著者
大下 市子 山本 友江 五島 淑子
出版者
日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.273-282, 1989
被引用文献数
3

大阪, 広島, 山口に在住する学生の家族の調理担当者の, 調理済み・半調理済み食品の利用とイメージについて調査し, 次の結果を得た。<br>1) 最もよく利用されている食品は, インスタント食品の袋入りラーメンで, 月1~2回利用59.1%, 週1~2回利用21.5%, 週3~4回利用3.6%であった。<br>2) そう菜の天ぷら・フライ, コロッケ, パック入りうどん・そば, 佃煮, および冷凍食品のコロッケは, 週1~2回利用する人が15%以上あった。9割の人が利用していないと答えた食品は, だしまき卵, 冷凍食品のシチュー, 茶碗蒸しであった。<br>3) 調理済み・半調理済み食品の利用度合は, 地域間, 世代間, 主婦の就業の有無と関係がみられた。<br>4) 各食品群のイメージをまとめると, 次のとおりである。<br>(1) そう菜は, 煮物に代表されるが, 味はまずく, 衛生面が心配である。<br>(2) 冷凍食品は, コロッケ, ハンバーグに代表され, 揚げ物のイメージが強く, 保存性もあり, 弁当の利用に便利である。<br>(3) レトルト食品は, カレーに代表されるが, まだまだなじみがない。<br>(4) インスタント食品は, ラーメンに代表され, 手軽で便利であるが, 塩分が多い。<br>(5) 持ち帰り食品は, すし, 弁当, ハンバーガーが多く, 便利で手軽であるが, 価格は高い。<br>全般のイメージからは, 味はよくないとしながらも, その簡便さを認めて使用している主婦の姿が写し出された。
著者
磯部 しづ子 松野 信郎
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.75-77, 1953

To know the dietary hadits and nutritional status of the families in straitened circumstances their food intake was surveyed together with time distribution of daily works of the housewives.<br>Generally speaking their average daily intake of nutrients is not adequate, especially that of housewives, most of whom are engaged in considerably heavy works, is father lower than their energy expenditure calculated from their time for living.<br>The ratio of food expenses to monthly income indicates 74.5% on an average.
著者
大島 寿美子 鈴木 慎次郎
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.105-112, 1975-05-25 (Released:2010-10-29)
参考文献数
24

The effect of dietary cholesterol on the serum cholesterol level was examined with the adult and aged subject.In the first trial, a total of 35 healthy adults were divided into three groups given 5, 7 and 10 eggs daily for 10-15 days.The differences of mean value in serum cholesterol between the initial day and the final day were 7, 9 and 8mg/dl in each group of adults given 5, 7 and 10 eggs, respectively, indicating a tendency of slight elevation in serum cholesterol. However, it should be noted that there were some adult subjects who showed sensitive response to the serum cholesterol level by egg intake.In the next, nineteen healthy aged subjects were divided into two groups given 1 and 2 eggs every day for one month. Average increments of serum cholesterol in each group of aged persons were 3mg/dl for 1 egg and 12mg/dl for 2 eggs. The higher response seen in the aged persons given 2 eggs daily may be caused by their inactive life in comparison with the active adults.Anyway, the effect of egg cholesterol to the serum cholesterol level in human seems to be lower than that resulted from the dietary intake of saturated fatty acid such as butter, tallow and lard etc.
著者
小田 麗子 永井 由美子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.302-310, 2021-10-01 (Released:2021-11-24)
参考文献数
26

【目的】大阪市内の高等学校に通う高校生の食育への関心度からみた,食知識・配慮・調理技術・食の主観的評価の実態を明らかにすること。【方法】大阪市立A高等学校の全校生徒686名を対象に,無記名自記式質問紙調査を行った。因子分析により抽出された「食育関心度」(食育とは知っているか・食育の情報を得られているか・食育について関心があるか・食育は自分にとって必要か)の回答から,「食育関心度」高群と低群の2群に分けた。さらに食知識,調理技術などの各質問項目の回答は,2群に分け,「食育関心度」高群,低群の回答の分布をχ2 検定で比較した。【結果】「食育関心度」高群は低群と比べ,食に関する知識(主食・主菜・副菜について,1日の食事バランス,食品表示を見る方法,伝統的な料理や行事食について,和食がユネスコ文化遺産となったこと)を知っている者,食生活(栄養バランスよく,野菜を多く食べる,加工食品を取りすぎない,塩分をとりすぎない,食品表示を見る)についての配慮をしている者,調理(だしのとり方,煮物調理,揚げ物の調理,一汁三菜)ができる者の割合が有意に高く,食事が満足,楽しいと思う者の割合も高かった。一方,「食育関心度」低群は,穀類,野菜類の摂取が1日1回以下の者の割合が高かった。【結論】高校生において,「食育関心度」と食知識・配慮・調理技術・食の主観的評価の実態には関係性があることが示唆された。
著者
渡邊 智子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.253-264, 2021-10-01 (Released:2021-11-24)
参考文献数
34
被引用文献数
2

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(以下,成分表2020)の利活用のために,成分表2020の特徴と活用方法,特にエネルギーについて解説した。成分表2020の特徴は①冊子版とHP版での公表 ②そう菜41食品の調理済み流通食品類への増加 ③エネルギーの算出方法が変更(エネルギー産生栄養素の変更とエネルギー換算係数の変更)されエネルギー値(以下,2020E)が確からしい値に変更 ④アミノ酸成分表,脂肪酸成分表,炭水化物成分表の充実 ⑤成分表2015追補(2016~2019)の検討結果を反映(ナイアシン当量の追加,新しい食物繊維成分分析法の追加,解説の充実,表頭の変更等)である。栄養計算は,2020Eとそれを計算したエネルギー産生成分を用い,炭水化物エネルギー比率は引き算により算出する方法が確からしい値に近似する。この値の算出のためには,成分表2020の編集が必要である。一方,栄養計算では,従来の2015Eとその計算に用いた成分で行う方法や,2020Eと2015Eの算出に用いた成分で行う方法もある。どの方法で行うかは目的に応じて決定し計算結果には,どの方法かを明記する。栄養計算を実摂取栄養量に合わせるために,レシピ重量から調理後の成分値が計算できるように,生 100 gの調理後重量当たりの成分値を計算し登録しておくと便利である。
著者
平池 妙子 百木 和 羽生 大記
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.265-275, 2021-10-01 (Released:2021-11-24)
参考文献数
20

【目的】入院時の栄養状態を評価し,入院前と同じ療養環境に退院復帰できなかったものの特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】2014年9月から2015年10月に入院した65歳以上の患者307名のうち,14日以内の急性期死亡退院及びターミナル目的の入院3名と入院時データ欠損23名,研究時点で入院中2名を除外した279名を解析対象とした。退院時の転帰として,在宅復帰あるいは入院前と同じ施設へ再入所となった者を復帰群,入院前と同じ療養環境への退院復帰が不可能であった者を非復帰群とし,入院時栄養状態について2群間の比較検討を行った。【結果】復帰群192名,非復帰群87名であった。復帰群に比べ非復帰群の方が高齢で,MNA-SF,Barthel Index,体格指数(BMI),下腿周囲長(CC),血清アルブミン値が低く,併存疾患が多く,平均在院日数が長かった。非復帰に寄与する入院時の要因を解析するために多変量Cox比例ハザード解析を行ったところ,入院時BMIが 20 kg/m2 未満であることがハザード比(HR)1.50(95%信頼区間:CI 0.90~2.50),CCが 31 cm未満であることがHR 1.30(95% CI 0.63~2.68),上腕筋囲が男性 22 cm未満,女性 20 cm未満であることがHR 1.42(95% CI 0.81~2.50)を示したが,いずれの栄養関連項目も非復帰に対して有意に関連する要因ではなかった。【結論】入院前と同じ療養環境に退院復帰できなかった者の特徴として,今回の検討においては検出できる差は認められなかった。
著者
小切間 美保 岸田 友里 岡本 梢 長束 美紗希 掃部 美咲 吉本 優子 大月 晃子 小川 麗 八竹 美輝
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.276-285, 2021-10-01 (Released:2021-11-24)
参考文献数
13

【目的】小学生の「調理経験」が「自尊感情」,「食事観」に影響し,これらを介して「教科に対する関心」に影響するという既報の因果関係モデルを用いて再現性を検討した。【方法】調査項目と対象校は既報に同じとし,小学5年生を対象に2017年と2018年の2回調査を行った。481名の結果を用いて,質問項目の分類ごとに探索的因子分析,既報モデルを用いた共分散構造分析を行い再検証した。そして,調査年別2群の多母集団同時分析により再現性の検討を行った。【結果】探索的因子分析の結果,「調理経験」は6因子,「自尊感情」4因子,「食事観」1因子,「教科に対する関心」2因子を得た。共分散構造分析の結果,モデルの適合度はGFI=0.977,AGFI=0.956,RMSEA=0.037と良好であった。「調理経験」は「食事観」と「自尊感情」へ有意なパス係数0.74,0.83(p<0.001)を示し,「自尊感情」は「教科に対する関心」へ有意なパス係数0.75(p<0.001)を示した。多母集団同時分析の結果,因子間のパス係数に両群間で有意差はなく,因果関係モデルに差がないと判断した。【結論】「調理経験」が「自尊感情」に影響し,「教科に対する関心」に影響するというモデルの再現性が認められた。一方,既報と異なり,「調理経験」と「教科に対する関心」については,「食事観」の媒介的影響は低いと考えられた。
著者
楢崎 有季子 堀尾 強
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.339-343, 2006-12-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
19
被引用文献数
2

The threshold level of the five basic taste attributes was examined in elderly subjects for comparison with the levels in young subjects. The relationship among the taste threshold, sex, drinking, smoking, and artificial teeth was also examined, and the features of the food preference and taste were compared between the elderly and young subjects.The threshold level of all five taste solutions for the elderly subjects was higher than for the young. No relationship among the taste threshold, sex, and artificial teeth was apparent. Any influence of drinking and smoking on the taste was not clear, because the amounts of alcohol and tobacco consumed by most of the elderly subjects were small. The elderly had less preference for a sweet taste than the young. No correlation between the taste preference and taste threshold was apparent.These results suggest that the sensitivity for all the basic taste attributes of the elderly was inferior to that of the young, and that the taste preference also differed between the elderly and young subjects.
著者
中嶋 加代子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.299-303, 1989
被引用文献数
3

<i>Salmonella typhimurium</i> TA98を用いて, 牛赤身ミンチ肉の230℃ガスオーブン加熱による変異原活性の変化を検討した。また, 直前に調製した新鮮野菜汁を用い, 焼き肉抽出液の変異原活性に及ぼす影響を調べ, 次のような結果を得た。<br>1) 230℃で加熱した牛肉の変異原活性は, 加熱時間とともに増大し, 30分間加熱では未加熱肉の変異原活性よりも約10倍高かった。<br>2) 今回調べた6種類の新鮮野菜汁は, 全て焼き肉抽出液のTA98に対する変異原活性を抑制した。抑制率は, パセリ88.5%, 青じそ81.6%, にら79.8%, サニーレタス66.8%, 西洋にんじん41.7%, 大根10.7%であった。
著者
内藤 初枝
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.321-326, 1995

ごぼうの褐変防止方法としての食酢の活用意義を明確にするとともに, より効果的な褐変防止方法を検討し, 以下のような結果を得た。<br>1) 水または3%食酢水浸漬を実施したごぼう中のポリフェノールオキシダーゼ (PPO) は, 生と比較して減少した。また, 酵素活性に適したpHは5.5~6.7であり, この酵素は酸性側で非可逆的に不活性となった。<br>2) 水または3%食酢水浸漬により, 浸漬処理後のごぼう中のポリフェノール (PP) 類含量は, いずれも13%程度減少した。<br>3) 見かけ上, 水浸漬溶液は褐変が濃く, 3%食酢水浸漬溶液ではPP類含量が高かった。<br>4) 各浸漬溶液のpHを6.7に補正し, 新たにPPO (チロシナーゼ) を添加したところ, 3%食酢水浸漬溶液では溶液の褐変が増加し, PP類の測定値が低下し, 水浸漬溶液の結果と同様の傾向を示した。<br>5) ごぼうの表面色は, 浸漬溶液から取り出した後も徐々に着色していった。特に, 3%食酢水浸漬のごぼうでは, 褐変酵素が非可逆的に失活しているにもかかわらず, 更に褐色系着色が進行した。<br>以上の結果から, ごぼうの褐変防止方法としては, 食酢水浸漬より水浸漬のほうが褐変防止効果は大きいという結論を得た。
著者
Betty T. Izumi Andrea Bersamin Carmen Byker Shanks Gitta Grether-Sweeney Mary Murimi
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.Supplement, pp.S126-S132, 2018-07-01 (Released:2018-08-28)
参考文献数
37
被引用文献数
1 3

Objective: The National School Lunch Program (NSLP) is a federally assisted meal program in the United States (US) that provides nutritionally balanced and free or low-cost lunches each school day to 30.4 million students, including more than 22 million low-income students. Since its inception in 1946, the program has undergone many modifications, including a shift in focus from addressing under- to over-nutrition. Most recently, the US Congress passed the Healthy, Hunger-Free Kids Act of 2010 to help address hunger and obesity among the nation's children. The purpose of this paper is to provide a brief overview of the NSLP.Methods: This paper is based on a review of relevant technical documents, peer-reviewed literature and grey literature. The authors also used their collective school lunch research and practice experience to identify the most salient points to address.Results: The following areas of the NSLP are presented: how it is administered; recent changes to the meal patterns and nutrition standards; revenue and costs; research and evaluation conducted after passage of the Healthy, Hunger-Free Kids Act; and current initiatives to enhance the NSLP.Conclusions: The Healthy, Hunger-Free Kids Act improved the NSLP meal patterns and nutrition standards by aligning them with the Dietary Guidelines for Americans. Early published research on the impact of the updated meal patterns and nutrition standards on student dietary outcomes is promising and efforts to further enhance the NSLP are being implemented across the nation.
著者
永野 君子 松沢 栄子 大塚 慎一郎 高橋 史人 山中 正彦 山口 和子 熊野 昭子 小森 ノイ 菅 淑江 竹内 厚子 下志万 千鶴子 大野 知子 長谷川 孝子 西岡 葉子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.133-141, 1987
被引用文献数
1

肉, 魚, 卵, 豆腐, 牛乳を主な材料とする料理13種の作り方と伝承傾向の調査を, 全国8地区17都市に居住する女子, 昭和55 (1980) 年3,252名, 昭和57 (1982) 年3,094名を対象に実施した。<br>1) 伝承された時期は, 10歳代後半と20歳代前半が多く, 次いで20歳代後半であった。和風で古典的イメージの強い伝統的料理は20歳代, 普及年数の浅い洋風・中国風料理は30歳代, 40歳以上を伝承時期としていた。<br>2) 伝承形態は, (1) 母を主とする家庭内伝承パターン, (2) 専門家, 活字を主とする家庭外伝承パターン, (3)"自然に覚えた"と家庭内伝承が半々の中間パターンの3つに分類され, それぞれの料理に特徴がみられた。<br>3) 料理の作り方は, どの食品についても素材からの手作りが60%と高く, 次いで加工材料・半調理材料導入である。調理済み料理の利用は11%の低い回答率にとどまっていた。<br>4) 家庭への普及年数が比較的浅い麻婆豆腐は, 料理の作り方によって伝承形態に著しい差がみられた。手作りは専門家, 料理本・料理カードによる伝承が高く, 調理済み料理の利用は商品の説明書が有意に高かった。
著者
北村 奉正 高橋 滋
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.31-35, 2004
被引用文献数
1

女子短大生125名を対象として, 夏期および冬期休暇における飲料摂取量を調査し, 以下の結果が得られた。<br>1日の平均飲料摂取量は, 夏期が921m<i>l</i>, 冬期が705m<i>l</i>で, 夏期が有意に多かった。夏期および冬期ともに, 他の飲料, 清涼飲料の順に多かった。清涼飲料および他の飲料の摂取量は, 夏期が冬期より多かった。<br>清涼飲料の種類別の摂取量は, 夏期ではウーロン茶飲料, 紅茶飲料, ブレンド茶飲料, 天然果汁 (100%) の順に多かった。冬期ではウーロン茶飲料, 紅茶飲料, 天然果汁 (100%), ブレンド茶飲料の順に多かった。他の飲料の摂取量は, 夏期ではむぎ茶, 水, ウーロン茶, 牛乳の順に多く, 冬期では緑茶, 水, 牛乳, ウーロン茶の順に多かった。<br>茶系飲料の摂取量は夏期に多かったが, 摂取量に対する割合は約50%で季節に影響されることが少なかった。
著者
木林 悦子 鏡森 定信
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.145-153, 2002
被引用文献数
1

栄養疫学研究に役立てることを目的として, 20歳女子の食事によるタウリン摂取量と食品群別摂取量の関連より, 魚介類及びレバー摂取量を用いたタウリン摂取量の推定式の開発を試みた。さらに, タウリン摂取量の季節変動や日常の食事中タウリンの1日摂取量を求めるために必要な食事調査日数, 推定式の交差妥当性についても検討を行い, 以下の結論を得た。<br>1) 食事によるタウリン摂取量を従属変数とし, その他の食品群別摂取量 (動物性食品及び海藻類) を独立変数とする重回帰分析の結果, 82%が説明され, タウリン摂取量と魚介類摂取量の間には, 標準偏回帰係数0.60(<i>p</i><0.001), レバー摂取量との間には, 0.52(<i>p</i><0.001)で有意な関連が認められたが, その他の食品群については, 関連が認められなかった。<br>2) 食事によるタウリン摂取量を従属変数, 1日の魚介類別 (6分類) 摂取量及びレバー摂取量を独立変数とし, 夏 (6~7月) と冬 (12~1月) の食事調査結果をそれぞれについて重回帰分析し, 比較した結果, 夏と冬のいずれにおいてもタウリン摂取量と魚類摂取量, いか・たこ類摂取量の間に関連が認められたが, タウリン摂取量と貝類及びえび・かに類との間には, 冬においてのみ, レバー摂取量については, 夏においてのみ関連が認められた。<br>3) 日常の食事中タウリンの1日摂取量を算出するのに必要な食事調査日数は, 10%以下の誤差範囲で704日, 20%以下で176日であった。<br>4) 夏と冬の食事調査結果をもとに算出した1日の食事中タウリン摂取量を従属変数, 1日の魚介類及びレバー摂取量又は魚介類別及びレバー摂取量を独立変数として重回帰分析を行い, タウリン摂取量の推定式を検討した結果,"タウリン摂取量(mg/day)=1.909×魚類摂取量(g/day)+6.798×貝類摂取量(g/day)+2.867×その他魚介類摂取量(g/day)+22.95×レバー摂取量(g/day)+14.02"となった (決定係数が73.5%)。<br>以上, 魚類摂取量, 貝類摂取量, その他魚介類摂取量(えび・かに類, いか・たこ類, その他) 及びレバー摂取量から, タウリン摂取量の推定式は, 他の地域の対象者での交差妥当性の検討からも, 20~21歳女子学生において, タウリン摂取量推定の精度, 妥当性も高いものを得ることができた。また, 日常の食事中タウリンの1日摂取量を求めるには, 10%以下の誤差範囲で704日, 20%以下の誤差範囲で176日以上の食事調査をもとに算出する必要性が示唆された。今後, さらに幅広い年齢層や男性においても活用できる食事中タウリン摂取量の推定式の検討を考えている。
著者
木林 悦子 鏡森 定信
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.145-153, 2002-06-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

栄養疫学研究に役立てることを目的として, 20歳女子の食事によるタウリン摂取量と食品群別摂取量の関連より, 魚介類及びレバー摂取量を用いたタウリン摂取量の推定式の開発を試みた。さらに, タウリン摂取量の季節変動や日常の食事中タウリンの1日摂取量を求めるために必要な食事調査日数, 推定式の交差妥当性についても検討を行い, 以下の結論を得た。1) 食事によるタウリン摂取量を従属変数とし, その他の食品群別摂取量 (動物性食品及び海藻類) を独立変数とする重回帰分析の結果, 82%が説明され, タウリン摂取量と魚介類摂取量の間には, 標準偏回帰係数0.60(p<0.001), レバー摂取量との間には, 0.52(p<0.001)で有意な関連が認められたが, その他の食品群については, 関連が認められなかった。2) 食事によるタウリン摂取量を従属変数, 1日の魚介類別 (6分類) 摂取量及びレバー摂取量を独立変数とし, 夏 (6~7月) と冬 (12~1月) の食事調査結果をそれぞれについて重回帰分析し, 比較した結果, 夏と冬のいずれにおいてもタウリン摂取量と魚類摂取量, いか・たこ類摂取量の間に関連が認められたが, タウリン摂取量と貝類及びえび・かに類との間には, 冬においてのみ, レバー摂取量については, 夏においてのみ関連が認められた。3) 日常の食事中タウリンの1日摂取量を算出するのに必要な食事調査日数は, 10%以下の誤差範囲で704日, 20%以下で176日であった。4) 夏と冬の食事調査結果をもとに算出した1日の食事中タウリン摂取量を従属変数, 1日の魚介類及びレバー摂取量又は魚介類別及びレバー摂取量を独立変数として重回帰分析を行い, タウリン摂取量の推定式を検討した結果,“タウリン摂取量(mg/day)=1.909×魚類摂取量(g/day)+6.798×貝類摂取量(g/day)+2.867×その他魚介類摂取量(g/day)+22.95×レバー摂取量(g/day)+14.02”となった (決定係数が73.5%)。以上, 魚類摂取量, 貝類摂取量, その他魚介類摂取量(えび・かに類, いか・たこ類, その他) 及びレバー摂取量から, タウリン摂取量の推定式は, 他の地域の対象者での交差妥当性の検討からも, 20~21歳女子学生において, タウリン摂取量推定の精度, 妥当性も高いものを得ることができた。また, 日常の食事中タウリンの1日摂取量を求めるには, 10%以下の誤差範囲で704日, 20%以下の誤差範囲で176日以上の食事調査をもとに算出する必要性が示唆された。今後, さらに幅広い年齢層や男性においても活用できる食事中タウリン摂取量の推定式の検討を考えている。
著者
加藤 美智子 椿 和文 久下 高生 青江 誠一郎
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.60-68, 2016 (Released:2016-07-12)
参考文献数
20
被引用文献数
3 3

【目的】大麦には,種々の生理作用が報告されているが,大麦β-グルカン抽出物を配合してβ-グルカン含量を増やした場合に,増量に伴う用量依存性が期待できるのか検証した例はない。そこで,本実験では,大麦β-グルカン抽出物を配合した高脂肪食をマウスに給餌し,耐糖能と腹腔内及び肝臓脂肪蓄積に及ぼす影響を評価した。【方法】6週齢のC57BL/6Jマウスに脂肪エネルギー比率50%の高脂肪食を与えた。各飼料中のβ-グルカン含量は,コントロール(C)群0.0%,全粒大麦(B)群1.2%,β-グルカン抽出物添加大麦(B+G)群3.1%,β-グルカン抽出物(G)群5.0%とした。各飼料と水は12週間自由摂取させた。耐糖能試験,肝臓脂質および血清インスリン,レプチン濃度を測定した。また,腹腔内脂肪細胞の平均サイズをコールターカウンターを用いて計測した。【結果】血清インスリン濃度,血糖値−時間曲線下面積は,β-グルカン含量と用量依存性があり,C群に比べ,すべての試験群において有意に低値を示した。脂肪組織重量,脂肪細胞の平均サイズ,レプチン濃度及び肝臓脂質量は,飼料中のβ-グルカン含量と用量依存性が認められた。【結論】大麦β-グルカン抽出物を添加して飼料中の含量を増加することにより,用量依存的に耐糖能異常が起こりにくくなり,腹腔内及び肝臓脂肪蓄積抑制作用が認められた。
著者
向井原 くるみ 太田 雅規
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.185-195, 2021-08-01 (Released:2021-10-02)
参考文献数
42

【目的】幼少期の食べ物の好き嫌いの有無,克服経験や克服の意思の有無が,成人後のストレス対処能力に及ぼす影響を検証することを目的とした。【方法】幼少期の嫌いな食べ物の有無,嫌いな食べ物があった場合は克服経験や克服の意思の有無について,後方視的な調査を行った。質問票はネット調査会社のモニター(20~39歳)約70万人に配信し400人に達するまで回収した。現在のストレス対処能力指標として首尾一貫感覚(Sense of Coherence, SOC)13項目版を用いた。SOCは健康保持力とも呼ばれ,ストレスの多い状況であっても対処し成長の糧に変える力で,下位尺度は把握可能感,処理可能感,有意味感の3つからなる。SOC総得点と共に下位尺度についても検証を行った。【結果】有効回答は94.8%(400人中379人)で,嫌いな食べ物がなかった者は95人(25.1%)であった。嫌いな食べ物がなかった者は,あった者と比較して処理可能感が有意に高い結果であった。嫌いな食べ物の克服意思のあった者はなかった者に比べ,SOC総得点が有意に高かった。克服経験の有無と克服意思の有無を加味したSOCとの関連についての検証では,克服経験の有無とは独立して,意思のあった者はなかった者よりもSOC総得点は有意に高かった。【結論】幼少期に嫌いな食べ物がないこと,嫌いな食べ物を克服する意思を持つことが成人後のSOCを高めるために有効である可能性が示唆された。
著者
瀬崎 彩也子 藤村 夏美 野坂 咲耶 今井 具子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.219-241, 2021-08-01 (Released:2021-10-02)
参考文献数
268

【目的】現在報告されている食事スコアと非感染性疾患との関連についてシステマティックレビューを行い,本研究ではそのうち地中海食スコアの特徴と有用性を明らかにすることを目的とした。【方法】成人を対象に食事スコアで非感染性疾患を評価し,英語・日本語でPubMedに発表された論文(2000年1月~2017年5月)から採択基準により抽出した。スコアごとに分類し,そのうち地中海食スコアの詳細をエビデンステーブルにまとめた。【結果】2,036件の抽出論文より,タイトル574件,アブストラクト902件,本文精読323件が削除され,最終採択論文は237件となった。食事スコアはHealthy Eating Index関連142件,地中海食スコア関連65件,Dietary Quality Index関連34件等に分類された。地中海食スコアはMediterranean Diet Score(MDS)17件,alternate Mediterranean Diet Score(aMed)23件,MedDietScore5件等であった。MDSとaMedは対象集団に依存する相対スコア,MedDietScoreは絶対値スコアであり,いずれも非感染性疾患との有意な関連が報告されていた。【結論】地中海食スコアは対象集団,目的等で使い分ける必要があることが示唆された。今後さらなるエビデンスの蓄積が必要だと確認された。
著者
小野 美咲 中野 修治
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.204-211, 2021-08-01 (Released:2021-10-02)
参考文献数
4

【目的】管理栄養士養成課程の初年次学生に対して,管理栄養士としての将来像を明確化することに重点を置いた導入教育を実施し,導入教育の有効性の検証を行うことを目的とした。【方法】対象はN大学栄養科学科に入学し,授業を受講した学生214名。初年次前期に90分3回,180分1回の計4回実施した。受講前後に目標設定や養成課程における学修の意義の理解,管理栄養士としての就労意欲,目標に対しての努力の実行度などを含む計17項目のアンケートを実施し教育効果を評価した。【結果】すべての教育効果評価項目の受講後の得点は受講前得点よりも有意に高かった。受講初日の将来への目標設定段階の違いにより,向上する教育効果が異なり,進路希望先はあるもののその理由の記述がなかった場合,受講により管理栄養士としての就労意欲が高まった。卒後のビジョンの記述がない場合,受講により管理栄養士資格取得意欲が高まった。対して進路希望理由が明確な場合,および希望する動機付け経験がある場合は,目標に対して実際に努力するという教育効果が向上した。【結論】将来像を明確にすることを主眼とした管理栄養士養成課程初年次学生に対する導入教育としての本プログラムは,受講により教育効果が向上するものであり,さまざまな将来への目標設定段階に対応する教育内容であった。さらなる教育内容の改善が必要ではあるものの,総合的に管理栄養士を目指す気持ちを育む教育の効果があると評価できた。