著者
大竹 弘哲 長嶋 和明 田中 聡一
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.49-52, 2007 (Released:2007-06-13)
参考文献数
6

症例は73 歳女性. 左上肢の筋力低下にて発症. 歩行障害が現れ, 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) と診断. 後に構音障害と嚥下障害が現れ, 進行した. 患者本人とその家族共に延命治療を希望されなかった. 左上肢を中心に疼痛を訴えるようになり, 緩和ケアとしてリン酸コデインを開始して45日目に永眠された. 日米の神経学会治療ガイドラインで, ALS末期の疼痛緩和にオピオイドの使用を勧めている. 筋萎縮に伴って体重が減少するALS末期で, 欧米に比べ体格の小さい本邦の患者において, 強オピオイドではなくリン酸コデインから緩和ケアを開始することを検討すべきである.
著者
武居 明美 瀬山 留加 石田 順子 神田 清子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.145-152, 2011-05-01 (Released:2011-06-06)
参考文献数
19
被引用文献数
4 3

【目 的】 末梢神経障害を体験したがん患者の生活における困難とその対処を明らかにする.【対象と研究方法】 対象 : 外来でFOLFOX療法を6回以上施行した大腸がん患者25名. 研究方法 : 半構成的面接を行い, 質的手法にて分析をした. 【結 果】 生活における困難は3サブカテゴリーから《しびれにより生じる日常生活への支障》, 4サブカテゴリーから《しびれにより生じる社会生活の制限》のカテゴリーが形成された. また対処は, 2サブカテゴリーから《しびれの予防・軽減の主体的対処》, 2サブカテゴリーから《しびれに応じた調整による対処》のカテゴリーが形成された. 【結 語】 末梢神経障害を体験したがん患者の生活における困難とその対処が明らかになった. 末梢神経障害の出現が社会生活における活動を著しく制限していることから, 正確な末梢神経障害の把握を行うとともに, 望む生活や価値観を把握し, QOLの低下を防ぐことが求められる.
著者
杉本 厚子 堀越 政孝 高橋 真紀子 齋藤 やよい
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.123-131, 2005 (Released:2006-07-07)
参考文献数
22
被引用文献数
7 6

【目的】 患者の異常を察知した時に, 看護師が捉えた事象と臨床判断の特徴を明らかにすることである. 【方法】 外科系病棟に勤務する看護師15名の患者の異常を察知したエピソードを, グループディスカッションを通して抽出し, 内容分析した. 【結果】 看護師が捉えた事象は, 異常な眠気, 表情の変化, 反応の鈍さ, 活動の低下, 予測外の症状, つじつまの合わない会話, 違和感のある臭気であり, 多くの看護観察にもとづく非言語的サインであった. 異常を察知した臨床判断には, 【今までとは違う感覚】, 【通常とは違うという感覚】, 【情報に矛盾があるという感覚】であり, 「その患者」のデータや経験の分析的判断と, 「そのような患者」の看護経験にもとづく非分析的判断の両者を活用していた. 【結語】 看護師は患者の微妙な非言語的サインにより異常を察知し, 論理的分析と経験によって培われた直観的分析を駆使して臨床判断を行っていた.
著者
牧野 総太郎
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.104-113, 1971 (Released:2009-10-15)
参考文献数
29

Naramycinを無条件刺激, 0.0001% Anise Oil, 0.0001%Clove Oilを条件刺激として摂水行動により'におい'の識別能力を調べた.そして前交連前枝や外嗅索を切断し, また嗅球を除去してそれが喫におい'識別能力におよぼす影響をしらべ, これらの神経系が'におい'の識別において果たす役割とその大きさを研究した.1 無処置正常ラットは約6日間の識別学習によって完全に'におい'の識別が可能となった.'におい'の組合せを変えて学習を反復すると識別条件反応の成立は次第に早くなった.2 'におい'の識別学習を終えたラットの片側の嗅球を除去すると識別能力は低下するが, 日と共に徐々に回復して22ないし25日後にほぼ完全に回復することが明らかにされた.しかし両側嗅神経系による識別能力を片側だけで完全に代償できないことも分った.また, 嗅球のレベルにおいては'におい'識別に関して左右の優位性はなかった.3 前交連前枝切断と外嗅索切断は共に'におい'の識別学習の効果を低下させたが, 後者の方が影響が大であった.また切断後の識別能力においても後者の方がより大きい影響を与えた.その点でA.C.Allisonの言うように外嗅索が'におい'のより精密な識別の役割をはたしていると思われる.4 両側の前交連前枝と外嗅索を全部切断したラット群は, 両側の嗅球を除去した群にくらべ識別学習においても, 切断手術後の識別能力の回復においても, はるかにすぐれていた. これは第3の嗅覚経路の存在を示唆するものである.5 三叉神経は'におい'の識別に関与するが'におい'識別力全体からみればその役割は小さいと考えられる.
著者
Hatsue Ogawara Kimio Morita Fumiko Hara Jun Tsuchiya
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.9-14, 1997-01-01 (Released:2009-10-15)
参考文献数
23

The clinical significance of serum beta-2 microglobulin (Sβ2M) levels in hematological malignancies and of the ratio of measured β2M value to calculated β2M (β2M M/CTD ratio) from the serum creatinine level for assessing renal function were examined. The levels of Sβ2M in patients with multiple myeloma (MM), polycythemia vera (PV), and renal failure were markedly increased. The β2M M/CTD ratio was increased in MM and PV patients, but was not increased in renal failure patients, suggesting that the β2M M/CTD ratio is useful for distinguishing between MM and renal failure.In the MM group, the mean Sβ2M level did not significantly differ between the patients who received chemotherapy with/without interferon and those who were not treated. However, the mean β2M M/CTD ratio of the chemotherapy plus interferon-alpha group was significantly higher than that of the non-treated group (p <0.01) and that of the chemotherapy-only group (p < 0.02). In the group with chronic myelogenous leukemia, both the mean Sβ2M level and the mean β2M M/CTD ratio were significantly different in the non-treated patients compared with the interferon therapy patients (p <0.02, p <0.05).We speculate that the evaluation of prognosis and tumor mass by the level of Sβ2M should be performed at the time of diagnosis, before the administration of chemotherapy with interferon.
著者
吉住 正和 小池 幹義 高橋 奈緒美 田仲 久人 木暮 政惠 岡田 正敏 津久井 智 猿木 信裕 高橋 篤
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.23-31, 2017-02-01 (Released:2017-04-05)
参考文献数
11
被引用文献数
1

背景と目的:アカツツガムシを媒介としたつつが虫病は旧来より知られていたが, 1950年代から新型 (タテツツガムシあるいはフトゲツツガムシが媒介) が出現して全国的に拡がり, 群馬県でも1980年代から北部山間部を中心に散見されるようになった. 一方, 最近の群馬県におけるつつが虫病の発生状況は明らかとは言えない. 本研究では, 群馬県, 特に利根沼田2次保健医療圏における最近のつつが虫病の発生動向とその変遷などの特徴を明らかにすることを目的とする.方 法:群馬県統計年鑑・Infectious Agent Surveillance Report報告・利根沼田と吾妻地域の4類感染症発生届を用い, (1) 全国/群馬県/県内各2次保健医療圏におけるつつが虫病発生数と頻度の推移, (2) 利根沼田と吾妻地域における地域総人口/農業人口/60歳以上人口とそれらの発生頻度の推移・月別平均気温の推移 (3) 利根沼田地域のつつが虫病患者の年齢/職業/発生月/推定感染場所/血清タイプを検討した.結 果:(1) 全国と群馬県のつつが虫病発生頻度は2002年まで減少傾向にあったが, 群馬県の発生頻度は2007年以後上昇した. (2) 県内各地域の発生頻度は検討全期間を通して吾妻地域の占める割合が高く, 利根沼田地域では1995年を境に発生数が増加し, 2007年以後の利根沼田地域の発生数は群馬県の発生数の20~50%を占めていた. (3) 農業人口に対する発生頻度は各地域とも地域総人口に対する発生頻度と比べ有意に高く, 経時的に上昇していた. 一方, 60歳以上人口に対する発生頻度は地域総人口に対する発生頻度と比べ差異がなかった. (4) 利根沼田地域では最近の10年間で平均気温の上昇が認められた. (5) 群馬県及び利根沼田地域の発生時期は10月~11月, 推定感染場所は河岸段丘の農地が大半であった. (6) 利根沼田地域では感染地域の拡大が認められ, 血清タイプは標準型 (Karp・Gilliam型など) が70%と多かったが, Kawasaki型などの新しいタイプも認められた.結 語:近年の群馬県ではつつが虫病の発生が増加しており, その主因に利根沼田地域の発生増加が考えられる. 利根沼田地域の発生増加には河岸段丘農業地域における感染の拡大と感染率 (発生頻度) の増加, 気温上昇の影響が示唆される. 群馬県の有毒ツツガムシは血清タイプや発生月の推移から, フトゲツツガムシ (Karp・Gilliam型) によるものが主体で, 関東南部や九州に多いKawasaki型などを含むタイプとの混在も示唆される. 今後, 好発地域, 好発時期における地域住民に対する感染予防啓発が重要と考える.
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.67-69, 2017-02-01 (Released:2017-04-05)
著者
飯田 智恵
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.395-403, 2011-08-01 (Released:2011-09-13)
参考文献数
26

【目 的】 豪雪地域の居宅高齢者の日常生活における身体活動量の季節変動を明らかにすることを目的とした. 【対象と方法】 2008年からの1年間, 月毎に7日, 豪雪地域に居住する健常高齢者5名に歩数計を装着してもらい, 歩数と活動時間, 対象者が書いた生活日誌の内容を分析した. 研究目的, 方法, 匿名性, 研究協力への自由意思について説明し, 同意を得た. 【結 果】 対象者の内2名は春季から秋季にかけて歩数と活動時間が多く, 冬季は少なかった. 残りの3名にこれらの季節変動はみられなかった. 【結 語】 季節変動がみられた者の日誌には, 歩数目標の設定と自己評価, 目標を達成するための工夫が表現されており, 身体活動量の季節変動には積極的な自己管理態度や行動特性が影響しているものと考えられた. 冬季には活動量の維持が困難であることから, 豪雪地域においては冬季の不利な気象条件による影響が低減されるような活動場所と機会の整備が求められる.
著者
内山 喜久雄
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.772-785, 1959-07-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
45
被引用文献数
1 1

The statistical survey has been made on the forty-six cases of the childhood mutism from among the 24, 245 pupils of the whole elementary schools in the City M., by means of the diagnostic interview and the questionnaire method. The childhood mutisms were observed Tin 0.19% of the whole pupils, girls exceeding boys in the frequency.The personal and environmental factors which may bring about anxiety and feeling of isolation on the part of the patients producing negativistic responses such as mutism are as follows : The personal factors contributing to infantile mutism were intellectual retardation and consequently poor academic achievement with delayed commencement of speech and walking. Notable diseases in the past, and nervous habits in the past and present are often considered as contributing factors. Although the problem of the heredity of the mutistic trends needs further considerations, patients' near relatives surveyed showed comparatively frequent occurrences of mutism. The psychiatric survey of the patients' present physical conditions revealed no direct relationships with mutism, with the exceptions of some physical indications for some of the mentally deficient subjects.As for environmental factors, the attitudes of their parents' laissez-faire and their mothers' over-protection may be influential in producing mutism. It was noticed that the academic career and socio-economic status of the parents were considerably low. Among the effects of the grandparents' attitudes contributing to the formation of the symptom, the grandmothers' over-protection should be emphasized. In some cases, sibling rivalry might also be regarded as a factor, but in this respect, further observation may be demanded. The numbers of the patients' friends and playmates are remarkably few, which might in turn promote the mutistic trends. Situations causing the childhood mutism are found chiefly in and around schools and unacquainted places, being scarcely seen in the home and neighbourhood situations.
著者
田端 洋太 前田 昇三
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.97-100, 2022-02-01 (Released:2022-03-18)
参考文献数
9

母乳栄養児における難治性湿疹で,食物アレルギーの疑いで紹介されるケースの中に亜鉛欠乏症が存在する.今回我々は亜鉛欠乏症の3兄弟例を経験した.第1子は生後4カ月時に低亜鉛母乳による亜鉛欠乏症と診断治療し,第2子は早期に対応できた.しかし,第3子は家族歴の申告についての指導不足により食物アレルギーの疑いで紹介となった.亜鉛欠乏による皮疹の存在を周知する必要性と兄弟例に対する指導の大切さを痛感させられた.
著者
河野 恵 山本 孝 松田 忠泰 佐藤 重房 長崎 宗俊
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.458-460, 1960-05-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
9

Three ointments, Merzonin-ointment, Mercurochromum-ointment and Unguentum Hydrargyri, were used in a Preliminary Screening Test in an attempt to determine which ointments would warrant further testing for protective agents against the penetration of larvae of Ancylostoma caninum.No remarkable effective result were found compared with the control.
著者
小此木 丘 星 昭二 本間 学 須藤 謙三郎 飯塚 久義 佐藤 信
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.199-207, 1962 (Released:2009-11-11)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

An injection of Habu-snake venom, heated for 10 minutes at 100°C., caused myolysis at the site, histologically. But different from crude venom action, no hemorrhagic changes were recognized. At first, disappearance of mitchondria in the muscular fibers was seen, and then muscular splitting and lysis followed.While the myolytic changes caused by crude venom began immediately af ter the injection, the beginning of the changes were delayed when the heated material were used.Anti-Habu-serum neutralised the toxicity of the heated venom, and also, E.D.T.A.-Ca, Cocarboxylase and α-Thiolactoylglicine-Na repressed the toxicity in vitro.
著者
早川 和重 三橋 紀夫 岡崎 篤 中野 隆史 玉木 義雄 山川 通隆 伊藤 潤 平岡 成恭 原 富夫 新部 英男
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.17-24, 1984-02-20 (Released:2009-11-11)
参考文献数
21

From January 1970 to June 1982, among 4, 294 patients with malignant neoplasms, herpes zoster (HZ) occurred in 87 (2.0%) after irradiation. The incidence of HZ infection was rather high in patients with malignant lymphoma (8.3%), epipharyngeal cancer (8.2%), ovarial tumor (4.8%) and testicular tumor (4.2%). Most of these patients received extensive radiation therapy along the spinal cord and/or nerve root.The location of HZ infection was devided as follows : HZ infectious lesion located in the area of (I-A) innervated segment of the irradiated nerve root (74%), (I-B) irradiated dermatome (3%) and (II) not associated with radiation field (23%).In 55 (86%) of 64 patients of I-A, HZ infection occurred within one year, particularly in six months (41 cases (64%)) after the complesion of radiation therapy. This incubation period between completing irradiation and the manifestation of HZ infection was likely to be compatible with the period between radiation therapy and earlier radiation injury. Among 20 patients in Group II, 12 patients (60%) developed HZ infection over a year after irradiation.The cumulative 5-year survival of these patients except for the patients with malignant lymphoma was 42% and HZ infection was considered to have no prognostic significance.In 19 cases treated with 3-Germylopropionic acid sesquioxide (Biositon-8), all were free of severe neuralgia and 11 patients were cured within 2 weeks. Ongoing clinical trial investigating the use of Biositon-8 appears promising against HZ infection.
著者
村田 和彦 吉田 忠義 鈴木 忠 河合 恭広 金沢 紀雄 高瀬 真一 佐々木 豊志 塩原 雄二郎 乾 迪雄 土屋 純
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.317-322, 1980-12-20 (Released:2009-11-11)
参考文献数
17

電気的交互脈は比較的まれな心電図異常であり, その正確な頻度は不明であるが, 心電図検査10,000回におよそ5回程度みられるものであるといわれている.本所見は通例心異常のあるものに認められ, その出現はしばしば心膜液貯留の診断の手がかりとなるが, きわめてまれながら, 他に心異常のない症例に電気的交互脈の出現をみたとの記載もある.以下, われわれが最近約15年間に経験した6症例を報告する.
著者
小池 彩乃 内田 陽子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.91-95, 2022-02-01 (Released:2022-03-18)
参考文献数
12

対象者はA氏,80歳代,女性,要介護1.独居で生活しているが,火の不始末が心配,緊急連絡先への連絡や来訪者の把握が難しいなどの不安を感じていた.そこで,A氏の目に留まりやすくニーズに合わせたデザインのポスターを生活空間に導入した支援を行った結果,安心感をもたらした.その要因として,①A氏の居住空間・動線・目線に合わせたポスターの掲示,②A氏の好むデザインの選択が考えられた.この症例は多くの独居高齢者にも活用できると考えたため報告する.
著者
佐藤 邦雄
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.123-131, 1993

本研究は, 慢性腎不全において透析により血漿エンドセリンが変化するか否か, また, これが血圧維持に関与しているか否かを検討したものである.週3回血液透析を受けている慢性腎不全例14例における血漿エンドセリンをラジオイムノアッセイ法により測定したところ, 透析開始時には34.6±4.4fmol/mlであり, これは健常者の10.8±0.9fmol/ml, 腎機能正常の高血圧例の12.9±4.4fmol/mlに比べて有意に高値であった.また, 高速液体クロマトグラフィーで分析すると, 透析例ではエンドセリン-1, ビッグエンドセリン-1以外に二つのピークが認められた.透析後, 血漿エンドセリン値は28.4±1.6fmol/mlと有意に低下した.エンドセリン-1とビッグエンドセリン-1とは透析によりともに有意に減少し, 両者の比は透析前後で変化しなかった.透析外液中にエンドセリン-1は検出されたが, ビッグエンドセリン-1は検出されず, 循環中にビッグエンドセリン-1からエンドセリン-1への変換が生じるものと推定した.<BR>なお, 腎不全例において, 血液透析による血圧変化と血漿エンドセリンおよびエンドセリン-1の変化との間には有意な関連は認められず, 血中エンドセリン-1が循環ホルモンとして透析中の血圧調節に直接関与していないと結論した.
著者
大嶋 清宏 村田 将人 神戸 将彦 中島 潤 澤田 悠輔 一色 雄太 市川 優美 福島 一憲 荒巻 裕斗 小和瀬 桂子 田村 遵一
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.215-221, 2020-08-01 (Released:2020-09-03)
参考文献数
29

【目 的】 群馬大学医学部附属病院救急科で入院加療を行ったスキー・スノーボード外傷症例の実情を調査すること.【対象及び方法】 2002年1月~2018年12月までに当院救急科へ入院したスキー・スノーボード外傷を対象とし,損傷部位,来院時重症度や入院後経過を検討した.【結 果】 上記期間に当院救急科へ入院した5,448例中,対象症例は23例(0.42%)で,年齢27歳(中央値),男女比18:5,スキー外傷8例(35%),スノーボード外傷15例(65%)だった.受傷部位については,頭部・頸部7例,顔面2例,胸部8例,腹部・骨盤内臓器14例,四肢・骨盤8例(重複あり)で,腹部・骨盤内臓器損傷が最多だった.外傷重症度の指標であるrevised trauma score,injury severity scoreおよび予測生存率の中央値はそれぞれ7.8408,9,および0.9942であった.来院時ショック状態だったのは1例のみで,4例に手術あるいは経カテーテル的動脈塞栓術等の緊急処置が行われた.入院期間は6.0日(中央値)で,全例が軽快退院あるいは転院した.【結 語】 スキー・スノーボード外傷は受傷機転から重症となる場合もあり,必要に応じ適切な医療機関での加療が求められる.
著者
久保田 豊子 前田 三枝子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.11-12, 2003

終末期においては, 患者と家族が苦痛から開放され, 人生の最後の瞬間までその人らしさを維持していくことが大切である.今回, "最後まで患者を支える" ことを看護方針にして関わった終末期の事例から, 看護師が果たすべき役割が示唆されたので報告する.