著者
佐々木 進 飯島 祐一 月周回衛星ワーキンググループ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.142, pp.49-55, 1996-06-28

宇宙科学研究所と宇宙開発事業団の共同ミッションとして、21世紀初頭の実施を目指した月探査周回衛星計画の準備が進められている。この計画は、H-IIロケットを用いて、月周回衛星、着陸実験機及びリレー衛星で構成される大型の探査機を月に送ろうとするものである。このミッションの目的は、月の起源と進化の研究、月環境の解明、月からの科学観測、及び、月面利用の可能性の調査、の4本柱から成っている。月の起源と進化の研究は、月面の元素や鉱物、月表層の構造、月重力分布、月磁場をグローバルにマッピングすることにより行う。月環境については、電磁環境、高エネルギー粒子環境、微粒子環境を計測する。月からの科学観測では、地球プラズマ圏の撮像と惑星電波の観測を行う。本稿では、月探査周回衛星計画で提案されている科学研究項目とその期待される科学成果について紹介する。
著者
清水 収司 沖 理子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.101, pp.153-156, 2009-06-18
被引用文献数
4

全球降水観測(GPM)計画は、熱帯降雨観測衛星(TRMM)の後継となる衛星プロジェクトである。二周波降水レーダ(DPR)とマイクロ波放射計(GMI)を搭載し、2013年に打ち上げられる予定の主衛星に、マイクロ波放射計を搭載した衛星群を組み合わせて、全球の降水を高精度・高頻度で観測する。現在GPMプロジェクトでは、TRMMのときの経験を生かし、取得される降水プロダクトの検証計画を策定中である。GPMではプロダクトそのものの検証だけでなく、降水推定アルゴリズムそのものを検証し、アルゴリズム改良に反映することが重要である。
著者
渡辺 康夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.355, pp.31-36, 2011-12-09

2004年のスマトラ・アンダマン地震のとき,衛星搭載のマイクロ波(Ku及びC帯)電波高度計はmid-oceanを伝播する津波の波高プロファイル及びレーダ後方散乱係数等を初めて明瞭に観測した.2011年の東北太平洋沖地震のときには,北海道,カリフォルニア及びチリのHFレーダがcoastに接近する津波のsurface current及びドップラー特性を初めて明瞭に観測した.本発表ではこのエポックメーキングな二件の観測を中心に,先行研究及びフォローオン研究を含めて文献調査した結果を報告する.
著者
鵜野 将年 豊田 裕之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.100, pp.139-143, 2008-06-19

電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)は従来の二次電池と比較して長寿命,ハイレート充放電特性,良好な低温特性等の特徴を有している.EDLCを宇宙機に適用する際の主な課題として充放電に伴う大きな電圧変動が挙げられる.従来の二次電池と比較してEDLCのエネルギー密度が低いことを考慮すると,EDLCのエネルギーを最大限に活用するためには高効率かつEDLCを深く放電させることが可能な電力変換装置が求められる.本稿では中間タップセレクタと非安定型DC-DCコンバータを併用することにより,EDLCを高効率かつ深く放電することが可能な新しい宇宙機電源システムを提案する.
著者
富澤 良行 シュレスタ シャンカー・マン 荒井 郁男 後藤 眞二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.300, pp.29-34, 2003-09-04
参考文献数
11
被引用文献数
4

150ピコ秒のインパルス波を用いた超小型地雷探査レーダを開発した。本地中レーダを地表面上で平面的に走査することにより、土中に埋設した模擬対人地雷を3次元的に映像化した。
著者
栗原 芳高
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.530, pp.33-35, 2004-12-10
参考文献数
17

郵政省電波研究所は1964年5月1日、茨城県鹿島町(当時)に鹿島支所を開設し、主として米国NASAの実験用通信衛星リレー2号および応用技術衛星ATS1号を相手として数多くの実験を実施し、衛星通信技術の確立に努めるとともに、シンコム3号(史上初の静止衛星)を用いて、東京オリンピックTV映像の史上初の実用宇宙中継に成功している。本講演では、鹿島地球局の建設からATS実験終結までの、鹿島における衛星通信の黎明期について回顧する。
著者
土田 哲 アリソン エイミ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.101, pp.93-98, 2009-06-18
参考文献数
10
被引用文献数
1

1991年に飯島澄男博士によりカーボンナノチューブが発見されたことにより、宇宙エレベータ建設に必要な引張り強度を持つ材料を手にする可能性が出てきた。宇宙エレベータの実現により、従来のロケットによる物資輸送と比較し、画期的な低コストで人や物を軌道上に輸送できると期待されている。この論文では、宇宙エレベータの概要と世界での研究開発動向を述べるとともに、日本が持つ技術を積極的に用いて実現を目指す「日本版宇宙列車構想」について説明する。この構想では、カーボンナノチューブの強度にだけ注目するのではなく、機能部品としての特性を積極的に使うこととしている。((1)銅と同等の低電気抵抗特性を利用したケーブルからの給電、(2)半導体特性を使ったコイル、スイッチ、電子回路を組み込んだスマートケーブルの開発、(3)スマートケーブルの機能を利用したリニアモータの実現)
著者
佐々木 宏 深津 敦 鈴木 裕介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.92, pp.7-12, 2010-06-17
参考文献数
2

2009年9月11日に種子島宇宙センターからH2Bロケットで打上げられた宇宙ステーション補給機(HTV)技術実証機は、足掛け53日のミッションの中で、国際宇宙ステーションへのランデブ、食料や実験装置などの補給、廃棄品の搭載などを行い、11月2日に大気圏再突入を実施し、成功裏にミッションを完了した.HTVは約13年間の期間を通して開発され、技術実証機ミッションの中で実証された自動ランデブー技術や有人安全技術などの技術は、将来の宇宙開発に重要なものである.本講演では、HTV技術実証機の技術的な成果について報告する.
著者
國森 裕生 水野 貴秀 竹内 央
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.17, pp.47-51, 2012-04-19
参考文献数
17

惑星探査機の測距の現状と将来計画をレビューし、日本のHAYABUSA-2 LIDARと地球間測距実験の可能性をONE-WAY UP/DOWN LINK回線とTWO-WAYでの測距、検出確率の観点から述べる。要求仕様および地上局として必要となる装備の要件,国際協力局などの課題について議論する。
著者
乙津 祐一 中井 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.389, pp.95-102, 1999-10-25
参考文献数
2

最近、成層圏(高度20km)に飛行船のようなプラットフォームを浮かべ、移動体通信、放送、データ伝送などに利用しようと言う動きが具体化してきた。郵政省,科学技術庁、通信放送機構共同の5ヶ年計画が動き出したところである。開発しようとしている成層圏システムは,静止衛星に比べて格段に自由空間損失が少なく,移動局側の小型化が可能である。 当社の人工地震による地下資源探査業務においては,末端のセンサシステム(RSU)を通常何キロもケーブルで繋いで,中央のデータ収集装置(CRU)に集めている。ここでは,それを無線化して成層圏プラットフォーム経由で,CRUにデータを収集するシステムを検討した。 当社の地震探査の現場では,RSUが数多く敷設され,それらが移動計測であることから,個々のRSUの回線設定が容易に、短時間で終了する必要がある。また,測定中,雨等でデータが中断することを極力避けたいと言う必然性もある。そのためには,移動通信に使われている2,3GHzが,最適なので,ここでは,無線局の免許が不要な2.4GHz(10mW)を用いて,オンラインデータ収集を検討したのでここに報告する。
著者
中尾 正博 粟沢 晃 野中 和明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.156, pp.11-15, 1999-06-25

通信放送技術衛星(COMETS)「かけはし」は平成10年2月21日に種子島宇宙センターから打ち上げられた。COMETSはH-IIロケット2段エンジンの早期燃焼停止により、計画されていた静止トランスファー軌道には投入されなかった。 このため、可能な限り実験を行うため、COMETSに搭載されたアポジエンジン噴射により、軌道変換を実施した。 ロケット打上げ後のCOMETSの運用について、その運用概要を報告すると共に、本軌道運用の評価についても併せて報告する。
著者
二宮 敬虔 橋本 樹明 紀伊 恒男 前田 健 斎藤 徹 玄葉 麻美 高安 星子 卯尾 匡史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.93, no.254, pp.9-16, 1993-09-30

『あすか』は1993年2月20日、鹿児島宇宙空間観測所より打ち上げられたX線天体を観測する科学衛星である。全天に散らばるX線源を効率よく観測する為に高いマヌーバ性能が姿勢系に要求されている。また、X線源の微細な構造を調べる為、高分解能のX線望遠鏡が搭載されており、その性能を最大限に活用するため高いポインティング性能を実現している。本論文では、『あすか』姿勢系の中で特に定常ポインティング性能を支配するオンボード姿勢決定系に関して、その設計思想・設計性能及び軌道上性能を中心に報告する。
著者
住谷 美登里 長岡 栄 天井 治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.250, pp.27-32, 2002-07-19
被引用文献数
2

洋上航空路の北太平洋ルートではADS(自動従属監視)システムが試験運用されている。ADSは機上で測定された位置情報等のデータをVHFまたは衛星を介して自動的に管制機関に送信して監視をおこなう技術である。このデータ通信の一方法として航空機間でVHF帯の通信を利用したデータリレー方式が検討されている。航空機がこの方式で通信できるかどうかは他機が通信覆域内に存在するかどうかによる。そこでまず実測データをもとに北太平洋ルートの特定空域内にいる航空機の数を調査した。次に通過時刻をもとに航空機の3次元位置を推定し、最も接近した航空機間の3次元距離を調査した。本稿ではその結果を報告する。
著者
伊田 裕一 横瀬 史拓 早川 正士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.393, pp.13-15, 2004-10-22
被引用文献数
1

後藤ら(2003)は1993年のグアム地震の前にモノフラクタル次元が顕著に変化するということを発見した。本発表ではグアムで観測されたULF帯磁場データのマルチフラクタル解析を行った。多くのマルチフラクタルパラメータが1993年のグアム地震の前に明瞭に変化しているということを発見した。
著者
林 昌奎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.355, pp.37-40, 2011-12-09

パルスレーダが計測するレーダ照射方向の散乱強度分布を利用する潮位・津波の観測方法,およびレーダによる2011年3月11日前後の潮位と津波の観測結果を示した.パルスレーダが計測する海面からの後方散乱波の強度には,海面状態,アンテナから海面までの距離の影響とともにアンテナの放射パターンの影響が含まれる.海面の粗度を表すパラメーターである後方散乱断面積が計測する海面において一定と仮定すると,計測した受信電力の空間分布からアンテナパターンの影響を取り出すことが出来る.海面の水位はアンテナパターンの影響が現れる計測ポイントまでの距離から推定する.
著者
稲垣 正晴 齋藤 良二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.389, pp.25-30, 1999-10-25

雪は新雪時には密度が低いが、根雪になると融雪・再凍結あるいは圧密を受けて密度が高くなる。融雪期における河川への流入量を予測するには、根雪の密度を知ることが不可欠である。最も単純で確実な方法は、コアサンプルの直接重量測定による方法であるが、精度を上げるためにはサンプル量やサンプル数を多くしなければならず、作業負荷が大きくなるとともに作業量も多くなる。TDR法はサンプル採取なしに比誘電率を測定する方法である。比誘電率と密度が既知である氷と空気の混合物である雪は、測定された比誘電率から密度を一義的に計算することができる。今回試験的にTDR法による雪密度計測を実施したので報告する。
著者
稲葉 敬之 千葉 勇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.574, pp.13-18, 2006-01-20
被引用文献数
2

本論文では送信波としてFMCW波を用いたマルチスタティック測位・測速法を提案する. 提案法では, 従来の時間遅延計測に基づくパルス方式に比べ, 正確な時刻同期を必要とせず, また狭帯域の受信局にて3次元目標位置座標, および従来法では困難であった3次元目標速度成分の推定が可能であることを示す. また, 具体的な数値例(距離50km程度, 飛行目標, 入力S/N=-25dB, に対し送信10GHz, 掃引帯域100MHz, 受信機帯域2MHz程度, 観測時間30msec)により, 特に水平面座標に関しては有効な推定が可能(水平面位置座標, 速度成分の推定誤差がそれぞれ約27m(横方向最大), ±3km/h程度)であることを示す.
著者
白玉 公一 相薗 充江 熊谷 健夫 池辺 憲一 間瀬 一郎 城野 隆 高山 佳久 大日向 幸一 倉 伸宏 小山 善貞 荒井 功恵 阿部 旬也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.107, pp.63-68, 2006-06-14

光衛星間通信実験衛星(OICETS「きらり」)は、将来の宇宙活動で重要となる光衛星間通信技術の軌道上実験を行うことを目的として平成17年8月24日に打ち上げられた。OICETSに搭載された光衛星間通信機器(LUCE)は、打ち上げ後のロンチロック解除から、初期段階における機器のチェックアウトを経て、平成17年12月9日に欧州宇宙機関(ESA)の先端型データ中継技術衛星(ARTEMIS)との間で、世界で初めての双方向光通信実験に成功した。本稿では、OICETS打ち上げ後のLUCEの機能確認から光衛星間通信実験におけるLUCEの機能性能評価について述べる。
著者
勝尾 双葉 木内 等 森川 栄久 有本 好徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.640, pp.25-29, 2005-01-21
被引用文献数
2

11月22日に実施した成層圏プラットフォーム定点滞空試験機による飛行実験のうち、光通信実験について、実験の内容、実験結果の速報について紹介する。
著者
瀬之口 敦 福田 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.169, pp.19-22, 2008-07-18

コンフリクト警報は,管制間隔未満となる航空機の接近に対し,航空管制官へ注意喚起を促すものである。近年,航空機の動態情報を地上側で利用するデータリンク環境が検討されており,不要なコンフリクト警報の低減等が期待されている。この効果を示すためには,コンフリクト警報を必要と不要とに分類することが欠かせない。電子航法研究所では,コンフリクト警報を分類することが容易となる解析ツールを開発した。本ツールは,現状を模擬した航空交通シナリオによるコンフリクト警報の表示記録等を入力として,警報表示記録の集約,個々の警報発生状況の詳細表示,それらの動画再生が実行可能である。