著者
馬路 泰蔵
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.259-266, 1981-11-25 (Released:2010-10-29)
参考文献数
7

We studied the cooking abilities of 6th graders of a primary school, 3rd graders of a junior high school, and juniors of a university.1) In every case, males were found to have poorer cooking skills than female students, and they had fewer occasions of participating in cooking at their homes.2) Among university students, both male and female students who cook generally for their families showed better cooking skills.3) There are many males who can cook simple dishes as well as main dishes. However, only a few can cook elaborate dishes or those accompanying the main dishes.
著者
工藤 美奈子 峯木 眞知子 和田 涼子 髙田 和子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.121-129, 2018-10-01 (Released:2018-11-06)
参考文献数
23

【目的】高齢者施設におけるエネルギー必要量の推定方法として,高齢者施設内での生活活動を基にした身体活動量の質問紙を作成し,加速度計や角度計による測定との比較から質問紙の有用性を検討する。【方法】対象者は介護保険施設3施設に入所している70歳以上の16名とした。身体活動量の質問紙は,改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』を参考に作成し,施設の介護者に記入してもらった。同時期に加速度計と角度計による身体活動量調査を4日間行い,臥位,座位,立位の姿勢別時間を求めた。その姿勢別活動時間に活動強度(臥位1.0,座位1.4,立位 1.8 METs)を乗じて1日当たりの身体活動量を算出した。【結果】質問紙による1日の姿勢別活動時間の中央値は,臥位18.00時間,座位5.75時間,立位0.50時間で,身体活動量は 26.50 METs・時/日であった。加速度計による身体活動量は 28.04 METs・時/日,角度計では 26.96 METs・時/日で,3つの評価法による測定値には有意な差は認められなかった。【結論】質問紙から得られた結果に対し客観的指標である加速度計と角度計の身体活動量の差は小さかった。このことから,介護者が質問紙を用いて高齢者施設入所者の睡眠,入浴を除く日常生活活動についての姿勢を把握することにより,加速度計や角度計による測定と同程度の精度で身体活動量を推定できる可能性が示唆された。
著者
石長 孝二郎
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.99-108, 2018-10-01 (Released:2018-11-06)
参考文献数
29

【目的】がん治療対策食を考案するための予備的検討として,女子大学生を対象に,食材の温度とアンモニア混入時の食物臭に対する快・不快の相違を検討した。【方法】観察研究用の食材試料は煮魚煮汁とグレープフルーツ果汁,さらに各々に0.1%アンモニアを混入した試料の計4種類とした。食材試料の温度は 25°Cと 55°Cとし,ニオイ分析はにおい識別装置を用いた。また,女子大学生へのニオイに対する快・不快の評価はビジュアルアナログスケールで実施した。【結果】食材試料を55°Cに加温すると,煮魚煮汁は不快な気分となるが,グレープフルーツ果汁は快(心地よい)な気分のままであった。次に室温 25°Cで,試料に0.1%アンモニアを混入すると,煮魚煮汁は不快な気分が強くなるが,グレープフルーツ果汁は快な気分が維持されていた。しかし,今まで快な気分を維持していたグレープフルーツ果汁が0.1%アンモニアの混入と 55°Cの加温の2つの条件が加わると急激にビジュアルアナログスケール得点の低下が起こった。【結論】グレープフルーツ果汁は悪臭を中和もしくはマスキングする可能性が示されたが,その反応はある一定レベルの状態でプラトーに達し,残った悪臭が加温により上昇気流にのり,嗅上皮の嗅細胞にたどりつき,主観的な快な気分を打ち消した可能性が考えられた。
著者
小池 恭子 河嵜 唯衣 玉浦 有紀 赤松 利恵 酒井 雅司 藤原 恵子 鈴木 順子 西村 一弘
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.130-137, 2018-10-01 (Released:2018-11-06)
参考文献数
26

【目的】保存期慢性腎臓病(CKD)患者において,食事療法に対する意思決定バランスを属性ごとに比較する。【方法】2016年2月~9月,都内1病院に通院するCKD患者54名を対象とし,食事療法に対する有益性,障害の項目を含む質問紙調査を実施した。初めに,各項目の人数分布を算出した。その後,有益性,障害の合計得点と性別,年齢,BMI,eGFR,糖尿病既往歴,調理担当者の項目でMann–Whitney U検定を用いて比較した。合計得点で有意差もしくは有意傾向のみられた属性は,各項目で得点を比較した。【結果】対象者54名中,男性は27名(50.0%)であった。有益性,障害の各々の合計得点と属性を比較した結果,有益性では有意差はみられなかったが,障害では,性別と調理担当者の2つの属性で,合計得点と有意差もしくは有意傾向がみられた(各々p=0.034,p=0.057)。障害の項目別では,「食事療法を行うと,食事の準備や選択に手間がかかる」の項目で性別に有意差がみられ,女性(2.0(2.0,4.0)点)よりも男性(4.0(3.0,5.0)点)の方が(各々中央値(25,75%タイル値)),食事の準備や選択に手間がかかると回答していた(p=0.02)。【結論】保存期CKD患者において,食事療法に対する有益性では属性による差はないが,障害では性別や調理担当者により捉え方が異なることが示唆された。
著者
合田 敏尚 高瀬 幸子 大石 邦枝 蒔田 和子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.235-241, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
6

静岡県内の都市及び都市近郊に住む幼児から高齢者 (3~69歳) の1,395人を対象に, 牛乳飲用の習慣と牛乳に対する嗜好の加齢変化を調査し, 以下の結果を得た。1) 各年齢階層別にみた牛乳飲用量の度数分布をみると, 各年齢階層での牛乳飲用量が1日当たり“1杯以上2杯未満”の者の分布が大であった。“2杯”以上の者は中高年齢層で減少し, 逆に“0杯”の者が増加した。2) 各年齢階層別にみた牛乳嗜好度 (5段階評価) の分布に特色がみられ, 牛乳の“好き”な者は若い年齢層に多く, 中高年齢層で減少した。牛乳の“嫌い”な者は中高年齢層で増加し, 50歳代では20歳代の約2倍に増加した。3) 牛乳不耐症の経験者と思われる者は, 20歳未満の年齢では少ない (5~6%) が, 20歳代から増加し始め, 30歳代以上では約1/4の者がその経験者と思われた。4) 総体的に, 加齢に伴う1日当たりの牛乳摂取量の減少と牛乳に対する嗜好度 (5段階評価) の低下が, 男女ともに観察された。成人層では年齢と牛乳摂取量との間に負の相関がみられ, 女性の場合にはその傾向が顕著であった (p<0.001)。それらの減少傾向の過程では女性の場合に特色がみられ, 20歳代後半と50歳代に牛乳摂取量及び嗜好度の上昇ピークが観察され, 前者は妊娠・授乳のための, 後者は閉経後の骨粗鬆症予防のためのそれらピークの出現と思われた。
著者
山岸 恵美子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.287-293, 1995

1962~1992年度の給食管理実習における献立と調理法及び食品の購入価格について調査検討し, 次の結果を得た。<br>1) 主食の様式はいずれの年度も米飯を主とする和風が多く, 特に1982年度以降は71~85%に達した。内訳は, 白飯と変わりご飯が最も多かった。<br>2) 主菜の様式は, 1972年度以降では和風よりも洋風が多かった。主菜の調理形態は, 揚げ物と焼き物で57~80%を占めていた。また, 1980年度以降は, 豆腐やおからを挽肉に混合した和風ハンバーグや鶏肉のみそ焼きなど和風形態の焼き物が出現し, 動物性脂肪の摂取を抑制した食生活が認められた。<br>3) 副菜の様式では, 和風が52~89%と多かった。調理形態は和え物が8~67%, 煮物が4~29%であった。<br>4) 漬物はほとんどが, はくさい, キャベツ, きゅうりなどの即席漬であったが, 摂取頻度は経年的に減少し, 1986年度以降は5%以下となり, 減塩を意識した食生活が認められた。<br>5) 本学における実習の献立は, 和・洋・中華の混合型が多く, この形態は栄養面や価格面などの視点からは合理的な献立であることが示唆された。<br>6) 汁物は1978年度以降, みそ汁が33%以下に減少し, すまし汁とコンソメスープが増加した。<br>7) デザートは経年的に著しく増加し, その調理形態も生鮮果実類をそのまま切断したものから, 果実類を寒天で固めたものやヨーグルト和えに変化した。<br>8) 38種類の食品の購入価格の年次推移は, 卵類, 砂糖類では2倍以下, 鯨肉を除く獣鳥肉類, 乳類, 油脂類, 調味料の一部は2~3倍, 精白米, みそ, 温州みかんは約5倍に上昇していた。<br>9) いも類, 魚介類, 野菜類の購入価格は, 食品の種類によって大差があった。魚介類では, さんま, さば, あじ, たら, するめいかなどが11~18倍に上昇して, 食費の9.6倍を上回っていた。<br>10) 1食の食費に占める穀類, 魚介類, 獣鳥鯨肉類, 乳類・卵類, 野菜類 (いも類含む), 果実類の価格の変動比率を食品群別に検討すると, 穀類が経年的に低下して, 1962年度の36%が1992年度では16%を示した。<br>11) 1食の食費に占める魚介類の価格の比率は5~14%で, 獣鳥鯨肉類の9~28%よりも低かった。また, 乳類・卵類は両者合わせても4~9%であった。<br>12) 1食の食費に占める野菜類 (いも類含む) の価格の比率は, 摂取量の増加に伴い上昇し, 1962年度の15%が1992年度では27%になった。果実類は1962年度1%, 1992年度7%で食費に与える影響は少なかった。
著者
岡野 節子 水谷 令子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.377-384, 1995 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

パンからの食塩摂取量を減らす目的で, 無塩あるいは低塩のパンの調製に関する実験を行った。食塩添加量の異なるパンを調製して, その焼成と内相の物性を調べた。結果は以下のようであった。1) パンの比容積は, 食塩添加量が多くなるに従ってわずかに大きくなるにすぎないが, 食塩を0.5%以上添加したパンは食塩0%パンに比べてきめが細かくなった。内相の物性には食塩添加による影響はほとんどみられず, 食塩無添加でも満足できるパンを作ることができた。2) しかし, 冷凍製パン法においては, 食塩の影響は異なった。2週間-20℃で貯蔵した生地で焼いた食塩0%パンでは, 比容積と内相の外観は食塩を加えたパンとほとんど同じであったが, 内相の物性には食塩の影響がみられた。食塩添加量の増加に伴って内相は軟らかくなり, 圧縮した後の戻りが大きくなった。食塩0%パンでは, 破断試験中に組織が壊れた。冷凍製パン法の場合, 小麦粉に対して0.5%の食塩量で適当な品質のパンが得られた。
著者
岡野 節子 水谷 令子 岩崎 ひろ子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.101-105, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
6

かぼちゃ, にんじん, 抹茶をそれぞれ添加した食パンを調製して, パンの比容積と物性値の測定を行い, 次のような結果を得た。1) パンの比容積は, かぼちゃ双びにんじんを20%添加したものが, 対照と同じかやや大きく, 添加量が増加するに従い比容積は小さくなった。しかし, にんじん (ゆで) は, 添加量を多くしても対照とほとんど変わらなかった。2) かぼちゃパンは, 硬さ, 弾性率において, かぼちゃ添加量が多くなるに従い大きい値となり, かぼちゃを添加することによりパンは硬くなった。緩和率においてもかぼちゃを添加すると大きくなり, 圧縮した時に回復の悪いパンになることが分かった。3) にんじん (生) パンは添加量が多くなっても, 硬さ, 弾性率とも小さい値でやわらかな良質のパンをつくることができた。4) 抹茶添加では, 小麦粉に対して2.5%添加すると, 膨化性, 物性ともに悪くなり, 良質のパンをつくることはややむずかしかった。以上より, パンの焼性からみると, かぼちゃ, にんじんは小麦粉に対して40%程度, 抹茶は2.5%以下の添加が適当であると思われる。
著者
石見 佳子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.117-127, 2016 (Released:2016-11-16)
参考文献数
22

【目的】健康食品は人びとの日常生活で利用されてきているが,その有効性と安全性について科学的根拠に乏しいものも市場に出回っている。筆者らは,食の安全確保を目的として,特に骨及び関節に関連する健康食品素材について,有効性評価及び健康影響評価を行った。【方法】健康食品素材を骨粗鬆症または関節症モデル動物に混餌により摂取させ,28日間反復投与試験を実施した。一部の素材については,国立健康・栄養研究所倫理委員会の承認を得て,閉経後女性を対象に無作為割付比較試験を実施した。【結果】大豆イソフラボンについては,動物試験において骨に対する作用と生殖器官に対する作用で用量依存性が異なること,ヒトを対象とした介入試験において,骨に対する作用の一部はその代謝産物であるエクオールの産生に依存することが明らかになった。一方,ビタミンKについては,健常な閉経後女性において,骨の健康維持の観点からは不足している可能性があること,さらにメナキノン—4 の摂取により,骨代謝が改善される可能性が示唆された。コラーゲンペプチド,メチルスルホニルメタン,スピルリナ,レスベラトロールについては,過剰摂取は避けるべきであることが示された。【結論】今般,新たな機能性表示食品制度が創設されたことを踏まえると,健康食品の有効性評価及び健康影響評価は,レギュラトリーサイエンスの領域の中で引き続き重要な課題であると考えられた。これらの研究は,消費者の食の安全確保につながるものである。
著者
小野 房子 大松 孝樹
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.19-23, 1974

東京農業大学厚木農場他7県産の玄米を試料として米のナトリウム及びカリウム含有量を調べた。<br>玄米にはカリウムが多量に含まれ258.1±20.0mg%であったが, ナトリウムはきわめて少量しか含まれていない。玄米を歩留り90%に精白するとカリウムの約1/2は米糠中に移行した。精白米を水圧式洗米機で洗米すると精白米のカリウムの約36%が流失した。<br>東京都内6病院の米飯のナトリウム含有量は4.6±0.7mg%, カリウム含有量は26.7±1.4mg%でいずれも余り差異がなかった。
著者
赤松 利恵 永井 成美 長幡 友実 吉池 信男 石田 裕美 小松 龍史 中坊 幸弘 奈良 信雄 伊達 ちぐさ
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.110-119, 2012 (Released:2012-04-24)
参考文献数
27
被引用文献数
2 1

【目的】管理栄養士教育の到達度を評価するために作成したコンピテンシー項目のうち,基本コンピテンシーの高い学生の特徴について検討することを目的とした。【方法】2010年12月に管理栄養士養成施設(111施設)に自記式質問紙を送付し,102施設の4年次在籍者より6,895人の有効回答を得た(推定回収率75.7%)。40項目のコンピテンシー(5段階評価,基本4項目,共通29項目,職域別7項目)の他,属性(性・年齢,卒業後の進路状況等)をたずねた。基本コンピテンシー合計得点の10・50・90パーセンタイル値(十分位数,decile)を基準に4群に分け(得点の高い順よりD4,D3,D2,D1),属性,共通・職域別コンピテンシーの得点を比較した。【結果】97.6%が21~25歳であり,90.1%が女性であった。基本コンピテンシーの4群の分布は,D4:662人(9.6%),D3:3,113人(45.1%),D2:2,166人(31.4%),D1:948人(13.7%)であった(欠損6人,0.1%)。基本コンピテンシーの高い群(D4)に比べ,基本コンピテンシーの低い群(D3~D1)で,女性,既卒者,社会人経験者,卒業研究実施者,国家試験受験予定者が少なかった。また,基本コンピテンシーの低い群では,就職内定者が少なく,さらに,管理栄養士を採用条件とする就職内定者が少なかった。共通・職域別コンピテンシーの全ての項目で,基本コンピテンシーの高い群の得点は高かった。【結論】基本コンピテンシーの高い学生の特徴として,卒業研究の実施,国家試験受験の他,就職・進学が内定していることが示された。また,基本コンピテンシーが高い学生は,その他のコンピテンシーも高かった。
著者
豊瀬 恵美子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.99-106, 1985

商船船員は海上生活者で, 陸上生活者と異なり, 情報化社会から隔たった社会ということができる。その上, 職住一体であり, 仕事休みの時も同じ環境にいる。<br>このように, 特殊な環境で生活する商船船員の健康を管理する上で, 食事量, 食欲, 気分 (快感, 不快感に関する心の状態) について, どのような意識をもって食事をとっているかを知り, 食事作りに対応することは必須のことである。<br>このような観点から, 航海中の船員の食事量, 食欲, 気分について調査を行い, <i>x</i><sup>2</sup>検定および林の数量化理論第III類により解析し, 検討して以下のように要約した。<br>1) 食事量では,"多い"で朝食と昼食に有意の差がみられた (<i>x</i><sup>2</sup>検定)。<br>2) 食欲では,"旺盛"で夕食,"少ない"で朝食と夕食に, 気分では"不快"で朝食に有意差がみられた (<i>x</i><sup>2</sup>検定)。<br>3) 林の数量化理論第III類による食事意識の解析結果, 第1および第2相関比軸の2次元表現図による各変量のグループ分けによる船員の食事意識は3つのグループに分かれた。 Iのグループは食欲・気分はふつうだが量が多いと思っている人々, IIのグループは食欲がなく不快で食事に不満をもっている人々, IIIのグループは食欲旺盛, 気分快適で船内食に不満をもたない人々であった。
著者
Satomi Maruyama Aoi Kurokawa
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.Supplement, pp.S12-S22, 2018-07-01 (Released:2018-08-28)
参考文献数
25
被引用文献数
4

Objective: This study aimed to outline the operation of the Japanese school lunch system with reference to the cooking delivery system, operation organization, finances, and management resources, in addition to discussing the development of a sustainable school lunch system.Method: Laws and public notices, and general statistical surveys of the relevant government bodies and municipalities published on the Internet have been cited to enable foreign countries to utilize the discussed contents in the implementation of such programs in their country.Results: Japanese school lunches are systematized and operated under the guidance of the Board of Education of the Prefecture or designated city and the Board of Education of the municipality based on the laws established by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology. The operation system has been developed to ensure continuous safety management to avoid health hazards owing to school lunch consumption.Conclusions: The School Lunch Act and many other laws and regulations related to the school lunch enabled the establishment of a sustainable system for the provision of school lunch in Japan. Japan employs a cooking delivery system in which designated personnel decide and establish an organized system according to specific guidelines. These factors helped construct this sustainable system.
著者
臼谷 三郎 西山 邦隆 木田 和幸 山内 登 苅谷 克俊 秋元 義巳 森山 明夫
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.21-26, 1985

PMD患者の体重とBMR測定値に関する資料を収集し, 患者のBMを予測する方法について検討し, 次の結論を得た。<br>1) 体重偏差値 (<i>x</i>) と%BMR (<i>y</i>) との間には, 統計的に有意な逆相関を認め, 前者に対する後者の回帰直線として, <i>y</i>=-0.99<i>x</i>+178.1が得られた。<br>2) 患者の体重値があれば, 上式を用いて%BMRを算出し, これから体重補正係数を求める。次いで, 該当年齢の基礎代謝基準値に体重補正係数を乗じて予測BMRを算出し, これに, 実測体重値を乗じるという簡単な手技で, 年齢に関係なく患者のBM値を予測することができる。<br>3) 上式は, 体重偏差値30~120%, %BMR60~160の範囲のものに適用できる。上式を用いて, 患者個人の予測BM値と実測BM値との偏差率を検討すると, 84.4%のものが, 偏差率±15%以内に分布していた。ゆえに, 上式を男子PMD患者のBMR (kcal/kg/日) 予知式として提案した。
著者
小林 奈穂 村山 伸子 石田 裕美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.41-50, 2015 (Released:2015-07-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】料理別と主食副食別の2種類の目測による摂取量把握を行い,これら2つの目測方法の妥当性の比較および料理区分別の目測値の特徴を明らかにすることを目的とした。【方法】サンプル献立として3日間の料理を作り,架空の喫食者モデル10名分の喫食状況を基に研究協力者が残菜トレーを作成した。管理栄養士養成課程4年生が判定者となり,判定者10名全員が全ての残菜を目測した。目測は料理別と主食副食別の2種類を実施し,実測として秤量を行った。目測方法は,提供前の料理と食事後の残菜を比較し,残菜量から摂取量を推定し10段階で評価した。【結果】目測値と実測値の相関は,ほとんどの料理区分で高い相関を示す判定者が多かったが,副食では他の料理区分と比べ低い相関結果となる判定者が多かった。目測値と実測値の差の検定では,主食や半固形状の主菜では目測値が有意に高い判定者が多く,乳製品や間食では目測値が有意に低い判定者が多かった。副食については,誤差の平均値は小さいものの,判定者によって誤差の有無や高低が違い,評価結果にばらつきがあった。また多くの料理区分で,食べ方が半分くらいあるいは少しの場合に目測誤差が大きかった。【結論】2つの目測方法の妥当性の比較結果およびその特徴が示された。主食副食別目測は,料理別目測と比べて実測との相関が小さく,判定者によって評価が異なることから,料理別目測よりも妥当性が低いことが示された。
著者
長谷川 いずみ 井上 喜久子 石井 恵子 樋口 満
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.59-66, 2000-04-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

高校スピードスケート部に所属する男子選手8人のビタミンB1及びビタミンB2の栄養状態を評価するために, ビタミンB1及びビタミンB2の摂取量調査と, 血液によるビタミンB1及びビタミンB2の栄養状態の指標を, 1年半の間に4回 (シーズンオフ, シーズンにそれぞれ2回ずつ) 分析した。いずれの調査においても, 1日当たりの平均ビタミンB1摂取量 (1.6~2.5mg) はビタミンB1の所要量 (生活活動強度III: やや重い) を上回っていたが, 数人の男子選手はその所要量レベル (1.3mg/日) よりも低かった。何人かの選手はTDP添加効果でみると不十分なビタミンB1栄養状態であり, スピードスケートのシーズン中はその割合が増加してくる傾向がみられた。平均のビタミンB2摂取量 (1.9~2.3mg) は, どの調査でもその所要量レベル (1.8mg/日) を上回っていたが, 何人かの選手の摂取量は所要量より低かった。シーズン中は2人の選手がFAD添加効果でみると, 不適切なビタミンB2を栄養状態であった。これらの結果は, 若いスポーツ選手が良好な血中ビタミンB1及びビタミンB2栄養状態を保持するためには, ビタミンB1及びビタミンB2をそれぞれの所要量よりも多く摂取する必要があることを示唆している。また, 若い選手のビタミンB1及びビタミンB2栄養状態を改善するためには, 個人対応の食事指導が重要であると考えられた。
著者
関根 豊子 高橋 裕子 井上 喜久子 樋口 満
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.79-86, 2001-04-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
32
被引用文献数
1

本研究では, 大学女子テニス選手及び一般学生を対象に, 水溶性ビタミン (VB1, VB2, VC) の摂取状況調査と栄養状態の評価を行った。テニス選手サプリメント摂取者は, 非摂取者, 一般学生よりも有意に多くエネルギーを摂取していた。サプリメントを摂取していないテニス選手, 一般学生ともに, VB1を「第六次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準-」の基準量以上摂取していたが, TDP (チアミン2リン酸) 添加効果は境界域の値を示した。テニス選手サプリメント非摂取者の摂取量(mg/1,000kcal) とTDP添加効果の間には, 有意な負の相関がみられた。得られた回帰直線から, TDP添加効果が正常基準範囲の上限値 (18%) に相当する摂取量を求めると0.60mgであった。テニス選手サプリメント非摂取者, 一般学生ともに, VB2を「第六次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準-」の基準量以上摂取しており, FAD (フラビンアデニン2ヌクレオチド) 添加効果は正常基準範囲の値を示した。また, テニス選手サプリメント摂取者は, VB1, VB2ともに基準量を大きく上回った摂取量で, それらの栄養状態も良好であった。VCの摂取量は, テニス選手サプリメント摂取者, 非摂取者とも「第六次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準-」の基準量以上であったが, 一般学生は基準量をやや下回っていた。全対象者ともに血漿VC濃度は基準範囲であった。
著者
梶本 五郎 笠村 貴美子 遠藤 義臣
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.153-156, 1962

チキンラーメンに0.5%BHAアルコール溶液及び0.5%グリセリンと水の溶液 (3:2) を材料重量に対し0,01%になるよう噴霧し, 室内に60日, 100日放置し, 放置後のラーメンの揮発性塩基性窒素量及び抽出油の性状を求めた。<br>その結果, 無添加ラーメンに比べ, 揮発性塩基性窒素, 酸価, 過酸化物価等は, 値が低く, 即ち防腐性及び酸化防止性を示した。<br>又BHAアルコール溶液噴霧とBHAグリセリン溶液噴霧法では, BHAアルコール溶液噴霧法の方が酸化防止性及び防腐性共にすぐれていた。
著者
栁川 由布子 赤松 利恵
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.57-64, 2018-06-01 (Released:2018-07-11)
参考文献数
24

【目的】中学生の体格に関連する生活習慣を検討すること。【方法】2015年6月福島県教育委員会が県内公立中学校16校の中学2年生1,980人を対象に実施した「食生活に関するアンケ-ト」のデータを用いた。体格の判定は,肥満度≦-10%を低体重,-10%<かつ<10%を標準,≧10%を過体重とした。男女別に生活習慣を独立変数,従属変数を体格とし,χ2 検定と多項ロジスティック回帰分析を用いて検討した。【結果】1,904人(有効回答率96.1%)を対象とした結果,男子では食べる速さが速い者に低体重が少なく[オッズ比=0.57(95%信頼区間=0.33~0.97)],おやつの頻度が週4日以上の者に低体重が多かった[1.68(1.12~2.52)]。運動を体育以外しない者[2.48(1.47~4.18)],食べる速さが速い者に過体重は多く[1.59(1.02~2.47)],おやつの頻度が週4日以上の者に過体重が少なかった[0.42(0.26~0.67)]。女子ではおやつの頻度が高い者に低体重,テレビ等の時間が2時間以上の者に過体重が多かった。【結論】中学生の男子では食べる速さが普通・遅い,おやつの頻度が高いことは低体重,食べる速さが速い,おやつの頻度が低い,運動習慣がないことは過体重に関連していた。女子ではおやつの頻度が高いことと低体重,テレビ等の時間が長いことと過体重が関連していた。