著者
青山 俊弘 山地 一禎 池田 大輔 行木 孝夫
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.380-394, 2013-10-18
参考文献数
30

機関リポジトリでは,機関内で生成されたコンテンツが書誌情報からなるメタデータとともに保管され,インターネットを介して公開される.一方,機関内ウェブサイトでも,大学の研究者要覧や学部,研究室レベルでの業績一覧などで,機関リポジトリコンテンツのメタデータと重複した情報が公開されている.情報の同一性を担保したり,入力の煩雑な作業を軽減するためには,ある特定のサイトから入力された情報が,各々のサイトで共有できる仕組みの導入が不可欠である.本研究では,機関リポジトリを,そうした学内における業績情報の起点とするためのフレームワークの構築と実装を行った.提案システムでは,従来のリポジトリシステムのみの運用では行えなかった,機関リポジトリ設置者以外の手によるメタデータ設計,メタデータ入力を可能にした.これにより,機関リポジトリ外で専門的あるいは補足的な情報を機関リポジトリ内の基本的なメタデータに付加し,シームレスに公開するプライベートリポジトリが実現できる.このシステムによって,ウェブインターフェース上の操作のみで,機関リポジトリと連携したサプリメントファイルの公開や,研究者要覧等の自動生成,分野リポジトリの構築などを実現することができる.
著者
宮本 健弘 笠原 禎也 高田 良宏 松平 拓也 林 正治 松木 篤 上田 望
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.306-309, 2018-12-08 (Released:2018-12-21)
参考文献数
4
被引用文献数
1

近年のオープンサイエンスの活発化に伴い, 人間と機械の双方に可読性を持つリポジトリシステムの需要が高まっている. このような背景から, 本研究では, 国立情報学研究所が開発したWEKO を用いて, 金沢大学環日本海域環境研究センター及び同国際文化資源学研究センターのデータリポジトリの構築を行っている.従来, WEKO へのコンテンツの一括登録には, Windows でのみ動作するソフトウェアが必要であった. 我々は, ICT に精通しているとは限らないデータ所有者が, リポジトリ上のデータ管理を行えるように, OS に非依存なブラウザからファイルをアップロードするだけでコンテンツの一括登録に加え, メタデータやコンテンツの追加登録・更新等が可能なデータ管理システムを構築した. 特に更新機能では, 「更新フラグ」属性を用いて, コンテンツの世代管理とその公開方法の制御を可能にした. 本稿では両センターのデータリポジトリと構築したデータ管理システムの概要を述べる.
著者
河瀬 彰宏
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.105-110, 2018-05-26 (Released:2018-06-08)
参考文献数
11

本研究の目的は,R.Schumann 作曲《子供の情景》とA.C.Debussy 作曲《子供の領分》の旋律を計量比較し,作曲家ごとの子供らしさの描写の差異を明らかにすることである.本研究では《子供の情景》と《子供の領分》の共通点・相違点を探るために,比較対象として同時期に作曲された両作曲家の作品群を用意した.計77 曲のデータから音高の使用頻度を特徴量として抽出し,線形判別分析を用いて両作曲家の「子供らしさ」の差異を明らかにした.
著者
常川 真央 天野 絵里子 大園 隼彦 西薗 由依 前田 翔太 松本 侑子 南山 泰之 三角 太郎 青木 学聡 尾城 孝一 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.362-365, 2017

<p> 研究データ管理は,研究プロセスの透明性を高め不正を防止する目的とともに,オープンサイエンスにおける研究データ共有を支える重要なプロセスである.しかし,研究データ管理のスキルを持つ人材はまだまだ少ないのが実状である.そこでオープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)は,研究データタスクフォースを組織し,研究データ管理(RDM)のスキルを習得するためのトレーニングツールを開発し,2017年6月6日にWeb上で公開した.さらに,国立情報学研究所に協力し,オンライン講座「オープンサイエンス時代の研究データ管理」を11月15日に開講する予定である.本発表では,こうしたRDMの習得を支援する一連の活動について紹介したうえで,今後の研究データ管理業務を担当する人材育成について論じる.</p>
著者
吉川 次郎 高久 雅生
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.329-336, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
9

本研究では,2015 年,2016 年,2017 年3 月時点の日本語版,英語版,中国語版Wikipedia におけるDOI リンクを対象に,経年変化に着目した分析を行なった.結果,(1) 各言語版におけるDOI リンクの件数は経年的に増加していること,(2) 各言語版において独自に参照されているDOI リンクは経年的に増加していること,(3) 日本の学術情報の参照記述は,他の言語版に比べて,日本語版において多いこと,(4) 日本の学術情報の参照記述は,各言語版において独自に参照されており,経年的に増加していることが明らかになった.
著者
堀 智彰 木下 奏 小林 映里奈 村尾 真由子 渡邉 朋子 兼松 泰文 辻 慶太 宇陀 則彦
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.189-196, 2014
被引用文献数
2

「知の探検法」は文献の調べ方を中心とした情報リテラシーの授業である。平成24年度から文献探索に対する理解・目的意識の向上を目的として「文献探索ゲーム」を実施している。文献探索ゲームはゲーム形式で文献探索を行うことで文献探索に目的意識を持たせ、基本手順について学ぶことを目的としている。本稿では平成25年度に実施した文献探索ゲームの評価実験について報告する。評価実験では学生の文献探索に関する知識構造の変化を計るため、コンセプトマップを用いた。分析の結果、文献探索ゲームの前後で学生の知識構造が変化しており、文献探索に対する理解が深まっていることが明らかになった。
著者
宮本 健弘 笠原 禎也 高田 良宏 松平 拓也 林 正治 松木 篤 上田 望
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.337-342, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

近年, 世界では「オープンサイエンス」の動きが盛んになっている. これに伴い, データ公開システムの重要性は年々増加しており, 機械可読性を持ち, 人間と機械双方にとって便利なリポジトリシステムの需要が高まっている. しかし, 研究機関独自に開発されたデータ公開システムの多くは, 汎用性や利便性, システム間連携の面で問題を抱えているのが現状である. これらの背景から本研究では, 「JAIRO Cloud」などで実績がある国立情報学研究所開発のWEKO を用いて, 金沢大学内の環日本海域環境研究センター及び国際文化資源学研究センターのデータリポジトリの構築を行っている. 構築に当たっては, 研究データを広く社会に公開する目的に加え, 研究データを保有する研究者らがリポジトリの管理に精通していなくとも, 自ら登録, 修正などを行える環境の整備を進めている.
著者
柴田 大輔 芳鐘 冬樹
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.277-296, 2016
被引用文献数
1

本研究では,研究評価指標や情報検索技術の改善に利用される学術論文の引用情報について概念的な整理を試みた.第一段階として,引用をタイプ別に分類した様々な先行研究から分類スキーマを抽出し,その観点を(1)意義的観点,(2)評価的観点,(3)機能的観点,(4)形態的観点,(5)位置的観点,(6)社会的観点の6観点に分けて再定義した.第二段階として,第一段階で得られた各観点について尺度水準,推奨される分類スキーマ,活用時の注意点を考察した.従来複合的な観点から構築されていた区分を分離し,異なる観点として位置づけられてきた区分を統合することで,引用分類についての基礎的なスキーマを作成できた.
著者
戸嶋 真弓 石川 哲朗 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.286-291, 2013-05-25 (Released:2013-07-25)
参考文献数
6

ディジタルネイティブとは,生まれた時からインターネットやパソコンが身近に存在しており,それらを利用することに抵抗がなく,それ以前の世代とは行動特性の異なりが見られる世代のことを指す.本研究では,この世代に属する日本人の大学生が,授業において課題を行う場合,Web検索を用いる情報探索を促すことによって,知識の獲得にどのような特性を示すのかを,課題遂行前と課題遂行後の連想単語の変化に焦点を当てて調査し,検討した.調査参加者を「Web検索を用いて学習することを毎授業時に明示的かつ継続的に指示」したW(Web)クラスと「主に図書館を用いて学習することを,毎授業時に明示的かつ継続的に指示」したL(Library)クラスに分け,課題に関しての学習を行 った.この結果,両者の間には,課題遂行前後での連想単語の種類と数(平均 : W事前6.9個,事後13.2個; L事前5.8個,事後9.7個)に違いが見られた.
著者
西澤 正己 孫 媛
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.116-123, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
15
被引用文献数
4

我々はこれまで大学に関連したプレスリリースを調査しており、それが近年大幅に増加し、それに対応して新聞への掲載も増加していることがわかってきた。本研究では、2005年から2015年の間に大学関連機関から発行されたプレスリリースの元になった学術論文の傾向について、投稿された学術雑誌名や分野、さらにはジャーナル・インパクトファクター等の雑誌指標との関係等について分析していく。
著者
鈴木 正信
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.303-308, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)
参考文献数
4

「四国学」とは,e-Knowledgeコンソーシアム四国が中心となって推進している地域学の取組である.その目的は,コンソーシアムに加盟している四国の国公私立8大学の教育・研究資源を学問体系化した上で,四国の特徴をさまざまな観点から取り上げることにより,四国の魅力の新発見・再発見を促し,さらには四国の未来を構築していくことにある.また,この「四国学」を各大学がeラーニングによって共有するところに,他の地域学には見られない大きな特徴がある.本稿では,コンソーシアムが発足した2008年度から,eラーニングによる単位互換科目の開講が実現した2010年度に至る3年間の事業実施状況について,主に香川大学の活動の紹介と,単位互換科目を履修した学生に対して行ったアンケートの集計結果の分析を行い,あわせて今後の大学における地域学のあり方を展望する.
著者
村川 猛彦 遠藤 淳一 松尾 和展 中川 優
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.126-131, 2012-05-20 (Released:2012-07-31)
参考文献数
8

データの格納および管理の手段として,RDBに代わり,高速に大量のデータを処理でき,分散化の容易なNoSQLデータベースが用いられてきている.しかしデータ構造や操作言語の違いから,システム移行は容易ではない.そこで本研究では,SQL文を入力にとり,等価なNoSQLの問い合わせ文を出力する変換プログラムを作成した.対応するNoSQLはMongoDBとHBaseとし,実装においてSQL文の解析および言語間のコード断片の対応付けを行った.評価実験の結果,32例のSQL文のうち,13例でMongoDB,9例でHBaseの問い合わせ文を生成できた.
著者
安平 哲太郎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.130-135, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
6
被引用文献数
1

筆者は昨年の情報知識学会で、神から求められている正義の流れとそれに対応する現実の流れを、聖書を参考に見いだせる事を明らかにした。この正義の流れは、人類が有史以来背負ってきた負債が、イエスの身代わりによって帳消しになった事を前提にしている。そこでこの事が事実である事を、どのように検証できるかを試みた。人類の歴史が神の意図Aに基づいていると仮定して、時点Bに神の意図Aに基づいて事実Cが起きた時、時点Bまでの流れに対して事実C がどのような影響を与えるかを考え、それに相当する歴史的事実が存在する事を明らかにした。また、その時点で、神の意図にイエスの身代わりで人類の負債を帳消しにする必要があり、人聞社会においてもイエスを十字架に架ける動機が存在しており、この事によって、神の意図が実現できる可能性があった事を明らかにした。
著者
川村 隆浩 古崎 晃司 櫛田 達矢 渡邊 勝太郎 松邑 勝治
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.102-109, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
18

近年,科学計量学等での活用を目的にさまざまな科学技術用語シソーラスの構築が進められている.しかし,人手での整備には多大なコストと時間を必要とするため,自動,半自動的な構築・改訂手法の研究が盛んに行われている.そこで本論では,人手で十分に整備された情報がない新興・先端学術分野においても適用できるよう,文献抄録に書かれた自然文を入力としたシソーラス拡充手法を提案する.具体的には,近年,進展が目覚ましい単語の分散表現を活用し,新語を既存シソーラス階層内に適切に位置づける手法を検討する.実験では,医療系論文56.7万編から500次元の単語ベクトルを構築した上で,主成分分析による次元削減とクラスタリングを行った上で,既存シソーラス用語と新語との空間的な位置関係から意味的な関係性を推定した.そして,専門の作業者3名による結果と比較し,3-Bestで再現率80%以上であることを確認した.今後は,作業者への新語追加位置推薦システムを構築することでシソーラス拡充手法の半自動化を図っていきたい.
著者
佐藤 翔 井手 蘭子 太田 早紀 林 直樹 道浦 香奈 副田 沙織
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.195-200, 2016
被引用文献数
1

本研究では同志社大学の学生102名を対象に2015年に実施した質問紙調査の結果に基づき,日本の大学生のWikipediaに対する信憑性認知や,学習におけるWikipediaの利用実態を明らかにするとともに,どのような要因が信憑性認知や学習における利用に影響を与えるかを検証する.分析の結果,回答者はWikipediaをどちらかと言えば信憑性のあるものと考えており,レポート作成等にも用いているが,参考文献には挙げない傾向があること等がわかった.
著者
徳守 淳也 小野 智司 木場 隆司 北山 信一 中山 茂
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.41-50, 2007 (Released:2007-03-06)
参考文献数
27
被引用文献数
2

学術情報の円滑な流通を図るため,国立情報学研究所(NII )の主導のもと,大学などの研究機関において学術リポジトリの構築が進められている.しかし,学術情報のメタデータ作成は労力がかかるため,より簡便にメタデータを作成できるツールやサービスの開発が望まれている.本研究では,学術機関リポジトリの構築支援を目的として,理工系の研究者の間で研究者に広く用いられているBIBTEX 形式のメタデータを,NII メタデータ記述要素に準拠するメタデータに変換するシステムを開発する.提案するシステムを利用することで,メタデータ記述の労力を5 分の1 程度に抑えることができる.また,コンパイラ・コンパイラを利用することで,開発の労力を抑えることができた.
著者
大槻 明
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.429-441, 2013-12-07 (Released:2014-02-07)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

データには無限の可能性が秘められていると我々は考えている.そして,データを効果的に分析することにより,新たな知識発見や,学問や社会の発展に対し他大な貢献が期待できると考えられる.データ量が増えればそれだけこの期待度は高まっていく.さらに,現状はSNS(Social Network Service)データやセンサーデータなどを代表に膨大なデータがリアルタイムに生成されているため,これらのデータを効率的に取得あるいは分析する技術がトレンドとなっている.ゆえに,本稿では,先ずビッグデータの概要について述べ,次にビッグデータに関する代表的な技術について概観した後で,我々の研究事例を通してビッグデータ俯瞰分析の技術や手法の一例について述べる.
著者
原田 隆史 青山 周平 西山 麻里 竹内 花織 徳永 優衣
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.152-159, 2015-05-23 (Released:2015-07-11)
参考文献数
14

小説を読む場合には,しばしば裏表紙などに書かれた紹介文を参考として図書を選択することが行われる。しかし実際には,紹介文を読んだ時に期待したものとは異なる感想を持つ結果となることも少なくない。このような齟齬の原因としては,小説に対する感想の個人差がある場合のほか,読書前後で図書に対して注目する観点が異なることも考えられる。本研究では,読書前にこのような感想を持つだろうと予想して作成された文章と,読書後に実際に作成された文章(感想文)との比較を行い,読書前後で観点が変化するかどうかを調査した。10冊の小説を対象として読書前後に作成された文章の中に出現する語の品詞や意味の種類の分析を行ったところ,出現する語の品詞や意味の種類は読書前後で共通であり,読書前後での観点そのものには大きな違いはないことが明らかとなった。