著者
西村 健士 島津 秀雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.265-266, 1992-09-28

われわれは、科学技術論文中に記述されている種々の情報 : 分野の課題、研究手法、新規性、応用のヒントなど(これらを"主題"と呼ぶことにする)を予め設定しておき、各主題が論文のどの部分に書かれているか自動的に判定し、節のタイトルと各主題とをメニューとして提示する要約システムを提案した。同システムでは、読み手がメニューの一項目を選択すると、その主題に対応する原文部分が反転表示される。[figure]図1のシステムを構築するに当たっては、「情報処理学会第12回全国大会講演論文集3」中の論文100件(以降、題材Aと呼ぶ)の序節と最終節を対象に、主題の分類作業と主題自動認識手法の検討を行なった。その結果、「以下に手順を説明する」など、主題の記述範囲を明示的に示す表現("キー・センテンス"と呼ぶ)を集中的に解析するのが有効であることを報告した. 図2にシステムの主題認識部の処理フローを示す。図2において、 表現パターンの照合は形態素解析後に文節に付与された各種属性(主に主題表現や主述語の自立語概念)をもとに行なわれる。題材A論文は情報工学分野に限られていた。本稿では、1. 主題分類とその論文中での出現パターン2. 主題分類認識におけるキー・センテンス利用の有効性の2つに関して本手法の分野移行性を評価したので報告する。新たな題材として、「日本機械学会論文集58巻551号」(1992-7)のA編、B編、C編のそれぞれから5件(以降、題材Bと呼ぶ)、「応用物理第6上巻」(1992)の第1号から第7号までの「研究紹介」欄から15件(以降、題材Cと呼ぶ)、計30件の論文を無作為に抽出した。題材C中には、最新研究成果の発表を目的とするものの他に、最近の技術動向の概説記事も含まれている。以下、序節と最終節に分けて検討結果を説明する。
著者
松尾 賢一 上田 勝彦 梅田 三千雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.101-102, 1997-09-24

宅配会社は, 荷物を配送地域への仕分けの際に区分けコードを使用している。区分けコードは, 4桁の数字とその中間にハイフンを持ち, 配送伝票上に赤色のフェルトペンで重ね書きされている。本研究では, この配送伝票からの重ね書き文字の抽出手法を提案し, その手法の有効性の評価および検討を行なう。
著者
中嶋 正之 竹田 繁 高橋 裕樹
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1-2, 1995-03-15
被引用文献数
2

近年,交通計測の自動化がすすめられている中で,一つの情報源である車種認識が注目を集めている.車種認識の主な用途としては,次のような例があげられる.1.車種別の断面交通流計測2.有料道路および駐車場等での課金の自動化3.犯罪捜査への情報補完現在,有料道路等で実用化されている方式は,車番情報等から車種を租分類するというものである.今後は,それらの情報だけでなく,車両の形状特徴や表面特徴なども用いることで,車種認識の詳細化を図る必要がある.本稿では,簡単かつ高速に処理できるよう,車両の側面画像から得られるいくつかの形状特徴を用いて,車種認識をおこなう方法を提案する.
著者
篠崎 明 佐藤 和寿 澤村 浩 伊與田 光宏
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.65-66, 1995-03-15

近年、通信インフラストラクチャの整備に伴い、コンピュータネットワークを用いた遠隔教育システムの開発が盛んに行われている。これらは、メール機能、ファイル転送機能、画面共有機能など基本機能を組み合わせたグループウェアパッケージとしての提供が多数を占めている。しかし、実際の教育においては利用者、指導科目などによりシステムに対する要求は変化する。本研究では、エンド・ユーザレベルで利用可能なマクロ/スクリプト言語によるアプリケーションの連携動作を利用し、ユーザの要求を満たす情報共有形態、システム環境の実現を目指す。本稿では、実システムとして、ワイドエリアネットワーク環境を利用した遠隔教育支援システムについて述べる。
著者
林 明徳 寺嶋 正己
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.146-147, 1990-09-04

バス運賃を正確かつ迅速に収受するために、パス運賃箱に整理券番号読取り機能を付加する必要が出てきた。整理券番号はポーラスラバー方式のゴム印で印字されているが、印字品質を安定させることが難しく、極端に印字濃度が淡いものから、濃すぎて汚れがひどく文字が滲んだものまである。こうした印字品質の低い整理券番号を自動的に認識することは難しく、刻印文字の認識に関する研究報告があるものの、この分野での研究報告は少ない。本稿では、こうした印字品質の安定しない整理券に対して、印字品質の状態を定量的に把握する方法と、印字状態に応じた射影/画素の操作を行い、番号を精度良く切出し、認識する方法を提案し、評価試験結果も含めて報告する。
著者
平沢 克宏 吉田 敬一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.348-349, 1997-09-24

統計を用いた形態素解析ではn-gramモデルやHMM モデルがよく使用され, 英語においては高い精度て解析が行われている。しかし, 単語の区切りを必要とする日本語に, 単語の区切りを必要としない英語のモデルをそのまま適用するのには問題がある。本研究では, タグ付きコーパスから求められた確率をそのまま使用するのではなく, 解析結果がコーパズの確率に近付くようにトレーニングを行うことにより, 解析精度を向上させることを目的とする。
著者
岡村 真貴子 中島 真一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1784-1785, 1989-03-15

流体の流れ解析を行う手段には.大きく分けて差分法と有限要素法がある。このうち差分法は,計算時間が短い,使用メモリが少ない,収束性の良い手法が開発されているなどの理由から.広く利用されている。しかし,十分な図形出力機能を備えているものが少なく,ポスト処理の充実が望まれている。一方,有限要素法は,従来より構造解析の分野で活用されてきたことから,高度な図形処理機能が整備されているソフトが多く,また汎用のポスト・プロセッサも,いろいろなものが用意されている。このことから,有限要素法系ソフトの豊富なポスト処理機能が利用できるよう,差分法のモデルと解析結果を有限要素法のデータ構造に変換し,汎用性のあるデータとして出力する,差分法のポスト処理プログラムを開発したので,以下に報告する。
著者
高橋 勝己 武田 保孝 村沢 靖 小森 隆三 杉野 栄二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.167-168, 1992-09-28

並列推論マシン『PIM/m(Parallel Inference Machine/model M)』は、第五世代コンピュータプロジェクトの一環として開発を行なったものであり、先に開発した並列推論マシンのプロトタイプである『マルチPSI』の後継機として位置付けられている。従って、PIM/mの構成が2次元格子状であることや、各要素プロセッサがCISCタイプであることなどの基本設計はマルチPSIを継承したものとなっている。しかし、PIM/mでは、要素プロセッサの性能向上やプロセッサ数の増大に対応するために、パイプライン・アーキテクチャの採用やRefuge Stackの導入といったいくつかの改良を行なっている。『CSP(Console System Processor)』は、このPIM/mの立ち上げや、異常発生時の処理、ファームウェア/ソフトウェアのデバック支援など、PIM/mの開発や運用を行なうためのシステムである。このCSPは、マルチPSIのCSPをPIM/mに合わせて改良したものである。本稿では、PIM/mのCSPにおける要素プロセッサ内部の資源アクセス方法など、PIM/mの各要素プロセッサのメンテナンスを行なう機能について報告する。
著者
大塚 和弘 堀越 力 鈴木 智
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.409-410, 1997-03-12
被引用文献数
1

近年の計算機技術や気象学の発達に伴い, 2,3日先までの全国規模の気象予測の精度は向上している. 一方, 集中豪雨・豪雪, 雷雨などの局所的 (数km^2~数100km^2) で激しい降水現象は, 観測的にも物理的にも未解明な点が多く, 十分な予測が困難である. しかし, 現在, 防災や各種産業の効率, 経済性の向上のため, 1時間~3時間先までの空間・時間解像度の高い降水予測が重要な課題となっている. これまで, このような予測のために, 気象レーダ画像を用いた手法が提案されているが, 実用上その予測精度には問題があった。そこで, 本稿ではエコーパターンの局所的、大局的な動きの性質の違いに着目し, エコーの速度場の分割に基づく予測手法を提案し, 実験により予測精度の向上を確認したのでその旨を報告する.
著者
小山田 耕二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.55-56, 1996-09-04

現在使われている可視化手法は,数値データが格子点で定義されていることを仮定していることが多い.一方,数値シミュレーションの中には,格子中心で数値データを計算するものがある.有限体積法では,変数は,格子の中心に定義されている.また,有限要素法では,最初に数値データが格子点で計算されるが,その微分量は,格子の中心で計算されることが多い.このような格子の中心で定義された数値データを以降,格子中心データと呼ぶことにする.格子中心点を格子点とするような格子を再構築するのは,非現実的である.特に非構造格子データの場合,もとの境界を保持するのが困難である.その代わりに,これまで,格子中心データから次のような2つの手法によって格子点データに変換されてきた.1つは,距離逆数法である.これは,まず,格子中心から格子点までの距離の逆数を重みとして,格子中心データS^<cell>を各格子点に加算していく.同時に,重みそのものも格子点毎に加算しておき,最後に,加算された重みで加算されたデータを除して,その格子点でのデータS^<point>_iとする方法である.S^<point>_i=<Σ_<C^<cell>_i S^<cell>×W^<cell>>/<Σ_<C^<cell>_i W^<cell>>,ここで, W^<cell>は,距離の逆数を,Σ_<C^<cell>_iは,i番目の格子点について総和をとることを示す.もう1つは,格子中心で評価された勾配ベクタ▽S^<cell>から格子点データを外挿する方法である.S^<point>_i=S^<cell>+(D^^→,▽S^<cell>),ここで,D^^→は,格子中心から格子点への方向を,(A^^→,B^^→)は,A^^→とB^^→の内積,そして▽Cは,スカラ関数Cの勾配を表す.格子中心から格子点データに外挿する場合,一般的に格子点を共有する格子毎に違った値が計算される.格子点毎にユニークな値が必要となる場合,これらの値は,平均化される.以上のアプローチで得られる格子点データによって張られるデータ空間は,もとの格子中心データによって張られるそれと異なると考えられる.今,紹介した手法では,この違いによる誤差についてなんら考慮がなされていない.しかしながら,我々は,この誤差の定量化を行ない,この定量化された誤差を各格子点毎に極小化するアプローチを提案する.
著者
丸山 宏 諸橋 正幸 野美山 浩
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.213-214, 1994-09-20

我々が現在取り組んでいる電子図書館[1]を始め、パソコン通信、GoPher,World-Wide Webなど、電子ネットワーク上で情報を提供する手段がポピュラーになり、個人がアクセスできる情報の地平線が爆発的に広がりつつある。そんな中で、欲しい情報を的確にアクセスするには、WWWサーバーなど新たな情報の固まり(これを情報集合と呼ぶことにする)に出あった時に、その集合がどのような情報を含んでいるかを自分なりに理解しておくことが非常に重要になる。例えば、この電子図書館は近代日本文学の蔵書が豊富であるとか、このパソコンネットはパソコンの技術的な内容に非常に強いとか、ローカルな気象情報は、どのWWWサーバーが最も最新か、とか、質の高い論文のリストは、どこのftPサイトで見つかりやすいとか、エンターテイメントで人気の高いのは、どこのBBSであるか、などという自分なりの理解である。このような「情報のありかに関する知識」は、簡単に得られるものではなく、個人の経験から蓄積されたものの方が多いようである。このように、ある情報集合の内容に関して、自分なりのイメージを描くことを、我々は、"Information Outlining"と呼ぶことにする。本稿では、"Information Outlining"が電子図書館を始め将来の情報社会に於いて非常に重要な概念であることを指摘し、これを助けるためのコンピューターの仕組みを研究する必要性を議論する。また、その一つの方策として、検索中に、現在の検索条件に合致する文書数はいくつか、また、他の検索キーについて、その検索キーを追加すると該当文書はいくつに絞られるか、を常にユーザーに提示するアイデアについて述べる。
著者
矢崎 忍
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.83-84, 1992-02-24

近年、地球環境問題に関心が高まりつつあるが、地球環境の変化の予測、影響評価のためには大気、海洋、陸地面等における諸過程を総合する計算モデルの確立が必要である。しかるに、これらの現象はきわめて複雑で、したがって計算機のパワーが最も要求される対象であり、今後専用の高並列計算機の開発が期待される分野の1である。本稿は、そのために予備的な試みとして球対称領域上で定義される時間発展型の偏数分方程式に対し、その差分解の高並列計算に適合する1つの格子点系計算アルゴリズムについて検討したものである。
著者
黒田 康嗣 菊池 浩明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.253-254, 1994-03-07

計算機の相互接続による広域ネットワークの商用化に伴い、ユーザを特定した機密性のある同報通信が強く求められている。同報暗号通信方式には、メンバ間で暗号鍵を共有する共通鍵方式と、各メンバが全メンバの公開鍵のリストを管理する個別鍵方式の2種類がある。しかし、共通鍵方式では、暗号鍵の横流しの恐れあり、閉鎖性に問題がある。一方、個別鍵方式では、横流しの心配はないが、メンバの追加や削除が困難である。そこで本稿では、上記方式の問題点を指摘し、その問題を解決するために、送信者と受信者の間に鍵交換センタを設けた鍵交換方式を提案する。さちに提案方式に基づく同報暗号メールシステムの実装について報告する。
著者
中村 明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1058-1059, 1989-10-16

Process Flow Modelは、UNIXのプロセス管理の複雑な機構を解析する目的で筆者によって考案されたペトリネットの一変種である。ペトリネットの構成にしたがって、Process Flow Graph, Process Flow, Marked Process Flow,更にサービス関数、要求関数が定義されて、Process Flow Modelの枠組が組み立てられる。ここで対象とするUNIXシステムはスワッパというプロセス番号0を持ったシステム特殊プロセスと、PMAX個まで生成消滅するプロセス群より成立っているものとする。
著者
平嶋 宗 柏原 昭博 豊田 順一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.273-274, 1994-09-20

本稿では、教育支援システムの高度化を指向して、学習者自身による誤りの認識修正を誘導する手法を提案する。教育的観点においては、誤りの発生は学習者の問題解決能力や知識を発展させる絶好の機会である。この機会を生かすためには、正しい問題解決方法を天下り的に教えるのではなく、学習者自身が能動的に誤りの認識と修正を行えるように誘導することが重要となる。このためには、学習者が自分の解答が誤りであると認識し、正しい方向に修正してゆくために十分な、しかも学習者が能動的に考える余地を残した情穀を選択・提供する能力が教育支援システムに求められる。学習者自身による能動的な誤りの認識・修正を支援する手法としては、mapping instruction、analogical mapping、ソクラテス式教授法を挙げることができる。これらは学習者自身による誤りの認識修正を支援するために有用な事実の選択・提示法として定式化することができる。前二者は、正しいものを学習者に理解させることに重点が置かれており、その結果として誤りが認識・修正されると解釈できる。ソクラテス式教授法は、反例によってより直接的に学習者に誤りを認識させる方法も含んでいるが、この方法は解答がYes/Noに限られた宣言的な問題解決の領域で有効なものであった。本稿では、手続き的な領域を対象として、学習者に誤りの存在を伝え、修正方向を示唆する方法として、誤り投影法(Error Projection)を提案する。この方法では、学習者の解答が誤りであることを伝えることに重点を置いており、その解答の誤りを元の問題に関する挙動シミュレーションや問題自身等へ投影する。挙動シミュレーションに誤りが投影されると、多くの場合学習者が不自然と認識できるシミュレーションとなり、また一見自然に見える場合でも、正しいシミュレーションとの比較によりどのように誤っているのかを認識しやすくなる。また、誤りの修正も正しいシミュレーションとの差異を埋めることとして方向付けることができる。問題に対して投影された場合には、元の問題との差異が存在するにも関わらず、その答えが一致する問題が生成されることになり、その差異が解答に影響するはずであることを学習者が知っていれば、学習者は誤りの存在を認識できる.また,誤りの修正は、問題間の差異を問題解決に反映させることとして方向付けることができる。mapping instrctionやanalogical instrctionが正解を基点として正しさを強調することによる誤りの認識修正支援であるのに対して誤り投影法は、誤りを基点として誤りであることを強調するものとなっているまたソクラテス式教授法とは異なり、手続き的な領域で有効な方法となっている。以下では、高校程度の力学問題での立式の誤りを対象として、挙動シミュレーションに対する誤りの投影と、問題に対する誤りの投影について述べる。
著者
米田 清
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, 1988-09-12

開待行列網の近似解析手法Queueing Network Analyzer(QNA)は,各ノードにおける到着間隔の分布を2次モーメントまで考慮している.その意味でQNAは,例えばネットワークの各ノードをそれぞれ独立のM/G/1とみなすよりも精密なモデルである.しかし各ノードにおける優先処理が扱えず,異なる優先度を持つジョブが網内に混在する場合の遅延時間は,そのままでは評価できない.(それに対して,例えばM/G/1の拡張であるM_1M_2/G_1G_2/1非割り込み優先は,数式解が求められている.)優先権のある待行列網の近似解法はいくつか提案されているが,ここではQNA相当のソフトウェア・パッケージだけが利用可能なとき,その枠組みの中に優先処理をはめ込むことを考える.優先度が2種類の場合について,高優先ジョブの遅延時間をQNAによって評価する.方法は,高優先ジョブのサービス時間に加えて,低優先ジョブによって高優先ジョブが受ける妨害による損失時間を考慮した,高優先ジョブのサービス終了時間を設定することによる.