著者
松岡 昌志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.107, pp.19-24, 2006-06-14

本報は発災後の早期被害把握を目的として,ヘリコプターや航空機からの空撮画像を利用した被害地域の自動抽出手法を紹介している.この手法は地上解像度が高いことが必要条件であるが,最近の高解像度衛星の画像にも適用でき,さらには,ALOS/PRISM相当の約2.5m解像度の画像であっても,建物が瓦礫化したような甚大被害地域については自動抽出できる可能性があることを2003年イラン・バム地震および2005年福岡県西方沖地震での被災地画像への適用を通じて示した.
著者
中谷 幸司 高山 慎一郎 河原 宏昭 堀川 雄太 村上 尚美 堀口 博司 平子 敬一 橋本 英一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.101, pp.35-40, 2009-06-18
被引用文献数
2

日本国内における宇宙開発活動の裾野を広げることを目的として,JAXAは,μ-Labsatで獲得した50kg級小型衛星技術を関西地区の中小企業や大学へ移転し,まいど1号(SOHLA-1)を開発した.本発表では,システム技術,製造技術,試験技術の移転内容やSOHLA-1の衛星システムについて述べるどともに,運用結果や軌道上で得られた実験データについて説明する.また,SOHLA-1の開発を通して得られた技術移転に関する知見に触れ,今後,同様な技術移転活動を実施する場合に,これを効果的に進めるための指針について考察する.
著者
廣澤 春任 平林 久 小林 秀行 村田 泰宏 紀伊 恒男 Philip Edwards Ed Fomalont 山本 善一 藤沢 健太 岡保 利佳子 輪島 清昭 井上 允 川口 則幸 柴田 克典 亀野 誠二 朝木 義晴 西堀 俊幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.97, no.554, pp.9-16, 1998-02-20
被引用文献数
3

宇宙科学研究所は、科学衛星「はるか」を、1997年2月12日、同研究所のM-V型ロケット初号機により打ち上げた。「はるか」は世界最初の電波天文衛星として、スペースVLBIの実験ならびに観測に取り組んできている。打ち上げ3ヶ月後の5月半ばには、地上電波望遠鏡との間で、初のフリンジ(干渉縞)を検出した。打ち上げ4ヶ月後には、スペースVLBIによる、クエーサーの初のイメージングを行った。ここでは、「はるか」によるスペースVLBI実験について、初のイメージングに至るまでの主な経過と成果を述べる。
著者
瀬在 俊浩 川西 登音夫 四十物 邦雄 古川 欣司 磯野 賀瑞夫 黒崎 忠明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.156, pp.19-24, 2003-06-20
参考文献数
1
被引用文献数
2

NASDAはAMSRとAMSR-Eの2つの人工衛星搭載マイクロ波放射計を開発した。AMSR-E・AMSRは地球規模の水・エネルギー循環を解明するために必要なデータを取得する地球観測用電波センサである。AMSR-EはAMSRをベースに開発したもので、形状、仕様はAMSRと殆ど同じである。AMSR-EはNASAの衛星Aquaに搭載され、2002年5月4日に打上げられた。又、AMSRはNASDAの衛星ADEOS-IIに搭載され、2002年12月14日に打上げられた。本論文ではAMSR-E・AMSRの概要と軌道上初期評価結果を説明するとともに、取得画像を紹介する。
著者
高橋 哲雄 今田 高峰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.73, pp.9-14, 1998-05-22

HTV(H-II Transefer Vehicle)は平成13年度11月に技術実証機の打ち上げ、その後運用機が毎年1回から2回予定されている、宇宙ステーションへ物資を補給することを目的とした軌道間輸送機である。HTVはH-IIA3トン級ロケット2段式によって打ち上げられ、宇宙ステーションにランデブーし、宇宙ステーションのロボットアームによって捕獲され、係留される。係留中に補給物資・宇宙ステーションの不要物資を積み降ろしを行い、宇宙ステーションから離脱する。ここでは、HTVのミッション及び安全上特に重要である、ETS-VIIをベースに設計された誘導制御システムについて紹介する。
著者
中西 洋喜 加藤 治久 渡辺 敏暢 石上 玄也 西牧 洋一 丸木 武志 吉田 和哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.654, pp.45-51, 2002-02-15

流星は,彗星を起源とする塵が大気圏に突入して発光する現象であり,この塵には生命の起源となった有機物が含まれている可能性が示唆されている.本論文では,しし座流星群をはじめとする様々な流星群を,大気圏外から観測を行い,イメージおよび分光データを取得する小型衛星,LEOLEO(Leonid-Meteor Observer in Low Earth Orbit)-IIを提案する.本衛星には,I.I. CCDカメラ及び分光器が搭載される.これにより地上からでは大気の影響で観測が極めて困難であった,流星の紫外線領域での分光観測が可能となり,これまで得ることができなかった貴重なデータを得ることが期待できる.
著者
飯田 尚志 門脇 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.86, pp.45-52, 1996-05-31
被引用文献数
3

米国のNII, GII構想に触発される形で,我が国の情報通信基盤に関する議論が活発となり,情報通信基盤技術に関して米国との遅れも明確になったことから,関連の研究開発の強化政策についてもかなり議論が行われている.ここでは,まず,米国の情勢について,NASAのACTS衛星実機とその成功に刺激された形での多くのKaバンドシステムが提案されていることを述べ,代表的なシステムとして,SpaceWay, AstroLinkおよびTeledesicシステムを概説する.次に,我が国の情報通信基盤に関する政策を述べ,1995年からは衛星通信と光ファイバが調和をとって整備されるべきことが認識されており,実験用高速通信衛星計画および日米高速衛星通信実験,G-7実験並びにN-STARを用いる実験が計画されていることを述べる,最後に,今後の課題について述べる.
著者
馮 〓 佐藤 源之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.301, pp.7-12, 2003-09-05

地中レーダ(GPR)による地雷検知において,粗い地表面や不均質媒質,また斜めに埋設された地雷はいずれも検出の効率を低下させる.また斜めに埋設された地雷ではその正確な位置の推定が難しい.これらの問題を解決するために重合後マイグレーションと重合前マイグレーションをステップ周波数レーダシステムであるSAR-GPRシステムによって取得したデータに適用しイメージングを試みた.粗い地表面や不均質媒質,斜めに埋設された地雷について実験室内で実験を行った.マイグレーション処理によって埋設物のイメージは明確になった.また重合前マイグレーションは斜めに埋設された地雷に対して特に有効なことが確認できた.
著者
倉谷 直彦 横田 昌彦 久芳 義治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.608, pp.25-30, 2002-01-18

ADS-B(放送型自動従属監視)に関して、諸外国で評価試験が行われている。大型機を含めた航空界全体としてADS-Bが導入されようとしている中で、特に我が国でのヘリコプタを含む小型機の運航支援への活用を中心に考察した。小型機の運航管理の現状について述べ、例としてドクターヘリの運航管理通信のニーズについて述べる。ADS-Bの一種であるGPSデータリンク・システムを開発し、2001年9月1日に東京で実施された防災訓練「ビッグ・レスキュー東京2001」にて、ヘリコプタ搭載の機上装置と病院に設置した地上局のデモを実施した。その結果、有効性が示された。最後に、将来に向けたADS-Bの活用提案を示す。
著者
中須賀 好典 掘川 浩二 加保 貴奈 小川 博世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.547, pp.21-26, 1997-02-28
被引用文献数
6

今後の通信衛星を利用したサービスの多様化、大容量化の要求に応えるため、衛星搭載用増幅装置には益々の高出力化が必要となってきている。しかしながら、衛星という限られた電力資源、排熱能力の環境下において実現するためには、所望の線形動作を保証した上で、高効率に高出力を生成する革新的技術が必要となる。本報告では、高出力を得るために不可欠となるアレー増幅器の並列動作に着目し、上記課題を克服する高出力増幅器出力飽和点近傍動作を可能にする歪分散方式を新たに提案し、マルチポート増幅器、アクティブ・フェーズド・アレー・アンテナへの適用例を示す。また、本方式の動作原理と実験による実証結果を報告し、本方式の妥当性を示す。
著者
鈴木 健治 高橋 卓 岡本 英二 井家上 哲史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.514, pp.1-6, 1996-02-16
被引用文献数
5

3日5周回で回帰する準回帰軌道をとる楕円軌道の周回衛星となったETS-Uの各種回線を用いた通信実験を行うためには,時々刻々変化する距離変化率に伴うドップラーシフトを補償する必要が生じた.そこで,軌道要素から計算したドップラーシフト量の補正を加えるオープンループ制御と,パイロット信号を毎分観測して補正を加えるクローズドノレ-プ制御を併用した周回衛星好Cシステムを開発した.これにより士100Hz以内に制御でき各種通信実験が可能となった.
著者
川手 竜介 早川 正士 Molchanov Oleg A.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.190, pp.1-8, 1995-07-27

地震前兆電磁気現象のうちULF電磁放射が注目されている。即ち、スピタック地震及びロマ・プリータ地震の前に明瞭にULF電磁放射が観察されているからである。本報告では1993年8月8日のグアム地震に対してグアム地磁気観測所でのULFデータに基づいた解析結果を報告する。磁界のH(水平)成分とZ(鉛直)成分との比(即ち偏波)を最大限に活用し、スペース波動と地震電波との分離に成功し、地震の1〜2週間前に1度目の強度増大があり、又数日前から再度の上昇があるという特性を明らかにした。これらの諸特性は予知への大きな指針を与えよう。
著者
齋藤 宏文 MASUMOTO Y. MIZUNO T. MIURA A. HASHIMOTO M. OGAWA H. TACHIKAWA S. OSHIMA T. CHOKI A. FUKUDA H. HIRAHARA M. OKANO S
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.465, pp.39-48, 2000-11-17

本論文は、オーロラ微細構造の観測と先端衛星技術の軌道上実証を目的とするピギーバック衛星INDEXの概要について紹介する。INDEX衛星は2002年にH2Aのピギーバックとして打上げられる事を目標に、開発中の50kg級の衛星である。フォールトトレラントな3重多数決高速CPUシステム(SH-3, 60MHz)によって、コマンド・テレメトリ処理、姿勢制御、理学データ圧縮等、衛星のほとんどの機能が制御される。姿勢制御は、0.2°以下の制御精度を目標とする3軸姿勢安定方式である。SOI宇宙用デバイス、太陽集光型高効率パドル、リチウムイオン電池、全方位アンテナGPS受信機、可変放射率素子等の、先進技術の軌道上実証を合わせて行う。
著者
川原 琢也 野村 彰夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.285, pp.31-34, 2000-09-07

我々は南極昭和基地において、2000年からナトリウム温度ライダーを用いて高度80-110kmの中間圏界面に存在するナトリウム原子層のドップラー温度を測定している。同種のライダーは現在世界で5カ所しか観測点が無く、昭和基地での観測は下層大気からのエネルギー伝達のみならずオーロラ活動に伴う擾乱を調べる点で非常に意義が大きい。天候の良い時期には連続した7日間に12時間ずつデータが取れた時期もあり、短周期長周期の波動活動を十分に調べられる価値のあるデータが取れている。現在データは徐々に解析がすすんでおり、南極域中間圏界面の温度が明らかになりつつある。
著者
田中 秀俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.77, pp.37-40, 2006-05-19

レーダによる観測値から複数の機種を識別するにあたり、多数目標の識別の途中で種類数が動的に変化する場合がある。これに村し、1つの多種識別器で対応するのでなく、1対1識別器を多数用意して投票で判定すると、変化への村応が容易になる。既識別の目標を高速に再識別するには、投票の総和で判定する方法をとっておくとよい。ここで1対1識別器の投票を確信度によるものにすると、集計方式によっては個々の1対1識別器の結果とその総和による判定結果とが整合しない場合が生じる。これを整合させるには例えば、A対Bの確信度を投票する場合、Aと確信した場合にはBに負の確信度を投票して総和をとるような、否定的な集計法をとるとよい。このような整合性がとれる方式が満たすべき整合性制約を示す。
著者
細川 繁 林 友直 竹沢 進 羽地 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.531, pp.37-42, 2003-12-12
被引用文献数
2

鯨生態観測衛星(WEOS : Whale Ecology Observation Satellite)は、重力傾度法による地球指向姿勢制御衛星で、衛星下面に取り付けたアンテナを地球方向に指向させるとともに衛星上面に取り付けたGPSアンテナを常に天頂に指向させる。重力傾度による姿勢制御法を採用した衛星は国内ではWEOSが初めてである。WEOSの姿勢制御機能としては、重力傾度の他にトルカ・コイルによる磁気モーメントを利用したレート・ダンピング制御及び姿勢反転機能を具えている。H2A-4号機ロケットからの分離は、3本のスプリングによって衛星放出がなされる。したがって、3本のスプリング力にアンバランスがあると放出の際衛星にタンブリングが発生する。デタンブリングは、3軸の地磁気センナデータに基づいてトルカ・コイルを励磁することによって行っている。タンブリング減衰後は、遡上からのコマンドによってマストを伸展させ、マスト先端に取り付けたマス(3kgf)と衛星本体で構成される機体に働く重力傾度を利用してアンテナ取り付け面を地球に指向させる。姿勢が逆向きに安定化した場合にはトルカ・コイルの磁化極性を発散方向に作用させて姿勢を反転させる。本論文は、WEOSのロケット分離時の状況とその後の追跡・管制及び姿勢制御結果について述べる。
著者
増子 治信 小林 達治 梅原 俊彦 田村 恒 岡本 謙一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.435, pp.17-24, 1995-12-15

シャトル映像レーダC/Xバンド合成開口レーダ(SIR-C/X-SAR)は米国、ドイツ及びイタリアが共同で1994年に実施した初めての宇宙機搭載用多周波(L,C,Xバンド) ・多偏波(ポラリメトリック)合成開口レーダである。通信総合研究所は日本から唯一参加を認められ、システムの較正実験及び日本周辺海域で海洋油汚染観測を中心とする海洋観測実験を実施した。本報告では、疑似油汚染観測を中心にレーダ映像の周波数依存性及び偏波特性について述べる。
著者
亀田 洋志 系 正義 森野 知視 天野 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.67, pp.19-24, 2007-05-18
被引用文献数
2

画像中に存在する小目標の探知アルゴリズムについて検討する.探知性能改善のため,複数フレーム分の画像を積分処理によって強調し,信号検出する.フレーム間積分の方法としては,TBDが知られているが,フレーム間の画素の推移を探索する際に画素の重複を許すため誤警報が頻発する.本稿ではTBDを用いた積分アルゴリズム,特に画素の重複について一定数以上制限を設けるアルゴリズムを示す.
著者
神武 直彦 中安 英彦 川畑 広文 鈴木 裕介 麦谷 高志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.614, pp.63-69, 1999-02-19
被引用文献数
4

宇宙開発事業団では、H-IIAロケットの飛行安全に使用する目的で高性能・低コストのGPS受信機の開発を進めている。従来飛行安全に用いてきたレーダの代わりに、GPSによって得られる位置・速度情報を用いることにすれば、地上側のレーダ局を整備する必要がなくなりコストダウンを図ることができ、また今後の宇宙輸送需要に柔軟に対処することが可能になると考える。本GPS受信機ぱ2000年2月打ち上げ予定の2トン級初号機でフライト実証試験を行い、2002年6月打ち上げ予定の3トン級初号機HTVミッションにて実運用を開始する予定である。本稿では、H-IIAロケット用としてのGPS受信機の特徴を記述し、システム解析によってその有効性を示す。よた、技術モデル試作段階よでの開発状況を報告する。
著者
近藤 俊一郎 海老沼 拓史 久保 信明 安田 明生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.169, pp.25-30, 2007-07-20

電離層シンチレーションは電離層のF層(≧地上高150km)の局地的な電子密度の不規則性によって起こるとされている.この不規則な領域と送信機および受信機の相対的な運動により,GPS信号の信号強度と位相が急激に変化し,受信機のロックはずれやサイクルスリップを起こすことが知られている.本研究では,既存の研究で提案されているモデルを基にシンチレーションサンプルの生成ソフトウェアを製作し,日本で観測される標準的な強度のシンチレーションに対する位相ロックループ(PLL)の性能をシミュレーションで評価した.シミュレーションの結果,帯域可変型Fast Adaptive Bandwidth (FAB) PLLはシンチレーションの影響下にいても位相誤差を見積もって帯域幅を制御できることが確認できたが,信号強度の低い信号では利用は困難であることも明らかになった.