著者
岸田 克己
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.91-92, 1991-02-25

Common Lispではステッパ等のデバッグツールの組込みを可能とするために、evalhook, applyhookといったスペシャル変数を規定している。インタプリタは、再帰的に処理を進めるその過程毎に,これらの変数の値を探索し、その探索結果に応じてフック関数の呼出しを制御する(フック機構)。ところが「深い束縛(deep binding)」方式においては変数探索は重い処理であるため、フック機構を"素朴に"実装した場合、インタプリタの性能は著しく低下する。本稿では、「深い束縛」を採用したELIS CommonLispで用いられた、処理系の動作と密接な関係にある変数を、効率良く参照するための手法について述べる。
著者
高田 久靖 鶴巻 宏治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.232-233, 1991-02-25

新ELIS(ELIS8200)は実用的な記号処理ソフトウェアの開発実行マシンとして開発されたLispマシンである。新ELIS上では、TAO/ELISのマルチパラダイム性を受け継ぎつつ、Common Lispに完全に準拠したELIS Common Lispが実現されている。本稿ではELIS Common Lispのプログラム開発支援系(以下、開発支援系)の設計方針・機能を述べると共に、複数のプログラミングパラダイムを含む融合型プログラムの実行追跡機構の実現法について報告する。
著者
湯浦 克彦 船津 隆 高橋 久
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1354-1355, 1989-10-16

オブジェクト指向は、Smalltalk以来いくつかの言語が提案されている。その中でCLOS(Common Lisp Object System)は、多重継承、メソド結合に特徴があり、これらを用いた差分プログラミングにより効率良くプログラムを作成することを目指したものと言えよう。本稿では、CLOSによる差分プログラミングの実験、分析と従来のCommon Lispでの記述との比較を述べる。

1 0 0 0 CLOSの実現

著者
景山 辰郎 河津 祐子 高橋 陽徳 佐治 信之
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.73-74, 1991-02-25

筆者らは,Common Lisp上のオブジェクト指向言語拡張であるCLOSを実現した.本稿では,はじめにの基本的なCLOSオブジェクトの構造について述べる.次に,処理系の実行効率の向上を主眼にメソッドの適用について述べる.次に,CLOSの振舞いを決定するメタオブジェクトプロトコルについて述べる.
著者
岸田 克己 杉村 利明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1342-1343, 1989-10-16

我々は、ELIS 8200シリーズハードウェア上に、単一Lisp空間での多重プロセスを可能とするCommon Lisp処理系の実装を行っている。ELIS Common Lisp処理系の設計にあって、コンパイルドコードの実行速度と、開発環境としてのインタプリタを重視した。本稿では、インタプリタでの実行速度向上を目的としたソースプログラムの前処理について述べる。
著者
杉村 利明 岸田 克己
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.95-96, 1991-02-25

AI技術は、実用化の時代を迎え適用領域の拡大が望まれている。最近では、監視システムや制御システムなどの実時間処理を伴う分野で、AI技術の応用(リアルタイムAI)に対する重要性が認識されている。従来から、AIシステムの多くが、プログラミングのしやすさからLisp言語を使っている。しかし、Lisp言語は、ガーベジコレクション(GC)のためにプログラムが停止してしまうことが重大な欠点であるとされてきた。特に、実時間処理を伴う処理では、致命的な欠点になる。そこで、この問題点に対処するため、GCによるプログラムの停止を抑止することができるGCフリーコーディングを提案し、このための支援機能を実現した。本機能は、ELIS-82O0のELIS Common Lispに搭載されている。本稿では、並列GCとGCフリーコーディングの違い、GCフリーコーディングの支援機能と実現法について述べる。
著者
竹内 郁雄 大里 延康
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.885-886, 1989-03-15

メッセージ伝達式の評価において,メソッドが見つからないことを積極的な意味で使うことが可能である.本論文では,TAO/ELIS上で,端末と計算機の結合を仮想化するdetach/attach機能をインプリメントする際に,これがどう役立ったかについて報告する.
著者
隅田 英一郎 土井 伸一 飯田 仁水 山端 潔
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.137-138, 1993-03-01

自然言語処理における最も困難な問題の一つに、構造的曖昧性の解消がある。例えば、前置詞句の係り先は典型的な構造的曖昧性を引き起こす。(1)I present a paper at the conference.例文(1)の前置詞句「at the conference」は、動詞「present」、名詞「paper」の両方を修飾しうる。一般に前置詞句の係り先は構文規則による解析だけでは一意に決定することが困難である。この例では前者の方が自然であるとしてよいだろう。例文(1)の翻訳を考えてみる。二つの係り先の相違は、それぞれ「会議で論文を発表する」、「会議での論文を発表する」と異なった日本語訳になるが、やはり前者の方が尤もらしい。このように前置詞を含む文を正しく翻訳するためには前置詞句の係り先の暖味性を解消する必要がある。既に、構文的な情報、統計的な情報などを利用して複数の係り先候補から尤もらしいものに絞り込む手法が数多く提案されている。筆者らは対訳コ-パスから用例(原言語表現とその対訳の対)を抽出し、入力表現と用例との間の意味的距離をシソーラスに従って計算し、最小距離の用例に基づいて訳語選択を行なう手法(Exampl-Based Machine Tralation EBMT)を提案している。
著者
天野 純一 丸山 芳男 並木 美太郎 高橋 延匡
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.263-264, 1994-03-07

日本語文章の作成に仮名漢字変換を用いると、「天候」を「天侯」と書くような誤りはなくなる。しかし、「一つ」と書くべき語を「1つ」という表記で書いたり、同じ文章の中に「たとえば」と「例えば」を混在させたりすることは、仮名漢字変換を用いるだけでは防ぐことは難しい。それらを効果的に防止あるいは訂正するシステムを開発するためには、まず、それらが持つ性質を調査する必要があると考えた。そこで今回われわれは、日本語文章の中に起りうるさまざまな誤りのうち、特にこのような「表記の誤り」や「表記のゆれ」に着目し、多くの文章からそれらを検出して性質を定量的に評価する実験を行った。本稿ではその結果を報告する。
著者
植芝 俊夫 富田 文明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.319-320, 1997-09-24
被引用文献数
1

異なる視点から得られた画像間でいくつかの点が対応づけられている場合, その三次元情報とカメラ運動を同時に復元する問題は, コンピュータビジョンの最も基本的な課題の一つであり, ステレオにおけるセルフキャリブレーションなど多くの応用が考えられる。カメラを透視投影に従うものとしてモデル化すると, この問題は一般に非線形最適化に帰着するため, その最適解の探索においては真値に十分近い初期値を与えることが重要である。従来のほとんどの手法は, 8点アルゴリズムを用いてカメラ運動パラメータの初期値を計算し, これを幾何学的制約を満たすように改善するという戦略をとっている。しかし, 8点アルゴリズムは観測された特徴点の位置誤差に対し極めて敏感で, しばしば真値とかけ離れた値を与えるため, 最適化の初期値としてすら使えないことがある。原点移動とスケーリングによって入力データを正規化して数値的不安定性を軽減する試みもあるが, 十分でない。これに対し, 本稿ではまずカメラをアフィン投影に従うものとして運動パラメータの初期値を求め, 次にこれを透視投影モデルに基づいて改善する手法を提案する。これによって, 8点アルゴリズムを用いて初期値を求める従来の手法に比べて, 画像中の特徴点の位置誤差に対するロバスト性が向上することを示す。
著者
金丸 直義 高橋 清明 千葉 則茂 斎藤 伸自
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.251-252, 1990-09-04

コンピュータグラフィクスにおける樹木の画像生成は,自然景観のシミュレーションにおいて重要な位置を占める.庭園や公園,街路樹の並木などの種々の建設計画のための景観シミュレーションや,へリコプタなどの低速低空飛行機用フライトシミュレータ用の景観シミュレーションにおいては,特にリアルな樹木の表現が期待される.リアルな樹木の表現には,自然な枝振りのシミュレーションが必要であり,そのためには遺伝的に定まる分枝パターンのみならず,生長環境での獲得形状のシミュレーションが重要となる.これまで,受光量不足による枝の枯死を考慮にいれ,自然な枝の分布密度を与える生長モデルがいくつか提案されているが,得られる樹形は枯死のない分枝による樹形の部分形状となっている.そのため,自然に見られるような,能動的に空間の分布を調整するように棲み分ける,あるいは光を求めて生長した軌跡のような枝振りは得られない.さらに,密集しながらも互いに枯死を避けるように,あたかも互いに交信し合うかのように,うまく空間へと広がりながら伸びる枝振りなどは分枝パターンや枝の枯死のみでは得られない,著者らは,これらの自然な枝振りは,前もってプログラムされた分枝パターンや樹木内の交信によるものよりも,生長点の向日性によるものが多いと考え検討を行ってきている.本報告では,生長点の向日性を考慮した生長モデルによれば,自重によらない自然な"枝垂れ"や枝の空間の棲み分けにより実現される"丸みを帯びた冠樹"の形成がうまくミュレーションできることをいくつかの例により示す.このよな試みは,安定して動作する堅固で使いやすい生長モデルの構築という工学的な観点に基づくことを断わっておく.
著者
谷口 雅昭 小出 昭夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.343-344, 1996-03-06

ポリゴンデータのレンダリングにおいて、各頂点の座標とともに与える法線ベクトルの精度はシェーディングなどの精度に影響するので重要である。各頂点の法線ベクトルをポリゴンデータから求める方法として、注目している頂点を含むパッチ面の外積より求めた法線を平均化する方法が存在するが、各ベクトルに与える比重を適切に与えないと最終的に得られるベクトルの精度が低下する結果になる。本論文は球面に対して正しい法線の値を与えるように各パッチ面の法線に与える比重,を決定し、頂点の法線を求める方法を提案する。また、この方法を一般の凸曲面に適応した場合、他の方法より優れていることを数値実験により示す。
著者
櫻井 博文 久光 徹
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.57-58, 1997-03-12
被引用文献数
2

近年CD-ROMやWWWをはじめとする大規模な電子化文書をオンデマンドで解析したいという要求から、形態素解析にも高速性が求められている。我々は、高速・汎用な形態素解析プログラムの作成・公開を目指してANIMAを開発した。本発表ではANIMAのいくつかの特徴を簡単に紹介し、特に単語辞書実装方法と解析処理各部の速度について報告する。
著者
服部 真也 峯崎 俊哉 成嶋 弘
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.325-326, 1996-09-04

学習をどの順序で行っていくかということは非常に重要な問題である。学習要素の順序を把握することは、指導者にとっても、学習者にとっても重要なポイントとなり、そのためには対象教科の学習順序を考慮した教材の構造化(ネットワーク表現)が有効である。本稿では、文書を読み理解をして知識を得るということを学習としてとらえ、「Aという事柄を理解するためにはBという事柄を理解している必要がある」 という文書の内容把握に欠かすことのできない重要な用語の関連構造を自動的に抽出するための一手法を提案する。
著者
児玉 英一郎 樋地 正浩 佐藤 究 宮崎 正俊
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.363-364, 1997-03-12

自然言語は人間にとって理解しやすいと言う利点を持つ。このため、自然言語で記述された文章をコンピュータが理解できれば、人間がコンピュータを利用するのが容易となる。我々はこのような考えに基づき、ソフトウェアを自然言語で記述することにより利用者がソフトウェアの内容を容易に理解でき、加えてソフトウェアの利用要求を自然言語で記述することにより利用者がその利用を容易に要求できるシステムの構築を目標として研究を進めている。この目標を達成するためには、自然言語により記述されたソフトウェアの自然言語記述やソフトウェアの利用要求を、対象となるシステム上で動作可能なレペルまで変換することが必須である。本研究では、対象となるシステムとしてオブジェクト指向型計算モデルに基づくシステムを仮定し、自然言語として日本語を説定する。さらに、マルチメディア情報の利用の要求を日本語で記述した文章 (以下、マルチメディア情報操作文章と呼ぶ) に焦点を絞り考察した。本稿では、マルチメディア情報操作文章を既存の自然言語処理モデルを流用して解析し、以下で定義するメディアオブジェクトの操作プログラムに変換し実行するシステムのモデルを提案するとともに、流用する既存の自然言語処理モデルに加えるべき変更点を明らかにする。このモデルに基づいて実装されたシステムは、メディアオブジェクトの日本語によるプログラミング環境の1つを与える。
著者
横田 誠 加藤 佳仁 横山 未希子
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.365-366, 1995-03-15

情報的パタンの内に音楽的パタンがある。音楽的パタンを認知したり,演奏したり,創作したりする,パーフォームするシステムを,音楽的ニューラルネット的システム:MPNとして考えている。音楽的パタン系は,先ず正規化楽曲パタンとして,MPNに取り込まれる。今回は,主旋律パタンの,考えられる種々のデフォルメである,ポリフォニー系の一つとして,伴奏的パタン系の,MPNへの取り込みについて考える。
著者
阿部 重夫 桐山 薫 黒沢 憲一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.33, pp.495-496, 1986-10-01

Prolog処理系開発の課題である(1)Prologの高速処理(2)既存ソフトウェアとのリンケージを解決するために、我々は汎用機に内蔵するPrologマシンと、Prolog専用命令に展開する最適化コンパイラの開発を進めている。レジスタ競合を解消してクローズのコードの最適化を図る方式については、既に文献1,2)で報告したが、本論文では、上記方式を拡張してゴールが決定的な組込述語の場合、それを越えて最適化を図る方式について述べる。