著者
中村 友紀 山中 伸弥
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.531-538, 2008-08-01

分化多能性をもち,その性質を維持したままほぼ無限に増殖させることができる胚性幹細胞,ES細胞は細胞移植治療や創薬試験系への応用に大きな期待が寄せられてきた.しかし,その作製には受精卵が必要になることから倫理的に慎重な運用が求められ,また他家移植となることから免疫拒絶の制御という問題も抱えていた.これらを回避すべく,真に臨床応用可能な幹細胞の開発を目指し,様々な研究が行なわれている.ここでは,その試みから生まれた人工多能性幹細胞,iPS細胞について,樹立までの経緯とそのインパクト,展望について触れたい.
著者
紙野 圭
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.724-732, 2004-11-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
24
被引用文献数
1
著者
菅原 遼
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.717-719, 2013-10-01 (Released:2014-10-09)

本研究は,日本農芸化学会2013年度大会(開催地:東北大学)の「ジュニア農芸化学会」で発表された.東日本大震災で東京電力福島第一原発事故が起こって以来,放射性物質が人体および農水産物に及ぼす影響が問題となっている.特にキノコの放射性物質の取り込みが問題視されている.本研究では,市販のキノコを材料にしてキノコに含まれる微量金属を調べるとともに,それらの菌糸生長への影響を調べることで,土壌に含まれる放射性セシウムなどのキノコに対する影響を推察している.
著者
井筒 ゆみ
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.883-890, 2012-12-01 (Released:2013-12-01)
参考文献数
32
被引用文献数
1

おたまじゃくしがカエルになるとき,体の体積の半分を占める尾を消失する.両生類は,ひれをもち魚のような形をした幼生から,四つ足がはえた成体へと大規模な体の作り変えをするが,その最も顕著な例は尾の消失に見ることができる.尾の消失は発生プログラミングされた細胞死(アポトーシス)によって起こるが,そのメカニズムは,古くから甲状腺ホルモンによる細胞自律的な死によると説明されてきた.筆者らは,変態期の幼生細胞に特異的に発現する2つの新規の抗原タンパク質を同定し,成体型免疫細胞が尾を異物として認識し,死に至らせるという考えを支持する結果を得た.これにより,従来知られてきた甲状腺ホルモン作用だけでなく,新たな作用機構として,免疫が自己組織と非自己組織を識別し,脊椎動物の器官形成に働く可能性を示す.
著者
山下 倫明 今村 伸太朗 山下 由美子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.807-817, 2012-11-01 (Released:2013-11-01)
参考文献数
46

マグロ類やカジキ類,ハクジラ類などの海洋の高次捕食者には,食物連鎖によって生物濃縮されたメチル水銀が,筋肉に含まれることから,魚食からのメチル水銀の摂取による毒性を明らかにする必要がある.水俣病のように,メチル水銀の中毒事例から予想すると,低濃度のメチル水銀の長期曝露によって,脳神経系や心臓・血管系の分化・発達異常が生じる可能性がありうるが,実際には魚食によって微量なメチル水銀を摂取し続けても,メチル水銀中毒は生じない.その理由は,魚から高度不飽和脂肪酸やセレンなどを多量に摂取するので,これらの成分がメチル水銀の蓄積や毒性発現の機序に作用して,毒性を軽減することがわかってきた.魚食由来のメチル水銀の健康リスクは過大に評価されているのではないか.なぜ,魚食ではメチル水銀の毒性が打ち消されるのか.水産物のメチル水銀とセレンによる解毒に関する最近の知見を紹介する.
著者
佐藤 優紀
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.196-197, 2013-03-01 (Released:2014-03-01)
被引用文献数
1

本研究は,2012(平成24)年度日本農芸化学会大会(開催地・京都)での「ジュニア農芸化学会」において金賞に選ばれた.植物が音楽の影響を受けて生育を変化させる可能性については昔から幾度となく話題にされ,クラシック音楽は良い効果を及ぼすというようなことが伝えられてきたが,科学的根拠を欠く事象として疑問視する声も多かった.本研究は,マカラスムギを材料に,発芽や初期生長に及ぼす音楽の影響を再検証するところからスタートしたものであるが,音楽を周波数の異なる音に分けて詳細に解析した点,糖代謝や呼吸といった植物体内の生理変化にまで踏み込んで解析した点,さらには実験結果に基づき独自の分子モデルを提唱した点,が高く評価された.