著者
永田 浩一 田尻 久雄 光島 徹 歌野 健一 高林 健 渡辺 直輝 赤羽 麻奈 加藤 貴司 平山 眞章
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.435-444, 2013-03-20
参考文献数
33

【目的】大腸3D-CTを用いて日本人とアメリカ人の大腸の長さを比較した.<BR>【対象】50歳以上の日本人とアメリカ人650名ずつ,合計1,300名を対象とした.<BR>【結果】全対象における全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ154.7cm,158.2cm,(<I>p</I>値:0.003,効果量:0.17),S状結腸と直腸を合計した長さの平均はそれぞれ63.3cm,62.5cm,(<I>p</I>値:0.23,効果量:0.07)であった.世代別では,50歳代で全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ153.2cm,155.6cm,60歳代で155.2cm,159.3cm,70歳代で161.8cm,165.2cmで,日米ともに世代が上がるにつれて有意に長くなった.<BR>【結論】日本人とアメリカ人の大腸の長さの差に実質的効果はみられずほぼ同等である.一方,日米ともに世代が上がるにつれて全大腸の長さは長くなる.
著者
葛西 恭一 石田 恵梨 小林 由佳 曽我 幸一 金光 大石 坂本 京子 竹中 信也 柳田 國雄 伊谷 賢次
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.257-261, 2013-02-20

症例1は75歳男性.心房細動にてダビガトラン220mg/日服用開始したところ,5日後より食道閉塞感,ゲップを自覚.上部消化管内視鏡検査にて中部食道に白色の膜様付着物を伴った潰瘍性病変を認めた.ダビガトランを継続しながらプロトンポンプ阻害剤(以下PPI)を服用したところ潰瘍は治癒した.症例2は68歳,女性.発作性心房細動に対しダビガトラン300mg/日服用開始77日後より胸焼けを自覚.上部消化管内視鏡検査にて中部食道に白色の膜様付着物を伴った潰瘍性病変を認めた.ダビガトランを中止しPPI投与したところ潰瘍は治癒した.ダビガトランは循環器領域で使用頻度が高まると予想される薬剤であり,薬剤性食道潰瘍の原因となり得ることを念頭に置く必要がある.
著者
葛西 恭一 石田 恵梨 小林 由佳 曽我 幸一 金光 大石 坂本 京子 竹中 信也 柳田 國雄 伊谷 賢次
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.257-261, 2013-02-20
参考文献数
12

症例1は75歳男性.心房細動にてダビガトラン220mg/日服用開始したところ,5日後より食道閉塞感,ゲップを自覚.上部消化管内視鏡検査にて中部食道に白色の膜様付着物を伴った潰瘍性病変を認めた.ダビガトランを継続しながらプロトンポンプ阻害剤(以下PPI)を服用したところ潰瘍は治癒した.症例2は68歳,女性.発作性心房細動に対しダビガトラン300mg/日服用開始77日後より胸焼けを自覚.上部消化管内視鏡検査にて中部食道に白色の膜様付着物を伴った潰瘍性病変を認めた.ダビガトランを中止しPPI投与したところ潰瘍は治癒した.ダビガトランは循環器領域で使用頻度が高まると予想される薬剤であり,薬剤性食道潰瘍の原因となり得ることを念頭に置く必要がある.
著者
海宝 雄人 齊藤 正昭 角田 慎輔 青木 泰斗 青柳 智義 池田 憲政 三浦 文彦 松原 久裕
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.1853-1857, 2012-06-20
参考文献数
10

【背景・目的】内視鏡による胃液pH検査は酸関連疾患の研究にしばしば用いられる.ぶどうジュースにはpHにより色調が変化する色素が含まれており,これを利用した内視鏡による胃液pHの評価を試みた.<BR>【方法】咽頭麻酔時にぶどうジュースを投与し前処置をおこなった.その後内視鏡検査時にモニターでの胃液の色調評価,胃液の採取およびpH測定を行った.<BR>【結果】胃液の色調は赤色,黒青色,透明~白色,黄色の4つに分類した.黄色と透明~白色以外のすべての色間でpH値は有意差を示した.赤色および透明~白色では酸性であり,黒青色は弱酸性から中性であった.<BR>【結論】胃液pH測定は胃酸関連疾患の病態生理を知るうえで有意義である.本法により容易かつ安全に多くの症例で大まかな胃液pHの評価が可能である.
著者
阿座上 聖史 名本 真章 畑 佳孝 向井 康二 富田 洋介 本田 邦臣 伊原 栄吉 井原 裕二 三澤 正 田辺 嘉高 豊島 里志
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.1288-1294, 2011-04-20
参考文献数
18

症例は63歳,女性.大腸内視鏡で直腸Rbに径10mmの粘膜下腫瘍を認めた.内視鏡的に粘膜切開し腫瘍を露出させた上で直視下生検を施行した.病理組織学的にGISTと診断し,外科手術にて摘出し得た.直腸原発のGISTは比較的予後が悪いとされ,進行した場合には術後QOLの低下を招くため,早期診断が望まれるが,粘膜切開による直視下生検は非常に有用な手段であると考えられた.
著者
丹羽 寛文
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.1957-1978, 2011-08-20

本論文ではファイバースコープの初期頃までに消化管内視鏡の分野で活躍された先覚者と呼ぶに相応しい九州の方々を取り上げてみた.九州の方々としては,(1)九州に本籍がある,(2)九州に生まれた,(3)九州で育った,(4)九州内の学校で学んだ,(5)九州内の医育機関に勤務された方としたが,早く九州を離れた方も含めた.<BR>硬性食道鏡では九大の久保猪之吉の活動が目立ち,硬性胃鏡の時代には同じく九大の三宅 速,宮城 順による本邦最初の報告がある.軟性胃鏡に関しては長崎医大赴任前に中谷が報告している.その後の日本の消化管内視鏡は事実上胃カメラから始まったが,九州内では昭和32年6月第4回胃カメラ研究会に於ける柚木らの報告ならびに同日の第4回消化器病学会九州地方会での佐藤の報告をもって嚆矢とする.<BR>第1回胃カメラ学会は昭和34年6月に開催されたが,この会では熊本大学外科,鹿児島大学佐藤内科,九州厚生年金病院内科からの発表があった.さらに親学会結成前に胃カメラ学会九州支部が設けられ,それ以前には同好会も作られている.<BR>第2回胃カメラ学会総会での九州からの発表者は,やはり大学の方ばかりで,発表者はいずれもその後九州内で指導的立場に立たれた方々ばかりであった.その後地方会も作られた.<BR>学会は昭和36年に日本内視鏡学会へと発展したが,九州地区からの発表はやはり大学が主体で,一般病院からは九州厚生年金病院,鹿児島市立病院に限られていた.<BR>旧制大学は昭和29年に最終卒業生を出したが,内視鏡で活躍された方々は,この年を挟んだ前後数年間の卒業生の方々を主体にしていた.これらの方々は真に先覚者と言える方々であって,それらの活動を詳述した.
著者
岡本 耕一 岡村 誠介 井本 佳孝 木村 哲夫 竹内 尚 宮本 弘志 四宮 寛彦 岡久 稔也 和田 哲 高山 哲治
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.260-266, 2012-02-20
参考文献数
13

症例は63歳,女性.検診にて異常を指摘され当科に紹介された.内視鏡検査にて十二指腸球部に細長い突起物を認め,内視鏡的ポリペクトミーを行った.この突起物は,病理組織学的に正常十二指腸粘膜で覆われBrunner腺の増生と拡張した静脈を有する粗な粘膜下組織を認め,内部に大小の嚢胞状に拡張した腺が認められた.本症例は稲本らやEzoeらにより提唱されたintraluminal duodenal protrusionやElongated non-neoplastic duodenal polypなる概念に相当するものと考えられた.
著者
金 〓志 西条 寛平 瀬尾 充 松浦 隆志 一宮 仁 相島 慎一 松本 主之 飯田 三雄
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.1431-1436, 2009-06-20
参考文献数
23
被引用文献数
1

症例は50歳,男性.タール便を主訴に来院し,上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行部傍乳頭部に長径約20mmの広基性ポリープがみられた.観察時にポリープ表面より出血したため,止血術を施行した.再出血の可能性とVater乳頭口側3mmの近傍に位置していたことから,開腹下の外科的粘膜切除術で治療した.家族歴,消化管外徴候,消化管の他病変がないこと,および切除標本の病理組織所見から,孤在性Peutz-Jeghers型ポリープ(以下PJ型ポリープ)と診断した.十二指腸のPJPは比較的少なく,本例は広基性を呈した点で稀と思われた.
著者
小林 研二 青木 太郎 西岡 清訓 高地 耕 小森 孝通 畠野 尚典 吉田 恭太郎 林 英二朗
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.28-34, 2011-01-20
参考文献数
20
被引用文献数
2

61歳男性.主訴は嚥下時心窩部痛,胸部中部食道(Mt)の長径3cm,IIc,食道扁平上皮癌で,ESDを施行.切除標本では低分化型扁平上皮癌,sm1,ly1,v1であり,追加治療として化学療法を施行.14カ月後に胸部大動脈周囲リンパ節転移再発にて,手術を行い,組織学的にはリンパ節再発,内分泌細胞癌であった.集学的治療をするも,初回治療から2年1カ月,食道切除から10カ月で原病死した.術前診断困難な悪性度の高い食道癌におけるESD後のリンパ節再発死亡例を報告した.