著者
中島 史登 酒井 馨
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.94-98, 1961
被引用文献数
7

バソフェナントロリンを用いて鉄を定量する際生ずる赤色の錯化合物について,その組成ならびに安定度について検討した.10%エタノール溶液中で発色させ連続変化法および Molland の方法にしたがって組成をしらべた結果,鉄対試薬の結合比は1:3であり,したがって錯化合物は tris-(4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)-iron(II)であることが認められた.バソフェナントロリンは溶液中では一酸塩基として行動しバソフェナントロリウム・イオンを生成する.その酸解離定数を紫外部における吸収を利用して求め 10<SUP>-4.80</SUP> を得た.また錯化合物の安定度定数を求めたところ,10<SUP>21.8</SUP> であり非常に安定であることが知られた.
著者
鈴木 雄亮 金子 毅
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1029-1034, 2009 (Released:2010-01-25)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

清涼飲料水中に混入されたパラコート(PQ)及びジクワット(DQ)の迅速・簡便な定性試験法を検討した.抽出にはピペットチップ型固相抽出デバイスであるOMIX® pipette tipを用いた.コーラ及びコーヒー飲料にPQ及びDQを添加した試料について,C18,C4及びSCXタイプのOMIX® pipette tipにより抽出を行った.C18及びC4タイプのものを用いて抽出されたPQ及びDQは,呈色試験及び液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により同定された.抽出に要した時間は,1検体あたり3分程度であった.SCXタイプのものを用いた場合は,PQ及びDQの回収に飽和食塩水を用いるため,LC/MSには不向きであるが,呈色反応による検出は可能であり,また,抽出操作もC18及びC4の場合と比較してより簡便であることから呈色試験によるスクリーニングには,非常に有用であると考えられた.
著者
保高 徹生 辻 英樹 今藤 好彦 鈴木 安和
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.499-506, 2013-06-05 (Released:2013-06-27)
参考文献数
15
被引用文献数
8 10

プルシアンブルー粒子担持不織布を充填したカートリッジに溶存態放射性セシウム(Cs)含有水を通水し,カートリッジに吸着させ,濃縮することにより,環境水中の溶存態放射性Cs濃度を迅速にモニタリングする技術を開発した.溶存態137Csの濃度を0.005~5 Bq L−1の範囲に調整した水を用いた試験の結果,通水速度が2.5 L min−1の場合,第1・第2カートリッジの137Csの回収率は20 L通水で90% 以上,100 L通水で83% 以上となった.また,通水速度を0.4 L min−1とした場合には,第1カートリッジの回収率が88% 以上に達した.本方法により,20 L濃縮を約10分,100 L濃縮を約50分で行うことが可能となる.また,ゲルマニウム半導体検出器の定量下限は20 L濃縮の4000秒測定で0.03 Bq L−1,100 L濃縮の43200秒測定で0.001~0.002 Bq L−1となり,従来法の前処理方法(20 Lで6時間以上)と比較して濃縮作業の迅速化が可能となる.
著者
越野 幸広 生川 章
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.89-92, 1991-02-05
被引用文献数
4 1

黒鉛炉AASを使用した硫黄中のng g^<-1>レベルのAl, Fe, Ni, Cr, Mn及びCuの直接定量法を検討した, 硫黄試料は数mgを固体のままL'vovのプラットフォームを取り付けた黒鉛炉内に導入する.硝酸を添加した後, 低温で徐々に加熱し, 硫黄をすべて揮散させた後, 分析元素のシグナルを得ることで硫黄によるマトリックス干渉が除去できた.そのため, 検量線は分析金属元素を単に混合した標準溶液を用いて作成できた.本法の再現性は相対標準偏差として10%以内であり, 分析値は硝酸-臭素分解/ICP-AES法の結果とよく一致した.
著者
中村 清 宇津井 雄三 前田 忠男
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.540-546, 1967

The authors had given, in their previous paper, the optimum conditions for the decomposition of <I>N</I>-methyl compounds into methyl iodide in hydroiodic acid in the microdetermination of <I>N</I>-methyl group with volumetric finish.<BR>In this paper, more sophisticated methods with gravimetric finishes using solid absorbents were investigated in place of the volumetric finish.<BR>Measurement of the weight increase of the heated silver granules caused by the absorbed iodine, which had been given after the combustion of methyl iodide, was prefered to give satisfactory results in a routine analysis, while that of the molecular sieve 13-X resulted by the absorbed methyl iodide required a further investigation concerning significantly high(+) error with certain compounds.
著者
西沢 直行 高野 靖 神立 誠
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.294-298, 1976-05-10 (Released:2009-06-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

イオン交換クロマトグラフィーによる筋肉中のカルノシン,アンセリン,バレニンの分離,分析精度の向上,分析の迅速化を試み,よい結果を得た.分析は,56×0.25cmのカラムに強酸性陽イオン交換樹脂Aminex A-5を50cmの高さに充てんし,エタノールを2.5%含んだクエン酸緩衝液(pH4.15,ナトリウム濃度0.38M)で,カラム温度57℃,緩衝液の流量5.4ml/hで行った.本方法により,アミノ酸,エタノールアミン,クレアチニンの存在下で,カルノシン,アンセリン,バレニンが迅速に精度よく定量できる.分析所要時間はカルノシンまでで5時間40分で,分析精度は(100±1.2)%であった.本方法による筋肉の1回の分析必要量は0.02gである.マッコウクジラ,スジイルカ,ヒキガエル,ホタテガイの筋肉にバレニンの存在が認められた.
著者
篠原 敏雄 松原 寛和 善国 信隆 小熊 幸一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.851-853, 2003 (Released:2004-01-30)
参考文献数
10
被引用文献数
4 5

The determination of boron in steel was carried out by ICP-AES combined with anion-exchange separation. About 0.2 g of a steel sample was weighed in a quartz beaker and dissolved with a mixture of 2 cm3 of nitric acid, 1.5 cm3 of phosphoric acid and 4 cm3 of water by heating on a hot plate. Most of the nitric acid was evaporated off and the sample solution was transferred into a separatory funnel with 10 cm3 of 0.1 mol dm−3 nitric acid and water. About 3 g of iron(III) hydroxide oxide was dissolved in a mixture of 10 cm3 of hydrofluoric acid, 1 cm3 of 30% hydrogen peroxide and 50 cm3 of water by heating on a hot plate and added to the above sample solution. The sample solution was diluted to about 100 cm3 with water, allowed to stand for 1 h and then loaded onto an anion-exchange resin Bio-Rad AG1 column preconditioned by a fluoride solution. The iron in the sample solution passed through the column, while the boron was adsorbed as BF4− on the column and recovered with 6.5 mol dm−3 nitric acid. The effluent, containing boron, was treated with phosphoric, perchloric and nitric acids and diluted to 25 cm3 with water to be subjected to ICP-AES at 249.77 nm. The proposed method was successfully applied to the determination of boron in a steel-certified reference material, JSS 174-5, provided by the Japan Iron and Steel Federation. The detection limit was found to be 1.3 μg g−1 boron in steel.
著者
三井 利幸 肥田 宗政 藤村 義和
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.427-431, 1990-08-05
被引用文献数
5 4

熱分解ガスクロマトグラフィー(PyGC)による天然あるいは合成繊維の同定を, PyGCから得られたパイログラムのピーク高さ及びピーク面積を自然数値化後, クラスター分析, 各カテゴリーの重みを同じにした偏差値からのクラスター分析, 主成分分析, 因子分析などの多変量解析法により行った.その結果, 未知試料が極めて簡単に同定できることが明らかとなった.更に, 未知試料のパイログラムが既知試料と一致しない場合でも, 多変量解析法で計算した結果未知試料の構成成分の推定が可能であった.
著者
渡会 仁
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.725-744, 1996-08-05 (Released:2009-05-29)
参考文献数
130
被引用文献数
5 6

溶媒抽出機構に関する速度論的研究の最近の進歩についてまとめ,その特徴を論じた.まず,この分野の研究の歴史的経緯を述べ,抽出速度の測定法の進歩について解説した.そして,キレート抽出系,イオン会合抽出系及び協同抽出系における速度論的抽出機構の新たな知見についてまとめた。ミセル及びマイクロエマルションを溶媒抽出の微視的モデル系と考える新しいアプローチについても解説した.溶媒抽出速度における界面の役割の発見は,近年のこの分野の研究における最大のブレークスルーとなっている.液液界面における抽出試薬の吸着と酸-塩基反応,界面での錯体生成反応と配位子交換反応,界面近傍における拡散律速過程,水相内錯生成反応そして界面吸着と界面反応を支配する諸因子について論じた,溶媒抽出類似系である遠心分配クロマトグラフ法及びフローインジェクション法と抽出速度の関連についても言及した。
著者
服部 考成 福士 惠一 早川 真 湊 太郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.737-741, 2013-08-05 (Released:2013-09-04)
参考文献数
12

We developed a capillary zone electrophoresis method with direct UV detection for the determination of inorganic anions (Cl−, NO2−, and NO3−), organic acids (oxalic acid, citric acid, and malic acid), and amino acids (aspartic acid and glutamic acid) in the common ice plant (Mesembryanthemum crystallinum L.). As the background electrolyte, a 20 mmol L−1 disodium hydrogenphosphate dodecahydrate solution adjusted to pH 10.6 was used with the addition of 0.001% (w/v) hexadimethrine bromide to reverse electroosmotic flow. The detection responses for the above analytes were improved by 3.5 – 580 fold in terms of the limits of detection (LODs, S/N = 3) in comparison with conventional indirect UV detection. The LODs for the analytes were 0.040 – 2.9 mg L−1. The values of the relative standard deviation (RSD, n = 4, intra-day) of the migration time and the peak area were, respectively, 0.081 – 0.43% and 0.28 – 9.3% when extract from the common ice plant was analyzed. Using the proposed procedure, Cl−, NO2−, NO3−, and oxalic acid in the common ice plant were detected within 9 min; citric acid, malic acid, aspartic acid, and glutamic acid were detected within 12 min.
著者
徳永 裕司 木村 俊夫 川村 次良
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.154-158, 1977-03-05 (Released:2010-05-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

17-デスオキシコルチコイドをピロールを用いて定量する方法を報告したが,その原理を17-ヒドロキシコルチコイドの定量に応用した.この方法は,プレドニゾロン,メチルプレドニゾロン,プレドニゾン,ヒドロコルチゾン,コルチゾン及びテトラヒドロコルチゾンでは陽性であるが,21位のアセチル化体及び16位にメチル基又は水酸基を持つコルチコイドは陰性であった.又,この定量法では,試料の(0.625~7.5)μg/mlの範囲内でベールの法則が成立し,吸収極大波長は(587~600)nm,見掛けのモル吸光係数は(2.66~3.5)×104の範囲内にあった.この方法を市販のプレドニゾロン錠の定量に応用し,従来法と比較検討した.
著者
江藤 元則
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.T5-T9, 1990-01-05
被引用文献数
3 2

黒鉛炉AASによる鉱石中の金, 銀, 白金, パラジウム及びロジウムの分析について検討した.試料をテフロン密閉容器中180℃で5時間加熱して分解した後, テルル共沈法により貴金属を共存元素から分離し, 更に陽イオン交換分離法を用いて完全に分離した.又, 銀についてはテルル共沈法で完全には捕集できないため, 陽イオン交換分離法のみを用いて共存元素から分離した.この分離後の溶液を黒鉛炉原子吸光光度計に導入し, 目的元素を定量したところ, 分析結果は保証値とよく一致し, 分析精度は相対標準偏差で3〜5%であった.
著者
遠田 浩司
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.641-657, 1996-07-05
被引用文献数
1

レーザー光第二高調波発生(SHG)及び分子プロ-ブを用いる新しい手法によって, イオン選択性電極(ISE)液膜界面における電位応答機構を分子レベルで解釈する研究を行った.イオノフォア含有ISE液膜/試料水溶液界面にレーザー光を照射することによりSHGが発生し, その強度が試料水溶液中の目的イオン濃度が増加するに従って増加することを見いだした.この結果は, 生成した陽イオン-イオノフォア錯体がISE液膜界面で配向しSHG活性種となっていることを示唆している.又, ISE液膜の目的イオンに対するSHG強度変化と膜電位変化との相関より, 膜界面で配向したSHG活性な錯体陽イオン種が主に膜電位を支配していることを明らかにし, SHG強度より見積もった界面電荷密度に基づいて解析した.更に, 膜電位と界面電荷密度の関係を定量的に調べるために, 光照射によって膜の状態を一切変えることなく, 膜中のイオノフォア濃度及びそのイオノフォアに配位するイオンとの間の結合力(錯体安定度定数)を変化させることができる光応答性イオノフォアを分子プローブとして利用し, 光で誘起された膜電位の絶対値及び電位応答勾配の変化量を, 液膜界面での錯形成平衡を考慮した拡散電気二重層に基づく界面モデルを用いて定量的に説明した.
著者
朝倉 秀夫 池上 克重 中井 ゆかり 脇田 久伸
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.735-744, 2000-10-05
参考文献数
26
被引用文献数
3

酸化アルミニウム-酸化クロム(III)質耐火物(AC質耐火物)へのガラスビード(GB)/蛍光X線分析(XRF)法の適用を図った。AC質耐火物中には多量のCr<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>が含有されているため,試料の融解はLi<SUB>2</SUB>B<SUB>4</SUB>O<SUB>7</SUB>単独ではできず,酸化剤としてLiNO<SUB>3</SUB>を添加することによって可能となった。GB作製条件は,試料0.2000g-Li<SUB>2</SUB>B<SUB>4</SUB>O<SUB>7</SUB> 4.0000g-LiNO<SUB>3</SUB> 2.000g,1250°C-10分間とした。Cr含有試料の融解は,Cr(III)がCr(VI)に酸化され,CrO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>イオンとなることによって進行することが知られており,このことをCrK吸収端のX線吸収端近傍微細構造(XANES)スペクトルによって確認した。XANESによるCr(VI)の半定量分析結果によると,Li<SUB>2</SUB>B<SUB>4</SUB>O<SUB>7</SUB>単独で融解したGB中では全Crのうちの7%に過ぎなかったCr(VI)の量が,Li<SUB>2</SUB>B<SUB>4</SUB>O<SUB>7</SUB>にLiNO<SUB>3</SUB>を加えることにより39%にまで高められていた。また,定量成分のNa<SUB>2</SUB>Oを含有するため実用できないが,融解が非常に容易だったNa<SUB>2</SUB>B<SUB>4</SUB>O<SUB>7</SUB>にNaNO<SUB>3</SUB>を加えたGBでは95%がCr(VI)になっていた。検量線用GBはJRRMなどの市販標準物質と高純度試薬Cr<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>を1μgまで読み取れる精密ミクロてんびん上で量り合わせたものをGBにすることによって作製できた。検量線の標準偏差はAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>で0.21mass%,Cr<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>で0.07mass%であり,微量成分についても満足できるものであった。
著者
五十嵐 淑郎 佐伯 知司 四ツ柳 隆夫
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.39-43, 1983-01-05
被引用文献数
4 4

新しい水溶性ポルフィリン,α,β,γ,δ-テトラキス(5-スルホチエニル)ポルフィン{T(5-ST)P}を合成した. T(5-ST)Pは水によく溶解し,その水溶液は安定で,しかも酸性pH条件における試薬及びその錯体の二量体生成反応は認められなかった. ソーレー帯における吸収スペクトルは,酸性型(H_4P^<2+>)が特異的に長波長側(456nm,ε=32.9×10^4cm^<-1>mol^<-1>dm^3)に位置し,亜鉛錯体(428nm,ε=41.7×10^4cm^<-1>mol^<-1>dm^3)と十分離れていた. このスペクトル特性を利用して,二波長増感法による10^<-9>g/cm^3の亜鉛(II)の吸光光度法を開発した. 本法のsandell指標は,1.12×l0^<-4>μg/cm^2であり,公定法であるジチゾン法の14.3倍の感度である. 又,相対標準偏差値は1.31μ/25cm^3の亜鉛(II)に対しO.6%(10回測定)であった. 本法を市販の四塩化炭素特級試薬中の亜鉛(II)の定量に応用し,良好な結果を得た.
著者
武田 洋一 石田 宏二
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.729-734, 2004-07-05
被引用文献数
2 4

希土類元素の新しい分離系の開発を目的として,弱酸性陽イオン交換体カルボキシメチルセルロースに対するプロメチウムを除く全希土類元素の吸着挙動を塩化ナトリウム水溶液系について塩濃度の関数として薄層クロマトグラフィーにより調べた.本系における希土類元素のR_f値の決定には,カルボキシメテル基への競争的陽イオン交換,表面錯体の生成,塩析効果が重要な役割を果たし,希土類元素系列内の配位数の変化も影響を及ぼしていると思われる.通常,イットリウムは重希上類元素に属するが,本系ではイットリウムはランタンに極めて近いR_f値を示すので,ランタン以外の希土類元素からの分離が達成された.
著者
西浜 章平 吉塚 和治 Louis SCAMPAVIA Jaromir RUZICKA
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.349-349, 2006 (Released:2006-08-30)

掲載論文の取り消しについて 取消論文: 西浜章平,吉塚和治, Louis Scampavia and Jaromir Ruzicka: 分析化学(Bunseki Kagaku), 52(12), 1187-1192 (2003). "マイクロシーケンシャルインジェクション分析法の最適化" (Received 16 July 2003, Accepted 10 September 2003)「分析化学」編集委員会及び著者は、上記論文が先に投稿された下記の論文と重複していることから取り消すことに決定致しました。したがって、上記論文を今後引用することのないようにご注意ください。 先行論文: Syouhei Nishihama, Louis Scampavia and Jaromir Ruzicka: J. Flow Injection Analysis, 19(1), 19-23 (2002). "μSI: Optimization of reagent based chemicals chloride in Lab-on-Valve system." (Received 9 January, 2002, accepted 28 February, 2002)
著者
田丸 素子 薮谷 智規 本仲 純子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1435-1440, 2004 (Released:2005-03-28)
参考文献数
13
被引用文献数
9 13

ホタテ貝中腸腺中金属元素の多元素同時定量法の開発を行った.試料の溶液化はマイクロウェーブ密閉容器を用いる酸分解法で行い,金属元素測定には誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)及び誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)を用いた.分析値の評価にはNIST頒布の標準試料SRM 1566b Oyster tissueを用いた.試料0.5 gを採取し,硝酸,フッ化水素酸,過塩素酸の混酸によるマイクロ波酸分解を行った.分解後の試料をICP-MS及びICP-AESで測定した結果,K,Na,Zn,Mg,Ca,Fe,Al,Cu,Mn,Ba,Sr,Cd,Ni,Co,Pb,Y,希土類元素の定量が可能であった.得られた定量値はPbを除き認証値及び参考値とよく一致した.測定精度はPb,Ni,希土類元素を除きすべて相対標準偏差4% 以内であった.本法を青森産ホタテ貝中腸腺試料の分析に適用したところ,30元素の定量が可能であった.特にカドミウムは中腸腺中に69.0 mg kg-1含まれており,中腸腺中元素濃度と頁岩中元素濃度及び海水中元素濃度の比に基づき算出した生体濃縮係数は他の金属元素と比較して非常に高い結果が得られた.
著者
鈴木 章悟 平井 昭司^[○!R]
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.596-600, 1984-11-05
被引用文献数
4 9

国立公害研究所で製作された環境標準試料ムラサキイガイ中の微量元素を機器中性子放射化分析法により非破壊・多元素・同時定量した.分析法の信頼性を増すために,試料量(50〜250mg)を変化させ,更に数回の繰り返し照射・測定を行った.試料は武蔵工大炉で短時間照射(気送管2分間)及び長時間照射(中央実験管5時間)を行い,冷却時間を変えてそれぞれ2回ずつGe(Li)検出器と4096チャンネル多重波高分析器(GAMAシステム)でγ線スペクトルの測定を行い,約50元素を分析した.その結果,20元素の濃度が数%の精度で定量され,そのほか18元素の濃度が多少精度が悪いが定量できた.