著者
田中 將義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.547, pp.35-42, 1997-02-28
被引用文献数
4

N-STARは,既存の静止衛星では,ほぼ最大級の大きさの通信衛星であり,CS-3の後継機として1995年8月に打ち上げられ,商用,実験等の運用に供されている.4つの周波数帯,5つのミッションの通信機器を搭載し,C-band, ka-band, ku-bandを用いた公衆網統合衛星システム, S-band移動体通信,ka-band高速広帯域等の新サービスを実現している.これらの実現に向けて,異周波数帯チャネル間接続,マルチポート増幅器を用いた移動通信用マルチビーム中継器,サテライトスイッチを有するKa帯マルチビーム中継器等の先端技術を開発した.本論文では,これらの新たに開発した通信機器の構成,機能,特徴,主要特性について述べた.
著者
市川 隆一 関戸 衛 竹内 央 小山 泰弘 近藤 哲朗 望月 奈々子 村田 泰宏 吉川 真 市川 勉 加藤 隆二 大西 隆史 藤咲 淳一 高島 和宏 飛翔体VLBIグループ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.254, pp.19-24, 2005-08-19

情報通信研究機構では、宇宙飛翔体の準リアルタイム軌道決定技術の獲得を目指して、相対VLBI実証実験を行っている。火星探査機「のぞみ」や小惑星探査機「はやぶさ」のVLBI実験において、ISAS/JAXAによるR&RR結果に対する群遅延残差は、最大数10ナノ秒にも及ぶものの双方の結果は調和的であった。また、広帯域のレンジ信号送出の時間帯に限定すれば、双方の残差は10ナノ秒程度のばらつきにおさまる。「のぞみ」位相遅延データによる暫定的な解析では、「のぞみ」の赤道座標系推定位置が約40ミリ秒角以下の誤差で決定できた。その他、測地GPSデータにより相対VLBI法での中性大気による伝搬遅延誤差の軽減効果についても評価した。
著者
林 友直 岡本 良夫 横山 幸嗣 細川 繁 冨田 秀穂 升本 喜就
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.102, pp.13-20, 2005-05-20

鯨生態観測衛星(WEOS, 観太くん)は2002年12月14日に種子島宇宙センターからH-IIA-4号機により、高度800kmの太陽同期軌道に打ち上げられ、それ以来千葉工業大学津田沼キャンパスに設けられた地上管制装置によりデータ取得が順調に続けられている。鯨に対する生態観測プローブの取り付けはいまだ成功していないが、数多くの試行により装着の見通しが得られつつある。ここでは衛星、地上系、プローブとその装着について、その開発方針と其の成果について述べ、さらに本システムの応用として展開している計画とその結果を示す。
著者
原田 力 高畑 博樹 北原 弘志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.213, pp.51-58, 1995-08-23
被引用文献数
3

技術試験衛星VI型(ETS-VI)は、平成6年8月28日に種子島宇宙センターからH-IIロケットにより打上げられ、トランスファー軌道投入後「きく6号」と名付けられた。きく6号は、2トン級の静止三軸衛星として開発されたが、アポジエンジンの噴射異常により静止軌道に到達することができず長楕円軌道を周回することとなった。きく6号は衛星間通信用の機器を搭載しているが、地上との通信のためのアンテナは静止衛星対応で固定であるため、楕円軌道に置いては通信回線を確立することができないものであったが、搭載コンピュータのソフトウェアを書き換えることにより、楕円軌道上における通信を可能にした。本論文では、楕円軌道上における通信の問題点を明らかにし、それを克服し通信実験を実現するための方法を紹介し、併せて実験の評価結果を報告する。
著者
早川 正士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.377, pp.21-28, 1997-11-17
参考文献数
23

地震の短期予知に対して有効な電磁気現象を総合的にレビューする。観測項目により次の様に分類できる。(1) 地上観測、(2) 電波サウンディング観測、(3) リモートセンシング法、(4) 衛星観測。各項目の全般をレビューし、我々の最新の成果 (特に、VLF/LF電離層・大地導波管伝搬波を用いた方法、ULF電磁放射、衛星観測) を紹介する。
著者
仁科 エミ 河合 徳枝 大橋 力
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.239, pp.1-6, 2011-10-10
参考文献数
12

私たちは、インドネシア・バリ島の伝統的民族音楽"ガムラン"について長年にわたる研究を行っている。その結果、ガムラン音は、可聴域上限をこえる高複雑性超高周波を含むことを見出した。そうした音は、脳幹・視床・視床下部を含む脳の最高中枢<基幹脳>の活動を劇的に高めることにより、環境適応や生体防御を司り健康と深く関わる<自律神経系・内分泌系・免疫系>、そして美しさ快さを司り感性や芸術と深く関わる脳の<報酬系>の活動を連携して向上させる効果をもつ。高密度のバリ島絵画を被写体とした4K映像に同様の効果が期待されることも私たちは見出している。これらの知見は、今後の衛星通信において、技術的可能性とともに、人間の生理的反応や文化的多様性をも考慮した映像音響密度が必要であることを示唆していると考える。
著者
福田 明 椋本 介士 吉廣 安昭 中野 啓 大市 聡 長澤 正氏 山岸 久雄 佐藤 夏雄 門倉 昭 YANG Huigen YAO Mingwu ZHANG Sen HE Guojing JIN Lijun
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.636, pp.7-12, 2004-01-23
参考文献数
21
被引用文献数
3

筆者らは,流星バースト通信(MBC)の南極地域におけるデータ収集システムとしての性能を探るために, 2001年12月からトーン実験,データ伝送実験と名づけた2種のMBC実験を開始した.無線局は中山(中国),昭和,ドームふじ各基地に置かれている.本稿では,実験の概要と今後の計画を簡単に紹介する.
著者
三宅 亙 陣 英克
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.181, pp.33-35, 2009-08-21
参考文献数
6

GPS受信網の整備とデータの早期公開により、電離圏全電子数(TEC)の定常的なモニタリングが可能となっている.情報通信研究機構では、GEONETデータから迅速にTECを導出するシステムを開発し、日本上空の電離圏の定常的な監視に利用している.この監視システムは、電離圏嵐をはじめとするさまざまな電離圏じょう乱の発生・発達・衰退をモニターするのに優れ、きわめて有効である。現在は太陽活動が低調で、大きなじょう乱現象は起きていないが、次期太陽活動極大期において、その活躍が期待される.このリアルタイムTECのプロットは、http://wdc.nict.go.jp/IONO/index.htmlにて公開されている.
著者
佐方 連 村田 英一 吉田 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.342, pp.135-142, 2000-10-05
参考文献数
8

近年, 安全・快適・効率的な交通を目的とした高度道路交通システム(ITS)の構築が推進されている.ITSにおける車車間通信は, 各車両が自ら通信制御を行う自律分散システムとなる.この通信方式として複数キャリア周波数を用いた時分割方式を仮定した場合, 周波数及び通信スロットの選択が課題となる.ここで, 車両が同一周波数を使用する車群を形成し車群内において異なる送信スロットを用いるシステムを考える.車両は自律分散的に周波数・送信スロットを選択し, 車群形成する.本稿では車群形成方式として受信電力が大きく且つ使用スロット数の多い周波数を選択する方式を提案する.また, この方式はスロット競合を検出し解決を促すアルゴリズムや車群分割のアルゴリズムも含む.本研究では車両がランダムに周波数・送信スロットを使用した状態からの車群形成特性を計算機シミュレーションにより検討した.検討の結果, 短時間での車群形成での車群形成を実現できることを確認したので報告する.
著者
児玉 哲哉 早川 正士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.244, pp.31-37, 1997-08-29
参考文献数
11

平成8年度より科学技術庁の主導で地震総合フロンティア研究が開始された。宇宙開発事業団では地震リモートセンシングフロンテイア研究としてSARインターフェロメトリによる地殻変動研究及び地震電磁気現象の研究を実施中である。特に後者は理化学研究所の実施する地震国際フロンティア研究と相互に補完するものである。また宇宙開発事業団ではISTC(国際科学技術センター)支援プロジェクトとして、IZMIRAN(地磁気、電離層及び電波研究所)を中心とした研究機関に対し、旧ソ連における地震電磁気研究の委託を実施中である。本件はこれら地震電磁気研究の現状を報告するとともに、現在検討中の衛星計画について述べる。
著者
福元 康仁 早川 正士 Biagi P.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.389, pp.47-52, 1999-10-25
参考文献数
6

本研究ではVLFより高周波のLF帯のラジオ電波に注目し、1997年3月15日から1998年12月31日までの期間で、イタリアとその隣国で起きた地震とLF帯伝搬異常との関係を調査した。地震の前には電波の日変化パターンにおけるTerminator Time (Morning, Evening)の有意な偏移を確認した。観測している電波は電離層・大地導波管を伝搬する電波が優勢なので、電離層が地震による影響を受け、伝搬異常を引き起こしていると考えることができる。
著者
伊地智 幸一 宮崎 景太 三原 荘一郎 秋山 雅胤 中村 修治 牛越 淳雄 濱田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.92, pp.111-116, 2010-06-17
被引用文献数
1

ASNAROプロジェクトにおいて,低コスト化や新規参入障壁の低減を目的として中小企業を含めた日本の宇宙産業界がコンソーシアムを組織し,新しい衛星システムアーキテクチヤ等の「バス標準」の策定活動を行っているが,その概要を紹介する.
著者
鈴木 信弘 岡村 敦 桐本 哲郎 峠 誠 小牧 昌彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.7, pp.27-32, 1998-04-20
被引用文献数
1

フリーフロー方式のETC(Electronic Toll Collection system)では, 無線機を搭載した車輌と搭載していない車輌を区別するため, 車載無線機の位置を測位する必要がある.測位方式として, 路上中央にそれぞれ水平角と上下角を測角する2つのセンサを配置して, 車載無線機からの電波の到来方向を測定し, これらの測角値と車載無線機の地上高とを用いて測位する方法を提案する.この方式では, 無線機の搭載位置を仮定するため, 測位誤差が生じる.本報告では, 車載無線機の高さ誤差に加え測角誤差に対する測位誤差の感度解析を行う.また, 電波実験により, アレーアンテナを用いた測角センサの素子数と測角精度の関係を評価するとともに, 上記考察結果の検証と, 測位精度の評価を行う.
著者
瀬之口 敦 福島 幸子 福田 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.97, pp.71-76, 2004-05-21
被引用文献数
2

垂直方向の管制感覚を従来の2,000ftから1,000ftに短縮する新たな管制方式RVSM(Reduced Vertical Separation Minima)の導入により、空域容量の増加、航空機の燃料節約や遅延防止が期待される。その一方、RVSM適合機の中にRVSM非適合機が混入した場合には、航空管制への負荷が増加すると考えられる。本論文ではRVSM空域はRVSM非適合機に対して排他的でないと仮定し、交通量の多い新潟上空の定点GTCにおけるコンフリクトに注目して、RVSMが導入された場合におけるRVSM適合機の割合とコンフリクト数の関係を検討した。その結果、定点における通過機の高度分布からRVSM導入後のコンフリクト数を現状よりも減少させるRVSM適合機の割合の〓値を計算する方法を得た。GTCにおける日平均のコンフリクト数をRVSM導入後に現状よりも減少させるRVSM適合機の割合は67%以上であった。
著者
齋藤 宏文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.92, pp.169-180, 2010-06-17
被引用文献数
1

小型科学衛星"れいめい"は, 2005年8月に打ち上げられ,現在まで5年間軌道上にてオーロラ科学観測を行っている.重量70kg,開発経費約4億円の低価格衛星ながら,ホイール1機,磁気トルカ3機の構成ながら3分角の姿勢制御精度を達成する等,世界的に見ても高い機能を持っている.宇宙科学研究所の若手工学研究者が,衛星メーカの衛星開発とは一味違ったインハウス衛星開発を実施して達成できたプロジェクトである.高機能で,低コスト,そして5年間軌道上で動作しているという信頼性の高さを兼ね備えた実績により,平成21年度日本航空宇宙学会技術賞を受賞している.本講演では,"れいめい"衛星の成功のキーポイントであったと思われる,小型衛星搭載機器,小型衛星3軸姿勢制御技術,効率的な衛星運用技術,低コストな信頼性確保の手法を紹介する.合わせて,今後の小型衛星の展望を述べる.
著者
堀内 健志 土田 正芳 大石 昇 岩本 雅史 樋口 巳希子 岡田 祐 原 芳久 増茂 智志 降旗 正忠 森岡 章次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.217, pp.29-34, 2006-08-18
被引用文献数
5

社内開発した航空機搭載Kuバンド合成開口レーダについて,概要を述べる.また,飛行試験を実施してフィールドデータを取得し,インタフェロメトリSAR(Synthetic Aperture Radar)により生成した高精度3次元データ(DSM: Digital Surface Model)の解析結果について報告する.DSMの高度精度を検証し,平坦部で0.25m程度の高さ誤差となっていることを確認した.これらの結果により,航空機搭載Kuバンド合成開口レーダが,国土保全用の3次元データ取得センサとして有効であることを示す.
著者
坂井 丈泰 武市 昇 福島 荘之介 工藤 正博 藤井 直樹 山本 哲士 行木 宏一 宮津 義廣 福田 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.169, pp.7-12, 2008-07-18

航空機の航法には衛星航法システム(GNSS)の導入が進められているが,特に進入着陸フェーズにおいては垂直誘導を伴う精密進入を可能とする誘導システムの研究開発が行われている.GNSSを導入した場合のメリットの一つとして,小規模空港への精密進入方式の設定による欠航やダイバートの減少が考えられるが,定量的に評価した例はない.現実にどの程度の効果があるかを知るため,空港気象情報に基づいて定量的評価を試みた例を報告する.
著者
横山 尚志 福島 荘之介 田嶋 裕久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.94, no.264, pp.1-8, 1994-09-30
被引用文献数
1

わが国において,ILSのCAT-III化が進められている.今回,ILSをCAT-IIIにする空港は,霧等により就航率の低下が著しい釧路空港,熊本空港および新東京国際空港である.CAT-IIIの特徴は,一定の基準の信頼性が問われ,且つそのレベルを維持しなければならないことである.本報告は,CAT-IIIの運航と地上システムの概要,信頼性の評価方法ならびにCAT-I ILSの障害データを用いて評価方法の妥当性を示す.
著者
井下 亨 大信田 直人 松澤 佳彦 植松 智則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.281, pp.41-48, 1995-09-29
被引用文献数
1

霧等により視界が悪化すると就航率が低下することのあった釧路空港、熊本空港及び新東京国際空港の3空港でカテゴリーIIIの運航が開始されようとしている。ILSはカテゴリーIII運航を実施する上で最も重要な構成要素であり、誘導精度のみならず信頼性の面でも従来のカテゴリーI対応のILSにも増した性能を持つよう設計されている。本報告は我が国初のカテゴリーIII運航に供すべく開発された新型ILS装置のシステム概要につき紹介する。
著者
今度 史昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.272, pp.55-61, 2001-08-24

超高速宇宙飛行物体の軌道推定の一手法を提案し, 研究を行った。この手法は3つの段階よりなる。第1段階は目標がロケットなどのようにエンジンを活動させて推進している段階で, この段階については目標に質点モデルを用いて, 拡張型カルマンフィルタにより推定を行う。第2段階は目標が宇宙空間に突入してしまっており, 基本的に観測できない場合で, この段階においてはやはり目標には質点モデルを用い, 共分散誤差伝播解析によりその存在する範囲の確率分布を計算する。目標が大気中に再突入した後は6自由度剛体モデルを用い, モンテカルロシミュレーションを用いてその軌道と誤差範囲を推定する。これら3つの段階を組み合わせることにより目標の軌道推定とその軌道からの分散の定量的推定, また目標の落下範囲に関する詳細な情報を得ることができる。