著者
伏屋 玲子 高 天翔 横田 賢史 岩本 美央 北田 修一 渡邊 精一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.25-29, 1997-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
19

種苗放流が行われている島根県高津川と行われていない同県神西湖のモクズガニを用い, 種苗放流が天然集団におよぼす遺伝的影響を明らかにするためにアイソザイム分析を行った。10酵素16遺伝子座について調査した結果, AAT-1, AAT-2, FH-2, GPI*, IDHP-1, MDH-2の6遺伝子座で変異がみられた。各集団の平均ヘテロ接合体率は高津川では0.029, 神西湖では0.027となり, ほぼ同じ値であった。また集団間のNeiの遺伝的距離を求めたところ, 0.0001という小さい値であった。以上の結果は調査した2集団の間には遺伝的差異がほとんどないことを示しており, 種苗放流が行われている高津川に生息するモクズガニの遺伝的変異性の減少は現在のところみられなかった。
著者
廣野 育生 青木 宙
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.257-258, 2002-06-20
著者
佐々木 剛 猿渡 敏郎 渡邊 精一
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.141-150, 2003

遡河回遊型ワカサギの産卵生態を調べるために, 1995年から1998年の産卵期に閉伊川において調査を実施し, 河川の水温, 水量等の環境要因, 体サイズ, 性比に関して考察した。調査の結果, 水温が約10度を越えると遡上が開始し, 遡上のピークは常に雪融けによる濁り水が治まってから始まった。その後, 半月周期的にピークが確認された。4年間にわたり, 性比は雄に偏っているが, 雌が多くなるのは新月の前後であった。体サイズは年変動し奇数年は大きく, 偶数年は小さい。これに対し, 遡上期間は奇数年が短く, 偶数年は長い。また, 体サイズが大きい年は雌の体サイズは雄より大きいが, 体サイズが小さい年は雄雌の差は認められなかった。
著者
塩出 雄亮 中田 和義
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.203-208, 2017

観賞魚の"楊貴妃メダカ"は,朱赤色のミナミメダカの変異体である。楊貴妃メダカの発色メカニズムを解明するため,鱗の色素胞,体内のカロテノイドの定量,カロテノイドを含む飼料による体色変化について,楊貴妃メダカとヒメダカを比較し検討した。体表の色素胞は,楊貴妃メダカ,ヒメダカともに黄色素胞が主体で,黒色素胞はほとんど存在しなかった。一方,黄色素胞内の色素顆粒は楊貴妃メダカが橙赤色で,ヒメダカは淡黄色であった。アスタキサンチン,ゼアキサンチン,ルテインの濃度は楊貴妃メダカがヒメダカよりも高く,とりわけアスタキサンチンは楊貴妃メダカがヒメダカの10倍以上高かった。アスタキサンチンを添加した飼料を給餌したところ,楊貴妃メダカ,ヒメダカともに頭頂部の色相値が有意に低下した。これらの結果は,楊貴妃メダカの朱赤色はカロテノイドと関連があること,カロテノイドの摂取により赤みが強くなることを示している。
著者
山本 喜一郎 大森 正明 石井 清士 森岡 孝朗
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-10, 1972-04-30 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

青森県三戸町泉山地先の馬淵川で採集した下りウナギにサケまたはカラフトマス下垂体を投与し十分成熟させた10個体についてその孕卵数を数えた。その結果, 体長71.8cm卵巣採集時の体重860g, 成熟度指数54.6%のもので1, 166, 070粒, 体長85.5cm体重2, 020g, 成熟度指数66.3%のもので3, 023, 040粒と算定され, 自余の個体の孕卵数はこの両者の間の数値を示した。
著者
秋山 真一 滝井 健二 眞岡 孝至 中川 雅雄 北野 尚男 熊井 英水
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.47-52, 2001-03-20
参考文献数
26
被引用文献数
1

18種の酵母乾燥粉末に対するマダイ稚魚(平均体重:6.4-10g)の嗜好性を魚粉のそれと比較した。E.lindneri,R.rubraおよびG.ressiiにそれぞれ魚粉の1.31,1.20および1.14倍の高い摂餌活性が認められたが,他の酵母には同等か低い活性しか得られなかった。嗜好性ではE.lindneriが優れていたが,嗜好性と粗タンパク質含量がともに高いR.rubraが酵母タンパク(YP)には最適であると判断した。そこで,飼料魚粉の0,25および50%をYPに代替した飼料をマダイ稚魚(5g)に給与したところ,YPの配合率が増加するに伴って,日間摂餌率は上昇した,逆に増重率,飼料効率およびタンパク効率は低下したが,劣悪ではなかった。以上の結果から,YPはマダイの嗜好性に優れ,マダイ用実用飼料のタンパク源の一部として利用できることが示唆された。
著者
秋山 真一 滝井 健二 眞岡 孝至 中川 雅雄 北野 尚男 熊井 英水
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.47-52, 2001

18種の酵母乾燥粉末に対するマダイ稚魚(平均体重:6.4-10g)の嗜好性を魚粉のそれと比較した。<I>E.lindneri, R.yubya</I>および<I>G.ressii</I>にそれぞれ魚粉の1.31, 1.20および1.14倍の高い摂餌活性が認められたが,他の酵母には同等か低い活性しか得られなかった。嗜好性では<I>E.lindneyi</I>が優れていたが,嗜好性と粗タンパク質含量がともに高い<I>R.rubra</I>が酵母タンパク(YP)には最適であると判断した。そこで,飼料魚粉の0,25および50%をYPに代替した飼料をマダイ稚魚(5g)に給与したところ,YPの配合率が増加するに伴って,日間摂餌率は上昇した,逆に増重率,飼料効率およびタンパク効率は低下したが,劣悪ではなかった。以上の結果から,YPはマダイの嗜好性に優れ,マダイ用実用飼料のタンパク源の一部として利用できることが示唆された。
著者
秋山 信彦 今井 秀行 小笠原 義光
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.231-238, 1994-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
17
被引用文献数
1

ミヤコタナゴの繁殖用産卵基質として用いるカワシンジュガイの有効性を調べ, ほかに6種の淡水産二枚貝と比較検討した。7種の二枚貝をミヤコタナゴの産卵用水槽に入れた場合, ミヤコタナゴは, カワシンジュガイに対して最も多く繁殖行動を行い, 産卵した卵・仔魚数もカワシンジュガイが最も多かった。しかし, カワシンジュガイを除くと, ミヤコタナゴは特定の種だけに繁殖行動を多く行うことはなく, 産卵した卵・仔魚数も極少数であった。実際にカワシンジュガイを用いて, ミヤコタナゴを繁殖した結果, 雌1個体・1か月あたりの浮出仔魚数は6.65と6.81個体であり, 従来用いられてきた産卵基質二枚貝で繁殖した場合より多かった。以上の結果から, カワシンジュガイは, ミヤコタナゴを増殖させるための産卵基質として有効であると, 考えられる。
著者
吉本 洋
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.205-212, 2007-06
被引用文献数
1

1980~2004年の紀伊水道東部日高海域での漁獲資料をもとに、海産稚アユの漁獲特性について検討した。豊漁年は不漁年に比較して、長期間にわたり漁獲されるとともに、採捕海域が広範囲に及び空間的な広がりもみられた。また1990~1997年の耳石を用いた日令査定により、豊漁年は不漁年に比べて、稚アユは若齢で早生まれから順に規則的に漁場に出現し、滞在期間も短く、日間成長も良好であることが明らかになった。以上のことから、アユ稚魚の成長と資源豊度との関連性が示唆された。
著者
伊藤 史郎 川原 逸朗 青戸 泉 平山 和次
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.299-306, 1994-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14

マナマコ (アオナマコ) Doliolaria幼生から稚ナマコへの変態促進に関する2, 3の実験を行い, 以下のような結果が得られた。1.ヤツマタモク, オオバモク, ヒジキ, ジョロモク, フクロノリなどの褐藻で, わずかに稚ナマコへの変態が促進されたが, 付着珪藻に比べるとその効果は極めて低かった。2.自然繁殖させた, いわゆる天然珪藻では, 稚ナマコへの変態がすみやかに進み, また, 付着珪藻の密度が高いほど, 稚ナマコへの変態が促進された。3.単離培養したAchnanthes biceps, Navicula ramosissima, Nitzschia sp.では, その密度にかかわりなく, ほとんど変態が促進されなかった。4.付着珪藻が変態促進効果を発揮するには, Doliolaria幼生との接触が必要であった。5.K+による変態促進効果は認められなかった。6.採苗時の, 付着板の設置方法は, 水槽底面に対して垂直に設置した方が水平に設置した場合よりも, 稚ナマコの付着数のバラツキが少なかった。
著者
山元 憲一 半田 岳志 茅野 昌大 藤本 健治 原田 裕子 丸岡 詳治
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.183-188, 2002-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11
被引用文献数
2

換水量を連続して直接測定する装置で, 酸素飽和の状態において水温16.0±0.1℃でマナマコ, Apostichopus japonicusの換水を調べた。換水は, 一回の大きな呼出と複数回のほぼ等間隔に行われる吸入を一周期として行っていた。1換水周期での呼出時間は10.6±1.3sec/cycle, 呼出水量 (Vcy, ex) は95.5±20.0ml/cycle/kg, 一分間当たりの呼出回数は0.7±0.1stroke/minおよび一分間当たりの呼出水量は67.5±18.8ml/min/kgであった。1換水周期での吸入時間 (Tin) は79.5±26.3sec/cycle, 吸入水量 (Vcy, in) は95.8±26.4ml/cycle/kg, 吸入回数 (If) は10.3±2.9stroke/cycle, 吸入一回当たりの吸入量は9.8±1.8ml/stroke/kg, 吸入一回当たりの吸入時間は7.8±1.6sec/strokeであった。Vcy, inとVcy, exの関係は, Vcy, ex=0.27Vcy, in+69 [R2=0.12] あるいはVcy, in=0.48Vcy, ex+53 [R2=0.13] で表された。IfとTinの関係は, Tin=8.2If-4.3 [R2=0.84] , IfとVcy, inの関係は, Vcy, in=7.0Tin-27 [R2=0.61] で表された。
著者
伊藤 史郎 小早川 淳 谷 雄策
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.257-259, 1987-03-31 (Released:2010-09-07)
参考文献数
7

1) 1986年3月から5月の間, アオナマコ浮遊幼生の飼育適水温を知るため, 13~22℃間における1℃ごとの飼育実験を行った。2) Doliolaria幼生の出現は13~20℃間では水温が高いほど早いが, 22℃は20℃と同じであった。3) 浮遊幼生の適温下限は15℃付近だと考えられる。4) 少なくともAuricularia幼生の適温上限は19℃と考えられるが, Doliolaria以降の幼生の適温上限については明確でない。
著者
加藤 暁生 平田 八郎
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.75-80, 1990-04-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10
被引用文献数
1

1) ナマコ (アカナマコ) の活動日周性を調べるために, ナマコの底面縁周性を活用した移動記録装置を作成した。2) ナマコの活動速度は低温区 (12~17℃) で平均49.6±2.8m・d-1と活発であったが, 高温区 (18~25℃) では平均21.6±6.3m・d-1と不活発であった。なお, 最高活動速度は16℃区の52.3m・d-1であった。3) ナマコのリズムパターンは, 水温12~17℃では双峰型 (日中54%: 夜間46%) を, また, 水温18~25℃では単峰型 (昼間12%: 夜間88%) を示す傾向が伺えた。4) そのように異なるリズムパターンの発現は, 代謝量の増減に伴う摂餌時間帯の増減によるものと推察した。
著者
畑中 宏之
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.141-146, 1996-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
19

マナマコをポリカーボネート波板で採苗する時に, 波板に対する付着数にバラツキが発生する。種苗生産過程における飼育密度が成長におよぼす影響について調べた。日間成長率と飼育密度の間に負の相関関係がみられた。体長の変動係数と歪度は, 飼育密度が高くなるに従い大きくなる傾向がみられた。一方, 低飼育密度の体長組成は正規分布に近い形となった。人為的に均一に再付着させた2つの実験区の体長組成は, 最も正規分布に近い形となった。マナマコの種苗生産において, コレクターに対する付着密度を均一にすることは, 成長を良くし, さらに大小のバラツキを小さくすることができると考えられた。
著者
畑中 宏之
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.227-230, 1994-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
9
被引用文献数
2

タグ標識法により, ナマコこぎ網の漁獲効率を推定した。試験は, 小浜湾東部に位置する2つの海域を選んだ。両海域の底質は共に泥質であるが, 1つの海域はカキ殻が散在していた。タグを打ったアオナマコを試験海域に均一に放流し, ナマコこぎ網を放流後10分以内に曳網した。漁獲効率の推定は放流数と再捕数の割合から求めた。その値は, 単なる泥質では0.780が, カキ殻が散在する底質では0.555が推定され, 漁獲効率は海底が平坦でない場合は低下すると考えられた。また, 得られた漁獲効率から天然集団の生息密度は, A地点で3.74個体/100m2およびB地点で7.45個体/100m2と推定した。
著者
畑中 宏之 上奥 秀樹 安田 徹
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.563-566, 1994-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11

イトマキヒトデがマナマコを捕食するに際し, マナマコのサイズおよび水温が捕食に及ぼす影響について調べた。捕食試験では, 平均腕長43.3mmのイトマキヒトデは, 平均体長15.9, 30.1, 40.0, 54.6mmのマナマコを, それぞれ1日当り1.8, 0.5, 0.1, 0個体捕食した。また, 平均腕長46.2mmのイトマキヒトデは, 水温が20, 15, 10℃の場合, 平均体長29.2mmのマナマコをそれぞれ1日当り0.9, 0.8, 0.2個体捕食した。イトマキヒトデによるマナマコの捕食量は, マナマコのサイズが大きくなるにつれて減少し, また, 水温が下がるに従い減少するものと考えられた。
著者
山元 憲一
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.313-316, 1992-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
2

マナマコの1型であるクロナマコの酸素消費量は酸素飽和度が低下しても18.1℃では38.1%まで, 14.0℃では38.4%まで, 9.9℃では27.5%まで, ほぼ正常状態での値を維持し, さらに低下すると著しく減少した。酸素消費量は水温を徐々に低下させるとそれに伴って減少したが, 徐々に上昇させた場合および各水温に順応させた場合には, 水温の上昇に伴って増加し, それぞれ水温22.0あるいは23.0℃のところで最大となった。しかし, さらに水温が上昇すると減少した。
著者
伊藤 史郎 川原 逸朗 平山 和次
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.287-297, 1994-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14
被引用文献数
1

アオナマコおよびアカナマコ浮遊幼生のAuricularia後期幼生とDoliolaria幼生について, 稚ナマコへの変態に及ぼす水温と塩分の影響について検討した。さらに, 規模を拡大した実験として, 同一飼育群の浮遊幼生についてAuricularia後期幼生の割合が高まったときと, 発育がさらに進みDoliolaria幼生の割合が高まったときの2回採苗実験を行った。その結果, アオナマコおよびアカナマコともにDoliolaria幼生のほうがAuricularia後期幼生に比べ稚ナマコへの変態過程で, 低水温や低塩分の影響が受けにくく, さらに, 採苗時の水温や塩分の条件が同じ場合, Doliolaria幼生のほうがAuricularia後期幼生に比べて, 稚ナマコへすみやかに変態することが明らかとなった。これらのことから, 採苗はDoliolaria幼生の割合が高まった時点 (平均体長約500μm) で行うのが効果的であるといえる。
著者
山元 憲一 半田 岳志 藤本 健治
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.67-74, 2005-03-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
17
被引用文献数
1

呼吸樹での換水運動から, マナマコのアカ, アオ, クロの高水温に対する抵抗性の違いを12, 22, 28℃から水温を上昇させて調べた。各水温から水温を上昇させてもアカ, アオ, クロはいずれも同様に, 水温28℃では, 換水量, 呼出1回の水量, 吸入1回の水量, 呼吸数および呼吸1回の吸入回数はほぼ同じ値を示した。22℃および12℃でも, 呼吸1回の吸入回数はほぼ同じ値を示したが, 換水量, 呼出1回の水量, 吸入1回の水量および呼吸数は水温の上昇に伴って増加した。これらのことから, 水温上昇に伴う換水運動の変化はアカ, アオ, クロに差違がないことが明らかとなった。しかし, 高水温に対する抵抗性はアオとクロがほぼ同じで, アカがそれらよりも弱いことが明らかとなった。
著者
浜野 龍夫 近藤 正和 大橋 裕 立石 健 藤村 治夫 末吉 隆
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.249-254, 1996-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10
被引用文献数
1

マナマコ種苗が放流地点から急速に見られなくなる原因を究明するため, 水槽とタイドプールを使って実験を行った。その結果, 主因は, 食害による減耗ではなく, 「観察者による見落とし」と「種苗の移動」と推察された。