋田 純一 大江 瑞子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.51-56, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

本稿では,ウェアラブル楽器の一環として,あるいはウェアラブルコンピューティング技術のファッション応用に対する具体的実現としての「着るピアノ」について,導電性布素材を用いた新しいアーキテクチャを提案する.提案するアーキテクチャでは「服としての一体感を演出するために,なるべく布素材を用いる」「機能分化により軽量化を図る」「意図しないシーンで音が出ることを防ぐ」「鍵盤レイアウトの自由度を向上させる」の特徴を有し,衣服としての着心地,着るピアノとしての操作性,デザインの自由度などについて大幅な改善を実現したものである.本提案は,「着るピアノ」の改良,ということのみならず,ウェアラブル基盤としての導電性布素材の新しい利用方法を模索するものとの位置づけも可能である.
著者
柿原 利政 溝口 敦士 櫻井 快勢 瀬井 大志 谷本 隼飛 宮田 一乘
出版者
The Society for Art and Science
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.34-42, 2008 (Released:2008-07-30)
参考文献数
10
被引用文献数
3 1

本論文では,7基の噴水を団扇型のコントローラで操るインタラクティブな噴水システムを提案する.1基の噴水は1つのポンプと,9個のフルカラーLEDで構成され,室内で使用するためにアクリルパイプで覆う.PCは噴水のポンプとLEDをコントロールし,団扇型コントローラの動きにともない水の噴射量と光の色を変化させる.団扇の形状が持つアフォーダンスを活用した,インタラクティブな噴水システムを実現した.
著者
望月 茂徳 堀江 大輔 蔡 東生
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.76-87, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1

秋の風物詩である紅葉は, 景観コンピュータグラフィクス(CG)において自然な季節感を表現するために欠くことができない現象である. 自然で趣のある紅葉発色は, 空間および時間において複雑性を持ち, 数多くの植物生理学的不確定要因を持つため, 紅葉発色の複雑性を適切に再現した研究は見あたらない. 本研究では, フラクタル頂上関数(Top Function)を用いて, 樹木, 葉の複雑構造を記号空間に写像することにより, 空間および時間における複雑性を持った紅葉発色のCG表現方法について研究を行う. 紅葉の発色部は葉部のみであるが, その紅葉発色進度は樹木中の各葉ごとに異なることから, 紅葉を枝・樹木レベルと葉レベルに分け, 各レベルをRIFS (Recurrent Iterated Function System)の記号空間に写像し, 記号空間上で色関数を定義することにより, 樹木全体を紅葉発色させる空間時系列アルゴリズムを提案する.
著者
益子 宗 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.136-144, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

運動が不足すると健康が阻害されることが知られ,室内で手軽に利用できる運動器具が普及している.しかし,どのような運動をどれくらいの時間行えばよいかといった運動処方を知るためには専門的知識が必要であり,過度な運動による事故や十分な運動効果を得ることが困難であった.そのため,運動効果が得られるように運動器具の負荷を自動制御するフィットネスマシンや,運動にゲーム性をもたせることで継続的な運動を促すことが提案されている.しかし,運動が単調であるために運動の達成感が得られず運動を継続できないことや,あらかじめ設定されたゲームの難易度が個人の運動習慣や心肺能力によって異なる有効心拍数を考慮していないために,ユーザによっては十分な運動を行うことができず運動効果が得られないといった問題があった.そこで本研究では,実時間で計測したゲームプレイ中のユーザ心拍数を運動強度の指標とし,心拍数に応じてゲーム内容を動的に変更することで,ユーザ個々にあった運動効果と運動達成感を与えるゲーム制御手法を提案する.最後にボクササイズにゲーム要素を付加したフィットネス支援ゲームを構築し,評価を行なう.