著者
野間 真拓 水谷 夏樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_109-I_114, 2022 (Released:2022-11-01)
参考文献数
6

波浪予測にニューラルネットワークを用いることは,深いドメイン知識を必要とせず地域毎に少ないコストで導入できる利点がある.一方で,ニューラルネットワークの説明変数として気象場の再解析GPVデータを利用することが多く,リアルタイム波浪予測の妨げとなっている.本研究では,リアルタイム波浪予測を目指してアメダスおよびナウファスの観測データを用いたニューラルネットワークを構築し,神戸港での波高および周期を予測した.説明変数の組み合わせやSHAP値から,各説明変数の予測精度に対する寄与についてある程度説明することができた.その上で,予測精度向上には風上側の適切な距離にある風の情報が重要であること,さらに波浪(波高と周期)の履歴情報の貢献度が極めて高いことを示し,特に波高については実用十分な精度で予測することができた.
著者
宮内 海峰 森 信人 志村 智也 建部 洋晶 宮下 卓也 今井 優樹 二宮 順一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.I_949-I_954, 2022 (Released:2022-11-01)
参考文献数
8

本研究は,日本周辺海域において地域的な海面水位変化をもたらす現象の特定とその量的影響を行った.海洋における幅広い時空間スケールの現象を考慮するために,日本沿岸の潮位観測値,水平解像度100km格子で長期間計算された全球気候モデルMIROC6過去気候アンサンブル,および水平約10km格子の海洋再解析データFORA-WNP30の解析を行った.さらに水平20km格子で日本周辺海域の海洋流動シミュレーションを実施した.得られた結果から,太平洋で最も卓越する海面水位変動要因はENSOであり,その影響で黒潮流域では1年あたり約10cmの振幅が生じることが分かった.一方で日本沿岸地点は外洋の変動がそのまま反映されないため,振幅は黒潮流域よりも小さく,最大で約5cmであることがわかった.
著者
宇野 宏司 谷口 夏海
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_1255-I_1260, 2020 (Released:2020-11-04)
参考文献数
10

その土地の自然災害被災履歴を暗示する災害地名は,地域社会の中で受け継がれてきた災害文化を構成する重要な要素の一つである.東日本大震災以降,最新の科学的知見に基づいた津波ハザードマップの見直しが進められたが,それらの根拠は現存する記録ベースにとどまっており,先人たちの知恵の結晶ともいうべき災害地名にはそれらを補完しうるハザードを顕示する可能性を秘めている.本研究では,全国各地に見られる一般的な津波災害地名地点を対象に,空間情報解析によってその地形分類や地質・土壌区分の特性及び相互関係を把握し,沿岸市区町村の災害地名による津波被災リスクの顕示性を明らかにした.
著者
内山 雄介 Xu ZHANG 柳瀬 翔太
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_97-I_102, 2020 (Released:2020-11-04)
参考文献数
7

世界遺産登録を目指す卓抜した自然現象・自然景観である「鳴門の渦潮」の発生メカニズムと,周辺海域環境への影響に着目し,4段ネスト高解像度海洋流動モデリング技術を用いた精緻な数値解析を行った.鳴門海峡に出現する渦潮は,紀淡海峡で分派して淡路島東岸から明石海峡を経て伝播する潮汐波と,紀伊水道北部での潮汐の位相差に伴う圧力勾配によって惹起され,2つの岬に挟まれた狭隘な海峡という独特の地形的な拘束によって強化される潮流の水平シア不安定によって発生することを明らかにした.また,渦潮域直下では海峡中央部の強流帯で沈み込むようなdipole型の鉛直循環流が発生し,極めて効率的な鉛直混合が生じていること,播磨灘から紀伊水道方向への平均海水輸送を促進していることが示された.
著者
猿渡 亜由未 渡部 靖憲
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.16-20, 2009 (Released:2010-02-09)
参考文献数
9

Local surface deformations of the wave breaking jets were computed using a three-dimensional large eddy simulation. The typical counter-rotating vortices formed with the jet entrains the adjacent jet surface into inner fluid to penetrate the jet, forming a so-called finger jets. The tips of the fingers are fragmented into sprays. The breakup rate of the fingers and the volume fraction of the resulting sprays have also been statistically estimated in this paper. It has been found that local acceleration along the fingers determines the breakup rate as well as the fluid fraction.
著者
西田 修三 中谷 祐介 広瀬 太芽
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_1039-I_1044, 2019 (Released:2019-10-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

港湾など高い閉鎖性を有する都市沿岸海域の水環境再生には,流入負荷の削減だけでなく,浚渫・覆砂などの底質改善や人為的な流動制御による水交換の促進が必要と考えられる.本研究では,高閉鎖性海域である堺旧港を対象に,水質・底質特性の把握と外部擾乱による水質変動の解析を行った. 港内では夏季には密度成層が形成され,表層で過飽和,底層で貧酸素化が生じていた.表層ではCSOの影響により高濃度の有機態窒素・リンが,底層では底泥からの溶出の影響による高濃度の無機態栄養塩が検出された.台風21号来襲時には港内容量に相当する港外水の流入が生じ,暴風と高潮に襲われたにも拘わらず,港内水質の完全混合には至らなかった.この港域の水環境は底質に強く依存しており,水質改善には浚渫や覆砂などの底質改善が最も効果的であると考えられた.
著者
田中 健路
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_386-I_390, 2011

On 15 July 2009, a meteotsunami occurred at Tsushima Strait and with the flood damage at Sasuna community area in the west of Tsushima Island. This study analyzed the meteorological conditions in relation to the meteotsunami event. The baiu front system moved south from Korean Peninsula to the north Kyushu and San-in area in the morning of 15 July, accompanied with the strong cold downdraft. The pressure disturbance occurred by the acoustic gravity mode 100-120 km west from Tsushima Island in the middle of the strait, where the surface moist air from the southwest was lifted by cold downdraft. The cycle of the pressure disturbances were around 10 minutes, which is nearly same as the eigenoscillation of the small bays of the Tsushima.
著者
仲座 栄三 渡久山 諒 稲垣 賢人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_193-I_198, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
11

南西諸島に点在する巨大な津波石の特徴が示された後に,それらの起源が推定されている.結果は,過去数千年間に大津波が7回来襲したとする従来の定説を否定し,明和津波が唯一で巨大な津波であったことを示唆している.こうした議論内容は,これまでに仲座らが発掘調査などから指摘している明和津波最大説と軌を一つにしている.実験により,こうした巨大津波石の発生メカニズムが調べられ,津波石への衝撃波圧の発生,津波石の水没と移動との関連が議論されている.巨大津波の流体力や最大遡上高を推定する上で,本研究成果は示唆に富む内容となっている.
著者
田中 健路 伊藤 大樹 昌子 舜
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_187-I_192, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
9
被引用文献数
2

東シナ海上で発生する気象津波の伝播・増幅過程について,Princeton Ocean Model (POM)を基本モデルとした多重ネスト型数値モデルを構築して解析を行った.気圧波が東シナ海上を東進する際に,沖縄トラフ通過時の海洋長波の位相速度の急増に伴い,正の気圧偏差前面に形成された第1波の押し波が気圧波よりも30~60分早く九州西岸に到達することが示された.気圧波が長崎湾に到達する際に,25分から30分 の周期帯の成分が増幅し,第3波で全振幅2m以上の副振動が発生することが示された.連続した小規模な気圧波群が九州西岸を通過する場合,個々の気圧波のスケールが小規模であっても,数10波連続すると九州西岸の広範囲において気象津波の到達による副振動が生じ,湾の固有振動周期の振動が長時間残存することが示された.
著者
Tracey H. A. TOM 金 洙列 武田 将英 倉原 義之介 原 知聡 西山 大和 川崎 浩司 間瀬 肇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_133-I_138, 2019
被引用文献数
2

<p> 海洋工事は気象や海象の影響を受けやすく,作業船の運航ルートの設定や荒天時の作業可否の判断,避難港の利用にあたり,できるだけリードタイムの長い海象情報は重要である.本研究では,全球波浪予報値とニューラルネットワーク(NN)を利用した1週間波浪予測法を提案し,その基礎となる精度検証を行った.日本気象庁波浪モデルやアメリカ海洋大気庁波浪モデル,ヨーロッパ中期予報センター波浪モデルによる1週間先以上の全球波浪予報値が提供されているが,それらの日本沿岸における波浪予報値としての精度は良くない.そこで,NNを利用した非線形変換による精度の良い波浪予測法を目指し,その第一歩として,全球波浪解析値および予報初期値を用いてその可能性を調べたものである.</p>
著者
SUPPASRI Anawat 山下 啓 LATCHAROTE Panon ROEBER Volker 林 晃大 大平 浩之 福井 謙太朗 久松 明史 今村 文彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_1597-I_1602, 2017
被引用文献数
2

2016年11月22日にMw 6.9の福島県沖地震による津波が発生した.震源は福島県沖であったが,最大津波高は宮城県において観測された.宮城県では地震発生から約2時間後に仙台新港において水位1.4 mの第2波目の津波の観測により,津波注意報から津波警報に切り替えられた.本稿はその特徴を理解するために,津波数値解析と現地調査を行った.数値解析では震源から仙台湾に到達する津波伝播の様子を再現し,断層の走向と仙台湾の地形の影響によって生じた津波の屈折および反射等により仙台新港における津波が高くなることを説明できた.また断層走向が90度の場合でも,仙台新港における津波波形を比較的良好に再現できた.他方,現地調査では,宮城県東松島市宮戸地区で最大T.P.+4.0 mまで遡上したことが分かった.また,ドローン画像より,仙台市蒲生地区の津波浸水域を推定できた.
著者
土屋 悟 松山 昌史 森 勇人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_355-I_360, 2019 (Released:2019-10-17)
参考文献数
9

火山活動に伴い発生する津波は,地震による断層運動を要因とする津波より発生頻度が低く,その実態はあまり明らかになっていない.また,火山活動に伴い発生した津波の国内外事例を対象に解析的検討が実施されているものの,発生過程は多様であり未解明な部分が多い.そこで本研究では火山活動に伴い発生する津波のうちカルデラ陥没に着目し,水理模型実験によりカルデラ陥没を想定した津波の発生機構を明らかにするとともに,数値計算により既往の検討手法の妥当性を検証した.その結果,水理模型実験によりカルデラ陥没に伴う津波の発生機構が確認できた.また,水理模型実験結果の再現計算により既往の検討手法による初期波形計算手法でカルデラ陥没に伴う津波の発生が表現可能である.
著者
木村 晃彦 柿沼 太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_61-I_66, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
5

砕波を考慮した数値解析に基づき,サーフィンにおいてテイクオフが可能となる条件に関して考察した.まず,水平方向において,サーファが波頂に追い越されないために必要な,パドリングスピードの水平方向成分を検討した.これより大きな水平方向成分を有するパドリングスピードが実現されるとき,テイクオフが可能となる.次に,鉛直方向に関して,水面から力を受けるサーファに働く,波前面に沿う方向の力を検討した.この力が0,または,下向きである位置でテイクオフが可能である.そして,水平及び鉛直方向のテイクオフ可能条件を総合し,各地点でテイクオフが可能な時間内において要求される,パドリングスピードの水平方向成分の時間変化として,対象とした巻き波型及び崩れ波型の砕波型式を示す2種類の波に対するテイクオフ可能条件を示した.
著者
豊田 将也 吉野 純 小林 智尚
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_319-I_324, 2019

<p> 2018年に発生した台風24号は,強い勢力を維持した状態で上陸し,名古屋港への最接近時刻が満潮時刻と重なると予報されたため,高潮に対する最大級の警戒(最大潮位偏差3.45m)が呼びかけられた.しかし,実際の台風進路が,当時の上陸直前の予報から大幅に逸れたために大規模な高潮災害には至らなかった.このような予報誤差の要因を解明することは,今後の沿岸災害予報の改善のためにも極めて重要な課題となる.本研究では,高解像度台風-高潮結合モデルによる進路アンサンブル実験を行い,台風24号による高潮に対する予報誤差の要因を分析するとともに,本事例において起こり得た最悪の高潮についても評価した.台風24号は最大風速半径が約120kmと大きく,予報の進路よりも南側を通過することで,名古屋港が最大風速域から外れ,潮位上昇が抑制されていたことが明らかとなった.また,本事例における名古屋港での最悪の高潮は最大潮位偏差2.24 mであり,実際よりも約1.3°北の進路を通った場合に発生することが明らかとなった.</p>
著者
北野 利一 植田 祐輝 兼崎 康太 Wenpeng ZHAO
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_121-I_126, 2018 (Released:2018-11-10)
参考文献数
12

風水害外力の重複は,被害を助長し,また,災害からの復旧などにも大きな影響を与える.沿岸域の防災・減災計画を策定する際には,このような沿岸域外力の同時生起頻度を考慮に入れる必要がある.それにも関わらず,2変量GP分布を用いた応用例は,現時点で皆無である.その原因の1つは,対象とする極値を抽出する際に必要となる閾値の選定法が十分に検討されていないためと考える.閾値を超える極値に対して一定値をとる特性量を用いて,1変量の閾値選定を行なうのが一般的である.これに対し,2変量の閾値選定に用いられる従来法は,やや単純なアプローチで,必要条件にすぎない.本研究では,2変量ポアソン分布との関連より,閾値を超える生起頻度の相関係数を用いて検討する.ドイツ北部の風速データを用いた解析例で,その有効性を示した.
著者
貝沼 征嗣 大橋 祐 宇多 高明 石川 仁憲 三波 俊郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_649-I_654, 2019 (Released:2019-10-17)
参考文献数
8

天竜川河口の両翼に広がる遠州灘海岸では,天竜川上流域におけるダム建設や河床掘削に起因する河川流出土砂量の減少,今切口での導流堤の建設など,様々な人工的要因により著しい海浜変形が生じてきた.本研究では,天竜川河口~伊良湖岬全域を対象として,1946~2017年の空中写真,1971~2017年の深浅測量データを用いて,対象沿岸の地形変化の実態を明らかにし,沿岸漂砂量分布を推定した.遠州灘海岸の沿岸漂砂量は,近年経年的に著しい減少傾向を示すことが明らかになった.
著者
井若 和久 上月 康則 山中 亮一 田邊 晋 村上 仁士
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_1261-I_1265, 2011 (Released:2011-11-09)
参考文献数
16

We examined values and applications of earthquake and tsunami stone monuments in Tokushima. The results of the study are as follows; (1) the purposes of stone utilization were to hand down records and lessons of earthquake and tsunami to posterity for its "presence", "conspicuousness" and "durability". (2) We recognized three cultural values of earthquake and tsunami stone monuments in Tokushima such as academic material, disaster prevention education material and disaster cultural asset. (3) We found that about 70% of earthquake and tsunami stone monuments in Tokushima have problems of their location and decipherment, and "teaching" function decreased remarkably. On the other hand, some stone monuments signs of their locations and/or explanations in modern Japanese were newly set up. (4) We collected the application cases of the earthquake and tsunami stone monuments in local municipals, areas and primary and junior high schools.
著者
高畠 知行 柴山 知也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_1507-I_1512, 2017 (Released:2017-10-17)
参考文献数
15

海岸保全施設の粘り強さの向上や避難者同士の共助には人的被害の低減効果が期待されるが,減災効果を定量的に評価・比較した事例は少ない.特に海水浴場を対象とした場合には定量的な効果に不明な点が多い.本研究では,地元住民・来訪者に関する既往のアンケート調査を分析し,来訪者の行動を考慮した津波避難モデルを構築した.構築したモデルを由比ガ浜海水浴場に適用し,これらの津波対策効果を定量的に検討した.その結果,防潮堤の粘り強さの向上は人的被害低減に有効だが,防潮堤高が低い場合は効果が小さくなること,また土地勘のない来訪者がいる状況下では避難誘導が有効な対策であることがわかった.さらに,道幅が狭く避難者が多い地域では道路混雑を考慮して避難計画を策定する必要性を示した.
著者
間瀬 肇 森 信人 中條 壮大 安田 誠宏 DONG Sheng 池本 藍
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_1226-I_1230, 2011 (Released:2011-11-09)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Winds and waves for the design of floating type wind farm were evaluated by using variuous kinds of re-analysis and prediction data including NCEP wind data, JMA meteorological data, NEDO data and Hourly GPV data. Statistical values of winds and waves for several return periods were obtained. Wave characteristics were determined for maximum wave height, crest height, 2D height-period distribution, wave energy spectrum and so on. Tide, tidal current and wind-induced current were also evaluated.
著者
田中 聡 仲座 栄三 福森 匡泰 宮里 信寿 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.40-54, 2021
被引用文献数
2

<p> 水平床上に設置した直立護岸の越波流量特性が,規則波を対象として,CADMAS-SURFを用いた数値計算及び大型水理実験により明らかにされている.一様斜面上の護岸特性を明らかにする上でもそのベースとして水平床上の護岸越波特性の把握が重要となる.吉川らは水平床上の護岸越波流量の算定に定常流を対象とした堰の公式を導入し,1波当たりの越波流量算定式を与えた.これを基準として合田は,不規則波を対象として護岸上の越波流量算定図表を提示している.被災時の状況把握には,被災をもたらした1波当たりの最大越波流量の推定が求められる場合も多々あることから,規則波を用いた現象理解は重要となる.本論は,無次元越波流量が相対天端高によって系統的に整理できることを示した上で,反射率と越波流量とを同時生起現象として説明している.</p>