著者
小林 祐介 大槻 明
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.186-193, 2018-05-26 (Released:2018-06-08)
参考文献数
23

2018年現在,日本ではコメ(米)を食べない人が増加しており,実質的なコメ離れが起きている.そこで,本研究では,特に若者世代がコメを食べない理由について明らかにすることを目的に,独自にアンケート調査を行い,得られたアンケート結果データを元に,クラメール連携相関及び対応分析を用いた計量アプローチにより分析を行った.この結果,主食にコメを食べない人の特徴や原因が明らかとなった.
著者
藤岡 雄大 高久 雅生
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.267-286, 2022-05-28 (Released:2022-07-01)
参考文献数
37

本研究は放送番組のシリーズに着目し,番組情報に含まれるURL などより幅広い観点を比較検討し,同定に有効な手法を示す.各フィールドに対する手法や組み合わせを検討し,区切り文字を設定しタイトルから抽出したマスタータイトルが完全一致するか,タイトルに対するジャロ・ウィンクラー距離を加味しつつ番組詳細からURL を抽出し一致するかという2 点のいずれかを満たすことを条件とし,連続シリーズの同定手法を提案した.そして,2021 年9 月から10 月にかけての35 日分の番組情報を対象に正解データを作成し,シリーズ数,放送回ペアの精度と再現率を指標として用い,手法の評価を行った.結果,タイトルから抽出したマスタータイトルを用いる手法の有効性が示された.また,URL による同定の条件について,ジャロ・ウィンクラー距離を加えることで精度向上に有用であることが示唆された.
著者
財津 亘 金 明哲
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.261-274, 2017-09-28 (Released:2017-11-24)
参考文献数
35
被引用文献数
1 2

犯人の早期検挙を目的とした捜査支援手法である犯罪者プロファイリングは,犯罪現場の状況などを統計的もしくは心理学的に分析し,犯人の性別や年齢層,職業などの犯人像を推定するものであるが,印字された文書や電子メールなどしか存在しない事件においては犯罪現場自体がないため,有効な手段が従来はなかった.本研究は,文章情報を基に,犯人像を推定する手法の開発の嚆矢として,まずブログを対象に,ランダムフォレストによる著者の性別推定を試みた.その結果によると,性別推定には,漢字や平仮名,片仮名,名詞の使用率,品詞(動詞・形容詞・助詞・感動詞)や接続助詞「し」,助動詞「なかっ」,読点,文字(代名詞「私」「僕」,小書き文字「っ」「ゃ」) の使用頻度が有効で,1個抜き交差確認法による検証の結果,最高で正解率86.0% (適合率:男性84.6%,女性87.5%) を得た.なお,サポートベクターマシンを用いた検証も合わせて実施したが,正解率は最高で 75.0%(適合率:男性69.2%,女性85.7%)と相対的に低い精度を示した.
著者
小林 和央 風間 一洋 吉田 光男 大向 一輝 佐藤 翔
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.2020_007, (Released:2020-04-17)
参考文献数
31

学術論文等の評価指標として,従来は論文の被引用数が用いられてきたが,近年ではオルトメトリクス(Altmetrics)などのソーシャルメディア上の反応を用いる方法も提案されている.本論文では,オルトメトリクスに用いられるような,インターネット上の論文に関するユーザの行動から求める論文検索サービス上の閲覧人数やソーシャルメディア上の言及人数などの論文の重要性を表す基本指標とは別に,論文がどの程度普遍的なものとして扱われているかを示す普遍度を用いて,論文の特性を分析する手法を提案する.実際に,2 年間のCiNii Articles の検索ログとソーシャルメディア上の論文の言及データを用いて,同一の論文集合に対する論文の閲覧と言及の違いや特性を分析すると同時に,提案指標の妥当性を検証する.
著者
村井 源
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.355-370, 2013-10-18 (Released:2013-12-06)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

本研究は東日本大震災後一週間のTwitterのデータを元に,震災時のハッシュタグを用いたコミュニケーションの実態を明らかにし,今後の効率的な利用に向けての提言を行うことを目的とする.まずハッシュタグの基本統計量と周知目的Tweetの推移から公式ハッシュタグ化が効果的であることを示した.またハッシュタグの内容分析から,多くのハッシュタグが目的に沿って用いられているが,救助と物資支援を明確に区別する必要があることを示した.さらに,被災地自治体名のハッシュタグの利用傾向より,劣悪な通信インフラにも関わらずTwitterが被災地で用いられていたことが明らかとなり,市町村レベルなどの,よりローカルなコミュニケーションの推進が有意義である可能性が示唆された.
著者
村井 源
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.97-106, 2012-05-20 (Released:2012-07-31)
参考文献数
12
被引用文献数
2 3

東日本大震災においてTwitterによるコミュニケーションが注目を集めたが,本研究では震災後約3 か月にわたって収集した震災関連の77のハッシュタグのデータを元に,震災時のTwitterを用いたコミュニケーションの実態を数値的に明らかにすることを目的とする.まず基本的な統計量から,多くのハッシュタグが震災後徐々に利用が減少していく一方で,いくつかの話題は4月や5月がピークであることが分かった.また自然言語処理の活用により,各ハッシュタグの話題の相違を分析した.さらにネットワーク分析の手法を用いてハッシュタグ間の関係性の月ごとの変化を分析し,各ハッシュタグが組織化されていく傾向と中心的な話題の変化を抽出した.これらの分析より災害時におけるハッシュタグの利用についての提言を行った.
著者
根本 さくら 石川 一稀 宇田 朗子 白石 智誠 中村 祥吾 長野 恭介 山内 拓真 村井 源 平田 圭二 迎山 和司 田柳 恵美子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.263-269, 2020-05-23 (Released:2020-06-26)
参考文献数
13

物語のシーンにおける登場人物の感情状態と,BGM の関係性は未だ明らかではない.しかし,この関係性が明らかになれば,物語のシーンに適したBGM の自動選択システムやBGM の自動生成システムの構築に活用できると考えられる.そこで本研究では,AI による自動生成が特に進んでいるゲームを題材とし,その中でも物語性が強くかつ人気を博しているという理由からRPG を対象とし,BGM 自動選曲システムの構築を目標としたデータ作成を行った.具体的には,あるシーンの登場人物の感情状態への評価付けと, BGM に対する音響特徴量の抽出行うことで477 シーンをデータ化し対応関係を分析した.
著者
藤田 桂英 梶川 裕矢 森 純一郎 坂田 一郎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.144-149, 2012-05-20 (Released:2012-07-31)
参考文献数
8

本論文では,重み付き引用ネットワーク解析における新興論文群の発見に対し,どの属性を考慮した重みが有効かを調査した.重み付き引用ネットワークでは出版年など論文の属性情報を解析に用いることが可能である.また,複数の学術領域ごとに重みを考慮した重み付き引用ネットワークを作成し,トポロジカルなクラスタリング手法によりクラスタに分割後,各種類のパフォーマンスをvisibility, speed, topological relevance から評価した.
著者
岡本 由起子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.259-264, 2018-09-30 (Released:2018-10-19)

This is to report what was talked about and discussed in the session, “Seniors’ Round Table Meeting” given on March 1st at Tsurumi-University, under the above title. During my working on the translation of a book on Wittgenstein and William James, I frequently visited the site of the WAB to make use of its database. I owe much to its open-access circumstances and its welldesigned system. Most of all my exegetic questions were solved. The Open-access to data-basis or sites of any kinds appears now to meet the world-wide tendencies and needs. But there, along with it, emerges another horizon of complicated ethical problems. The wider the space opens, the more its unknown corners would be darkened. The freer the way runs, the more slippery the road becomes. However, we must solve our problems one by one, anchoring in our reality, our own rough ground of human-being-ness as Wittgenstein advocated.
著者
中渡瀬 秀一
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.370-372, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
2

内閣府によるオープンサイエンスに関する検討会を経て,論文や研究データ等の利活用促進を拡大することが国の基本姿勢と定められた.今後はこの活動が定着してゆくのかを定量的にも見定めてゆく必要がある.本稿では公開される研究データの現状把握にまず主眼を置き,助成金による研究プロジェクトの成果に含まれる研究データの公開状況について調査した結果を報告する.
著者
西澤 正己 孫 媛
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.121-126, 2018-05-26 (Released:2018-06-08)
参考文献数
11

我々はこれまで大学に関連したプレスリリースを調査しており、それが近年大幅に増加し、それに対応して新聞への掲載も増加していることがわかってきた。また、これまでに2012年の大学関連機関から発行されたプレスリリースの元になった学術論文のDOIを特定し、オルトメトリック指標を得ている。ここでは、さらに2013年、2014年のデータを加えて分析を行うが、ここではSTAP細胞に関する過熱報道があり分析に影響を及ぼしている。これらの影響を考慮し、プレスリリースされた原論文のオルトメトリックス指標、新聞掲載状況との関係等について年次変化を含め、分析、考察を行う。
著者
深澤 克朗 沢登 千恵子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.85-96, 2018-05-26 (Released:2018-06-08)
参考文献数
13

本稿は,2017年の第25回情報知識学会年次大会において発表した「和歌集における計量分析と機械学習による判別」の続編としての研究報告である.分析対象は,鎌倉時代初期から室町時代中期までの「十三代集」と呼ばれている勅撰和歌集である.前回の発表は「八代集」であり,これで勅撰和歌集「二十一代集」の計測を完了するものである. 分析手法としては前回の研究と同様の計測を行うものである.具体的には,和歌集間での品詞使用率の統計的な差や,また季節歌と恋歌に関して名詞率とMVRとを調査し,そして同様にNaïve Bayesにより判別を試みた.さらに,この時代は武士政権の時代であるために,「武士歌」もより多く選抜されてきている.その「武士歌」についての特徴について主成分分析法による計測を試みるもので ある.
著者
常川 真央 天野 絵里子 大園 隼彦 西薗 由依 前田 翔太 松本 侑子 南山 泰之 三角 太郎 青木 学聡 尾城 孝一 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.362-365, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
3

研究データ管理は,研究プロセスの透明性を高め不正を防止する目的とともに,オープンサイエンスにおける研究データ共有を支える重要なプロセスである.しかし,研究データ管理のスキルを持つ人材はまだまだ少ないのが実状である.そこでオープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)は,研究データタスクフォースを組織し,研究データ管理(RDM)のスキルを習得するためのトレーニングツールを開発し,2017年6月6日にWeb上で公開した.さらに,国立情報学研究所に協力し,オンライン講座「オープンサイエンス時代の研究データ管理」を11月15日に開講する予定である.本発表では,こうしたRDMの習得を支援する一連の活動について紹介したうえで,今後の研究データ管理業務を担当する人材育成について論じる.
著者
田辺 浩介 常川 真央 高久 雅生 江草 由佳
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.321-341, 2014-10-06 (Released:2014-12-31)
参考文献数
40
被引用文献数
1

本研究では,FRBRのWork・Expressionのエンティティを,図書館などによって作成,管理された既存の書誌・所蔵情報と連動して扱うことができ,かつ,別々のシステムで管理されたWork・Expressionエンティティをシステム間で相補的に利用できる疎結合構成の実装モデルを提案する.この提案手法は,Work・Expressionの記述のためのシステムを,Web 上で提供されている既存の目録システムと独立して運用することを可能にしている.本研究では既存の目録システムとしてCiNii Booksを用いたシステムを試作し,その実現可能性を示した.
著者
西澤 正己 孫 媛
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.131-139, 2015-05-23 (Released:2015-07-11)
参考文献数
14
被引用文献数
5

我々はこれまで大学に関連したプレスリリースを調査しており、それが近年大幅に増加し、それに対応して新聞への掲載も増加していることがわかってきた。本論文では、2007年から2012年の間に大学関連機関から発行されたプレスリリースの元になった学術論文について調査し、学術雑誌名やそのIF等との関係について分析する。また、実際に読売新聞、毎日新聞に掲載されたプレスリリースについても考察していく。
著者
村井 源 森井 順之 二神 葉子 皿井 舞 菊池 理予 江村 知子 今石 みぎわ 久保田 裕道 山梨 絵美子 田良島 哲 岡田 健
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.238-245, 2014-05-24 (Released:2014-12-01)
参考文献数
10

東日本大震災後に行われた文化財レスキューの概要を, 活動記録のテキストを計量的に分析するアプローチによって抽出した. 出現語彙のうちで活動内容・文化財・被害状況の三つに対応するものを計量し, 文化財レスキュー活動の時系列的な変化を明らかにした. 被災後にも被害状況と必要な対処は刻一刻と変化していくため, その特徴を踏まえて防災活動や今後の対策を行うことが必要である.
著者
亀田 尭宙
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.325-332, 2015-12-12 (Released:2016-03-11)
参考文献数
12

本論文では, 地域情報学のこれまでの研究を, 地域情報学を構成する4つのパーツ(情報基盤, ツール, 知識ベース・オントロジ, 地域に関するデータ)と3つの軸(主題, 空間, 時間)の下に位置づけて俯瞰した.主に, 京都大学地域研究統合情報センターに関わる実践事例を中心にしつつ周辺の技術動向も含めて紹介することで, そこから課題とこれからの展望を描いた.
著者
原田 隆史 江藤 正己 高柳 知世
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.153-160, 2008-05-23
被引用文献数
3 2

近年,感性に基づいて小説を検索できるシステムが開発され実用化されてきている。著者らも児童書を対象としてオンライン書評から感性を示すパラメータに値を設定し,検索できるシステムを構築してきた。しかし,人間が付与するパラメータの値と書評中の語との関係の分析は十分に行われておらず,書評中の語を元として感性パラメータの値をどのように設定することが適切であるかは明らかとなっていない。本研究は,書評中の「人の感情や本の雰囲気を表す語」を元に機械学習の手法を用いて人間の判断と一致する感性パラメータの値を付与する実験を行ったものである。図書1605冊分の書評を使って自動設定実験を行った結果, (1)自動設定において書評中の語を使うことに有用性がある, (2)書評中のすべての語を用いるよりも,出現回数が多い30語程度を用いた方が効果的である, (3)書評中から抽出する語の品詞はほとんど再現率に影響しないことなどを明らかにすることができた。