著者
川端 晶子 澤山 茂 Palomar Lutgarda S.
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.289-299, 1985

フィリピンのメニュー・カレンダー (Your Regional Menu Guide) を資料とし, 要素技術連関解析の手法を用いて, 献立における調理素材と調理法の相互関係の解析を行い, 以下のような結果を得た。<br>1) メニュー・カレンダーに記載されている料理数は3,414件であった。食品の出現頻度の合計は7,732回であったが, 大別して, エネルギー食品群29.1%, 身体構成食品群24.1%, 機能調整食品群41.1%, その他5.7%であった。出現頻度の最も高い食品は玉ねぎで, っづいて, トマト, 植物油, 生鮮魚, にんにく, うるち米の順であった。<br>2) 調理素材の共出現頻度は, 玉ねぎとトマトが470回であり, 連関度は0.6752が求められた。つづいて, 玉ねぎとにんにく, 玉ねぎと植物油, にんにくと植物油, トマトと植物油, トマトとにんにく, 砂糖とココナッツ, 玉ねぎと生鮮魚の組み合わせの順であった。<br>3) 調理法の出現頻度では"煮る"が最も高く, つづいて"生","炒める","揚げる","焼く","蒸す"の順であった。"煮る"と連関度の最も高い食品はうるち米で, つづいて, 玉ねぎ, 生鮮魚, トマト, 砂糖, ココナッツの順であった。"生"ではバナナ,"炒める"では植物油,"揚げる"では生鮮魚,"焼く"でも生鮮魚, "蒸す"ではもち米が最も高い連関度を示した。<br>4) 総括してみるならば, 食料栄養研究所 (FNRI) は, フィリピンの食生活の背景となっている自然, 社会, 文化の諸条件もふまえ, 国民栄養調査の結果をきめ細かく分析したうえで, おすすめメニュー集をカレンダーにまとめ, 誰にでも解りやすく, すぐ役立つ栄養改善の効果をねらったものであるということができる。
著者
石田 裕美 菊池 正一
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.139-145, 1991
被引用文献数
1

成人女子8人 (21~25歳) を対象に, 強制選択3滴法と一対比較強制選択全口腔法を用いて, 塩化ナトリウム水溶液の検知閾値と認知閾値の測定を行い, 測定方法間の比較及び閾値の時刻による変動を検討した。<br>1) 滴下法による測定の幾何平均値 (標準偏差) は, 検知閾値10.3(2.8)mmol/l, 認知閾値28.6(1.9)mmol/l, 全口腔法によるものは, 検知閾値4.9(2.5)mmol/l, 認知閾値16.0(1.7)mmol/lとなり, 両閾値とも全口腔法のほうが有意に低値を示した。<br>2) 滴下法, 全口腔法ともに閾値の時刻による変動は認められなかった。<br>3) 閾値の個人差が認められ, 測定方法間の Spearman の順位相関係数は, 検知閾値<i>r<sub>s</sub></i>=0.92(<i>p</i><0.01), 認知閾値<i>r<sub>s</sub></i>=0.90(<i>p</i><0.01)と有意であった。また測定方法間に, 検知閾値, 認知閾値共通の回帰式<i>y</i>=1.0<i>x</i>-0.3が得られた (<i>x</i>, 滴下法; <i>y</i>, 全口腔法, ともに対数変換値)。<br>4) 方法別にみた両閾値の変動係数に有意差は認められなかった。
著者
赤堀 摩弥 藤浪 正子 川田 典子 佐藤 圭子 小嶋 由美 中村 美詠子 尾島 俊之
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.34-43, 2018 (Released:2018-05-12)
参考文献数
9

【目的】静岡県は他自治体と比較して脳血管疾患死亡率が高く,食塩摂取量も多い。そこで,脳血管疾患対策の1つとして,5年で5%の減塩を目指す「減塩55プログラム」に取り組むこととし,県民の食塩摂取状況の把握ができるチェック票を開発,減塩推進活動に活用することを目指した。【方法】静岡県保健所栄養士のヒアリングによる質的データ,静岡県民102人を対象とした24時間蓄尿データより推定した食塩排泄量及び食物摂取頻度調査票(短縮版)データ等に基づいて,チェック票を開発,さらに,特に減塩をすすめたい働き盛り世代を対象としたリーフレット「ふじのくに お塩のとりかたチェック」を作成した。【結果】チェック票合計点と推定食塩排泄量の間には,有意な正の相関(Pearson相関係数0.402)がみられた。チェック票より3段階にランク付けした場合,各群の平均推定食塩排泄量はおのおの 6.8 g,8.7 g,12.2 gであった。リーフレットは70,000部以上が希望のあった県内の健康保険組合,事業所,医療機関,県栄養士会,薬局,教育機関,保育所等に配布され,県内全ての市町,健康福祉センターで活用されている。【結論】本チェック票は食塩摂取の簡易なスクリーニング・ツールとして使いやすいものとなったため,現在静岡県内の健康教室,イベント等さまざまな場面で活用されている。今後も本チェック票を活用し,静岡県における減塩対策を進めていく予定である。
著者
岡村 吉隆 下井 亜希 藤田 和代 日沼 州司
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.27-33, 2018 (Released:2018-05-12)
参考文献数
16

【目的】本研究は新調理システムの加熱工程において,V.Cの変化が従来の調理法と比較すると,どの程度であるかを明らかにすることを目的とした。【方法】試料はいも及び野菜類7食品とした。フードプロセッサーで粉砕後,分取し水さらし及び冷凍,加熱によるV.Cを測定し残存率を求めた。加熱方法は蒸しと水煮とした。水煮は煮汁も含めて測定した。分析は2,4—ジニトロフェニールヒドラジン誘導体化法を用い,高速液体クロマトグラフで行った。【結果】生のV.C量を100とすると水さらしの残存率は全体で平均23.7±6.0%であった。生を一週間冷凍保存すると残存率の平均は94.7±3.5%であった。蒸し加熱の工程ごとの平均残存率は,加熱69.7±17.8%,加熱後冷凍62.9±15.8%,再加熱53.7±18.0%であった。水煮の平均残存率は加熱56.7±17.7%,加熱後冷凍52.2±17.2%,再加熱45.7±20.8%であった。スライスしたさつまいもは蒸し加熱99.9±1.6%,水煮加熱は84.5±1.8%であった。【結論】フードプロセッサーを用いて粉砕すると,水さらしの残存率は加熱より低かった。生の冷凍は損失が少なかった。加熱と再加熱では再加熱の損失は少なかったものの,新調理システムの加熱工程は,従来の調理法と比較するとV.Cの損失が大きかった。また,水煮加熱は煮汁中のV.Cを含めても残存率は低いことが示唆された。
著者
渡辺 シゲ
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.80-85, 1972

Surveys on relation of dining habit to General health condition were carried out by staffs of Kawasaki Health Center at three different times in 1970. Subjects of the enquêtes were workers of a department-store in Kawasaki City. This report showed a result of 794 women working in the department-store.<br>Over half of the women were under 25 years old. It was considered that the nutritional intake of the subjects in a day was not good according to the content of diet, especially in the group of taking no breakfast. One third of all subjects had habits of two meals a day without breakfast. It was found that 2-meal-group had more complaints of subjective symptoms and fatigue after standing work as sellers than 3-meal-group. And 2-meal-group took rather small kinds of diet although they answered that they took diet with sufficient consideration about health. Therefore it was not thought that they had a sufficient knowledge of nutrition.
著者
邱 昱 中山 玲子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.6-19, 2018 (Released:2018-03-12)
参考文献数
49

【目的】本研究は,中国都市部児童の身体状況と食習慣,食意識・食行動等及び,保護者の食知識・食意識等との関係を,主として肥満について明らかにすることを目的とする。【方法】中国広州市立小学校全学年の児童の保護者1,020人を対象に無記名自己記入式でアンケート調査し,有効回答814人のデータを用い,解析を行った。【結果】児童の身体状況について,肥満・過体重は約20%,軽度やせ・高度やせは約17%であり,女子はやせ傾向児,男子は肥満傾向児が有意に高かった。保護者は子どもの身体状況を適正に認識していなかった。また,身体状況と食生活との関連を検討した結果,児童の肥満と朝食欠食,夕食の不規則性,間食・清涼飲料水・ファストフードの摂取頻度の多さと有意な関連が見られた。身体状況と共食状況との関連を検討した結果,夕食孤食の児童は肥満の割合が有意に高かった。望ましくない食行動を持つ児童は肥満の割合が有意に高かった。また,排便習慣,運動習慣が良くない児童は,肥満の割合が有意に高かった。一方,保護者の食知識について,認知度は20%未満であり,父親より母親は有意に知識が高かった。保護者の食知識と食意識(料理中の注意点)とは有意な関連が見られた。食意識が低い母親より,食意識が高い母親の子どもは肥満の割合が有意に低かった。【結論】中国児童の肥満を予防するため,児童及び保護者に対する飲食・栄養教育を行う必要性が示唆された。
著者
力石 サダ 志賀 康造 金子 精一
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.377-382, 1996

自然農法と慣行農法によって栽培した米の品質について, 官能検査と機器分析によって検討し, 次の結果を得た。<BR>1) 官能検査結果は, 自然農法米は香りを除き, 外観, 味, 粘りの評点が慣行農法米を上回り, おいしい米と立証できた。<BR>2) 機器分析結果では, 自然農法米はアミロース, たんぱく質の値が小さく, このことは粘りのある食味のよい米であることを示していた。
著者
會退 友美 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.174-181, 2016

【目的】保育士と管理栄養士が連携し,スプーン・フォークと箸の正しい持ち方,食事中の正しい姿勢を身につけることをねらいとしたプログラムを実施し,その結果と課題を検討すること。<br>【方法】2014年4~9月,都内A保育所(0~5歳児:59人)にて,3~5歳児(32人)を対象に,食事のマナーに関するプログラムを実施した。プログラムでは,5歳クラスのみ,自分自身で振り返りを行うセルフモニタリングを行った。プログラムの評価方法として,対象児の保護者アンケート,保育士による観察記録,保育士へのインタビュー中のコメントからプログラムの課題を整理した。<br>【結果】プログラムに参加した子どもは,3歳クラス11人,4歳クラス11人,5歳クラス10人で,合計32人(参加率100%)であった。プログラムを実施した結果,食事中の姿勢,スプーン・フォークや箸の持ち方について,保育士から「まったくできない」と評価される子どもの数が少なくなった。また,保護者も子どもの前向きな変化を感じていた。保育士対象のインタビューにおいて,「子どもが楽しんで参加する様子がみられた」という肯定的な回答がみられた一方で,「子どもが飽きずに参加できるように教室の内容に変化をつける必要がある」など,いくつかの改善点があげられた。<br>【結論】プログラムに対する肯定的な意見が得られた一方で,プログラム内容でいくつかの改善点がまとめられた。
著者
坂本 達昭 細田 耕平
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.141-149, 2017 (Released:2017-11-10)
参考文献数
29

【目的】朝食の共食機会がほとんどない中学生の中で,QOL(Quality of Life)が良好な者の家族との食事のあり方の特徴を明らかにすること。【方法】2015年9月に福井県内中学校7校の中学2年生797名を対象に調査を実施し,762名より有効回答を得た。質問項目は,属性,家族との食事のあり方,家の食事の楽しさならびにQOLとした。家族との食事のあり方については,朝食および夕食の共食頻度,平日および休日の夕食の食事時間,食事中に家族が話を聞く程度,食事中に注意される頻度等をたずねた。QOLの測定には中学生用のQOL尺度(Kiddo-KINDLR)を用いた。朝食の共食機会が「ほとんどない」者を,対象者全員のQOL総得点の中央値でQOL高得点群およびQOL低得点群に2分し,両群の家族との食事のあり方を男女別に比較した。【結果】朝食の共食頻度がほとんどない者は300名であり,そのうちQOL高得点群は男子63名,女子56名であった。男女共にQOL高得点群はQOL低得点群と比べ,夕食の共食頻度が高く,食事中に家族がよく話を聞き,家族から注意される頻度が低く,家の食事を楽しいと感じている者が多かった。【結論】朝食の共食機会がほとんどない中学生において,夕食の共食頻度が高いこと,食事中に家族が話をよく聞くこと,家の食事を楽しいと感じていることは,QOLが良好な者の特徴であることが示唆された。
著者
松岡 友美 和木 千尋 重村 智栄子 市川 寛 浅野 弘明 東 あかね
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.126-134, 2011 (Released:2011-07-12)
参考文献数
22
被引用文献数
2

【目的】本研究は,地域の小学校区を介入地域と比較地域に割り付け,小学生の母親を対象に食事と運動の健康教育を実施し,介入の効果を評価することを目的とした。【方法】介入群に対しては12週間に食事指導,運動指導,グループワークを中心とした8回の健康教室を実施し,両群ともに教育前と9週間後に身体計測,体力測定,血液検査,食習慣,食品摂取頻度,運動習慣などの自記式アンケートを行った。22名(24.7%)の脱落者を除外した67名の参加者を解析対象とした(介入群32名,平均年齢±標準偏差(SD):39.6±3.8歳;比較群35名,平均年齢±SD:38.3±3.5歳)。【結果】ベースラインでは,介入群と比較群において30秒間椅子立ち上がり回数を除いて,身体特性や生活習慣に差はみられなかった。介入群では比較群と比べて,運動頻度(p=0.002),果物摂取頻度(p=0.002),野菜料理摂取頻度(p=0.002)が有意に増加した。体力テストにおいて30秒間椅子立ち上がり回数が有意に上昇した。【結論】地域における小学生の母親を対象とした健康教育が食習慣と運動習慣の改善に有効である可能性が示唆された。
著者
高橋 徹三 松浦 義行 大沢 清二 深谷 澄 仲原 弘司 増子 和子 岩井 瑞枝
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.21-29, 1983
被引用文献数
1

茨城県における児童, 生徒の食物摂取の実態を把握し, 栄養指導の基礎資料を得ることを目的として, 昭和52年5月と11月の2回, 小学校89校, 中学校30校の児童・生徒計7,961名を対象に, 金, 土, 日曜日の3日間食事調査を実施し, 合わせて食品摂取と体位, 体力との関連についても検討した。牛乳, 乳製品, 緑黄色野菜に関する結果は次のとおりである。<br>(1) 家庭における1人1日当たり摂取量を5月, 11月のそれぞれ土, 日曜日の計4日の平均値でみると, 牛乳は児童55.8g, 生徒73.3g, 乳製品は児童4.9g, 生徒5.6g, 緑黄色野菜は児童23.4g, 生徒23.0gであった。<br>(2) 学校給食 (金曜日昼) を除く3日間の家庭食についてみてみる。<br>1) 食事別では, 牛乳は間食で最も多くとられ, 夕食で最も少なく, 緑黄色野菜は夕食で最も多く, 間食で最も少なかった。乳製品は間食で2/3が占められ, 朝, 昼, 夕食の摂取量は極めて少量であった。<br>2) 生徒と児童の比較では, 牛乳は生徒のほうが摂取量が多かったが, 乳製品, 緑黄色野菜は有意差がなかった。<br>3) 男子と女子の比較では, 牛乳は男子のほうが, 乳製品は女子のほうが摂取量が多かった。緑黄色野菜は有意差がなかった。<br>4) 5月と11月の比較では, 緑黄色野菜は11月のほうが多く摂取されていた。牛乳, 乳製品は有意差がなかった。<br>5) 牛乳, 乳製品および緑黄色野菜の摂取量にかなりの地域差がみられた。<br>6)摂取量の分布をみると, 3日間家庭で全く摂取しなかったものの割合は, 牛乳は児童53.7%, 生徒45.6%, 乳製品は児童79.6%, 生徒77.8%, 緑黄色野菜は児童16.7%, 生徒13.7%であった (5月)。<br>7) 各食品群の種類別では, 乳製品はヨーグルト類とアイスクリームが, 緑黄色野菜はにんじん, ほうれん草, ピーマンが約2/3を占めていた。<br>(3) 学校給食は家庭での昼 (土, 日曜日の平均) に比べ, 摂取量は, 牛乳は児童16.3倍, 生徒13.6倍, 乳製品は児童14.8倍, 生徒15.1倍, 緑黄色野菜は児童, 生徒ともに3.6倍であり, 金曜日の1日総摂取量のうち学校給食に由来する摂取量の割合は, 牛乳は児童79.0%, 生徒72.6%, 乳製品は児童62.5%, 生徒73.2%, 緑黄色野菜は児童41.8%, 生徒42.3%であった (5月, 11月の平均)。<br>(4) 牛乳, 乳製品, 緑黄色野菜の摂取量はそれぞれ独立して体位, 体力に関連するというよりはむしろこれらの総合的な摂取状況が他の因子とともに体位, 体力に影響することが示唆された。
著者
高橋 リエ 小川 晴子 佐藤 英子 森 文平
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.189-197, 1989 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

日常使用されている15種類の野菜について, 生および加熱後の食物繊維 (DF) 含量, ならびにその変化を, 不溶性DF, 可溶性DFとに分けて, Aspらの酵素・重量法を用いて測定した。実験区は, 生, 水との通常加熱 (2~6.5分), および過剰加熱 (3.5~22.5分) とした。その結果は次のとおりであった。1) 生野菜100g中のDF含量は1.1~6.29で, 不溶性DFと可溶性DFの割合は, 90:10から58:42を示し, 種類による違いが認められた。2) 通常加熱野菜100g中のDF含量は1.4~5.6gで, 不溶性DFと可溶性DFの割合は, 86:14から57:43であった。3) 通常加熱によるDF含量の変化は, 水分を含む試料中で比較すると, 15種類中, ごぼう, さやえんどう, しゅんぎく, 大根, なす, 白菜, ほうれん草, ピーマンの8種類で6~17%の増減が認められた。かぶ, カリフラワー, キャベツ, ねぎ, にら, にんじん, ブロッコリーの7種類では, ほとんど変化が認められなかった。また, 不溶性DFと可溶性DFの含量変化は, 各野菜により違いが認められた。4) 過剰加熱において, 通常加熱よりさらにDF含量に変化が認められたのは, かぶ, カリフラワー, ごぼう, 大根, なす, にんじん, 白菜, ピーマンの8種類で, DF含量は減少した。キャベツ, さやえんどう, しゅんぎく, ねぎ, ほうれん草, にら, ブロッコリーの7種類では, ほとんど変化が認められなかった。この場合の, 不溶性DFと可溶性DF含量の変化は, 通常加熱での変化とほぼ同傾向を示すものが多かった。
著者
新居 昭 小笠原 親子 鈴木 慎次郎
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.95-106, 1971

A total of 56 obese persons took a high fat-high protein diet containing much of vegetable oil, animal protein and vegetables, only restricted in carbohydrate and total calories less than 1, 600 calories per day. The total calories derived from fat, protein and carbohydrate were 50%, 25% and 25% respectively.<br>Almost all the subjects could reduce their body weight by 1-7kg during one month without feeling much hunger and discomfort.
著者
岡崎 光子 矢崎 美智子 豊川 裕之
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.219-226, 1974

Not few investigators have story interest on the relation between food intake and mortality. From the viewpoint of Dr. Kondo, we have also been motivated to survey Yonaguni Island of the Ryukyu Islands.<br>Dr. Kondo suggested that food consumption in this island would be characteristic and biased to the large intake of fish and meat.<br>But nobody can exactly describe the status of food in Yonaguni Island because no dietary survey on its inhabitants has been conducted.<br>We had a happy chance to do make a dietary survey there in October 1973, in jointwork of the Yaeyama Health Center.<br>Subjects; The subjects of this survey were fifty eight families selected at random from three hamlets (Sonai, Kubra and Hikawa)<br>Results; The results are shown below.<br>1. The intake of calories, protein, fat and vitamin C was estimated to be higher than the average of the Japanese National Nutrition Survey of 1971.<br>On the other hand calcium and vitamin B<sub>2</sub> was estimated as fairly lower than national levels.<br>2. In comparison with those surveys, the amount of several food items; fish, meat, green and yellow vegetables in Yonaguni are estimated to be higher than the National Level and Okinawa Island.<br>3. Food intake patterns differ among the three hamlets, which compose the community of an isolated island.<br>4. On the other hand, there is little difference in food preparation among them.<br>5. From above it may be said that the dietary intake of the hamlets is in unity, whereas food preparation is definite as the whole island.