著者
岡田 宏基
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.991-1000, 2014-11-01 (Released:2017-08-01)

日常臨床で一般医を悩ませるのが,医学的に説明できない愁訴や症状である.わが国ではかつて不定愁訴と呼ばれていたが,国際的には近年MUS(medically unexplained symptoms)と表現されるようになった.これらのうち,機能的症状という側面からFSS(functional somatic syndromes)という概念も使われる.しかし,わが国ではこれらの概念の浸透はいまだ不十分である.DSM-IVでの身体表現性障害は精神科的病名であり,心身相関を中心に据えたわが国の「心身症」とはまた別の概念である.これらの概念の中では,MUSが症候単位の概念であるため最も広い病態を含んでおり,FSSと身体表現性障害も含んでいる.本稿では「心身症」を含めたこれら概念の整理を試み,またこれらの患者が多くの一般医を悩ませている欧州で開発された,一般医向けの対応トレーニングプログラムについても概説する.
著者
岡田 宏基
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.119-125, 2022 (Released:2022-03-01)

卒前卒後の医学教育での種々の修得目標から心身医学教育に関係したものを抜粋し,それらと実際の教育の現状について紹介した.また,内科学教科書での心身医学に関係した記載を比較した.卒前教育では,医学教育モデル・コア・カリキュラム,共用試験学修・評価項目,医学教育分野別評価,および医師国家試験出題基準から心身医学教育に関連した事項を抜粋した.これらの中では,医師国家試験出題基準で最も多くの項目が含まれていた.心身医学教育の実際では,心身医学講座がない大学では,一コマか二コマ程度の教育に留まっていた.内科学教科書では,総論部分に心身医学に関する記載が増えてきているが,疾患各論には心身医学に関する記載はみられなかった.卒後教育では,初期臨床研修の到達目標と,後期研修での総合診療研修における到達目標から心身医学関連の項目を抜粋した.最後に,香川大学医学部における心身医学関連の授業について紹介した.
著者
岡田 宏基 平野 大輔 谷口 敬道
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.292-300, 2020-06-15 (Released:2020-06-15)
参考文献数
32

本研究の目的は,陰性症状の5つの因子である失快楽症,非社会性,意欲の低下,感情鈍麻,言語の貧困と社会機能との関連を検討することである.分析対象者は当院に入院する長期入院統合失調症者51名であった.従属変数を精神障害者社会生活評価尺度下位項目,独立変数をBrief Negative Symptom Scaleの下位項目とし,Spearmanの順位相関係数および重回帰分析にて分析した.結果,日常生活,労働には意欲の低下,対人関係には非社会性,感情鈍麻が有意に寄与していた.自己認識についてはどの因子とも関連していなかった.陰性症状の中でも意欲の低下,非社会性,感情鈍麻の改善に取り組むことが,退院支援に向けて有用であることが示唆された.
著者
岡田 宏基
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.991-1000, 2014-11-01

日常臨床で一般医を悩ませるのが,医学的に説明できない愁訴や症状である.わが国ではかつて不定愁訴と呼ばれていたが,国際的には近年MUS(medically unexplained symptoms)と表現されるようになった.これらのうち,機能的症状という側面からFSS(functional somatic syndromes)という概念も使われる.しかし,わが国ではこれらの概念の浸透はいまだ不十分である.DSM-IVでの身体表現性障害は精神科的病名であり,心身相関を中心に据えたわが国の「心身症」とはまた別の概念である.これらの概念の中では,MUSが症候単位の概念であるため最も広い病態を含んでおり,FSSと身体表現性障害も含んでいる.本稿では「心身症」を含めたこれら概念の整理を試み,またこれらの患者が多くの一般医を悩ませている欧州で開発された,一般医向けの対応トレーニングプログラムについても概説する.
著者
北条 聡子 藤田 次郎 大林 由佳 大西 隆行 山地 康文 岡田 宏基 高原 二郎
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1259-1264, 1997-11-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14

日本人とドイツ系アメリカ人との混血であり, かつ双生児の姉妹に発症した嚢胞性線維症を経験した. 1例は胎便イレウスにて発症し, もう1例は6歳時にアスペルギルス肺炎で発症した. 2例とも消化酵素, ビタミン剤, 周期的な抗生物質での治療, 最近では体内留置力テーテルによる在宅の抗生物質静注療法, およびDNase吸入療法にて23歳の現在も比較的良好な経過をたどっている. 19歳時 cystic fibrosis transmembrane conductance regulator (CFTR) 遺伝子異常のスクリーニングをうけ, ΔF508変異を指摘された. 今回この症例と母親の遺伝子解析の結果, 新たにCFTR遺伝子の exon 7 (R347H) と exon 16 (D979A) の missense mutation が明らかになった. 長期生存に加え, 遺伝子学的な検討を行った興味深い症例と考えられたのでここに報告する.
著者
山下 達雄 坪内 孝太 丸山 三喜也 山浦 優樹 岡田 宏一朗
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.4Pin141, 2018

<p>路線検索ログから駅の異常混雑予測を行うこれまでの手法では、いつどこで混雑しそうなのかの予測はできるが、混雑の原因までは分からない。そこで我々は、SNSから未来のイベントについての内容が含まれる投稿を収集・整理し、路線検索ログからの混雑予測情報と融合することにより、混雑原因を推測する手法を提案した。</p>
著者
泉川 晴紀 花野 博司 石川 雄一 岡田 宏 小野 智弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.401, pp.59-64, 2015-01-22

筆者らは,スマートフォン上におけるクーポン配信と,プッシュメディアとしての移動体デジタルサイネージを組み合わせたO2O(Online-to-offline)サービスを検討している.具体的には,ユーザに対し,バス・電車等に設置した移動体デジタルサイネージによりクーポンの存在を告知してスマートフォン上のクーポン取得へと誘導し,広告配信元店舗へ送客するサービスである.この際,コンバージョンとなる,どの程度のユーザが期待した行動,つまり購買行動を行ったかを把握することがサービスの効果を定量的に評価する上で必要となる.そこで,本稿では,ユーザの購買行動の実施を,セルラ情報を用いて推定する手法を報告する.本手法は,クーポンの利用-スマートフォン画面上でのクーポンの表示やクーポンの電子的なモギリなど-の場所毎の割合が,誤利用を考慮しても対象店舗の場所で多くなるという仮説に基づき,クーポン利用時に収集した,場所毎に特徴を有するセルラ情報(基地局識別子や電波強度等)をクラスタリングし,クラスタサイズが大きいクラスタに分類されたセルラ情報を有するクーポン利用をコンバージョンと推定するものである.なお,本手法では,事前に対象店舗でのセルラ情報を収集する必要がない.初期評価の結果,誤利用場所が店舗より500m以上離れていれば,正しくコンバージョンを推定できることが分かった.
著者
石川 澄 奥原 義保 合地 明 木村 映善 津久間 秀彦 田中 武志 岩田 則和 石田 博 横井 英人 森川 富昭 花田 英輔 原 量宏 井上 裕二 太田 吉夫 岡田 宏基 森口 博基 石原 謙 近藤 博史 北添 康弘 畠山 豊 渡部 輝明 中島 典昭 栗原 幸男 片岡 浩巳 岩崎 泰昌 野々村 辰彦 園田 武治 中野 直樹 稲岡 則子 堀 信浩
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

現在の医療記録の電子化は記録を利用することを軽視していないか?電子医療記録の利用ができない、あるいは利用がしにくい要因を分析した結果、患者の診断・治療と評価のために蓄えられる情報の信憑性に問題があるのではないかと仮定した。年2回のワークショップに於ける議論や日本医療機能評価機構の情報機器・IT化部会の協力で行ったアンケート評価に基づき、情報の信憑性を阻害する因子をソフト的、ハード的、および人為的要因に分けて分析した。更に分析結果から「患者がどのようになったら良いのか」という医療のゴールに向かって診療と治療が行われる過程で「記録」にどのような要件と問題点が存在するかを検討した。結果、電子医療記録の信憑性を阻害する要因は、次の4段階の構造モデルに分類された。すなわち、データレベルにおける「正確性」と「連続性」の確保を基盤とすること、データを系統別に分け長期にわたり視認できる「通覧性」を確保すること、そして目標達成にむけてその道筋を誰もが理解できる形で表現して「物語性」を確保すること、である。そしてモデルの各段階におけるソフト、ハード面、および人為的に複合する解決策の提案を行った。
著者
岡田 宏明 池田 透 岸上 伸啓 宮岡 伯人 小谷 凱宣 岡田 淳子 黒田 信一郎
出版者
北海道大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991

平成3年度から継続して、平成4年度にも2回の研究集会を札幌と網走で開催し、研究会は計4回を数えた。その間に、代表者をふくめて、研究分担者全員が、順次研究発表を行ったが、研究集会以外にも、北海道立北方民族博物館で毎年秋に開かれるシンポジウムにも、半数以上の研究分担者が参加し、研究発表や討論を通じて、情報や意見を交換する機会をもった。平素は、別々の研究機関に促し、それぞれ独立に調査研究に従事している代表者および分担者は、2年間に、かなりな程度までお互いの研究成果を知ることができ、このようにして得た広い視野に立って、最終的な研究報告をまとめる段階に到達した。研究報告書は10篇の論文から構成され、アイヌ文化に関するもの2篇、北西海岸インディアン2篇、イヌイト(エスキモー)1篇、サミ(ラップ)1篇、計7篇は文化人類学に視点をおくものである。その他に、東南アラスカの現地の人類学者による寄稿1篇が加えられている。その他の2篇は、言語学関係のもので、北欧のサミと、北東アジアのヘジェン語を主題としている。研究報告書には、シベリア関係の論文がほとんど掲載されていないが、平成4年5月に刊行された「北の人類学一環極北地域の文化と生態」(岡田、岡田編、アカデミア出版会」に代表者および分担者による8論文のうち、3篇はシベリア原住民に関するものである。平成4年度未に刊行される研究報告書は、上記の「北の人類学」と一対をなすものであり、両者を総合することによって、わが国の環極北文化の研究は確実に一歩前進したと見ることが可能であろう。論文に掲載されなかった資料やコピー等は、北海道大学と北海道立北方民族博物館に収集、保管し、今後の研究に役立てたいと考えている。