著者
西中 美和 武田 英明 白肌 邦生 木下 裕介 増田 央
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2I3OS15a01, 2019 (Released:2019-06-01)

本稿は未来共創を促進する「フューチャー・プロトタイピング手法」を提案するポジション・ペーパーである.この方法論は市民ワークショップでの使用を想定し,参加者が未来コンテキストを議論し共創するためのシミュレーション・プラットフォームである.また,未来におけるwell-being の議論における考えの変遷過程を明らかにしモデル化する.この研究は,人工知能研究にとっては倫理問題に対する1つのテーゼの提示として貢献する.実務的な貢献としては,将来へのニーズに基づいて未来を示すツールとして位置付ける.私たちは「より良く生きる」ということは、現世代だけではなく将来世代にとっても,「良く生きる」ことであり,幸せな状態ではないかと想定するためwell-beingを重視する.また,未来を考える際,人は自己を超えた将来的な考え方にある時点で変わる場合があるが,その変化によって社会も変わるのではないかと思うため,思考過程も重視する.考えの変化を起こすものが,この方法論であり,方法論の特徴としての創作ストーリーである.本稿においては,研究の概要,先行研究とリサーチ・クエスチョンを提示し,本研究の新規性を述べる.
著者
杉本 雄太郎 佐藤 有理
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.2B31, 2014 (Released:2018-07-30)

メンタルモデル理論はJohnson-Lairdらにより提案された、推論の非言語表現に基づく認知システムである。一方で、この理論は数理論理学的概念を用いた応用理論でもあるため、経験的な妥当性だけでなく形式理論的側面についても議論されてきた。本研究は、最近のメンタルモデル推論のプログラム実装や図的推論研究を基に、量化文から成る三段論法推論の範囲におけるメンタルモデル推論について形式化を行う。
著者
山本 泰智 山口 敦子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1K2J403, 2019 (Released:2019-06-01)

我々はUmaka-Yummy Dataという生命科学分野のLinked Dataを提供するSPARQLエンドポイントの評価システムを構築し、結果を公開している。その目的は、より良いLinked Data利用基盤を構築することであり、そのためには、Linked Data提供者と利用者の相互理解を促すことが必要と考えているからである。SPARQLエンドポイントの評価は稼働率など6つの観点から行い、100点満点の数値化したUmaka Scoreとしている。これまで3年間の運用を経験し、Linked Data提供者から様々な意見や質問を得ている。本論文ではこれらの意見や質問を議論し、上述のより良いLinked Data利用基盤を構築するために必要な事項をまとめた。その結果、Linked Data提供者と利用者の間の相互理解を促すのに先立ち、信頼できる評価を提供するために、Linked Data提供者と我々の間の信頼関係の構築が重要であることが分かった。
著者
上野 修 前川 督雄 本田 学 仁科 エミ 河合 徳枝 大橋 力
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第24回全国大会(2010)
巻号頁・発行日
pp.2H1OS43, 2010 (Released:2018-07-30)

私たちは、現在の地球環境問題を自然だけでなく社会・文化を含む文明の次元で捉えることを試みている。<死生観>に関わる生命モデルを創り、増殖進化における優位性の検討が可能な人工生命研究と、モデルに対応する生命機構の実在性を検証する生命科学実験との相補的アプローチを進めてきた。その有効性を示す例として、不死の生命よりも有死の利他的生命の優越性を示した「プログラムされた自己解体モデル」を紹介する。
著者
安田 元樹 田中 文英
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.4O2OS3b01, 2018 (Released:2018-07-30)

社会的相互作用において人が無意識に他者のしぐさや癖、振る舞いを模倣し、また模倣された人は模倣した人に対して良印象や好感を持つことをカメレオン効果と呼ぶ。先行研究において、相手の発話をそのまま繰り返し発話する模倣によって、被模倣者に好印象を与えるカメレオン効果が得られたと報告されている。しかし、このような言語模倣が常に好印象を与えるとは限らないと我々は考える。また、この常に好印象につながるとは限らない模倣要素について調査された研究はない。 そこで本研究は、常に好印象につながるとは限らないと予想される模倣要素を調査することを目的とする。本稿では口癖に着目して、話者の発話をそのまま繰り返して模倣するロボットを模倣条件、話者の発話をそのまま繰り返して模倣しながら話者の口癖を強調するロボットを強調模倣条件とし、この2つの条件間のロボットに対して話者が抱いた印象の違いを調査した。 結果として模倣条件と強調模倣条件に有意な差は見られなかったが、口癖の強調は好印象につながらない可能性が示唆された。
著者
斉藤 勇璃 白石 智誠 太田 和宏 根本 さくら 石川 一稀 宇田 朗子 小川 卓也 友広 純々野 中村 祥吾 山内 拓真 西川 和真 宍戸 建元 長野 恭介 蓬畑 旺周 稲垣 武 村井 源 迎山 和司 田柳 恵美子 平田 圭二 角 薫 松原 仁
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4C2GS1303, 2020 (Released:2020-06-19)

シナリオライターの負担軽減と物語多様性の担保という観点から,ゲーム自動生成システムの開発の必要性が指摘されてきている.これまでに固有名の組みあわせによるシナリオ自動生成やダンジョン自動生成など,いくつかの挑戦は行われてきたが,ゲーム全体において一貫した世界観やストーリー展開を実現するのは困難だった.そこで本研究ではロールプレイングゲームを対象として,シナリオ自動生成,ダンジョン自動生成,BGM自動選択を統合したシステムの開発を行った.シナリオ自動生成においては,既存のゲーム作品のシナリオ分析結果に基づき,クエスト単位でのシナリオ自動生成を行った.次に生成された複数のクエストを統合してストーリーの破綻がない複合的なシナリオの自動生成を実現した.また,ダンジョンは自動生成を実現し,マップやキャラクターは生成されたシナリオに沿ったものを作成した.さらに,シナリオの各場面の機能や登場人物の感情状態に合わせたBGMの自動選択を実現した.これらのゲームの各種要素を自動的に生成して統合することで,ロールプレイングゲーム自動生成システムの構築を行った.
著者
金森 憲太朗 高木 拓也 小林 健 有村 博紀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Rin444, 2020 (Released:2020-06-19)

反事実的説明法(CE: Counterfactual Explanation)は,機械学習モデルの予測結果から説明を抽出する事後的手法の一つで,予測結果を所望のクラスに反転させるような特徴量の摂動方法を,説明としてユーザに提示する.ユーザはその摂動を,自らが望む予測結果を得るための"改善アクション"として直接解釈することができる.しかし,既存の改善アクション抽出法では,特徴量間の相関関係や外れ値リスクなど,元のデータが従う分布が持つ特性が十分に考慮されていないため,ユーザにとって実現可能な改善アクションが得られるとは限らず,改善アクションの実用性や信頼性に問題がある.そこで本研究では,実現可能な改善アクションを抽出するために,特徴量間の相関と外れ値検出スコアに基づく改善アクションの新たな評価関数を導入し,混合整数計画法に基づく解法を提案する.FICOデータセットを含む実データ実験により既存の改善アクション抽出法と比較を行い,提案手法の有効性について確認する.
著者
山尾 元陽 平田 里佳 入部 百合絵 深井 健大郎 桂田 浩一 新田 恒雄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4L3OS1504, 2020 (Released:2020-06-19)

近年,脳波を用いて機械を操作するBCI(Brain Computer Interface)の研究が盛んに行われている.しかし,音声想起の認識に関する効果的な方法は確立していない.本報告では,利用者への負担が少ない非侵襲的な方法で,頭皮から脳波(Electroencephalogram ; EEG)信号を取得し,脳活動を分析する.また分析結果をもとに,音声想起(speech-imagery) 時の脳波から単語を認識することを目指す.本稿では7名分の脳波を用いた10数字単語想起に対する実験結果を報告する.認識実験ではRandom Forestを使用し,数字を想起した脳波信号から10数字の単語認識を行った.認識に使用する特徴量はゼロ交差率,パワースペクトルエントロピー,二乗平均平方根,尖度,線スペクトル,移動平均である.結果として,パワースペクトルエントロピーと尖度を用いた場合の正解率が高いことが明らかとなった.それらの特徴量を用いた結果,正解率(被験者平均)82.6%を得ることができた.想起時脳波信号を用いた単語認識には,これらの特徴量を用いることが有効であることが示された.
著者
阿部 真也 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4Rin135, 2019 (Released:2019-06-01)

時系列予測の観点から株価を予測するために深層学習を用いる研究が多数行われてきた。 一方で、クロスセクション予測(マルチファクターモデル)の観点から、深層学習を用いて株価を予測する研究は少なく、特に世界の株式市場における有効性を実証する研究は存在しない。 そこで本稿では、グローバルな株式市場においてクロスセクション予測の観点から深層学習を用いたマルチファクターモデルに基づく相対的な魅力度の有効性を検証する。 分析の結果、次の結論が得られた。 1.深層学習による株価予測モデルはランダムフォレストやリッジ回帰に比べリターン/リスクの面で優れている。2.特に低リスクという観点で、深層学習モデルは優れている。3.市場の効率性が低下すると、収益機会が増える可能性がある。
著者
髙島 愛理 尾関 基行 村山 加奈子 岡 夏樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.2L4OS27a4, 2014 (Released:2018-07-30)

本研究では,ユーザが自分で予約設定した家電の自動処理を(実際には存在しない)エージェントがやったことにして,「やっておいたよ」という書き置きを部屋に残しておくことにより,一人暮らしの寂しさを軽減するというアイデアを提案する.これはスマホアプリやメールによる完了通知を“書き置き”に替えただけであるが,それだけの演出で,自分がいない間に「誰かが存在したこと」をユーザに感じてもらう効果を狙っている.
著者
小野 拓也 森 純一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2K1ES205, 2020 (Released:2020-06-19)

画像に含まれる異常データを認識・検出することはコンピュータビジョンの分野で重要な技術である。近年ディープラーニングにより異常検知を解決する方法が主流となっており、従来の手法よりも精度が高いことで知られる。異常検知問題はその性質上、異常データが極めて少数であり、データセットが著しい不均衡になっているケースが多い。そのため、教師あり学習を適用することは難しく、教師なし・半教師あり学習による解決が期待される。本論文では、画像データに対して半教師あり学習(AnoGAN, 畳み込みオートエンコーダーなど)及びクラスラベルを用いる距離学習(AdaCos, L2 softmaxなど)を用いた深層異常検知手法で最先端の手法の再現実装を行い、その有効性を評価した。結果としては、現状の深層異常検知手法では期待される性能を満たすことは難しく、改善の余地があるとの結論が得られた。最後にこれらの手法の問題点と、現状の研究課題について示した。
著者
竹内 正広 早坂 太一 大野 亙 加藤 弓枝 山本 和明 石間 衛 石川 徹也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Rin209, 2019 (Released:2019-06-01)

国文学研究資料館により整備されている歴史的典籍データベースを有効活用することは,人文科学のみならず,自然科学系分野を融合させた研究の展開にもつながる.しかしながら多くの研究者にとっては,それらに書かれている文字が「くずし字」であることが障壁となる.本研究では,ディープラーニングによるくずし字認識モデルを応用し,小型で比較的安価なシングルボードコンピュータRaspberry Piを用いて,カメラで撮影した見開きの古典籍画像から,自動で1文字ずつのくずし字領域を検出し,それらの認識を可能とする組み込みシステムを開発した.既にWWWアプリケーションとして実装されている先行研究と比較して,認識するのにかかる時間や精度はほぼ変わらず,高性能なコンピュータを用いなくても,Raspberry Piのようなシングルボードコンピュータで問題なく動作することを示すことができた.これを発展させることで,研究者のみならず,スマートフォンを持ち込むことができない小・中学校や,普段モバイル機器を持ち歩かない高齢者の方々でも,くずし字に触れたいときにそれを支援するシステムを実現することができると考えられる.
著者
近藤 久 浅沼 由馬
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.G-I36_1-11, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
28
被引用文献数
1

Hyperparameters optimization for learning algorithms and feature selection from given data are key issues in machine learning, would greatly affect classification accuracy. Random forests and support vector machines are among some of the most popular learning algorithms. Random forests that have relatively few hyperparameters, can perform more accurate classification by optimizing these parameters without requirement of feature selection. Same as random forests, support vector machines also have a few hyperparameters. However, whether or not to perform feature selection at the same time as optimization of these parameters greatly affects classification accuracy. Usually, grid search method is used to optimize hyperparameters. However, since this search method is performed on predetermined grids, the detailed optimization cannot be realized. In this paper, we thus introduce an artificial bee colony (ABC) algorithm to optimize hyperparameters and to perform more accurate feature selection. ABC algorithm is one of the swarm intelligence algorithms used to solve optimization problems which is inspired by the foraging behaviour of the honey bees. Using KDD Cup 1999 Data that is a benchmark of network intrusion detection classification, experimental results demonstrate the effectiveness of our method. The proposed method is superior in classification accuracies to existing methods for the same data, where swarm intelligence is used to hyperparameters optimization and feature selection. Our method also shows better performance than classification accuracies of random forests and SVM that are learned using default parameters values provided by scikit-learn, an open source machine learning library for Python.