- 著者
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川端 晶子
澤山 茂
- 出版者
- The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
- 雑誌
- 栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.1, pp.32-36, 1973-01-25 (Released:2010-10-29)
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
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24種類の蔬菜類のペクチンを定量した結果, 新鮮物可食部に対するペクチン酸カルシウムとしての全ベクチン含有量は, 次のようであった。1) 2.00%以上: えだまめの豆。2) 1.00~1.99%: オクラ, かぼちゃ, にんにく, ごぼう。3) 0.50~0.99%: エシャロット, ビート, くわい, じゃがいも, にんじん, やまといも, さやえんどう, ピーマン, さやいんげん。4) 0.10~0.49%: さといも, なす, ルバーブ, うど, たまねぎ, だいこん, かぶ, きゅうり, ししとうがらし, れんこん。全ペクチン中の各抽出区分の比率について, W-Sはごく低く, H-Sがもっとも高いものが多く, つづいてP-Sが高い。H-Sが50%以上をしめるものは11試料, P-Sが50%以上をしめるものが7試料であった。これらのH-S, P-Sは, 細胞膜を形成し, 組織の硬さや水分保持に役立っている。全ペクチン含有量についてのみ考えるならば, 果実類と蔬菜類の間には, 総体的に大差はみとめられなかったが, 化学構造上かなりの相違点が推測できる。今後, これらの問題についても研究を展開して行きたいと考えている。