- 著者
-
財津 亘
金 明哲
- 出版者
- 情報知識学会
- 雑誌
- 情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.3, pp.253-258, 2018-09-30 (Released:2018-10-19)
- 参考文献数
- 5
本論文は,電子掲示板の書き込みなどによるサイバー犯罪を想定し,その犯人性立証の一手法として,多変量データ解析を用いた計量的文体分析を提案するもので,実際に犯人性の立証が困難であったと思われるいわゆる「パソコン遠隔操作事件」に関する著者の識別を試みた.分析の際は,疑問文章(「パソコン遠隔操作事件」の9事件の文章),対照文章(「パソコン遠隔操作事件」の真犯人であったK氏が過去に敢行し,自供した通称「のまねこ事件」関連の5つの文章),無関係文章(K氏と性別年代が同じ30代男性10名のブログ文章と異なる4つの事件における文章)を対象に,①非自立語の使用率,②品詞のtrigram,③助詞のbigram,④文字のbigramに着目し,階層的クラスター分析を実施した.その結果によると,「パソコン遠隔操作事件」の一連の文章と「のまねこ事件」の一連の文章は,同一人が記載したものである可能性を示唆した.