著者
稲垣 豊 住吉 秀明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.2171-2175, 2014-09-10 (Released:2015-09-10)
参考文献数
19
著者
赤沢 学
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.11, pp.2343-2350, 2015-11-10 (Released:2016-11-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

肺炎球菌ワクチンの接種率向上は,高齢者の医療費を抑制するためにも重要な政策目標である.そのため,65歳以上の高齢者を対象にした定期接種化が実現された.これは,臨床的,医療経済的検討からワクチンによる肺炎球菌感染症の費用削減効果が明らかとなった影響が大きい.一方,新しいワクチンの登場で,その使い分けが新たな問題となっている.費用対効果の実証研究に基づき,肺炎球菌ワクチンの効果をどう考えるべきか概説する.
著者
桑名 正隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2446-2452, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5

膠原病・リウマチ性疾患の診療において,自己抗体検査は診断,病型分類,症状出現や予後の予測,活動性評価にきわめて有用なツールである.ただし,数多くある自己抗体検査を一括して測定するのではなく,それぞれの特性や測定原理を理解し,必要な項目を効率よくオーダーする.また,結果の解釈についても,臨床所見や経過を勘案しつつ判断することが求められる.
著者
藤井 輝久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.11, pp.2762-2766, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
14

HIVの感染経路として,血液,精液・腟分泌液(性行為による感染),母子感染,の3つが挙げられる.感染が成立するために重要な因子の一つは,血液・体液中のウイルス量であり,感染者の血液・精液あるいは母乳中のウイルス量を抗HIV療法などで0にすることができたら,次の感染は成立しない.今後HIV感染症を診る医療者はただ診療するだけではなく,感染経路を正しく理解した上で,目の前の患者に対し二次感染の予防のために積極的に介入する必要がある.
著者
松山 州徳
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.3, pp.409-414, 2017-03-10 (Released:2018-03-10)
参考文献数
9

3 0 0 0 OA 3.悪性貧血

著者
廣川 誠
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.1609-1612, 2014-07-10 (Released:2015-07-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2 4

悪性貧血は自己免疫化生性萎縮性胃炎による壁細胞の減少が病因であり,内因子の分泌減少によるビタミンB12の吸収障害によって巨赤芽球性貧血が発生する.胃壁細胞および内因子に対する自己抗体が検出され,壁細胞が発現するH-K-ATPaseが抗壁細胞抗体の標的抗原である.ビタミンB12欠乏による非造血系の障害として末梢神経障害,亜急性連合性脊髄変性症,Hunter舌炎がみられる.自己免疫化生性萎縮性胃炎は胃がんおよび胃カルチノイド腫瘍の高リスクである.悪性貧血の治療はビタミンB12の非経口投与である.
著者
小野田 教高 須田 俊宏 木野 紀
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.12, pp.2513-2517, 2018-12-10 (Released:2019-12-10)
参考文献数
8

72歳,男性.軽微な打撲で上肢に皮下出血を来たし,赤ら顔,満月様顔貌を認め,Cushing症候群が疑われた.3年前より,ベタメタゾン含有製剤を点鼻で継続使用していたことから,外因性ステロイドが原因であることが判明した.被疑薬剤を中止,ヒドロコルチゾンの補充漸減療法にて症状は軽快した.副腎皮質ホルモン製剤は,投与経路にかかわらず,内因性の視床下部―下垂体―副腎系を抑制し得ることを認識する必要がある.
著者
土屋 輝一郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.25-31, 2013 (Released:2014-01-10)
参考文献数
10

FGIDは器質的異常を伴わない疾患と定義されてきたが,急性胃腸症などの細菌感染,ウイルス感染症後に消化管の機能障害を慢性的にきたすことが指摘され,上皮細胞構成,免疫担当細胞,炎症性サイトカインなどの器質的変化が明らかにされた.またFGIDにおける腸内細菌叢の変化が近年の解析手法の向上により見いだされ,腸内環境への影響とFGIDの病態,症状との関連が注目されている.
著者
白須 和裕
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.12, pp.3071-3073, 2014-12-10 (Released:2015-12-10)

内科系学会社会保険連合(内保連)に加盟する学会の中で,女性に特有な疾患を診療する機会のある9学会で女性診療科関連委員会を設立している.この分野における診療報酬上の適切な評価を目指して活動している.2年ごとの診療報酬改定に向けて要望事項を取りまとめ,医療技術評価提案書の作成に際しては委員会内の関連する複数学会が一致して提出することで,その有用性を強調している.女性に特有な疾患に対する医学管理の必要性,有用性についても評価を求めている.
著者
池田 昭夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.8, pp.1348-1357, 2016-08-10 (Released:2017-08-10)
参考文献数
10

「てんかん」(epilepsy)とは,慢性の脳の疾患で,大脳の神経細胞が過剰に興奮するために,てんかん発作が反復性に起こる.発作は突然に起こり,普通とは異なる身体症状や意識,運動および感覚の変化が生じる.反復性の発作(てんかん発作)を唯一の症状あるいは主徴とし,これに種々の臨床症状および検査所見を伴う状態である.病歴上,発作,例えば全身けいれん発作,意識減損発作,意識はあるが身体部位の突発的な症状(=視覚,触覚,聴覚,嗅覚,情動,失語,自律神経症状など),脱力転倒が,1~2分間(短いと数秒間)出現し,いつも同じ症状である.意識減損時は数分間程度のもうろう状態などから回復し,ほぼ元に戻る.
著者
竹内 靖博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.4, pp.658-666, 2016-04-10 (Released:2017-04-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

高カルシウム血症と低カルシウム血症は,いずれも症候性であれば適切な緊急対応が必要な病態である.意識障害と急性腎障害の場合は高カルシウム血症を,テタニーと痙攣の場合は低カルシウム血症の可能性を想起することが大切である.また,低カルシウム血症の原因として低マグネシウム血症が潜在する可能性にも配慮する.
著者
岩本 直樹 川上 純
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.1564-1569, 2014-07-10 (Released:2015-07-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

生体は,正常では免疫寛容とよばれる機構により自己抗体の産生を回避しているが,何らかの要因によりその機構が破綻した場合,自己抗体が産生される.その破綻の機序についてはいまだ不明な点が多いが,AIRE遺伝子の異常や,アポトーシスの異常,制御性T細胞の異常,外来抗原との分子相同性機序などいくつかの機序が想定されている.自己抗体産生機序の解明は自己免疫疾患の制圧につながり,その解明が期待される.
著者
赤松 弘朗 山本 信之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.6, pp.1096-1100, 2017-06-10 (Released:2018-06-10)
参考文献数
10

非小細胞肺癌における上皮成長因子受容体遺伝子変異の発見とその特異的阻害薬の開発によって,遺伝子変異陽性例の予後は著明に延長した.これまで使用されてきた第1,2世代の阻害薬に加え,2016年にはT790M変異陽性例に対して第3世代の薬剤が承認された.本稿では,新しい知見が続々と報告されているEGFR(epidermal growth factor receptor)遺伝子変異陽性肺癌の治療戦略について概説し,今後の課題を述べる.
著者
上野 卓教 吉澤 利弘 町野 毅 庄司 進一 阿武 泉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.2382-2384, 2005-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

特発性低髄液圧(Spontaneous intracranial hypotesion: SIH)症候群とは誘因なく髄液圧の低下をきたすことにより起立性頭痛・悪心・嘔吐・めまいなどを呈する症候群である.症例は24歳女性.突然,座位・立位時の嘔気・頭痛が出現した.髄液検査にて圧が0mm水柱であり,ガドリニウム造影脳MRIでは硬膜の肥厚と著明なガドリニウム増強効果,さらに両大脳半球の下垂を認めたため,特発性低髄圧症候群と診断した. MRミエログラフィーにて上部胸椎レベルに髄液と同等の液体貯留を認め,同部位近傍からの髄液漏出が推定された.
著者
廣谷 真 佐々木 秀直
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.1986-1993, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
8

ミオパチーは非常に多くの疾患を含んだ筋疾患の総称である.炎症性筋疾患では多発筋炎と皮膚筋炎が大半を占めるが,封入体筋炎との鑑別も重要である.多くが日常生活に支障を来すため,日常生活動作を意識した病歴聴取を行い,身体診察と併せて迅速に診断・治療を行う必要がある.治療の中心はステロイドであるが免疫抑制薬や免疫グロブリン大量静注療法も有効とされており,早期に正確な診断と適切な治療を行うことが重要である.

3 0 0 0 OA 神経学の伝統

著者
岩田 誠
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.2245-2248, 2002-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
12
著者
森澤 紀彦 佐藤 博之 松山 桃子 林 直美 安達 章子 佐藤 順一 横尾 隆 雨宮 守正
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.12, pp.2432-2440, 2016-12-10 (Released:2017-12-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

TAFRO症候群は,血小板減少(thrombocytopenia),腔水症(anasarca),発熱(fever),骨髄線維症(myelofibrosis),腎機能障害(renal dysfunction),臓器腫大(organomegaly)を特徴とする.症例は66歳,男性.7カ月前に血小板数減少を指摘され,約1カ月前より腹痛,胸腹水貯留が生じた.前医入院後に腎機能障害が出現し,当院転院となり,TAFRO症候群と診断した.比較的急峻な経過を辿るもステロイドおよびシクロスポリンによる治療で改善した.血小板減少を伴う腎機能障害の鑑別にTAFRO症候群を挙げることが肝心である.
著者
堀口 高彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.1404-1411, 2013-06-10 (Released:2014-06-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

気管支喘息の多様性をフェノタイプ(phenotypes:表現型)の概念から概説した.近年,病態の多様性を客観的に捉えたクラスター解析による分類が行われている.実臨床に有用な分類にアトピー素因,発症年齢による分類があるが,現時点では各フェノタイプごとに治療を選択するには至っていない.今後,実臨床を見据えた個々の症例に合わせた治療戦略の実現のためフェノタイプ分類の確立が望まれる.フェノタイプを考慮して個々の患者に最良の医療を提供する「オーダーメイド医療」の考え方について概説する.