著者
水野 由多加
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.87-111, 2017-10-31

In the latter half of 20th Century, Environmental Rights were studied in general terms. Until recently, there was little specific discussion about the Right to Informational Environment. The author approaches this topic from a variety of sociological and psychological viewpoints, including advertising web technology, environmental studies, and noise pollution studies.
著者
水野 由多加
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.91-111, 2017-03-31

Among recently developed advertising practices, so called advertising technology is key. Academic advertising knowledge does not exceed in that, besides industrial and business knowledge only exists. Knowledge of advertising among academics is seriously lacking compared to industrial and business knowledge. This paper describes some social problems among journalistic documents to provide a memorandum for future discussion.
著者
金山 裕望 前田 由貴子 佐藤 寛
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.41-52, 2015-10-31

The Autism-Spectrum Quotient is a self-report of autistic traits in adults with normal intelligence. Some studies have examined its factor structure. However, no research has tested how many factors the Japanese version of the measure has. Therefore, this study examined previous factor structure as well as the scale’s reliability and validity in an undergraduate sample (N=309). Confirmatory factor analysis revealed 5 factors: Sociability, Social Cognition, Narrow Focus, Resistance to Change, and Interest in Patterns. The scale had adequate internal consistency and model fit. For these reasons, Japanese version of the Autism-Spectrum Quotient can be considered to have a 5-factor structure. Autism-Spectrum Quotient (AQ)は,自閉スペクトラム症特性を測定する質問紙である。このAQ は社会的スキル,注意の切り替え,細部への注意,コミュニケーション,想像力という5つの下位尺度からなるとされているが(Baron-Cohen et al., 2001),これらの下位尺度は理論的に導かれたものであり,因子分析の結果抽出されたものではない。一方,Lau et al. (2013)が因子分析を行った結果,Baron-Cohen et al. (2001)において示されていた下位尺度とは部分的に異なる因子が得られた。そこで本研究では,Baron-Cohen et al. (2001)による原版の5因子構造と,Lau et al. (2013)の因子分析に基づく5因子構造のどちらが日本のデータにより適合しているのか検討を行った。その結果,Baron-Cohen et al. (2001) の原版に基づき作成された因子モデルよりも,Lau et al. (2013)の因子分析に基づいて作成された因子モデルの方が比較的適合度がよいことが明らかとなった。
著者
草郷 孝好 宮本 匠
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.33-60, 2012-03-31

住民主体の地域再生を促すためのしくみとして、地域生活プロセス評価手法を構想した。これは、地域活性化を目指す活動が開始された場合、その活動によって、地域がどう変化していくのかを住民自身で把握することができ、その結果、当該活動の良し悪しを住民自身が判断し、場合によっては、活動そのものを軌道修正していくためのしくみである。著者らは、2004年の中越地震で被災した地区の1 つである新潟県長岡市川口木沢地区の協力を得て、2010年から本手法の試行を開始した。そこで、本論では、住民主体の地域再生の必要性とは何かを論じ、地域生活プロセス評価手法の概要と新潟県長岡市川口木沢地区における同手法の導入について、2010年に実施したプロセス評価のベースライン調査を基にして、概説する。 A community life process evaluation method was designed as a mechanism to promote local revitalization. This could help local residents to understand how their own community changes once an activity that aims at the local revitalization is introduced. Moreover, the performance of the activity could be evaluated and, if necessarily, the activity could be revised based on the evaluation. Authors have started a trial of this method in Kizawa, Kawaguchi, Nagaoka, Niigata Prefecture, hard-hit by the Chuetsu earthquake in 2004. This paper aims at explaining the needs of the people-led community development, providing an outline of the community life process evaluation method, and its baseline investigation survey conducted in 2010 in the Kizawa area.
著者
黒田 勇 水野 由多加 森津 千尋
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.159-174, 2006-10

スポーツイベントにおいて、近年、公式スポンサーに対抗する「アンブッシュ・マーケティング」という新しい手法が広がっている。本稿では、これまでのアンブッシュ・マーケティングをめぐる議論を紹介し、その大規模な具体的事例として、2002年W杯の際の、韓国SKテレコムのマーケティング、および2006年W杯における日本のテレビCMを中心としたアンブッシュ・マーケティングの、いわゆる「グレーゾーン」展開について明らかにする。そして、企業のスポンサーシップの論理を超えたスポーツイベントの社会的・文化的価値という視点から、スポンサーシップの歴史的展開と社会的意味について仮説的に論じる。
著者
清水 和秋
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.17-37, 2008-12-20

Reviewing latent growth modeling for longitudinal data and some results using this methodology on career development, mixture modeling methodologies were introduced for identifying clusters of individuals following similar developmental trajectories. For the latent growth model analysis by Amos and the groupbased trajectory model analysis using SAS Traj procedure, the batting average records of Japanese professional baseball players over ten years were selected from the published offi cial records. Results of latent growth modeling demonstrated that the quadratic form trajectory model fi t the data well. Six subgroups were also clustered by the same quadratic form using the Traj. Findings of these analyses were discussed with particular reference to the utility of the group-based trajectory modeling of mixture model methodology for analyzing career development processes. 縦断的データへの潜在成長モデルとこの方法論を使ったキャリア発達についての結果を概観しながら、混合モデリングの方法論を、類似した発達軌跡に従う個人のクラスタを特定するために、紹介した。Amosによる潜在成長モデル分析とSAS Trajプロシジャを使った集団ベースの軌跡モデル分析のために、10年間を越える記録を持つ日本のプロ野球選手の打撃成績記録を公開されている公式記録から取り出した。潜在成長モデルの結果は、2次形式軌跡モデルがデータにうまく適合することを示した。6集団が、また、TRAJを使って、同じ2次形式によってクラスタ化された。これらの分析からの見いだしたことを、混合モデル方法論の集団ベースの軌跡モデル化の有用性をキャリア発達過程の解析と関連づけて議論した。
著者
遠藤 由美 阪東 哲也
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.39-55, 2006-10

本研究の目的は、自尊感情水準による他者からのフィードバックの解釈に及ぼす影響を検討することである。実験参加者は、大学生134名で、受容条件(AC)と拒絶条件(RC)とにランダムに割り当てられた。その後、ノートを貸してもらえるように要請する仮想場面を想起させるビニエットを読ませた。ACのビニエットでは、友人の反応を"うん、後でね"と提示し、RCのビニエットでは、友人の反応を"今もってないから、ごめんね"と提示した。ビニエットを読ませた後、受容期待、自己関連感情、対人方略について評定させた。自尊感情高群はフィードバックのネガティブさに応じて、ネガティブな感情を強く喚起する。しかし、自尊感情低群において、フィードバックのポジティブさと関わりなく、ネガティブな感情を強く喚起する傾向が示唆された。そこで、自尊感情水準による否定的評価の捉え方について考察がなされた。
著者
雨宮 俊彦 水谷 聡秀
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.139-166, 2006-03
被引用文献数
2

音感素は、音素と形態素の間のレベルに位置する、音象徴における基本単位である。英語やスウェーデン語などにおいては、二子音、あるいは三子音からなる多くの音感素の例が報告されている(Hinton, Nichols and Ohala, 1994; Abelin, 1999)。日本語は、二子音、三子音からなる音のパターンを欠いているので、そのような音感素も存在しない。Hamano(1998)は、日本語における各子音と各母音を音感素に設定し、日本語におけるオノマトペを組織的に分析している。Hamanoの分析は大変興味深いが、音感素と感性的意味の選択は分析者の直感によっている。この予備的研究で我々は、こうした基本問題に関する経験的な証拠を提供し、これを日本語における音象徴全般の問題に関連づけることを試みる。1)60のオノマトペが用いられた。オノマトペはすべてCIVIC2V2形式で、意味は感情に関連するものだった。12人の被験者がこれらのオノマトペを24の形容詞対により評定した。形容詞対24次元空間における60のオノマトペ間の距離行列がMDSにより分析された。2次元解が採用された。第1次元は明るさと、第2次元は硬さと最も高い相関を示した。2)157の日本語の拍が用いられた。99名の被験者がこれらの拍の明るさを、100名の被験者がこれらの拍の硬さを評定した。67の拍の評定平均値がカテゴリー回帰分析によって分析された。従属変数は明るさと硬さであった。独立変数は子音と母音だった。重相関係数は、明るさと硬さともにほぼ1であった。拍への影響は、明るさと硬さともに子音の方が大きかった。<特集>感情科学の展開
著者
高木 修 田中 優 小城 英子 TANAKA Masashi 小城 英子 KOSHIRO Eiko 太田 仁 OHTA Zin 阿部 晋吾 ABE Singo 牛田 好美 USHIDA Yoshimi
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.131-153, 2011-02

The purpose of this paper is to categorize the themes of the graduation theses which were written by the students of a "social psychology on interpersonal relationships and behaviors" seminar, and to identify the history of research in interpersonal social psychology from the viewpoint of undergraduate's interests. This arrangement and analysis seems to be useful as a reference when undergraduates interested in interpersonal social psychology decide their themes of the graduation theses, and as a clue to know"fashion" of themes of interpersonal social psychology. 本稿は、「対人関係、対人行動の社会心理学的研究」ゼミナールの卒業論文のテーマを分類し、学部学生の研究関心の視点から、対人社会心理学研究の変遷を跡づけることを目的としている。このような論文テーマの整理と分析は、対人社会心理学に興味を持つ学部学生が卒業研究のテーマを決定する際の参考資料としても、また、対人社会心理学の研究テーマの「流行」を知る手掛かりとしても活用できると考える。
著者
高木 修 田中 優 小城 英子 太田 仁 阿部 晋吾 牛田 好美
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.131-153, 2011-02

The purpose of this paper is to categorize the themes of the graduation theses which were written by the students of a "social psychology on interpersonal relationships and behaviors" seminar, and to identify the history of research in interpersonal social psychology from the viewpoint of undergraduate's interests. This arrangement and analysis seems to be useful as a reference when undergraduates interested in interpersonal social psychology decide their themes of the graduation theses, and as a clue to know"fashion" of themes of interpersonal social psychology. 本稿は、「対人関係、対人行動の社会心理学的研究」ゼミナールの卒業論文のテーマを分類し、学部学生の研究関心の視点から、対人社会心理学研究の変遷を跡づけることを目的としている。このような論文テーマの整理と分析は、対人社会心理学に興味を持つ学部学生が卒業研究のテーマを決定する際の参考資料としても、また、対人社会心理学の研究テーマの「流行」を知る手掛かりとしても活用できると考える。
著者
黒田 勇 森津 千尋 福井 栄一
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.39-59, 2007-12

本研究ノートは、関西の地域テレビ文化において、多チャンネル化が放送の多様性に貢献しているのかどうかに焦点をあてる。まず第一に、関西の文化的アイデンティティを生み出してきた関西の放送文化について簡単に触れる。次に、CS京都チャンネルで放送された大阪弁のテキスト番組「でんねん」の内容について、その監修者の立場から検証し、さらに、その内容についての「読解」について学生対象の調査結果を明らかにする。結果は、学生たちはかつて寄りも大阪のステレオタイプイメージを受け入れる傾向とともに、複雑な読解をしていることが明らかになった。
著者
安田 雪
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.33-46, 2013-12-20

本研究の実施にあたっては、関西大学震災復興研究費の助成をいただいた。
著者
遠藤 由美
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.29-41, 2006-03-25

本研究の目的は、社会的排除と拒絶への反応に対する自尊感情の影響を検討することである。大学生は排除条件と拒絶条件の2条件に割りあてられ、主人公が暗黙裏に排除されるか、または参加を希望したのに拒絶されるかのいずれかの仮説的物語を読んだ。次に、知覚された受容、感情、社会性、友人や恋人からの受容期待に関する種々の質問に回答した。自尊感情高群も低群も排除より拒絶に対してより否定的な反応を示した。しかし、この2群は排除条件において、友人・恋人からの受容期待では異なる反応を示した。すなわち、排除条件において自尊感情低群だけが、受容期待を低めたのである。このような結果に対して、自尊感情低群の否定的関係的自己評価の観点から考察がなされた。
著者
佐々木 土師二
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.197-269, 2006-03-30

観光心理学では、観光者行動だけでなく、観光地域の住民の行動も研究する必要があるが、現状では、ほとんど取り上げられていない。本稿では、外国の文献資料にもとづいて、ツーリズムが地域社会やその住民に及ぼす社会的・文化的インパクトの諸現象を概観した後、地域のツーリズム開発に対する住民の態度の実証分析にもとづく知見を通覧した。この住民態度の把握のためには、標準的態度尺度の構成の必要性が強調され、調査項目の収集が試みられた。さらに、Ap (1992)の論文に依拠して、訪問者と住民の相互作用に関する社会的交換理論による説明と仮説的命題が検討された。
著者
与謝野 有紀 熊野 建 高瀬 武典 林 直保子 吉岡 至
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.293-317, 2006-03-30
被引用文献数
1

全国の地域通貨運営団体を対象に、目的・運営形態・効果・問題点等に関する郵送調査を実施した。調査対象によってさらに他の新しい対象を紹介してもらうスノーボール式サンプリングを行い、最終的に107の地域通貨からの回答を得た。単純集計結果をもとにすると、(1)地域経済の活性化を第一の目標にするものは全体の1割にみたず、コミュニティの再生などを目標においているものがほとんどである。(2)問題点としては、使用が一回かぎりの場合が多く流通しにくいことや、活動が広がらないことをあげているものが多いことがわかった。
著者
熊野 建
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.107-153, 2006-03-30

この論文は、海外移住労働について民族誌的かつ記述的な研究を目差したものである。3セクションからなり、先ず、文献研究のセクションと、少数民族のイフガオ女性の労働状況についての記述、最後にオーストラリアのフィリピン花嫁の労働状況を記述したセクションである。第1セクションでは、統計資料からフィリピンの海外移住労働の現況を概括し、先行研究からフィリピン移民と海外移住労働の歴史や政策についてまとめた。次の節で、パレニャスによるローマとロスアンジェルスにおけるフィリピン移住労働者の比較研究を簡単に紹介し、その問題点を扱う。最後の節では、香港におけるフィリピン女性家事労働者についても、コンステーブルによる研究を要約し、問題点を取りあげた。第2セクションは、主に北部ルソン島におけるイフガオ女性の海外移住労働者とその家族についての事例と、香港とシンガポールでの労働状況について事例を記述した。同時に女性の海外移住労働が深刻な社会変化と文化変容を生じさせている現状を表した。第3セクションは、オーストラリアにおけるフィリピン花嫁の労働実態を中心に記述したが、その背後には家族呼びよせと不法就労者の実態が浮かび上がる。異なった視座から女性の移住労働者を捉えることで、各章と事例を総括することで結論とした。