著者
森 茂子 佐藤 和夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.149-150, 1996-03-06

クリーンルーム手法は,高信頼性ソフトウェアの開発が可能な手法として,注目を集め,その適用事例も紹介されている.しかし,本手法はバージョンアップの場合の対処のしかたには明示的にはふれていない.また公表された事例は,バージョンアップ対象となる製品の設計を,クリーンルーム手法の設計で全て書き出す作業を前提とし,その作業に多大な費用と時間を要するものであった.今回,日本の金融機関向ミドルウェアのバージョンアップに際し,クリーンルーム手法を適用するために,現実的な費用と時間で実施可能な設計方法を,新たに提案した.既に存在している,保守資料を有効利用しながら,修正,変更を行う.修正,変更項目ごとに,関係するデータおよびモジュールを洗いだす.それに対してのみ,クリーンルーム手法を適用する.テストは,従来通りの方法で行う.実際に,従来ウォーターフォール型のプロセスで開発されてきた,上記ミドルウェアでこの提案を実施の結果,信頼性については約5.6倍の改善と予測される結果を得,効果を確認した.生産性は約8%向上し,開発期間は従来と同程度であった.これにより,現実的な費用と時間で実施可能で,しかも高信頼性を得られる,バージョンアップのための設計方法であることを確認した.
著者
田口 信一 深瀬 仁 今崎 光勇 上野 晴樹
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.437-438, 1992-09-28

データベースは,高度情報化社会において非常に重要な位置にあり,様々な分野に導入されている.このデータベースの索引,検索するのに利用されるものとしてシソーラスがある.しかし,シソーラスを構築する上で幾つか問題点があるため,標準化されたシソーラスを構築することが困難である.よって,本稿では,主題分野について深く認識のある専門家が,シソーラスを構築する過程においてユーザをサポー卜するシステム,"THEMSYS"の開発について述べる.
著者
筒井 久美子 秋庭 圭子 児玉 孝次 橋詰 明英
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.113-114, 1995-03-15
被引用文献数
1

病院情報システムは、院内業務の効率化を目的とした医事会計システム、オーダリングシステムと発展し、現在診療の質的向上を図る診療支援システムが製品化されつつある。これら病院情報システムの開発において、運用方法の違いによる病院毎あるいは科単位でのカスタマイズや、年1回の医療費改定時のカスタマイズにおける開発工数の増大が、現在深刻な問題の一つとなっている。そこで上記問題の解決策として、生産性向上手段の一つであるオブジェクト指向技術を導入し、病院情報システムの一部である薬歴管理システムの開発に適用した。本稿では、上記薬歴管理システムにおける再利用性・生産性評価を行い、病院情報システムの開発におけるオブジェクト指向技術の適用可能性について述べる。
著者
笠井 有美 小野 山隆
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.231-232, 1996-03-06

社内の健康管理センターでの利用を目的とした電子カルテシステムを作成した。本システムは医師が診察時に患者と対話しながら利用するもので、従来の紙のカルテと置き替わるものである。カルテを電子化することにより検診結果を含む個人の健康管理情報の統合管理と、処方箋の発行や医療事務でのデータの再利用が可能となる。
著者
松尾 隆史 横井 茂樹 西山 卓男 三藤 隆
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.161-162, 1995-09-20

近年、FAXや電話を端末とした情報サービスシステムが広く普及している。一方で、コンピュータを端末としたインターネット上のデータベース(WWWなど)による情報サービスも急速な立ち上がりを見せている。しかしながら両者は独立して情報を提供しているため、利用者と情報提供者の双方にとって以下のような不都合があった。FAX利用者はインターネット向けの情報を入手できない。FAX端末とコンピュータ端末の両利用者間ではコミュニケーションがとれない。両端末に共通の情報を提供する場合には情報提供者の作業量は倍増する。そこで我々は、情報サービスシステムのデータベースを共通化することを考案し、またデータの相互変換を行なうことにより、FAX情報サービスシステムと、インターネット上のマルチメディアデータベースであるWWWの連携を実現した。これが、今回発表する「WWW-FAX連携システム」である。
著者
松澤 和光 飯田 敏幸 松田 晃一 今井 賢一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.155-156, 1996-09-04
被引用文献数
1

個人がネットワークを通じて膨大な情報を扱えるようになりつつあるが、真に自分の望む情報を手に入れるのは簡単なことではない。そもそも望む情報が何であるかさえハッキリしない場合も多い。このため、検索対象を明確に指定する従来法に代わって、対象が漠然としていても柔軟に検索が行える新しい方式が必要とされている。こうした要求に応えるため、検索を進めながら対象を明確化する「想起型情報検索方式」を提案した。本稿では、この提案を実現するための具体的な機構として、NTTが開発した「概念ベース技術」を利用する方法を述べる。また、この機構を使った新聞記事の検索システムについて、その基本構想を述べる。
著者
飯田 敏幸 松澤 和光 松田 晃一 池原 悟 石野 福弥 今井 賢一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.153-154, 1996-09-04
被引用文献数
1

印刷物やインターネットを通じて提供される情報の量は日々増加し,我々人間が利用できる能力をはるかに越えている.そこで,必要な情報を適切に,しかも簡易に選択できるための新しい情報検索システムが必要である.今迄,情報検索のためのシステムが多数開発されてきたが,余り使い易いものではなかった.情報検索システム(ここでは文献検索システムを想定する)の利用の仕方には以下に示す各種のレベルがある.【レベル1】文献の題名,あるいは,文献を特徴付けるキーワードが分かっている.【レベル2】題名,キーワードは明確ではないが,探したい対象は明確である. 例:こんなことが書いてある.【レベル3】対象が漠然としている. 従来の情報検索システムでは,いくつかの質問キーワードの羅列,あるいは,それぞれに重みづけがされた論理式を利用者が与えなければならなかった.即ち,従来の情報検索システムは,レベル1または2の利用者を前提としていた.そこで,レベル3の利用者も同じインタフェースで利用しなければならず,これが使いにくさの原因の1つである.また,キーワード方式の従来の情報検索システムでは,システムに入力する質問キーワードの個数が少ないと,検索対象の絞り込みが十分にはできないために,検索の効率が落ちてしまう.そこで,検索効率向上のためには,沢山のキーワードが必要となるが,人手で沢山のキーワードを指定するには限界があるという問題がある.
著者
中村 宏明 安田 和 大平 剛 三ッ井 欽一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.99-100, 1993-09-27

オブジェクト指向ソフトウエア開発では共通のモデルを用いて分析・設計・実装が行なうことができる。各フェーズが継目なくつながることで、ソフトウエアの変更・修正・追加、再利用などの容易化が期待できる。この利点を生かすためにはフェーズ間を逆方向へ戻れることも重要で、特にプログラムを理解することによって分析・設計に関する情報を得ることが、反復的・進化的なソフトウエアの開発の鍵になる。ところがオブジェクト指向の主要な性質である継承と多相性は、プログラムを理解することを困難なものにしている。例えば次のようなC++の関数呼び出しを理解するために、関数を定義している場所を求める過程を考える。table.Put(token);(1)tableがデータ・メンバーである場合、この関数呼び出しを含むメンバー関数が宣言されているクラスの継承階層の中でtableが定義されているクラスを探し、tableの型を知る。(2)関数の多義性を解決するために、同様にしてtokenの型を調べる。(3)tableのクラスの継承階層の中で、メンバー関数putを定義しているクラスを探す。この他にC++には、マクロ、多義演算子、自動型変換、例外処理など、プログラムを書くことを簡潔にするが、読むことを複雑にする要素が多く含まれている。したがって、オブジェクト指向の利点を生かしたソフトウエア開発を行なうためには、プログラムの理解を支援する環境が不可欠である。本稿では、まずプログラムの理解支援に対する要件を考察し、次に、我々が作成したC++ソース・コードの理解支援システムの構成と、その使用例を紹介する。
著者
原田 康徳 宮本 衛市
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.664-665, 1988-09-12

近年、ハードウエアの価格の低下に伴い、様々な分野へのコンピュータの進出が著しく、プログラマのすそ野が広がっている。そこでは、小規模なソフトウェアを短時間で開発できるような環境が重要であり、様々な簡易言語(いわゆる第4世代言語)が開発されているが、種々の問題を抱えている。ここでは、インタプリタ言語 Laplas(Language Processor for Listing and Stacking)を紹介し、汎用的な簡易言語として備えるべき性質を満足していることを示す。
著者
井ノ上 直己 森元 逞
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.200-201, 1991-02-25
被引用文献数
1

日本語文を理解するためには種々の知識が必要である。とりわけ、シソーラスは自然言語処理における最も重要な知識である。しかし、田中らが指摘しているように、既存のシソーラスには下位の部分で多種多様な連想関係が存在するため、そのまま自然言語処理に適応するには問題が多い。そこで、自然言語処理に使用できるシソーラスを体系だてて作成する方法が、種々提案されているが、すべてを人手で作成することは容易ではない。一方、国語辞典の語釈文や客観的なデータ(例えば、名詞と動詞の係り受けデータ)を用いて自動的に単語を分類する手法も提案されている。前者は普遍的なシソーラスの作成が期待できる。また、後者の手法はクラスタリング手法と呼ばれ、なんらかの意味的な近さを表す距離を用いて、通常階層的に分類する。しかし、このような距離を用いる場合、妥当な意味分類ができるように??闘値を定める必要があるため、原理的にはすべての単語に対して階層構造を作成することが可能であるが、シソーラスではなくむしろ意味素性を作成することが目的となる。そこで、筆者らは比較的作成が容易なシソーラスの上位は人手により作成したものあるいは既存のシソーラスを用い、人手により作成が困難と思われる下位のレベルはクラスタリング手法を用いて単語を自動的に階層分類することとした。本稿では、当研究所で構築している対話データベース(ADD)から抽出した係り受け関係を用いて名詞を自動的に分類し、そのクラスタリング結果を既存のシソーラスと組み合わせる方法を示す。また、作成したシソーラスについて検討する。
著者
宮崎 純 横田 治夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.461-462, 1997-09-24
被引用文献数
1

我々は, 並列論理型言語KLICによるアクティブデータベースシステムのプロトタイプParadeを提案している。 KLICの論理変数によるプロセス間のメッセージ通信は, 無共有並列計算機上でデータベース処理を実現する際に非常に適合性が良い。これまでの研究により, データベース処理をKLICのプロセス間のメッセージ通信を利用することにより実現し, 汎用ワークステーションならびに超並列計算機nCUBE2上で動作させ, その記述能力と移植性の高さを実証してきた。しかしながら, データベース処理において非常に大きな鍵を握る二次記憶およびPE間のデータ転送などのI/O処理が, システムの性能のボトルネックとなっていることが分かってきた。これは, KLIC標準のI/Oが性能を重視して設計されたものではないことに起因する。本稿では, KLICによる並列データベース処理を実用的な速度で動作させるために, KLICのジェネリックオブジェクトを用いて低レベルのI/O性能の向上を目指し, その初期評価を並列計算機nCUBE2を用いて行なった。
著者
小倉 一泰 斉藤 みどり 都司 達夫 寳珍 輝尚
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.73-74, 1995-09-20

我々は関係データベースのフロントエンドとして動的SQLを取り込んだ言語を作成している。本言語では関係データベースとのセマンティックギャップをさけるためにテーブル、レコードといったデータ型をサポートしており、さらに、選択、射影、結合などの関係演算をそれぞれ単独の演算子として提供している。しかし、関係演算はクライアントで行うには大きすぎるメモリバッファを必要とする。通常データベースサーバは,関係演算に対して特に最適化されている。そのため、本言語では、関係演算を含む式の評価に際して、その時点では関係演算の実行を直接行わず、評価式を生成するに留める。さらに、実際にデータが必要になったときに評価式から最適なSQL式を生成し関係演算サーバで処理する。本研究では、この最適化の手法について議論を行う。
著者
大石 康正 井上 倫夫 小林 康浩 加納 尚之 中島 健二 川上 孝志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.409-410, 1994-03-07
被引用文献数
3

当研究室では筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis)患者のために意思伝達補助装置(Communication Aid)について研究してきた。ALSは全身の筋肉が次々と麻痺していく進行性の疾患で、原因不明で治療法も未だ確立されていない難病である。この病気に侵された人は、最悪の場合、全身が殆ど動かせなくなる。そこで、患者の意志を他人に伝えることのできる装置が望まれてきた。現在、このコミュニケーションエイドの入力として脳波を用いることについて検討中である。本報告では、事象関連電位とその利用法について述べる。
著者
大石 康正 井上 倫夫 小林 康浩 加納 尚之 中島 健二 川上 孝志
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.341-342, 1994-09-20

筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis),頚椎損傷,脳内出血などの患者は,自らの意志を周囲の健常者に伝えることが困難である.このような人の意志伝達を補助する装置(CA:Communication Aid)の研究開発が,切望されている.とりわけALSは全身の筋肉が次々と麻痺し,遂には死に至る進行性の疾患で,脳機能は正常であるが,末期には全身の筋肉がほとんど動かせなくなる.そこで,患者の意志を他人に伝えることを補助する装置が望まれてきた.現在,このコミュニケーションエイドの入力として事象関連電位を用いるための実験を進めている.本報告では,視覚刺激を与えたときに現れる事象関連電位をコミュニケーションエイドの入力とする方法について述べる.
著者
熊本 睦 島田 茂夫 飯田 敏幸
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.97-98, 1992-09-28

人間のように融通のきく柔軟な理解や判断を計算機に持たせることを目的として,量的な判断常識を備えた人工知能の研究を進めている。量的判断には,与えられたデータの中での大小を判断する相対的な量的判断と,万人の共通する常識から大小を判断する絶対的な量的判断の2種類がある。相対的な量的判断については,量的判断知識を表現する概念知識と定量化知識,および,量的判断能力を実現する推論機構と定量化機構から構成される人工知能で実現した。絶対的な量的判断のためには,さらに,量的判断の基準となる常識的な数値(常識値)や,常識値間の関係(常識関係)が必要となる。本稿では,常識値や常識関係の表現モデルとそれらを用いた量的判断手法について述べる。
著者
船戸 潤一 前田 敦司 中西 正和
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.21-22, 1996-03-06

Lispは1962年のLisp1.5の発表以来、記号処理用言語として発展し続けている。そのなかで、ISO(International Organization for Standardization)により設計されたLispの標準化案に、ISLispがある。ISLispは、Common Lispをベースの言語とし、小さく、効率の良い処理系の作成を目的として設計されたLisp言語である。本研究は、ISLisp言語処理系の実装を目的とする。本システムは原始プログラムを中間コードに変換するコンパイラ部分と、中間コードを解釈、実行するインタプリタ部分とから成り、中間コードにはバイトコードを用いる。本稿ではISLisp言語処理系のインタプリタ部分であるバイトコードインタプリタILBIについて、その実装方法と、インタプリタの効率化について報告する。
著者
萩原 知章 岩井 輝男 中西 正和
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.19-20, 1996-03-06

世界的に行われているLisp言語の標準化の活動の1つとして、国際標準機構ISOによるものがあり、ISLispと呼ばれている。ISLispの特徴は、Common Lispの仕様から使用頻度の低い機能を取り除いたものである。このため、Common Lispに比べ処理系の作成が容易である。また、オブジェクト指向機能も兼ね備えている。本研究では、ISLispに準拠したLispの実装をバイトコードインタプリタにより行なった。この実装は2段階に分けられる。第1段階(本システム):コンパイラがLispのプログラムを後置記法に直し、中間コードに変換する。そして、このコードに最適化を施し、バイトコードで書かれたファイルに変換する(これ以降この作業をコンパイルという)。第2段階:バイトコードインタプリタがバイトコードに変換されたプログラムを読み込み、解読し、スタック機械により実行する。本稿では、第1段階のコンパイラの実装および、中間コードに最適化を施した際の実行効率について述べる。