著者
中田 和義 和田 信大 荒木 晶 浜野 龍夫
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.263-274, 2005-09-20
参考文献数
35
被引用文献数
3

テナガエビ類を効果的に採集できるエビ篭の構造と使用人工餌料について検討するため、1)エビ篭に入れた人工藻体、2)エビ篭の入り口の直径、3)エビ篭に用いる人工餌料がテナガエビ類の採集効率に及ぼす効果を調べる野外実験を実施した。エビ篭に人工藻体を入れ、篭の内部をテナガエビ類の隠れ場所に似せても、採集個体数は変わらなかった。一方、エビ篭の入り口の直径は採集個体数に大きく影響し、採集効率は直径40~50mmで最適であったが、40mmは50mmよりもモクズガニの混獲を防ぐ効果が高かった。人工餌料の実験では、餌料1(ウナギ育成用配合飼料)、餌料2(餌料1にイカ内臓ソリュブル吸着飼料とオキアミエキスを混ぜた餌料)ともに冷凍サンマと同等の採集効果を期待できた。以上の結果から、テナガエビ類の採集では、入り口の直径を40mmとしたエビ篭に、常温での長期保存が可能で、餌料2よりも安価な餌料1を用いる方法が良いと結論づけた。これらの条件を伴うエビ篭と、市販のカニ篭(餌料は冷凍サンマ)を用いて、8河川4湖沼で採集比較実験を行ったところ、テナガエビ類はエビ篭のみで採集され、エビ篭はテナガエビ類の採集に有効であることが示された。また、このエビ篭は他のエビ類やザリガニ類に対しても採集効果が高かった。
著者
西内 康浩 吉田 孝二 橋本 康
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5-6, pp.227-235, 1971-03-30 (Released:2010-06-30)
参考文献数
38
被引用文献数
1

1. ドジョウおよびコイ稚魚にたいする農薬の影響をしらべ, 農薬にたいするこれら供試生物問の感受性の差異について比較検討した。2. 結果は供試した53種類の農薬にたいしてコイおよびドジョウは以下のような多少の相違は認められたが概して近似した感受性を示した。ドジョウの方がコイよりも高い感受性を示す薬剤しとてはアルドリン, テロドリン, ヘプタクロル, ベンゾエピン, DEP (デイプテレックス), ダイアジノン, PMP (PMP. アッパ), CBA (ミノコール) およびEDDP (ヒノザン) 等があげられ, ダイアジノンがやや著るしい傾向が認められ, これとは逆に, コイの方がドジョウより多少高い傾向にあるものとしてはEPNおよびTPN (ダコニール) が上げられ, コイの方が高いものとしてはMCPCA (マピカ) が上げられる。
著者
村野 正昭
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.159-165, 1963-10-10 (Released:2010-03-09)
参考文献数
2

霞ガ浦より採集したイサザアミの胃内容物調査, 稚イサザによる飼育実験ならびにその観察から食性について検討を加えた。イサザアミは泥土上より餌料を得, プランクトンの捕食はまれである。泥土上において利用するものは大量のプランクトンの遺骸ならびにその分解の進行した有機残渣, およびそこに繁殖する輪虫類, 貧毛類, 繊毛虫類, 緑藻類, 珪藻類などである。
著者
村野 正昭
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.19-30, 1964-06-30 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11
被引用文献数
1

1) イサザアミ, Neomysis intermedia CZERNIAWSKYの生活史のうち主に生殖に関し報告した。2) 雌雄の判別は成熟した個体においては雌では哺育嚢, 雄ではペニス, 第1触角基節の葉状片および伸長した第4腹肢外肢をそれぞれ保有することにより可能である。3) 雄に比し雌は大きい。4) 雌雄比はおおむね1: 1であるが, 時に一方に偏することがある。5) 主な産卵期は3月中旬より10月までであるが, 夏季7, 8月は産卵に好適な季節とは認め難い。6) 産卵群は越年型と当年型とに分けられ, 前者は前年の秋に生まれたもので3~6月に, 後者は越年型より生まれたもので4~10月に産卵を行なう。7) 産卵数は1~46粒が観察されたが, 春秋季に多く夏季に少ない。8) 哺育日数は30℃で6日, 25℃で7日, 21℃で8~9日であるが低温期には最高20日が記録された。9) 生存期間および産卵回数は越年型で5~7ケ月生存して3~6回, 当年型では2~2.5ケ月生存して2~4回が推定される。10) 1年に7~9回の世代の交替があるものと推定される。
著者
村野 正昭
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.109-117, 1964-10-30 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7

1) イサザアミ, Neomysis intermedia CZERNIAWSKYの生活史のうち, 特に成長に関する部分を報告した。2) 交尾は夜間に産卵のたびに行なわれ, 単為生殖や貯精嚢を保有するようなことはない。3) 哺育嚢内にける成長は, その間に2度の脱皮が行なわれるため3つのstageに分けることができる。前期は卵の時代であり, 卵膜を脱いで中期に入る。中期はまが玉状で附属肢の原基が生じる。後期には附属肢, 眼が完成し, ほとんど親と同形になる。4) 孵化は日没後まもなく行なわれる。5) 脱皮も夜間に行なわれ, 脱皮のための斃死はほとんど認められない。6) 孵化後の成長は成熟するまでは0.06mm/dayで直線的であるが, 成熟後は極端に衰える。7) 年間を通じての生物学的最小形は甲殻長2.2mm, 最大形は4.7mmである。
著者
村野 正昭
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.149-158, 1963-10-10 (Released:2010-03-09)
参考文献数
22

1) イサザアミの分布は太平洋側では霞ガ浦, 日本海側では河北瀉以北の海跡湖沼に限られている。2) 本種を対象とした漁業が行なわれているのは厚岸湖, 霞ガ浦, 北浦, 涸沼および河北瀉である。3) イサザアミは天然摂料としてすぐれ, 本種を産する湖沼においては多くの魚種の主要餌料となりている。4) 特にワカサギとは密接な関係にあり, 霞ガ浦において漁獲される1, 000トンのワカサギの43.7%, 約440トンはイサザアミにより生産されている。5) 霞ガ浦においては年間5, 000トンあるいはそれ以上のイサザアミの増殖がみられる。6) イサザアミは富栄養湖にみられる大量の動植物プランクトンの遺がいを, より高次の生産段階へ送る役割を果し, 循環を能率的にしている。
著者
石田 健次 由木 雄一
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.241-247, 1996

島根半島沿岸のクロメの茎状部, 葉状部および付着器の季節変化を観察し, 大型個体の脱落を調べた。その結果, 葉状部は12~1月が最も短く, 4~5月に最も長くなったが, 新生側葉は1月に最も多く, 6~7月に最も少なくなり, 両者は相反した傾向を示した。<BR>一方, 茎状部の生長は同じ生育場で個々にかなりの違いがみられ, 一定の傾向を示さなかった。また, 仮根の発出は年1段, 10月~翌年4月に行われた。これより, 仮根の段数は年齢形質として有効で, 満年齢を表し, 群落内のクロメは寿命が6年前後と推定された。また, 茎状部断面では生長輪が観察されず, 生長輪を年齢形質として使用できなかった。汀線では9~12月にクロメの大量漂着がみられたが, クロメの付着基質からの脱落には波浪の影響よりも, この時期に固着力が低下することが関係していると考えられた。島根県鹿島沿岸のクロメ群落では, 3月に幼体が目視され始め, 9~12月に成体の脱落を毎年繰返すが, その群落更新の程度は年によって異なるものと考えられた。
著者
佐々木 剛 猿渡 敏郎 渡邊 精一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.117-118, 2002-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7
被引用文献数
1

The Strontium: Calcium (Sr: Ca) ratio from an otolith section of three-spined stickleback, Gasterosteus aculeatus (L.) was examined in samples taken from the Hei River mouth, and the Gensui district of Otsuchi in the coast of Iwate, Japan. The samples were analyzed using an electron probe X-ray micro analyzer (JEOLJXA 8600) . While the otolith from the Hei River showed a high Sr : Ca ratio, those from the Gensui district showed a low value and little fluctuation. We can conclude from these findings that G. aculeatus (L.) collected from the Hei River is an anadromous type, whilst G. aculeatus (L.) collected from the Gensui district is a fresh water type.
著者
斎藤 大樹 荒井 克俊 山羽 悦郎
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.177-184, 2004-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
20

20℃におけるシマウキゴリの胚発生過程を詳細に観察した。さらに, 卵割期における単一割球の標識実験により, 胚盤における分化の方向性が決定される時期を明らかにした。その結果, 未受精卵の段階から細胞質が卵黄から分離していること, 体節形成期に至るまで胚細胞中には卵黄顆粒が分布しているが体節形成期以降消失し胚体が透明化すること, 第3卵割以降, 卵割の様式が不規則になることが明らかとなった。また, 16細胞期から32細胞期に標識された細胞追跡の結果, 胞胚期から初期嚢胚期まで, 標識細胞は未標識の細胞と胚盤内で大規模な混合を起こすことが明らかとなった。この結果は, 初期嚢胚期まで胚盤の細胞は分化多能性を有していることを示唆している。
著者
桐山 隆哉 藤井 明彦 藤田 雄二
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.419-423, 2005-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
16
被引用文献数
2

ヒジキの生育不良現象が魚類の摂食によると推察されている長崎県下の12箇所で2004年11月に調査を行い, 内ヒジキが採集できた11カ所で藻体に残された痕跡から原因魚種の推定を試みた。採集したほとんどの個体は葉や主枝が上部から切断されて短く, 生長阻害がみられた。切断された個体の49~83%に魚の摂食痕が認められ, これらの切断は魚の摂食によるものと考えられた。摂食により切断されたヒジキの割合を魚種別にみると, アイゴが89%, ノトイスズミが9%, 両種が2%であった。長崎県下の生育不良現象は主にアイゴによって引き起こされ, 次いでノトイスズミの影響が大きいと考えられた。潮間帯から漸深帯上部でも多くの海藻に魚類の摂食による生長阻害と低密度化が観察された。
著者
伏屋 玲子 横田 賢史 渡邊 精一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.265-269, 2007-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
12

ノコギリガザミ属3種を判別するために, デジタルカメラで撮影した画像により鉗脚の色彩変異について調べた。42個体のカニの鉗脚上の4つのラインからサンプリングしたsRGBデジタル色彩情報をL*a*b*色空間に変換した結果, L*, a*, b*の各値に種間で差異がみられた。特に, アカテノコギリガザミのライン1と2上のa*値は他の2種よりも高い値となり, アミメノコギリガザミのライン1と2のb*値は他の2種より低い値となった。主成分分析により3種の鉗脚の色彩の違いが明らかになり, 高い判別成功率を得られたことから判別分析による種判別の可能性も示唆された。
著者
木村 知博
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.119-127, 1999-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
25

1) 広島湾の溶存酸素量の変動は, 植物プランクトンの同化量, 呼吸量 (分解量) によって最も影響を受ける。中・下層の光合成には上層の植物プランクトンの増殖が関与する補償深度が介在している。2) 広島湾の主要点で成層期の水深別溶存酸素量の経年変化をみると, 補償深度を挟みその上下の層でその変動に差が生じている。また, この経年変動は, カキ養殖場の底質の自己汚染と関係なく, 海水交流のない広い範囲で高い相関がみられた。3) 底層水温が低めの年には, 中・底層の溶存酸素量は少なくなる傾向が窺えた。これは表層塩分の低下がもたらす成層発達により海水混合が起こりにくくなることと, 植物プランクトン増殖による透明度の低下で補償深度が浅くなり中・下層の溶存酸素量の低下を促進すること, さらには増殖したプランクトンの下層水中での分解などが考えられた。4) 広島湾のカキの成育の低下の主原因は, 沿岸域では都市・工場廃水の流入と海水交換の不良による水質悪化, 加えて年々の河川水, 気象条件による水質汚染域の拡大であり, 島嶼部では1985年頃からその兆候がみられた貧栄養の沖合系海水の卓越によると考えられた。また, 出荷カキの大きさの年変化は秋から冬のクロロフィルa量との関係がみられた。5) 広島湾周辺のカキ養殖場の海水の溶存酸素量の変動は, 底泥よりも植物プランクトンを主とした懸濁物の酸素消費の影響が強い。特にカキ排泄物の酸素消費の寄与率は低いと推算された。したがって, 養殖場の自己汚染による底泥悪化→低酸素水塊の発生→カキの成育低下という過程のいわゆる「漁場老化現象」は特異的な局地での現象と思われる。
著者
中里 靖 藤田 矢郎
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.230-239, 1986-03-25 (Released:2010-09-07)
参考文献数
12

1.新たににテングヨウジが房総の河川にに分布することを明らかににした。2.23.0℃の水温ににおいて淡水から海水への適応にには途中1/2海水にによる2~3日の馴致期間が必要である。3.酒匂川ににおいて1984年9月22日, 育児嚢内にに卵を付着させた雄を採集し, 自然産卵が行われていることを明らかににした。4.水温23.0℃の飼育水槽中ににおいて約1週間ごとにに産卵が行われ, 1984年10月25日から2月11日までにに同一組合せの雌雄にによって12回産卵が行われ, 産卵行動を観察した。1回の産卵数は18~287粒であった。5.上記の卵ににより卵内発生及びふ化仔魚の形態を観察した。本種の受精卵は無色透明の楕円形卵で長径1.16±0.07mm, 短径0.91±0.07mm, 多数の小油球がある。水温23.0℃で受精後156~171時間でふ化する。ふ化直後の仔魚の全長は4.68~5.20mmであった。6.ふ化仔魚の飼育ににおいて, シオミズツボワムシの摂餌は認められなかったが, ムラサキイガイの幼生の摂餌は確認できた。しかし飼育開始数日後ににはすべてへい死した。
著者
佐々木 良
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.214-219, 1984-03-25 (Released:2010-09-07)
参考文献数
16

1.ムラサキインコガイの産卵期は8, 9月, 初成熟は殻長15mm, 発生後2年目に認められる。2.放卵時には径1mm, 長さ2~8mmのヒモ状卵塊を間欠的に放出した後, 数分後に卵粒として解離する。3.放卵数は1個体当たり約10万粒であった。4.卵径は120μmで, 受精後34時間でベリジャー期, 96時間で付着変態期に達するが, その間の摂餌は不要で殻長は180~190μmである。5.天然下における浮遊幼生の出現はシケと対応し, 付着量は表層程多い。6.幼生は着底後に再浮遊し, 殻長210~350μmの浮遊稚仔が観察された。7.本種はプランクトン発生型の多くの二枚貝類と異なり卵黄栄養型発生を示す。
著者
佐伯 有常
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.207-214, 1961

コイの酸素消費量・有機物等の分泌排泄量, 酸素の補給量, 有機物等の浄化能を基礎として設計, 改造したろ過循環式の蓄養池で, 実際にコイを蓄養した時の水質等の調査をしたところ, 次の結果が得られた。<br>(i) 酸素の補給量はコイの消費量とろ過池での消費量との合計以上必要で, 後者は前者の40%にもおよんだ。<br>(ii) コイの酸素の消費量は26℃で40cc/h/kgであった。 これは一般の養殖の場合より少ないものであり, これに伴って排泄量等も減少しているものと考えられる。<br>(iii) コイの循環式蓄養池の設計基準は次のようになる。<br>○窒素化合物 (および有機物) のbalanceについて<br>コイの代謝はNとして100g/day/ton。<br>ろ過用礫 (粒径1cm) の浄化能16g/day/m<sup>3</sup>。<br>故にコイ1tonについて必要なろ過用礫は6mm<sup>3</sup>となる。<br>○酸素 (および炭酸ガス) のbalanceについて<br>コイの消費量50<i>l</i>/h/ton。<br>浄化用礫等の消費量1.5<i>l</i>/h/ton。<br>故にコイ1tonについて補給さるべき酸素量は59<i>l</i>/hとなる。<br>この酸素を水の落下・循環により求めるときは, 池水の最小溶存酸素量1cc/<i>l</i>で落下距離が1mおよび2mのときに, それぞれ24mm<sup>3</sup>/h, 21mm<sup>3</sup>/hの循環水量が必要となる。<br>また用水を落下曝気させたときの酸素の溶入量を求める表をつくった。 これにより一般魚介類の循環式飼育等における循環水量を求めることができよう。
著者
荒井 克俊 田中 敦 楠 忠夫 鈴木 亮
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.585-591, 1994-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
23

シマドジョウ四倍体種族, 二倍体種族, およびドジョウ間の雑種のPGM, IDHP-2, LDH-1, AAT-1遺伝子座におけるアロザイム発現を調べ, 雑種性と倍数性を検討した。その結果, シマドジョウ四倍体種族と他二者との種族間, 属間交雑の子孫は, 三倍体に特有な異型接合遺伝子型を示し, 三倍体雑種であることが判った。一方, シマドジョウ二倍体種族とドジョウとの属間交雑子孫は二倍体型の異型接合遺伝子型を示し, 二倍体雑種であることが判明した。
著者
村田 修 宮下 盛 那須 敏朗 熊井 英水
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.145-151, 1995

マダイの卵にクロダイ精子を媒精して作出した交雑魚 (マクロダイと呼ぶことにする) の養殖品種としての特性を明らかにする目的で, その成長, 生残率, 外部形態, 環境ストレス耐性などについてマダイおよびクロダイ両種と比較した。<BR>(1) 媒精した浮上卵の受精率はクロダイ>マダイ>マクロダイの川頁, 孵化率はマダイ>クロダイ・マクロダイの順であった。<BR>(2) 孵化後30日目までの生残率はマダイ>マクロダイ>クロダイの順であったが, その後71日目から140日目までのそれはマクロダイおよびクロダイの方がマダイよりも著しく高くなった。<BR>(3) 成長は孵化後約8ヶ月目まではマクロダイ>マダイ>クロダイの順であったが, 満1年目からはマダイの方がマクロダイよりも徐々に大きくなり, 満3年目におけるマクロダイの成長はマダイよりは遅いがクロダイよりは早く両親の中間となった。<BR>(4) 環境ストレス耐性では, 水温上昇および低下, 比重低下, 並びに溶存酸素低下に対してマクロダイはいずれもクロダイよりも弱かったが, マダイよりも著しく強かった。<BR>(5) 外部形態や体色などからマクロダイはクロダイに近く父系遺伝が強いことが示唆された。
著者
関 秀司 鈴木 翼 庭 亜子
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.47-51, 2005-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
19

微細藻類の増殖速度の光強度依存性について温度依存性と同様の関係が成立するとの仮定に基づき, Arrhenius型光強度関数を導入した増殖速度モデルを提案した。クロレラC. fuscaをモデル系として光強度およびKNO3濃度の異なる条件で増殖速度実験を行い, 実験結果との比較からモデルの正当性を検討した。その結果, 本研究で提案した増殖速度モデルにより低光強度における比増殖速度のシグモイド型光強度依存性を表現できること, および従来の経験式と同等以上の精度で比増殖速度の光強度依存性を予測できることが明らかとなった。
著者
古井戸 良雄 伊藤 茂
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.49-52, 1957

1) ノリに対する竹筒利用の塩安の施肥を行つた。<br>2) ノリの品質及び収獲量に肥料効果を認めた。<br>3) 施肥時期と漁場を選べば経済的に十分成り立つことが分つた。