著者
井ノ崎 敦子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.84, pp.PS-004-PS-004, 2020

<p>本研究の目的は,学生相談における恋愛相談の実態を把握することである。全国の大学786校の学生相談機関の学生相談従事者を対象に実施した。欠損値のない回答者は101名となり,女性が男性よりも多く(女性74名,男性27名),カウンセラーが最も多かった(73名,72.3%)。また,約8割の者が恋愛相談を経験しており,恋愛相談を経験している者が未経験者よりも多かった。さらに恋愛相談者では,女子学生が男子学生よりも多かった。そこで女子学生の恋愛相談事例を分析したところ,恋愛関係進展度別では,恋愛関係継続時における恋愛問題での相談が最も多く,全体の38.8%を占めていた。また,恋愛相談に関する学生相談従事者の意見や感想では,恋愛問題の背景理解の重要性を訴える内容の記述が多く見られた。これらの結果から,恋愛相談のために学生相談を利用する学生が多く存在する中で女子学生のほうが多かった理由として,自己感の安定と恋愛状況との関連が強いことが影響していると推察された。また,学生相談で恋愛相談に対応する際,単なる表面的対処だけでなく,来談学生の人生課題にも焦点を当てることの重要性が示唆された。</p><p> </p><p>演題名訂正</p><p>(誤)</p><p>学生生相談における恋愛相談に関する実態調査</p><p>(正)</p><p>学生相談における恋愛相談に関する実態調査</p>
著者
土肥 伊都子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.84, pp.PS-002-PS-002, 2020

<p>土肥(2006;2009)は,男女大学生に,男女3人ずつの飲み会で,酒代の合計12,000円の場合の,男女別の支払い額を決定させる実験を行った。本研究は,これらと同一内容をGoogle Formで作成し,女性266名,男性91名の大学生に対して,インターネット上で回答させ,比較検討したものである。実験の結果,第一に,女性より男性の支払い額を高くすべきというジェンダー・ステレオタイプに沿った判断が,第二に,男性であれ女性であれ,酒をよく飲むほど支払い額もそれに応じて高くすべきという判断が,以前と同様に認められた。ただし,第二の判断の傾向が,今回,より強まった。すなわち,多くのケースで,女性の支払い額が男性の支払い額に近づく傾向がみられた。第三に,女性性優位型の女性が,男性より女性の方がより多く支払うべきと判断する傾向が,前回とは異なり今回は見られなかった。男性が多く支払うことを良しとしない傾向が強まるということは,将来の夫婦関係において,夫の稼得責任を妻が期待しなくなること,ひいては「男は仕事,女は家庭」というジェンダーを変えていくことにつながる可能性があると考察した。</p>
著者
志村 ゆず
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.84, pp.PD-129-PD-129, 2020

<p>新型コロナウィルスの感染拡大は,未曾有の不安を人々にもたらした。コロナ禍はこれまでにない特性の影響力を持っている。拡大地域では感染症予防によって人々の対面交流が妨げられ,日常生活で通常行っている様々な心理的回復の資源が剥奪された。このような心理的急性期に苦肉の策として感染拡大地域の教育現場では,オンライン授業が導入され始めた。これまで実験場面では筆記法の効果が検討され,実践場面でも専門職による電話相談や遠隔カウンセリングなどが実施されている。</p><p>本研究では,大学のオンライン授業が実施される中で,不安管理のために大学生にオンライン筆記法を実施した。執筆中は心理的配慮についても慎重に行った。本人の承諾を得て個人情報に留意し執筆内容の質的分析を行った。不安内容についてはオンライン筆記の内容より不安や効果に関する記述を抜き出して語りの質を検討した。結果は,次の観点から検討した。1不安の記述についての表現の明確さ,2実際の感染状況との関連性,3不安を乗り越えようとする努力の焦点であった。この観点を考慮に入れ,筆記法の効果や問題点や留意点などについて考察した。</p>
著者
小澤 幸世 竹田 和良 萩谷 久美子 芳賀 大輔 古村 健 菊池 安希子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.84, pp.SS-012-SS-012, 2020

<p>認知矯正療法(NEAR)は,統合失調症における認知機能(記憶,注意,遂行機能など)の改善を目的とした認知リハビリテーションである。認知機能を使う各種の市販のゲームを行うゲームセッションと,メンバーで体験を共有するグループセッションで構成されている。NEARは,ゲームの実施に関して注目されること多いが,ゲームを通じて患者の内発的動機付けを高めることが重要な治療指針となっている。そこで本シンポジウムでは,NEARを中心とした認知機能リハビリテーションにおいて,内発的動機付けに着目して介入することの重要性を研究や実践の側面から議論したい。研究の側面からは内発的動機付けの脳機能メカニズムや成果との関連など,実践の側面からは介入上の工夫や他の治療を取り入れていく意義などについて考える。</p>