著者
水田 孝信 八木 勲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2N5GS1001, 2023 (Released:2023-07-10)

証券取引所は市場価格の急変動をおさえるため,現在の価格から大きく離れた価格の注文を出せないようにする値幅制限や,価格が急変動した際にある一定時間注文を受け付けないサーキットブレイカーを導入する場合があるが,どちらがより価格の急変動をおさえるかは多くの議論がある.本研究では人工市場を用いて値幅制限とサーキットブレイカーの効果の比較を行った.その結果,両者は制限幅や時間スケールといったパラメータを同じにすれば,同じ程度に急変動をおさえる効果があることが分かった.しかし,投資家が注文をキャンセルする時間スケールより値幅制限が短いパラメータを持つ場合,制限価格に付近に注文がたまってしまい,その注文が急変を緩和する方向への価格変動を妨げてしまい,サーキットブレイカーよりも価格急変動をおさえる効果は劣ってしまうことも分かった.今回の結果だけを見れば,値幅制限よりもサーキットブレイカーの方が優れているように見える.しかし今回の結果は,誤発注による下落であり,かつ,いずれの規制も個別銘柄に導入された場合のみを分析しているなど,非常に限定的な状況下のことしか示していないことに注意が必要である.
著者
全 珠美 水野 貴之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2E5OS1b02, 2020 (Released:2020-06-19)

HYIPは高い利益を得ると広告して参加者を集めるポンジ詐欺の一種である。この投資プログラムはリスクが高いにも関わらず参加者は集まって経済的な被害を受けることになる。本研究では、ビットコイン市場で観察されたHYIPに関する取引データを用いて、この投資プログラムが活性化し崩壊するまでのメカニズムを分析する。HYIPプログラムから利益を貰うか貰わないによって、肯定的または否定的なフィードバックのループが発生する。参加者たちはネットワークを形成していて、彼らの模倣行動によって投資金額はLog-periodic的なパターンで成長する。この現象は株式市場のバブル形成・崩壊のメカニズムと同様である。本研究では、代表的なバブル時の株価予測モデルであるLPPLモデルを応用しHYIPの活性を予測する。この研究は今後、仮想通貨市場で現れるポンジ構造の詐欺プログラムの追跡や効果的な規制の研究につながると期待する。
著者
木村 大毅 SUBHAJIT Chaudhury SARATHKRISHNA Swaminathan 田中 恒彦 DON Joven Agravante 立堀 道昭 ASIM Munawar ALEXANDER Gray
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3Yin256, 2022 (Released:2022-07-11)

近年の深層学習は強化学習など様々な分野へと応用されている.ところが,一般的な深層学習ではニューラルネットワークを基本としているため,大量の学習データを用意する必要があり,異なるドメインへの学習結果の転用ができなく,更には学習後の動作の説明や解析が困難である.そこで,ニューラルネットワークを用いた深層学習と,記号的表現に基づくシンボリックAIを組み合わせたニューロシンボリックAIの活用が期待されている.本稿では,ニューロシンボリックAIを強化学習に応用した手法を提案する.結果として,提案手法は,既存の深層学習のみ手法,及び既存のニューロシンボリックAIに比べて,学習効率が良く,説明可能であることを示した.
著者
桂 裕樹 岡田 将吾 新田 克己
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回 (2015) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3N43in, 2015 (Released:2018-07-30)

本研究ではタブレット端末を対象とした,グラフィックインターフェースを備えた議論支援ツールを設計・開発する.議論を可視化する手段・研究は様々あるが, 必ずしも論理的に正確であるとはいえない.また,これまでの研究では既に終了した議論を分析することを主眼に置いており実際の議論では使えなかった.そこで本研究では数理議論学をベースに論理性を確保するとともに,リアルタイムな議論支援を行う.
著者
木村 優里絵 尾崎 知伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1H2OS13b02, 2018 (Released:2018-07-30)

不完全情報ゲームの一つである人狼ゲームでは,ゲーム中の会話から,他プレイヤの役職を推定することが重要となる.本論文では,役職推定の更なる精度向上を目的とし,複数のベクトル表現と多様な集計方法を用いて各プレイヤの発言をベクトル化する手法を提案する.また人狼BBSのログデータを対象に,種々の分類モデルを用いて提案手法を評価する.
著者
園田 潤 小岩 晃
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3D4GS1003, 2022 (Released:2022-07-11)

山形県酒田市の離島,飛島では主なアクセス手段は定期船である.出航の判断は当日の朝に周辺地域の風速や波高などの天候データから行われている.このため出航の可否は当日まで分からず計画も立てづらく,前日までの定期船の運行予測が求められている.本研究では,翌日以降の定期船の運行予測を目的とし,気象庁のアメダスデータや人工衛星画像を用いたSVMやCNN等の機械学習による定期船の運行予測を検討している。結果として,当日では90%程度,翌日では80%程度の精度で予測が行えること,出航は1週間先でも90%程度の精度で予測できることを確認している.
著者
伊藤 克哉 南 賢太郎 今城 健太郎 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4Rin167, 2020 (Released:2020-06-19)

近年、金融分野において、機械学習的手法を用いた定量的な金融予測手法の開発が実務的にも学術的にも盛んである。 しかし、機械学習を用いた定量的金融予測モデルの開発には三つの困難がある。まず、原理的に全てのモデルは短命でかつ、ほとんどチャンスレートの正解率しか達成できない。次に、取引戦略という特殊なルールを一般的な機械学習モデルが学習することは難しい。最後に、高い予測精度とモデルの解釈性を同時に達成することが難しい。これらの問題に対処するべく我々は、Trader-Company法という新しいメタヒューリスティクスを用いた予測アルゴリズムを提案する。Trader-Company法は、単純な予測アルゴリズムであるTraderとTraderを管理するCompanyからなる。提案手法は、短命で弱いモデルが大量に存在する実際の金融市場の特性を反映している。また取引戦略の枠組み内で最適化を行うため、最適な予測戦略を作成できる。そして個々のTraderは人間に理解に可能な戦略からなるので解釈可能である。我々は提案手法の有効性を、実際の株式市場のデータを用いた実験で確認する。
著者
本川 哲哉 手塚 太郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4B3GS105, 2020 (Released:2020-06-19)

ニューラルネットワークの学習において、Adamをはじめとする適応的最適化手法はSGDよりも早く収束することで知られており、近年様々な深層学習タスクでよく利用される。その反面で、SGDよりも最終的な収束パラメータの汎化性能が悪いという報告も見られる。しかしながらその原因解明はまだ進んでいない。本研究ではこの問題に対するアプローチとして、損失関数におけるヘッセ行列の固有値分布(Hessian spectrum)を分析することで収束パラメータ付近での損失関数の形状によってパラメータの良し悪しを考察した。近年、このようにHessian spectrumを分析することで学習のメカニズムを解釈する研究が増えてきている。本研究では、ニューラルネットワーク学習後のパラメータ空間においてSGD方がAdamに比べて局所的に平坦な形状に収束することを、いくつかの実用的な深層学習モデルを用いて実験的に示した。
著者
佐藤 優介 角 薫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2T6GS905, 2023 (Released:2023-07-10)

ゲームプレイヤーの腕前には個人差があるため,万人に満足してもらえるような難易度設定は難しく,不適当な難易度はゲームプレイヤーにとってストレスとなり,ゲームからの離脱を招く恐れがある.コンピュータがゲームプレイヤーのプレイ状況を分析し,適当な難易度に調整する動的難易度調整が注目されている.本研究では,生体センサを用いて,リアルタイムに情動の変化を推定し,リアルタイムに情動の変化を推定し,情動に合わせてゲームの難易度を自動的に調整することのできるゲームを開発した.皮膚電気活動や心拍数などの生体情報を用いて,ゲームプレイヤーのゲームプレイ中の不安や退屈といった情動を推定する際の指標になり得る生体情報を検討し,生体情報から情動を推定して動的難易度調整のパターンを比較し検証を行った.実験によって得られた結果から,ゲームシーンや難易度によって発現しやすい情動が異なることが明らかとなった.
著者
河村 和紀 池之内 颯都 石川 峻弥 村上 綾菜 河野 慎 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2G4OS21d04, 2023 (Released:2023-07-10)

本論文では、グラフで表される環境において事前知識を有効に活用して最適な方策を求めるための世界モデルに基づく強化学習手法を紹介する。ゲームや交通ネットワーク、知識グラフ、社会ネットワーク、通信ネットワークなど、仮想世界や現実世界においてグラフで表される環境は多い。これらの環境で最適な方策を求めるための手法はいくつかあるが、既存の研究においては、類似した環境下で獲得した事前知識を新たな方策を学習する際に活用できていない。そこで、本研究ではグラフで表される環境に対する事前知識を獲得した状態でより良い方策を学習する手法を提案する。また、グラフで表される迷路ゲームをシミュレーションし、提案手法が事前知識を用いない単純な強化学習モデルよりも性能が良いことを示す。
著者
渡辺 哲朗 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回 (2015) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4M11, 2015 (Released:2018-07-30)

政治資金の不適切な収支は社会的注目度の高い問題であり、不適切な政治活動実態は見逃されるべきではない。本研究では、Web上の情報を用いることによって政治資金収支報告書を分析し、不適切な政治資金の収支を自動検出するための手法の提案を目指す。政治資金収支報告書に記載のある収支相手の名称・住所などを用いて、関連情報をWeb上から効果的に抽出し、これを外部情報として利用することにより、適正性の判定を試みる。
著者
井上 聡
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回 (2015) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1C53, 2015 (Released:2018-07-30)

Arnold’s CatMapはそのカオス性により様々なアプリケーションに応用されている。筆者はこれまでこの理論がもつカオス的ダイナミクスを利用したCAPTCHAシステムでの認証方式を提案してきたが、システムの堅牢性や多様性を担保するためオリジナルのArnold's CatMapを拡張してシステムに適用する。そのためのダイナミクスの検討を行った。
著者
片瀬 菜津子 鳥居 拓馬 日髙 昇平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2J4GS105, 2023 (Released:2023-07-10)

物理法則発見の情報処理過程、特にその質的なモデルの変容過程を明らかにすることができれば、今後の科学の発展速度の向上が期待できる。先行研究として、認知科学研究として類推を構造的に捉える試みや、計算機科学研究として機械学習を用いた物理法則の発見の試みがある。しかし、前者は数値的データに基づかず、概念的な枠組みの記述に留まっており、後者は予測誤差に基づくモデリングを提案しているが、質的な仮説や理論の変容を説明していない。 古典的な天体運動の理論の成立過程では、天動説から地動説への質的な理論の変容が知られる。本研究ではこの歴史的な理論構築過程の説明を目的として、数理的モデルの構築を試みた。コペルニクスの地動説は、その当時の標準モデルであるプトレマイオスの天動説より予測誤差が大きいことが知られている。それにも関わらず地動説が提案されたという事実は、予測誤差以外に地動説の良さを評価する基準があることを示唆する。本研究では天体運動データを分析し、モデル選択の基準として、全体的な予測誤差以外に、逆行運動など顕著な例外的現象に対する予測誤差を考慮することで地動説への移行が説明できることを示す。
著者
三浦 温樹 澤田 隼 桂田 浩一 大村 英史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4T2GS1003, 2023 (Released:2023-07-10)

昨今のコロナ禍の影響により,オンラインや動画による授業を受ける頻度が急激に高まった.オンラインや動画による授業は場所を選ばずに受けられるため,自室などの誘惑の多い環境で受けることが多い.このような環境下では,ついスマートフォンで通知を確認したり,部屋にある授業と関係のない本や漫画を手に取ってしまったりなど,授業への集中力が欠如しがちになる.この問題を解決するために,本研究では駄洒落を用いて授業に集中させるシステムを提案する.駄洒落は言葉遊びの一つで,その楽しさやおかしさから聴取者の注意を引く.この機能を利用し,提案システムでは授業における重要な単語から駄洒落を生成し,ユーザの注意を授業動画に引きつけ集中力を向上させることを目指す.提案システムの検証実験により集中に関する一定の効果が得られたことを確認した.
著者
清水 大志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3Rin478, 2020 (Released:2020-06-19)

あるテキストをもとに,その著者を推定するという研究は古くから行われている.日本語で書かれたテキストにおいては,単語の使用頻度や品詞のn-gramの分布,読点前の文字の分布といった特徴量に注目した手法が行われてきた.また判別モデルについてもランダムフォレスト法やニューラルネットワークといった様々な機械学習手法が用いられている.ここで本研究では,2014年に提案されたDoc2Vecと2018年に提案されたBERTに注目し,これらとニューラルネットを用いた教師あり学習を行って著者推定を行なった.学習データ及びテストデータとして使用する作品はインターネット上で公開されている青空文庫から取得した.Doc2Vecにおいては作品を数値ベクトルに変換し,それをニューラルネットの入力としている.Doc2Vecにおいては84.89%,BERTにおいては55.43%の精度が達成できた.
著者
藤井 健太朗 磯村 拓哉 村田 真悟
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2G5OS21e04, 2023 (Released:2023-07-10)

人間のように未学習の環境であったとしても適切に知覚し、目標を達成するための適応的な行動生成が可能な知能ロボットの実現が期待されている。人間の脳の計算原理である自由エネルギー原理に基づく能動的推論に深層学習を導入した深層能動的推論によって、シミュレーション環境におけるトイプロブレムの解決は示されているが、実ロボットに応用した例はない。そこで本研究は、実ロボットによる行動生成のための深層能動的推論フレームワークを提案する。提案フレームワークは世界モデル、行動モデル、期待自由エネルギーモデルから構成される。世界モデルは対照変分自由エネルギーの最小化に基づき学習を行うことで環境の適切な知覚が可能になる。行動モデルは、期待自由エネルギーモデルによって推定される対照期待自由エネルギーの最小化に基づいた模倣学習を行うことで、目標を達成するための適応的な行動生成が可能になる。評価実験として、実ロボットによるリーチングタスクを、学習済み・未学習の環境で行なった。実験の結果、提案フレームワークはどちらの環境においても適切に知覚し、目標を達成するための適応的な行動生成が実現可能であることが確認された。
著者
小瀨木 悠佳 立石 修平 大杉 康仁 狩野 悌久 中辻 真
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1T3GS604, 2023 (Released:2023-07-10)

近年,新型コロナウイルスの影響によりチャットボットやボイスボット,メタバースの活用などオンライン接客の注目が強まっている.接客において相手の感情を読み取りながら対応を変化させることは,相手と信頼関係を築きコミュニケーションを円滑にするために重要である.一方で,普及しているチャットボットの多くは,感情情報や文脈を考慮せず短絡的な会話になってしまうことがある. そこで本研究では,丁寧な接客応答ができる次世代対話システム構築に向けて,マルチターン対話の中に現れる感情の変化を捉え,相手の感情に合わせた対話応答ができるように予測するモデルを提案する.具体的には,マルチターン対話における感情予測と,直前の発話における相手の感情に合わせた対話応答の学習を同時に行う学習モデルを提案する. 提案手法の有効性を示すためにMELDデータセットを用いて比較実験を行った.結果として,マルチターン対話における感情を把握しながら応答予測を行うことは,応答予測の精度向上の効果が確認できた.
著者
岩崎 凌 森 直樹 上野 未貴
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3C3J902, 2019 (Released:2019-06-01)

近年,人工知能による小説や漫画,アニメ,漫画といった創作物を対象とした研究が大きな関心を集めている. 創作物理解や自動生成といった試みは非常におもしろいものではある反面,そもそも人の創作物理解は高次の知的活動であり,どういったタスクであれば計算機が創作物を理解したといえるのかを定義することさえ難しい. 人の創作物の中で,特に漫画を工学的に扱う分野をコミック工学という. この分野では,日々様々な研究が報告されているが,多くはコミックの持つ画像を対象としており,ストーリーといったコミックの意味を自然言語から解析しようとする研究は少ないのが現状である. その一因としては,上で述べたような意味理解のためにどのようなタスクを設定すればよいか非常に難しいということが挙げられる. 更にデータセットが十分にデータを持っていないこともコミック工学の実験を制限する要因となっているため, Data Augmentation による解決を試み,今後の人工知能による創作物理解の可能性を示すという立場で結果を解析する.
著者
飯塚 重善
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2Q5OS13b01, 2020 (Released:2020-06-19)

人間と人工知能が共生するであろう近未来の社会をどのようにデザインしていく必要があるのかについて,まず「親和性」に着目して,複数のSF映画からいくつかのシーンを抽出するとともに,既往の研究等を基にした予備的な検討をおこなっている. 現在,人工知能にかけられている期待は非常に大きいが,その一方で警戒感も大きい. その一方で,人工知能は人間にとって「パートナー」としての役割を求められる. 鉄腕アトムやHAL9000のような人間と対等に話せるパートナーがいてほしいという,我々の純粋な夢が,今日のロボットや人工知能研究の礎になっているという見方がある. 真に「親和性」の高い人工知能は,自律的で,かつ感情・意思を有するべきで,決して人間の奴隷であってはいけない. もちろん,人工知能もまた,他のシステム等と同様に人間中心であるべきであろう.ただその一方で,人間の側の考え方・捉え方として,単なる人工知能システムから人間共生システムへのパラダイムシフトが必要となるのかもしれない.
著者
上條 達也 石本 幸暉 松嶋 達也 岩澤 有祐 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2G1OS21c01, 2023 (Released:2023-07-10)

人間は環境の構造を理解し,複数モダリティからなる感覚器官からの情報を処理することで実世界で様々なスキルを獲得できる.人間のように多様なスキルを自律的に獲得できる知能ロボットの実現を目指す上で,複数モダリティからなるセンサ情報から世界モデルを学習し,モデルベース強化学習を行う手法は,自然なアプローチである.本稿では,ロボットアームのPick and Placeタスクにおいて,世界モデルに基づくモデルベース強化学習手法であるDreamerアルゴリズムを用いて,実ロボットアームの手先に触覚センサを取り付け,観測に用いることで,学習にかかる時間が短縮されることを検証する.また,実ロボットを用いて深層強化学習によりマニピュレーションタスクを学習させる際の学習環境について考察を行う.