著者
加藤善也 北上 義一
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.42(1995-HI-060), pp.17-24, 1995-05-17

複合入力処理による携帯型キーボードについての実験結果を述べる。従来はこのようなコード打鍵的な操作については、新たな配列を覚えるのが大変であるとか、操作性が悪い、あるいは入力スピードが劣る、との評価を受けていた。したがって、パーム型キーボードは、覚えやすく打ちやすいキーボードの実現のために、子母音を15キーに絞り込み、母音ゾーンと子音ゾーンを分離、さらに日本語のルールを組み込むことで入力効率を向上させる実験を試みた。本稿では、片手主体で操作できる実験キーボードの設計概念を紹介するとともに、実際に試作した実験用キーボードを使用して取得した評価結果を示す。
著者
岡留 剛
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.34, pp.1-10, 1989-05-15

カナ漢字変換のためのカナ入力法のうち,JISかな入力・OASYS親指シフト入力・ローマ字入力の3入力について心理実験による検討を行なう.とくに,コピータイプ作業における(1)シフト打鍵について,(2)打鍵のリズムについて,(3)作業負荷について議論を行なう.実験の結果によれば以下に述べることを結論できる.(1)シフト打鍵はシフトなしに比べると打鍵間時間が大きい.とくに,異手シフト打鍵は速度が遅い.(2)JISかな入力とOASYS親指シフト入力は,ローマ字入力に比べて同一打鍵列の打鍵速度が遅い.(3)JISかな入力,OASYS親指シフト入力,ローマ字入力の順に作業負荷が高い.This article discusses the following three Japanese input methods for the kana-kanzi conversion system: (1) the input method with JIS-keyboard, (2) that with OASYA thumb-finger shift keyboard, and (3) Romazi input method with the standard English keyboard. We conduct psychological experiments in order study the nature of the shift stroke, the difference of typing rhythms among the three methods, and the difference of work load among the three. The results of the experiments show: (1) the typing speed of the strokes with a shift stroke is slower than that of non-shift strokes, (2) the tempo of the rhythms during the typing task with Romazi input method is slower than that with JIS-kana input and with thumb-finger shift input, and (3) the typing task with JIS-kana input is the most loaded, the second is with thumb-finger shift input, and the task with Romazi input is the least loaded among the three.
著者
岡留剛 小野芳彦 山田尚男
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.22, pp.1-7, 1985-07-10

タイプ作業時の脳の情報処理過程には、左右の手ごとに出力キューがあるというパイプラインモデルを提唱する。われわれは、日本文入力方式として熟練者にとって最も楽であり自然なものとはどのようなものであるかを定めるために基礎的研究を行なってきた。本論文はその一端であり、タイプ作業においてわれわれが見出したタイプエラーや、現在までに報告されているタイプ作業におけるさまざまな現象を解析することにより、一つのタイプ作業中の情報処理のモデルを構築した。このモデルは多段階の処理部から成り、各段階は時間的に重ね合わさって処理が行なわれる。このモデルによれば、打鍵がきわめて速く行なわれることや種々のタイプエラーなどを説明でき、とくに、出力部ではキューが左右の手それぞれに存在するとという仮説によってある種のタイプエラーが自然に解釈できる。
著者
兼吉 昭雄 芦田 和正 山中 克弘 加藤 清志
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.97, pp.33-38, 1999-11-25

無線通信を利用したパームサイズの携帯端末で、ユーザの位置や状況、あるいは目の前にあるモノに応じた情報を、近くの無線局やモノに貼り付けられた無線タグを介して取得できるユービキタス情報サービスシステムの研究を行っている。携帯電話、携帯端末を活用したモバイルコンピューティングは盛んであるが、これはオフィスのコンピュータを外で利用しているのと同じで、モバイルならではのユーザがいる現場の状況を考慮したサービスはあまり提供されていない。本稿では、モバイル環境下でのユーザのTPOからそのユーザに最適な情報を提供するサービスシステムを、特定のビジネス用途向けとして検討したので報告する。We have studied ubiquitous information service systems using a palm-size terminal with wireless communication, that services users the information which depends on their position and occasion from the nearby wireless station or wireless tag on the actual thing. Mobile computing utilizing cellar phone or portable terminal is now popular, but this is equal to the office computing in outside. There isn't any services depending on the user's mobile situation now. This paper reports the ubiquitous information service systems for some specialized business application, that offer the optimum information for users from their TPO (Time, Place, Occasion) in mobile environment.
著者
久保田 秀和 角 康之 西田 豊明
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.90(2004-HI-110), pp.1-8, 2004-09-10

本論文では,知球と呼ばれる持続的に発展可能な個人の外化記憶構築システムを提案する.初めに,外化記憶をコンテンツの一種として捉えることにより,その持続的な発展を時空間的なコンテンツの蓄積としてモデル化する.知球とはこの時空間記憶モデルに基づいた外化記憶を仮想的な球面上に構築するシステムである.実験として約1100件のコンテンツ断片から構成される外化記憶を知球上に構築した結果,知球の奥行きや左右,カードの大きさなど空間的手がかりを生かした外化記憶の配置を行うことによって,自分らしいポリシーに基づく外化記憶が構築可能であるという示唆を得た.
著者
奥平 啓太 片寄 晴弘
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.9, pp.57-62, 2003-01-30

本論文では,指一本の打鍵動作(MIDI鍵盤でもパソコンのキーボードでも動作する)で,テンポ・音量など指揮的な演奏表現感覚を楽しむためのトイシステム sfp について述べる.sfp では,プロセス制御等でよく利用されているPID 制御の考え方を導入するとともに,演奏プラン(表情)を含んだ演奏データを用いてスケジューリングを行っている.これらに基づき,1)ピアノ演奏あるいは指揮的な演奏モードの選択,2)さまざまな演奏応答性の設定,3)拍以下の単位の微妙な演奏表現,を実現している.本論文では, sfp の概要とデザインについて紹介し,指一本の打鍵操作によるテンポ変化と'間'の弾き分けインタフェースについて述べる.This paper reports a amusement system: sfp, which enables us to enjoy music performances with one finger tap. The scheduler of sfp is based on the PID controller, and uses score information which contains detail note-level expression. sfp provides 1) mode selection (piano mode or conducting mode), 2) parameter setting toward various perfomance taste, and 3) delicate note expression within a beat. This paper describes the conceptual basis and the design of sfp, and the interfaces which distinguish tempo change and pause for the inter-onset-interval given by a performer.
著者
河内谷清久仁 石川 浩
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.43, pp.55-60, 1997-05-16

携帯情報機器の操作では,画面が小さい,画面を注視できない,片手しか使えない場合もあるなどの様々な制約がある.そのため,このような環境でハイパーメディア・ブラウジングを快適に行なうためには,入力デバイスも含めた操作方式に対する工夫が必要となる.本稿ではまず従来の操作方式について述べ,携帯環境への適用可能性について比較検討を行なう.次に,これらを考慮した新しい入力デバイスである「ScrollPoint」を紹介する.このデバイスにより,文書の任意速度の「スクロール」とハイパーリンクの素早く的確な「指示選択」という2種類の基本操作が指一本で可能となる.本稿ではさらに,試作したプロトタイプの構造と,それを用いた評価実験の結果についても報告する.A mobile computing environment imposes various restrictions on users, and some new operation method must be developed for comfortable hypermedia browsing. Several existing methods are first introduced and compared from the viewpoint of their applicability in a mobile environment. A new input device for such an environment, named ScrollPoint, is then introduced. With just one finger, a user can "scroll" a document in an arbitrary direction at an arbitrary speed, and can quickly and accurately "point" to a clickable point. The. paper also shows the structure of a prototype and gives the results of an evaluation of the prototype.
著者
窪田 悟
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.52, pp.1-9, 1990-07-05

日本語ワープロソフトの編集機能の操作性をノビスユーザの作業パフォーマンスと主観評価を指標にして実験的に比較した.その結果をもとにワープロの操作性を左右している要因について検討した.比較したワープロは,一太郎Ver3.0,新松,VJE?pen Ver2.0,QueenIIIの4種類である.被験者は,初心者20名で,置換,移動,複写などの編集機能を使うベンチマーク作業を遂行した.作業パフォーマンスはタイムスタンプ付きの打鍵データから分析した.結果は,ワープロ間の作業遂行時間の差は,意図した機能の検索と選択の時間に依存していることが明らかとなった.機能の検索と選択に要する時間を左右しているコマンドメニューの構造と機能名の付け方について考察した.This study was conducted to test user performance and attitude for different word-processors used in personal computers. Four word-processing systems of substantially different design were chosen for this experiment. Twenty novice users were tested individually on the benchmark, in which the users modified a text file (e.g., replace characters, delete characters, move chracters). Keystroke data accurate to within one millisecond were collected for all subjects. The results showed that command menu design (e.g., item names and organization of items) is most important for novice users. Implications for the designing of command menu systems are discussed.
著者
加納崇光 宮下 芳明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.79, pp.15-20, 2008-07-31
参考文献数
12

本稿では、建物や人物を撮影したスナップ写真などの実写画像を入力とし、その 2 次元の画像をもとにポップアップカードを作成できるソフトウェアの研究開発をおこなった。このソフトウェアでは入力された実写画像が格子状に区切られ、その格子を選択、編集することによってポップアップカードの展開図を生成することができる。また前景抽出アルゴリズムを用いることにより、均一な背景の画像では被写体となったオブジェクトを自動で判別し飛び出させることも可能である。これらの機能を用いることにより誰でも簡単に 3 次元形状をあらわすポップアップカードを作ることができ、ギフトカードやメッセージカードなど身近な贈り物として用いることが可能となった。In this paper, we developed a system to create pop-up cards from 2-dimensional photographic images of buildings or human figures. The system can recognize foreground elements automatically, or the user can choose elements to pop-up in the picture by selecting the desired areas on a grid overlayer. By cutting and folding the printed out result, the user can obtain 3-dimensional pop-up cards easily. Using this system, it is possible to instantly make pop-up cards from snapshots and share them as a gift.
著者
並松 祐子 宮崎 伸夫 松尾 豊 中村嘉志 西村拓一
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.3(2006-HI-117), pp.59-66, 2006-01-13

本論文では,実世界のコンテクストを反映させた情報支援を行うために,オブジェクト同士の局所的な位置と向きの関係を取得し,そこから大局的な関係や意味を抽出するトポロジー推定に関する手法を提案する.また,シミュレーションを用いて本提案手法の基本的な特性を定量的に評価する.さらに,学会や懇親会場などの混雑した空間を想定し,多数のオブジェクトを用いたシミュレーション実験によって数種類の利用シーンに応じて必要となるデバイス特性を明らかにする.実験及び評価の結果,トポロジー推定手法が情報支援に必要なコンテクスト情報を抽出するのに有効であることが示された.
著者
小松 孝徳 山田 誠ニ
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.79(2008-HCI-129), pp.35-42, 2008-07-31

著者らは,ユーザがインタラクション前のエージェントに対して予測した機能と,実際のエージェントとのインタラクションにてユーザが感じた機能との差を 「適応ギャップ」 として定義し,適応ギャップの値がユーザのインタラクションに対する様々な側面に与える影響について調査を行っている.本稿では,適応ギャップの値が,特にユーザの主観的な側面にどのような影響を与えているのかを実験的に調査し,その結果を考察した.
著者
木村 宗裕 大城 英裕 末田 直道 植田 清一 藤木 穣率
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.123, pp.83-90, 2006-11-22
参考文献数
8

オーディションインタフェースを有した画像処理システムを提案する.候補画像提示,ユーザの候補画像選択を繰り返すオーディションを行うことにより,画像処理に関する知識や経験のないユーザでも目的の画像処理結果を得る枠組みである,まず,システムはランダムに作成した画像処理パラメータ値(候補点)からユーザに対し複数の候補画像を生成する.ユーザは,最も良いと感じる画像を一つ選択する.システムはユーザの選択した候補画像ならびに選択しなかった候補画像からユーザの望む候補点を推定し,新たな候補画像の提示を行う.新たな候補点は,過去に提示した候補点と新たな候補点の距離を用いて,パラメータ空間をボロノイ分割したことと同等の処理を行い,ユーザが選択した候補点が存在するボロノイ分割領域内に,高速にかつランダムに獲得する.実際のユーザを模した仮想ユーザを用いたシミュレーション実験では,有意性検定が可能なユーザ数ならびに回数を擬似的に確保し,システムの評価を行った.We propose an interactive image processing system that is useful to user who don't have knowledge about image processing. In this system, several processed images are shown to user. The user selects an favorite image from the images. In this paper, An pseudo Voronoi tessellation is applied to determine parameters of new candidate images. We evaluate our proposal system by simulation experiment using virtual user models that are based on user actions. We discuss the effectiveness of our method with results of simulation experiment.
著者
中嶋志保里 浜田 徹哉 上田 淳也 奥出 直人
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.90(2004-HI-110), pp.65-72, 2004-09-10

若者を中心に形成される「サブカルチャー」は、その独自のスタイルが新たな文化の形として近年脚光を浴びる一方で、外部からはブラックボックスのような存在と見なされシャットアウトされている。こういった状況において、外部の人間(ビギナー)と内部の人間(エキスパート)という二項乖離の概念を打ち破って、新たなカルチャーや人との交流のニーズを満たし、アクティビティーの合間にコミュニケーションを発生させるタンジブルメディアがGismoである。ビギナーの動作によりその興味と合致したコミュニティーへナビゲートし、携帯するリュック内の興味をエキスパートと共有することで交流を深めていく。エキスパートはそうした外部との接触から、新たなカルチャーとの出会いを果たす。またエキスパートの技の情報を搭載したチップを交換するシステムは、ビギナーの技術上達にも役立つことが期待される。
著者
西本 一志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.68, pp.25-32, 2007-07-06
参考文献数
11
被引用文献数
2

本稿では,筆者がこれまでに開発してきた「○○のための楽器」シリーズの第4弾となる,弾き語りのための楽器について述べる.弾き語りとは,一人の演奏者が何らかの楽器を自ら演奏しつつ歌を歌う音楽演奏形態である.一般にピアノやギターを使用することが多いが,ピアノやギターをそれ単独で演奏することすら難しいため,さらに同時に歌唱も行うことは非常に困難で敷居が高い.そこで筆者は,弾き語りにおける本質的演奏行為により集中することを可能とする弾き語りのための楽器を構築した.本稿ではこの楽器の構成について述べるとともに,筆者が実現を目指している「創造活動のためのユニバーサルな道具」について,この楽器を材料として議論する.This paper illustrates a musical instrument for a singer who accompanies him-/herself. It is usually difficult for most people to play a musical instrument, e.g., a piano and a guitar. Therefore, it is extremely difficult for them to sing a song while they accompany themselves using such musical instruments. I constructed a new musical instrument that is available for musical performances in this style by allowing people to concentrate on essential tasks in the performances in this style. This paper describes a setup of this instrument. Furthermore, I discuss "how universal tools for creative activities ought to be" referring to this instrument.
著者
岸 晃司 坂本 啓 坂本 泰久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.22, pp.1-6, 1998-03-13
参考文献数
9
被引用文献数
1

最近ウェブを広告媒体として捉える企業が増えている。それを受けて、ウェブ広告の代表であるバナー広告に関して、広告効果を高める方法に関する研究がいくつかなされている。そこで注目されているのは、広告の表現方法や露出場所等の広告自身の要因である。それらに加えて、ブラウザのボタンをクリックするなどのユーザ行動に関する要因が、広告効果に与える影響を調べることも重要である。そこで本研究では被験者を集めて観察実験を行い、ユーザのどのような行動が広告効果に影響を与えるのかについて調べた。その結果、注目した3つの要因のうち2つが統計的に有意な影響を持つことが確かめられた。Recently many firms get to consider WWW as media for advertising. Several studies on improving effectiveness of banner advertising, the most popular type of WWW ads, have been done. However, most of studies deal with creative factors, such as expression of them or placement of them on a WWW page, from an advertiser's viewpoint. We think it is also important to focus on user behavior, such as pushing the button of a web browser, from a user's viewpoint. So we investigated an influence on ad effects by user behavior through close observations on panels. As a result, we found that two factors in user behavior affected advertising effectiveness.
著者
和氣 早苗 池邉亮志 河野 泉 上窪真一 福住 伸一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.61, pp.57-64, 2000-07-06
参考文献数
6

近年,擬人化エージェントやペットロボットが情報機器のインタフェースとして,またコミュニケーションのパートナーとして注目されている.本論文では,擬人化エージェントの感情を表現するメディアとしての非言語音の有効性を評価した.音声対話型の情報検索エージェントシステムであるEDS (Emotional Dialog System)を対象として擬人化エージェントの感情を表す11種類の感情表現音を制作し実装した.その上で,音の有無,音の数,発音位置の違いによって,感情の感じられやすさ,ユーザの好みがどのように変化するかを実験的に検証した.その結果,非言語音は感情表現のメディアとして有効となり得るものの,使い方によってはユーザに不快感を与えたり,他メディアの表現を阻害するものにもなりかねないため注意が必要であることがわかった.Recently, human-like characters and entertainment robots are paid attention as a new type of computer interface and human's partner. In this paper, we study the effectiveness of nonverbal sound for expressing emotional information. Using EDS (Emotional Dialog System) as a platform, we designed eleven nonverbal sounds to express emotion of the human-like character. Then we made an experiment to clear whether users can feel emotion through the sounds, and whether users like it. As a result, nonverbal sound can be effective for expressing emotional information, but it have to be paid attention to be use because sounds tends to be too persistent and obstruct another media.
著者
池邉亮志 河野 泉 和氣 早苗 上窪真一 岩沢 透 西村 健士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.61, pp.49-56, 2000-07-06
参考文献数
7
被引用文献数
1

感情表現を含んだ音声対話によって、擬人化エージェントとの対話を楽しみながら音楽検索を行うEDS (Emotional dialogue system)を開発した。EDSでは、エージェントが提案をするときの感情(提案感情)として3種類、利用者の応答に対する反応の感情(反応感情)として11種類を定義し、これらの感情を表現するために、せりふ、表情、動作、感情表現音、の4つのメディアを利用した。エージェントの表現した感情が適切であるか、また、これらのメディアによる感情表現で、利用者に製作者の意図したエージェントの感情を伝えることが可能かを評価した結果、感情モデル、表現メディアともに妥当な設計ができたとの結論を得た。さらに、感情が対話の進行に影響を与え、利用者を誘導する可能性を見出した。This paper describes an emotional dialogue system, EDS, in which aminated CG character communicates with users via emotional conversation, and assists users in retrieving databases. We defined three kinds of emotion for character's proposal, and eleven kinds of emotion for character's reaction to user's answer, and to express these emotions, we use four media: words, facial expressions, movements, and nonverbal sounds. We carried out an experiment to evaluate whether the character's emotion are suitable for the situation, and are able to taken roughly following the designer's policy. As a result, we confirm the emotion model is designed pretty well and the emotional expressions are made properly. Furthermore, we find that the emotional expression can influence users decision.
著者
河野 泉 池邉亮志 和氣 早苗 上窪真一 岩沢 透 西村 健士
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.61, pp.43-48, 2000-07-06
参考文献数
5

利用者と擬人化エージェントが感情豊かに音声対話を行い、音楽検索を行うEDS (Emotional dialogue system)を開発した。EDSでは、エージェント主導で検索物件を絞り込んでいく提案指示型対話方式を使っており、本対話状況下の利用者とエージェントの感情をモデル化した。利用者の感情は肯定・否定に興奮の程度を加えて定義し、エージェントの感情は、提案内容に対する自信度と利用者の感情の組み合わせで定義した。EDSで表現する11種類の感情の生成モデルは、基本感情の組み合わせで感情を説明した従来研究とも矛盾なく説明できた。This paper describes an emotional dialogue system in which an animated character communicates with users via emotional conversation and assists users in retrieving databases. This system runs on a "suggest-modify" dialogue model suitable for speech recognition. We defined the emotion model of the character and user in the suggest-modify dialogue. The user's emotions are defined by the level of the excitement in his/her positive or negative answers. The character' s emotions are defined by the confidence level of suggested object and the user' s emotions. The character's emotion model is consistent with the previous studies on the classification of the emotions.
著者
前田 篤彦 杉山 公造 間瀬 健二
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.111, pp.41-48, 2002-11-23

玩具が持つ豊かな世界をインタフェースに応用するための系統的なアプローチの一環として、ライツアウト、ルービック、クロックなどの"巡回パズル"を一般的に表す抽象モデルを作成し、新しい表現メディアを試作した。このジェネレータにより巡回パズルの多くのバリエーションを生成することを通して、メディア変換の得失についての知見をまとめた。また、置換パズルと巡回パズルへの適応結果に関し、全体的考察を行う。As a systematic approach to utilize toy worlds for human interfaces, "cyclic pullzes" such as Lights-out, Rubik's clock are expressed as an abstract model. Then, new media called graph media and sound media is devised for converting the puzzles on the media and a cyclic pullzes generator is developed. Merits and demerits in introducing the new medial obtained through generating variation of the pullzes are summarized.