著者
遠藤 哲也 木村 治
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

日本でわれている養殖クロマグロの水銀汚染と有機塩素系化合物汚染を分析し、天然マグロの場合と比較した。養殖クロマグロの水銀濃度は厚生労働省の定めた基準を越えるものが少なく、一般に天然のクロマグロより低かった。一方、脂溶性の高い有機塩素系化合物濃度は天然クロマグロより高く、多食者には健康被害が心配される。地中海で行われている畜養マグロの場合の水銀および有機塩素系化合物濃度は日本国内の養殖マグロに比べて著しく高いものが多く、これは魚体の大きさを反映していると思われる。
著者
遠藤 哲夫 佐藤 方信 吉田 博 矢川 寛一
出版者
一般社団法人 日本内分泌学会
雑誌
日本内分泌学会雑誌 (ISSN:00290661)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.1007-1015, 1978-09-20 (Released:2012-09-24)
参考文献数
22

A total of 747 cases of malignant neoplasms of the thyroid reported in the “Annual of the Pathological Autopsy Cases in Japan” during the past 5 years (1969-1973) were reviewed and statistically analysed.Histological diagnosis in this series were papillary carcinoma in 323 cases (51.8%), follicular carcinoma in 143 cases (22.9%) and anaplastic carcinoma in 102 cases (16.3%). The average age of patients at autopsy was 58 years for papillary carcinoma cases, 62.4 years for follicular carcinoma cases and 61.7 years for anaplastic carcinoma cases. The incidence of metastasis to lymph nodes and to organs was 47.3% and 51.5%, respectively in cases of follicular carcinoma and 73.3% and 98.0%, respectively in cases of anaplastic carcinoma. Autopsy revealed an otherwise unnoticed thyroid cancer in 457 cases, which accounted for 61.2% of the entire autopsy cases of malignancy of this organ. A so-called multiple cancer, i.e. the concurrence of carcinomas in the thyroid gland and other organs, was seen in 239 cases (32.3%).
著者
原口 浩一 遠藤 哲也 阪田 正勝 増田 義人 Mark SIMMONDS
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.287-296, 2000-08-25 (Released:2008-01-11)
参考文献数
25
被引用文献数
17 26

1999年, 全国6都市で販売されていた鯨肉製品61点について, 重金属 (水銀, カドミウム, 鉛) 及び有機塩素系化合物 (PCBs, DDTs, HCHs, HCB, dieldrin) の汚染実態調査を行った. ハクジラの赤身肉では水銀汚染が, ハクジラ及び北太平洋産ミンククジラの脂身にはPCB及び有機塩素系農薬の汚染が顕著にみられた. 鯨肉の多食によってこれらの汚染物質の摂取許容量を超えることも考えられるので, 食品としての安全性を再検討する必要がある.
著者
遠藤 哲夫 吉野 涼二 寺田 矩芳 東山 潤司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.70, no.587, pp.71-78, 2005-01-30 (Released:2017-02-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

High wireless communication systems demands in a variety of office, public and residential environments requires the electromagnetic properties of building materials to predict the indoor wave propagation. This paper describes the equivalent electrical properties of typical building walls composed of several building materials. We estimate the complex specific dielectric constant of building materials composition from the spatial transmission loss measurements and discuss the dispersion of the measured transmission loss. The validity of the estimated equivalent dielectric constant is discussed by a comparison of the reflection loss between the measurement and the prediction. This spatial reflection loss measurement can be one of the effective methods to determine the equivalent electromagnetic properties of composite building walls.
著者
太田 千穂 枩岡 樹子 原口 浩一 加藤 善久 遠藤 哲也 古賀 信幸
出版者
福岡医学会
雑誌
福岡医学雑誌 (ISSN:0016254X)
巻号頁・発行日
vol.98, no.5, pp.236-244, 2007-05-25

Our previous studies have shown that six metabolites, namely 3-hydroxy (OH)-, 3'- OH-, 4'-OH-, 3',4'-dihydroxy (diOH)-, 3'-methylsulfone (CH3SO2)- and 4'-CH3SO2-2,2',4,5,5'- pentachlorobiphenyl (CB101),were found in the serum and liver of rats,hamsters and guinea pigs 4 days after administration of CB101. In this study, the in vitro metabolism of CB101 was studied using liver microsomes of rats, hamsters and guinea pigs, and the effect of cytochrome P450 inducers, phenobarbital (PB) and 3-methylcholanthrene (MC) on CB101 metabolism was also compared. 3-OH-, 3'-OH-, 4'-OH- and 3',4'-diOH-CB101 were formed by liver microsomes of rats,hamsters and guinea pigs except that 3-OH-CB101 was not formed by hamster liver microsomes. In untreated animals, both 3'-OH- and 4'-OH-CB101 were major metabolites. By treatment of PB, 3'-OH-CB101 was increased remarkably to 140-fold of untreated in rats and to 79-fold of untreated in hamsters, and was also increased slightly to 4-fold of untreated in guinea pigs. Moreover,PB-treatment showed a significant increase of3', 4'-diOH-CB101 in rats and hamsters. In contrast, MC-treatment increased 4'-OH-CB101 to 2.0-,9.6-and 3.4-fold of untreated animals in rats,hamsters and guinea pigs,respectively. In all animal species,the formation of 3',4'-diOH-CB101 from 3'-OH-and 4'-OH-CB101 proceeded at much higher rate than that from CB101 and was accelerated by PB-treatment. Only in hamster,MC-treatment decreased 3',4'-diOH-CB101 from 3'-OH-and 4'-OH-CB101 to less than 50% of untreated. Addition of 5 mM reduced glutathione suppressed the formation of 4'-OHCB101 to 43% of control by liver microsomes of MC-treated hamsters, suggesting that 4'-OHCB101 can be formed mainly via 3',4'-epoxide from CB101. These results indicate that the metabolism of CB101 to 3',4'-diOH-CB101 is principally catalyzed by CYP2B enzymes, which prefer 4'-OH-and 3'-OH-CB101 to CB101.
著者
遠藤 哲也
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.160-163, 2009 (Released:2019-06-17)
参考文献数
4

核兵器廃絶論は,古くから唯一の被爆国である日本,非同盟諸国,北欧,カナダ,豪,ニュージーランド等の非核兵器国から主張されてきたが,近年,米国から,それもかつて米国の核戦略に直接関与した元政府高官から主張されるようになったことは注目に値する。その議論は以前の核廃絶論が,一般的,情緒的であったのに比べ,冷戦終えん,9.11事件後の安全保障環境の変化を踏まえた核戦略論に基づくもので,かつ廃絶に至る具体的な道筋を提案している。それとともに,廃絶への過程に横たわる多くの政治的,技術的困難を指摘している。世界が核廃絶の途に踏み出すには,まずは米国の決断が必要なこと,核なき世界が米国にとっても世界の安全保障にとっても望ましいことを強論している。この軍縮会議はそういった議論の流れの一つである。
著者
遠藤 哲郎 大石 基之
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1174, pp.97-101, 2016-12

これは、今回、東京エレクトロンさん、キーサイト・テクノロジーさんと連名で受賞した理由に直結します。次世代メモリーである磁気メモリー(MRAM)のうち、我々CIESが手掛けるSTT-MRAMに関しては、まだ本格的な量産が始まっていないため、STT-MRAM自身は評価対象で…
著者
阿形 清和 野地 澄晴 梅園 良彦 横山 仁 遠藤 哲也 柴田 典人
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

新学術領域研究『再生原理』では、日本の看板研究の一つであった<再生研究>の成果をもとに、3次元構造をもった指や器官の再生を目指す-新しい再生医療をめざす研究領域を作るために本領域を立ち上げた。そして、再生原理を明らかにすることで、再生できない動物に3次元構造をもった指や器官の再生を引き起こすことを目指した研究を展開した。その結果、プラナリアやイモリで再生原理を明らかにしたことで、尾部からは頭部を再生できないプラナリアを遺伝子操作によって再生できるように成功し(Umesono et al., Nature, 2013)、また関節を再生できないと考えられていたカエルに関節を再生させることに成功した(Tsutsumi et al., Regeneration, 2015, 2016)。これらの画期的な研究成果をより広く世界中の研究者、一般の方々、再生医療関係者に広めていくのに、それらの成果を海外ジャーナルに出版するとともに、国内新聞やEurekAlertなどの国際科学Webサイトを使って広報した。英語での論文出版と、海外向けの広報活動などについてはElizabeth Nakajimaさんを雇用できたことでスムーズに展開することができた。この1年でカエルの関節再生を含め重要な論文を8報、英文誌に出版することができた。また、高校生向けとしては、京都市立西京高校、愛知県立一宮高校、明和高校、宝塚北高校、広島ノートルダム清心女子高校などに出張講義あるいは大学での実習を行った。一般向けとしては、東京で公開講演会を行うとともに、ABC放送、BSフジの『ガリレオX』などで本研究の成果は紹介された。このように、5年間にわたる本研究成果を、国内外に積極的に広報することに成功した。そして、最後に5年間にそれらの成果を冊子体としてまとめて報告書とした。
著者
遠藤 哲宏
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.459-467, 1971-06-01
被引用文献数
1

子宮収縮の機構を解析する研究の一環として分娩時子宮収縮に要するエネルギー量を測定し,また分娩が新生児のエネルギー代謝にどの様な変化を与えているかという点から新生児のエネルギー代謝量を測定し次の結果を得た. 1) 分娩時母体エネルギー代謝量(10分間)は,分娩第1期初産婦20.5±2.48Cal/10min経産婦,22.2±2.21Cal/10min,第2期初産婦39.5±5.68Cal/10min,経産婦34.3±3.16Cal/10min,第3期初産婦11.2±2.75Cal/10min,経産婦10.8±2.09Cal/10minで,分娩時第2期に最も大きく,第1期はその1/2〜2/3,第3期は1/3〜1/4であつた.単位時間内に於けるエネルギー代謝量は初産婦でも経産婦でも殆んど同じである. 2) 分娩時子宮収縮1回に要するエネルギーは,分娩第1期初産婦は2.8±0.57Cal経産婦は3.3±0.38Cal,分娩第2期初産婦は3.4±0.75Cal経産婦は3.4±0.22Calであつて,いづれも同程度のエネルギー代謝量であつた. 3) 分娩1回に要する総エネルギー代謝量は,初産婦では薬2000Cal経産婦800Calとなり,初産婦は経産婦の約2.5倍のエネルギーを消費することになる. 4) 新生児エネルギー代謝量は,分娩直後が最も高く,分娩後2時間まで高値が続き,4時間後より急激に低下し,6時間より24時間まで低い値で安定している.その後3日,4日はやや低く,5日よりやや高くなる. 5) 未熟児は,分娩直後にやや高いが,2時間後より6日目まで正常新生児に比較して低い値で変動も少ない. 6) 正常分娩児と異常分娩児との間には差は認められなかつた. 7) 早産児,予定日超過児のエネルギー代謝量は正期産児よりやや低い. 8) 新生児の運動に要するエネルギー代謝量は,哺乳10.2±4.08Cal/kg/h,沐浴5.3±1.96Cal/kg/h.啼泣20.6±5.96Cal/kg/h.経運動11.5±6.02Cal/kg/h.であつた. 9) 分娩後チアノーゼを認める新生児と正常新生児を比較すると,酵素消費量とエネルギー代謝量は差が著明で,チアノーゼ郡は正常群の約2/3である.
著者
山形 亮 福田 真作 遠藤 哲 水木 一郎 棟方 昭博
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.951-956, 2001

症例は76歳男性.昭和57年より骨髄線維症の診断にて当科外来にて経過観察されていた.平成10年,上部消化管内視鏡検査にて胃・食道静脈瘤を指摘され,治療目的に当科人院となった.人院後,計4回にわたり内視鏡的硬化療法を施行し,静脈瘤の著明な改善を得た.報告例は少ないが,内視鏡的硬化療法は本症例のような特異な病態によって生じた静脈瘤に対しても非常に有効な治療法であると考えられた.
著者
遠藤 哲也
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.561-567, 2014

<p> レーガン政権の下でようやく始まった日米原子力協定交渉は難航した。米側は,日本の原子力活動に包括事前同意方式を認めることには同意したものの,具体的な個々の点については厳しく,また行政府部内でもさまざまな異論が出てきた。何とか正式に署名にこぎつけたものの,その後の議会審議は波乱の連続であった。</p><p> プルトニウム空輸に対するアラスカ州からの反対,核不拡散強硬派からの反対などで審議は予断を許さなかった。この波瀾を何とか乗り切ったのは,レーガン大統領の決断,レーガン・中曽根の信頼関係によるところが大きかった。この協定が発効したのは,1988年7月であり,正式交渉が始まってから6年もの年月が経っていた。</p>
著者
塚田 夏子 宿澤 光世 米田 陽俊 遠藤 哲代 杉本 昌仁 扇 勉
出版者
北海道畜産草地学会
雑誌
北海道畜産草地学会報 (ISSN:21875391)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.39-44, 2014-03-31 (Released:2019-10-17)
参考文献数
16

黒毛和種去勢肥育牛における繊維摂取量と採食・反芻時間との関係を明らかにするため2つの試験を行った。試験1では肥育前期牛18頭を用いて12、15か月齢に、試験2では肥育中期・後期牛15頭を用いて20、25、28か月齢に飼料摂取量および採食・反芻時間の調査を行った。試験1では12、15か月齢時に濃厚飼料各々5.2、7.8kg、粗飼料3.1、1.5kgを給与した。試験2では粉砕トウモロコシ主体配合飼料(濃厚飼料A)を5.1~5.3kg、トウモロコシサイレージ(CS)を 3.1~5.4kg給与する濃A・CS区(6頭)、粉砕玄米主体配合飼料(濃厚飼料B)を4.8~5.1kg、CS を3.3~5.7kg給与する濃B・CS区(6頭)、濃厚飼料Aを8.5~8.8kg、麦稈を1.0~1.6kgを給与する対照区(3頭)を設けた(いずれも乾物ベース)。試験1の粗飼料由来NDF(FNDF)摂取量およびその含量は、濃厚飼料の増給により15か月齢が12か月齢の1/2程度以下となり、反芻時間も短くなった。試験2ではFNDF摂取量およびその含量は、濃A・CS区、濃B・CS区、対照区各々1.6、1.6、0.7kg/日および17.5、17.2、7.6%、反芻時間は386、436、289 分/日、RVI値は60、62、46分/kgDMと、対照区のFNDF摂取量およびその含量は他区の1/2以下となり、反芻時間の減少とRVI値の低下がみられた。また、FNDF摂取量およびその含量と反芻時間との相関係数は0.49、0.51とやや高かったが、NDF摂取量およびその含量とは0.27、0.28と低かった。これらから、黒毛和種肥育牛ではFNDF摂取量およびその含量が反芻時間およびRVIに大きく影響することが明らかとなった。
著者
遠藤 哲也
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

和歌山県で販売されていた鯨内臓食品の水銀濃度は著しく高く、肝臓から最高で2000ppmの総水銀が検出された(Sci. Total Environ.,300,15-22,2002).この肝臓食品をラットに1回経口投与したところ、無機水銀による急性腎毒性が認められた(Arch. Environ. Comtam. Toxcol.,44,412-416,2003).最も一般的な鯨食品である赤身肉の水銀汚染度は鯨種により大きく異なること,また捕獲地域でも異なることを明らかにした(Endo et al., Environ. Sci.Tech.,37,2681-2685,2003).PCBなどの有機塩素系化合物の汚染度にも顕著な種差があることを示した(J.Toxicol. Environ.Health A,65,1211-1235,2002).市販されていた赤身肉のなかで最も汚染度が高かったものには,81ppmの総水銀と26.2ppmのメチル水銀が含まれていた(Chemosphere,54,1653-1662).この鯨肉をラットに1週間連続経口投与したところ,急性毒性症状は認められなかったが,メチル水銀による特徴的な体内水銀分布が認められ,頻繁に摂取すれば慢性中毒になることが示されたChemosphere, in press).鯨脂肪食品からの抽出物は催奇性を有することをラット胎児培養を用いて明らかにした(Organohalogen Compounds,55,421-423,2002).マグロの水銀汚染にも明らかな種差が認められ,その汚染度は魚体の大きさと関係すると思われる(食品衛生学発表,東京,2004).
著者
鈴木 克彦 佐藤 英樹 遠藤 哲 長谷川 裕子 望月 充邦 中路 重之 菅原 和夫 戸塚 学 佐藤 光毅
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.451-460, 1996-08-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
42
被引用文献数
2 1

スポーツ選手を対象として, 最大運動負荷に伴う白血球分画と好中球活性酸素産生能の変動を検討したところ, 以下の知見が得られた.1.運動直後に総白血球数が一過性に2倍程度上昇したが, これはリンパ球, 好中球および単球の数的増加によるものであった.好中球数は運動終了1時間後でも上昇した状態にあったが, 核左方移動は認められず, かつ分葉核好中球数の変動と相関が強かったため, 壁在プール由来の好中球動員であったと考えられる.2.リンパ球のなかでLGL (NK細胞) は運動直後に6倍も上昇しており, 終了1時間後には半減した.このようなリンパ球の数的・構成的変動が各リンパ球の機能を測定する上で誤差要因とならないように注意する必要がある.3.ルミノール依存性化学発光法を用いて単離好中球の活性酸素産生能を検討したところ, 刺激物質として貪食粒子のOZを用いた場合のみならず可溶性のPMAを用いた場合にも運動負荷に伴い有意に上昇し, かつ両者の変動には正相関が認められたことから, 単一機序で発光が増強したものと推察される.ルミノール依存性化学発光の反応機構から, 好中球の刺激に伴う脱顆粒能亢進によってMPOを介して強力な活性酸素種 (HOCl) が効率的に産生されやすくなることが示唆された.短時間の運動であっても極端に強度が高い場合には, 毒性の高い活性酸素種を生成しやすい好中球が血中に増加し, リンパ球の機能抑制や筋の炎症等の組織傷害作用を発現する可能性があり, 今後その体内動態をめぐっては, さらに踏み込んだ検討が必要である.